第17回「製造業の機器緒元にAI活用を行うビッグメリットとは?」

日本の製造業の未来に欠かす事のできないAIの諸相をお伝えするべく、「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」と題し、これより全20回に渡ってAI解説記事をお届けしております。今回、第17回は「製造業の機器緒元にAI活用を行うビッグメリットとは?」に関するお話です。

人工知能(Artificial Intelligence)、すなわち「AI」と呼ばれる技術の基本的な考えは、1947年、数学者アラン・チューリングによって提唱されました。それから半世紀以上の歳月を経て、私たちのデジタル世界は大きく変容し、近年はAI技術が驚異なスピードで進化を遂げ続けています。私ども「クリスタルメソッド株式会社」も、そうしたAI技術躍進の黎明期、2008年頃から活動を開始し、「DeepAICopy」「対話型AI HAL3(ハルさん)」「Winry」「多機能深層学習アプリケーション」「2D/3D検知システム」等、多様な実用製品をお届けしております。

究極的に言えば、私たち人類は「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を人の代わりに担ってくれるロボットやプログラムを求めています。AIは、まさにその「効率性」と「正確性」を同時に実現する革新的手段であり、今後の日本社会、特に製造業を牽引する存在になると、私どもは確信をしております。そうしたAIによる恩恵の中でも、今回は特に「機器諸元(パラメーター)」におけるAI活用事例に関する諸相に触れたいと思います。

機器諸元の重要性

製造業(工場)は量産ラインの構築によって、QCD管理(「Quality:品質・仕様」「Cost:コスト・原価」「Delivery:数量・納期」)を執り行います。量産ライン(生産方式)は、主に「ライン生産」と「セル生産」という種類が存在します。ライン生産はコンベアの周りに人員を配置し、各人が単発的・局所的な作業を担当するという方法です。セル生産はセルと呼ばれる作業場所に1人または複数人が配置され、複層的・複合的な作業を担当するという方法です。自動車業界の場合、多品種多量生産を必要とする一般市販車両は前者を、多品種少数生産を必要とするフォーミュラーカーは後者を選択する傾向にあります。

いずれの方法にしても、そのような量産ラインを立ち上げる際には、エンジニアが設備に対して機器諸元(パラメーター)を適切に設定・調整しなければなりません。先述のQCD管理のバランスを鑑みながら、諸元の最適地を設定する行為には熟練の技・経験を持ったスペシャリストが必要です。近年は多品種少数生産方式の需要が高まっている為、更にこのような諸元の設定・調整の時間・労力・人件費が肥大化する傾向にあります。

そうした負担が企業側にあっても、諸元の設定・調整がQCD管理の行方を左右するものである以上は、疎かにする事の出来ない箇所となります。機器諸元は製造業にとってのコア作業のひとつなのです。

自動設定AIと最適解

そのような機器諸元を、人ではなくAIが自動的に行うというものが、「自動設定AI」と呼ばれるものです。これまで膨大な時間・労力・人件費が投入されていた諸元設定・調整の作業をAIが代替する為には、「強化学習」という手法が必要となります。「与えられた環境で行える手段を抽出する」「その手段の中での最適解を導き出す」といった具合に、AIが自律的に「最適な諸元」を獲得できるような状態に仕上げるのです。

自動設定AIの導入において、最初に必要となるステップが目視検査の自動化です。判断基準の善悪をAIに学習させるという所からスタートします。その後、自動設定AIには「試行錯誤をこう行って欲しい」という自動化環境を与えます。

技術的な表現としては、自動設定AIは「①審判役AIを作る」「②監督役AIを作る」という流れが取られます。生産活動情報の取り込み自動化を通じて、データ自動処理AIを確立させるのが①のステップです。ここでは行動(制御命令)に対する報酬(評価)の計算を自動化します。続く②のステップでは、「状態と報酬を踏まえて、どう行動に及ぶべきか」という計算を確立させます。自動設定AIは完成に至るまでに数年が必要となりますが、その後の能力価値を鑑みれば十分な投資時間だと考えられます。

輝かしい製造業の未来へ向けて

私たちの全ての願いを叶えてくれる汎用AI(強いAI)の登場はまだ先の話になりそうですが、「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」という人間の脳構造を模倣した「ニューラルネットワーク」の誕生により、着実に「AI自らが、学習の積み重ねによって、より高度な判断を行う」という技術が現実のものとなっています。医療分野を始め、自動運転・カーナビ・ノイズキャンセル・音声分離・ロボティックス・介護・ビジネスデータ・IoT・アシスタントAI(Amazon EchoやGoogle Home等)、生活のあらゆるシーンでの活用が広がっています。

その中でも製造業は、AIが強みとする「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を存分に活かせる分野であり、そこに日本の輝かしい未来へと繋がる原動力が隠されています。既に私どもが実用化に成功している工業用検査(外観検査・欠品検査、異音判定等)のAIを含め、今後、ますますの技術革新への邁進を続けてまいります。私どもの製品にご関心がございましたら、どうぞ何なりとお問合せを頂ければと存じます。

以上、こちらが製造業AI解説特別連載「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」、第17回「製造業の機器緒元にAI活用を行うビッグメリットとは?」に関するお話でした。続く第18回は「製造業のサイバー・フィジカル・システムが目指すものとは?」について取り上げさせて頂きます。

第5回 AI・人工知能 EXPO【春】

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■「第5回 AI・人工知能 EXPO【春】」
公式サイト:https://www.ai-expo-at.jp/
会期:2021年4月7日(水)~9日(金)10:00~18:00
会場:東京ビッグサイト青海展示棟(商談可能)
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
参加料金:事前登録にて無料
後援団体:
一般社団法人 人工知能学会
一般社団法人 日本ディープラーニング協会
同時開催:
第2回 ブロックチェーン EXPO【春】
第1回 量子コンピューティング EXPO【春】

■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段 4 丁目 1-14 TL ビル 5F
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20 名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話 AI「HAL」に向けた「意識」の導入
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