第16回「部品の検査・検品AIの世界」

人工知能(Artificial Intelligence)、すなわち「AI」。この革新の技術が取り沙汰されるようになってから、もう半世紀以上の年月が経とうとしています。そう遠くない未来において、AIが私たちの生活・社会・文化を多方面から支える存在、あるいはそれら自体となり得る、そのような世界の到来が見込まれているのです。現代と未来に欠かす事のできない、AIに関する多彩な諸相をお伝えするべく、私たちクリスタルメソッド株式会社が「全20回」に渡ってAI解説記事をお届けしています。第16回は、「部品の検査・検品AI」に関するお話を致しましょう。

[現代のAIの超得意分野]

「機械学習(Machine Learning)」から発展した「深層学習(Deep Learning:ディープラー
ニング)」。この考え方が AI に導入されてから、AI は二次元(2D)だけではなく、三次元
(3D)のパターン認識も軽々と出来るようになりました。深層学習は「AI 自らが、学習の
積み重ねによって、より高度な判断を行う」為、更に正確に、更に効率的に、3D セグメン
テーション(事象や空間の認識)を行えるようになったのです。この 3D セグメンテーショ
ンは、現代の AI の超が付くほどの得意分野になりつつあります。
このような AI が今、製造業の生産現場を大きく変容させつつあります。最も劇的な変化が
もたらされる作業は、検査・検品(外観検査、欠品検査、異音判定等)の作業です。例えば、
工場では、生産工程の最後に必ず検品(製品の検査)を行います。これまで、その作業はす
べて経験と技能を積み重ねた人間の手で行って来ました。しかし、そうした作業は、まさに
現代 AI の得意範囲です。正式な完成品に様々なパターンの照明を当て、撮影をしながら、
深層学習によって解析を行う。そうすれば、AI は熟練工並みの「目」で、検品・検査作業
を 24 時間体制で行う事が出来るのです。
また、異音や振動などのデータを集めて、不良品率の高まりや機器故障の予兆を予測する事
も出来ます。倉庫在庫管理、製造数管理、部品調達数管理など、管理面でも AI による働き
ぶりは凄まじいものです。
工業分野のみならず、農業分野からの注目や需要も高まり続けています。AI による病害虫
診断、収穫時期予測、育成状況監視など、これまで人の手で行って来た地道な作業を AI に
代替する事が可能なのです。畑や水田の温度・湿度データと天気予報情報から、高温や病虫
害のリスクマネジメントを行う事も出来ます。これまでより正確に、速く、しかも不眠不休
で、AI は農業生産者の逞しいサポーターとして活躍が出来るのです。
このように、ある分野や領域に限った特化型 AI においては、既に人間の知能を遥かに超え
る働きぶりを示しています。医療用画像処理、自動運転やカーナビ、ノイズキャンセルや音
声分離、ロボティックス、介護、ビジネス、医療、IoT…私たちの社会や生活のあらゆる側
面における AI 応用が行われています。音声分野でも、Amazon Echo、Google Home などの
ように、アシスタント AI の存在が日常に浸透し始めている昨今です。

[実例と課題]

暗黙知や経験値、直観に根差す部分の大きかった検査・検品を、数値化やデータ化など「目
に見える化・共有化」する事によって、経験値の無い新人でも現場の動向を把握して、適切
に管理出来る。これが、現代 AI におけるパワフルな存在感です。
北海道の牧場でも、全ての牛の情報が蓄積され、AI による管理を行っている事例がありま
す。同牧場ではベテラン従業員のみならず、新人従業員も牛の具体的なデータを目にしなが
ら、対等に現場状況の把握と管理を行っています。こうして、AI が確実に、生産性の向上
や効率化に貢献をしているのです。このようにマニュアル化出来るタスクは機械が担い、マ
ニュアル化出来ない部分を今まで通り人間が選択・行動する。このような関係が、今、徐々
にあらゆる分野において構築されつつあるのです。
しかし、危惧もあります。AI の「目」や「データ処理」に依存した結果、対象である現実
の製品・農産品・人と向き合わなくなってしまった場合、人は本質的な技巧性を失ってしま
うかもしれません。先ほどの牧場でもその点に注視しており、「牛を見る技術が失われるの
ではないか、という想いもあります。逆に、専門部門として牛飼いを育成する環境を設ける
べきではないかという検討を重ねている」という意見が聞かれます。
機械化や自動化により、専門を持たなくても専門的な仕事が出来るようになりますと、平常
時はそれで問題がありませんが、いざ何かが起きた時の対応や選択が遅れたり、誤ったりし
てしまうものです。AI が処理しきれない問題が人間に降りかかる事を想定し、私たちは「AI
に依存する」のではなく、「AI を活用する」というスタンスを堅持しなければならないので
す。

[製造業向け IoT 活用カンファレンス 2020 秋]

「革新」が「日常」に広がる世界。私たちは今、まさに AI 技術との付き合い方を考え、来
に向けて力強く歩む段階にあります。此度、2020 年 9 月 17 日(木)、「製造業向け IoT 活
用カンファレンス 2020 秋」が東京会場(東京都千代田区丸の内 2-7-2 JP タワー・KITTE
4F)にて開催されます。AI の技術仕様から具体的な活用事例まで、より多くの「革新」を
理解する大変意義のあるイベントとなっております。私たちクリスタルメソッド株式会社
も、その分野の一翼を担う活動者として、同イベントへの参画を行わせて頂いております。
AI の技術利用にご興味のある皆様は、ぜひとも積極的にご参加を下さいませ!
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■「製造業向け IoT 活用カンファレンス 2020 秋」※ロゴ画像など
公式サイト:https://f2ff.jp/event/iotc-2020-02
会期:【東京会場 (オンラインセミナーも予定) 】 2020 年 9 月 17 日(木)
会場:【東京会場】JP タワーホール&カンファレンス(KITTE 4F)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2-7-2 JP タワー・KITTE 4F
主催/運営:株式会社ナノオプト・メディア
参加料金:【東京会場】事前登録にて無料
後援団体:
持続可能なモノづくり・人づくり支援協会
日刊工業新聞社
※(2020 年 9 月 2 日(水)現在・申請中含む)
■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段 4 丁目 1-14 TL ビル 5F
設立:2008 年
資本金:904 万円
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20 名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話 AI「HAL」に向けた「意識」の導入
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