第6回 熟練工並みの異常検知・異音検知AIの世界

人工知能(Artificial Intelligence)、すなわち「AI」。この革新の技術が取り沙汰されるようになってから、もう半世紀以上の年月が経とうとしています。そう遠くない未来において、AIが私たちの生活・社会・文化を多方面から支える存在、あるいはそれら自体となり得る、そのような世界の到来が見込まれているのです。現代と未来に欠かす事のできない、AIに関する多彩な諸相をお伝えするべく、私たちクリスタルメソッド株式会社が「全20回」に渡ってAI解説記事をお届けしています。第6回は、「異常検知・異音検知AI」に関するお話を致しましょう。

[人間の模倣]

製造業に長年携わる熟練工は、機器や製品の音を聞き分けて、「この音はおかしいのではないか?」「品質に問題があるのではないか?」「材料が不足しているのではないか?」「手順が間違っているのではないか?」といった技術的課題を即座に見出します。このような熟練工並みの仕事をAIが代替するには、AIが「より人間らしく判断する」能力が必要です。

さて、そのようにAIが「より人間らしく判断する」為には、何か必要なのでしょうか。こちらの話を展開するに当たりまして、本連載の第2回でも少々扱わせて頂いた「深層学習(Deep Learning)」を改めて持ち出し、復習を兼ねた補足をさせて頂こうと思います。

人工知能研究の勢いが加速した2000年代以降、人間がひとつひとつ、手作業で膨大なルールや知識を与えなくても、既存のデータを参照して正解を導き出すタイプの、統計・確率型の人工知能が一挙に発展をしました。そのような「自律的なAI」を誕生させるに当たって、初期の段階で用いられていた手法は、「機械学習(Machine Leaning)」です。「尻尾に着目して区別しなさい」とAIに指示を与えておきますと、まだ解析していない犬の画像が登場しても、そのAIは「これはコーギー」「これはゴールデンレトリバー」だと判断をしてくれます。これが、機械学習です。

この「機械学習」を更に発展させたものが、「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」です。深層学習は、先ほど人がAIに与えていた指示(※特徴量:学習データにどういった特徴があるのかを数値化したもの)を、AI自身によって自律的に設定する機能が適用されています。この場合、犬の画像を確認したAIは、「尻尾」だけではなく、「形状」「色彩」「サイズ」「動き」等の判断基準を自分なりに設定するようになります。現在、高度なAI技術には、必ずこの深層学習という方法が用いられています。

深層学習を可能としているのは、「ニューラルネットワーク」という考え方です。こちらは、私たちの脳の仕組みのひとつである神経細胞(ニューロン)の繋がりと、その繋がりによって行われている情報交流の流れを模倣するものとなります。例えば人間は、目から入って来た情報を、一時視覚野と呼ばれる脳内の「見ているものを理解する場所」へ送り、神経細胞を通って、最後には下部側頭葉皮質という場所に入り、そこで何を見ているかの認識に至ります。

すなわち、「ニューラルネットワーク」は、人間が脳の中で情報が神経を伝達していく仕組みをモデル化したものとなります。AIにリンゴの画像を見せ、それをリンゴであると判断させる為に、「色」「形」「模様」等、特徴として注目するべき情報に分解させ、それが「リンゴらしいかどうかを判断させる」という流れとなります。この方法を繰り返していきますと、やがてAIは「リンゴを判断するには色が重要なようだ」と独自の設定を行うようになります。私たちが学習する(神経細胞を繋ぐシナプスを太くする)のと同じように、AIもまたそうして設定を強め、自分なりの調整を続けるのです。

このような仕組みを持つ深層学習の登場により、AIは医療用画像処理を始め、工業用検査(外観検査・欠品検査等)、自動運転やカーナビ、ロボティックス等、製造業や生活のあらゆる側面での応用が行われています。将棋や囲碁のゲームAIがプロを打ち負かすほど強くなったのも、この自律調整を行う深層学習を搭載したAIの成せる業です。気象予測、バーチャルアシスタントの高度化にも貢献をしています。

[異常検知・異音検知]

熟練工が、何度も経験を積み重ねながら、音声認識に関するシナプスを強くして来たのと同様に、深層学習を用いたAIも、ビッグデータを学習しながら自律調整を行い、その特化された「正確でスピーディーな判断」を可能とします。装置の異音をAIが感知し、機械や生産状況を適切に把握する事で、メンテナンスや故障の時期を予測する事も出来ます。

このようなAIは「判断」を行う事に特化されており、次に「選択」を行うのは人間です。リアルタイムで検知された異音は、画像・動画・音声データと共に、管理者の元へ即座に通知される仕組みとなります。巡回監視だけではなく、システムで常時異音を検知しながら、リスクを最小限に抑えつつ、更に合理的・効率的な製造環境を整える事が出来るのです。

製造業向けIoT活用カンファレンス 2020 秋

「革新」が「日常」に広がる世界。私たちは今、まさにAI技術との付き合い方を考え、来に向けて力強く歩む段階にあります。此度、2020年9月17日(木)、「製造業向けIoT活用カンファレンス 2020 秋」が東京会場(東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー・KITTE 4F)にて開催されます。AIの技術仕様から具体的な活用事例まで、より多くの「革新」を理解する大変意義のあるイベントとなっております。私たちクリスタルメソッド株式会社も、その分野の一翼を担う活動者として、同イベントへの参画を行わせて頂いております。AIの技術利用にご興味のある皆様は、ぜひとも積極的にご参加を下さいませ!

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■「製造業向けIoT活用カンファレンス 2020 秋」
公式サイト:https://f2ff.jp/event/iotc-2020-02
会期:【東京会場 (オンラインセミナーも予定) 】 2020年9月17日(木)
会場:【東京会場】JPタワーホール&カンファレンス(KITTE 4F)
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-7-2 JPタワー・KITTE 4F
主催/運営:株式会社ナノオプト・メディア
参加料金:【東京会場】事前登録にて無料
後援団体:
持続可能なモノづくり・人づくり支援協会
日刊工業新聞社

■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段4丁目1-14 TLビル5F
設立:2008年
資本金:904万円
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話AI「HAL」に向けた「意識」の導入
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