第13回「AIとビッグデータによるマッチングビジネスの世界」

人工知能(Artificial Intelligence)、すなわち「AI」。この革新の技術が取り沙汰されるようになってから、もう半世紀以上の年月が経とうとしています。そう遠くない未来において、AIが私たちの生活・社会・文化を多方面から支える存在、あるいはそれら自体となり得る、そのような世界の到来が見込まれているのです。現代と未来に欠かす事のできない、AIに関する多彩な諸相をお伝えするべく、私たちクリスタルメソッド株式会社が「全20回」に渡ってAI解説記事をお届けしています。第13回は、「AIとビッグデータによるマッチングビジネスの可能性」に関するお話を致しましょう。

[ハウス・オブ・カード]

2018年3月、フェイスブックの個人データが不正な方法で取得され、アメリカ大統領選挙で用いられたのではないかと報道され、世界的な大問題に発展しました。2年を経た我々が既に忘れかけているニュースですが、実はこの騒動は極めて深刻な問題をはらんでいます。

報道によれば、トランプ陣営が契約していたデータ分析会社ケンブリッジ・アナリティカ(
CA)が、フェイスブックユーザー約5000万人の個人情報を不正収集し、こちらを選挙戦に活用したというのです。問題は、何を分析し、どうやって活用したかという点です。この分析・活用には、当時ケンブリッジ大学教授だったマイケル・コシンスキイの研究が応用されていました。フェイスブックで人々がどのような記事に「いいね!」を付けているのか、その点をビッグデータから抽出し、プロファイリングを行ったのです。

「いいね!」のデータから、その人の「人種」「性別」「政治的至高」「宗教」などを推定するモデルを抽出する事で、人格が分かる。そんな事が可能なのかと首をかしげたくなりますが、本当にある程度の成果が上がってしまっています。例えば、『ゴッドファーザー』『モーツァルト』『指輪物語』といった映画を好む者は、知能指数が高いという結果が生まれています。「その蜘蛛は、君よりも怖がっている」というウェブサイトに「いいね!」を付けるのは、非喫煙者が多い。このような具合に、通常の人間的思考では明らかにならなかった、より大規模な「傾向」が、くっきりと浮かび上がって来るのです。

傾向が分かれば、あとはその傾向、つまり好みにあった事を口にすれば、非常に大きな効果を上げられます。CAは、「個人の性格を切り口にして、一人ひとりの有権者に対してターゲット広告を打つ方が、マスメディアでブランド・イメージを形成しようとしたら、人種、年齢、地域、所得などの大雑把な属性でキャンペーンを考案したりするより、遥かに効果的」だと述べています。

トランプ陣営のそうした不正な政治的マーケティングが存在したかどうかは不明ですが、そのような「AIとビッグデータによるマッチング」に効果があるという事が示されたのは事実です。実は、Netflixも似たようなAI応用を用いて、自らのビジネスに直接反映をしています。無数のデバイスに組み込まれたアプリから、「どのように映画を探しているか」「どの場所で観ているか」「何時に観ているか」「1日何時間観ているか」といった膨大なビッグデータを把握し、これを「あなたにオススメ」などのマッチング・サービスに活用しているのです。

Netflixを全世界に押し出す事になったオリジナルドラマ『ハウス・オブ・カード』もまた、このAIマッチングの可能性から誕生した成功事例です。ビッグデータをAI解析した結果、彼らは「デヴィッド・フィンチャー監督(代表作:『ファイト・クラブ』『セブン』など)」の視聴者層が、「俳優ケヴィン・スペイシー」の視聴者層と、非常によくリンクしている事に気づきました。また、この共通視聴者層は、1990年にイギリスで放送された政治テレビドラマ『ハウス・オブ・カード』に興味があるという事も分かっていました。そこで、Netflixがデヴィッド・フィンチャー監督に打診をしてみたところ、監督は前から『ハウス・オブ・カード』のリメイクを行いたいと思っていた事が明らかとなりました。

こうして、成功するべくして成功したドラマシリーズは、Netflixの事業を飛躍的に向上させる結果をもたらしたのです。もっとも、AIとビッグデータは、その後に俳優ケヴィン・スペイシーが、醜悪なセクシャル・スキャンダルを巻き起こして降板せざるを得なくなるという未来までは見いだせなかった、という皮肉な結末付きですが…

[可能性をどこまで見極めるか]

「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」という、人間の脳構造を模倣した「ニューラルネットワーク」が展開されてから、AIの世界が一気に変容しました。「AI自らが、学習の積み重ねによって、より高度な判断を行う」事を実現し、医療用画像処理、工業用検査(外観検査・欠品検査、異音判定等)、自動運転やカーナビ、ノイズキャンセルや音声分離、ロボティックス等、製造、介護、ビジネス、医療、IoT、生活のあらゆる側面での応用が展開されるようになったのです。音声分野では、Amazon Echo、Google Homeなどのように、アシスタントAIが、私たちの日常世界で活躍をしています。

ビッグデータとの連携にも、先述のような輝かしい未来性があります。「AIがエージェントとなり選考を支援する」「交流サロンの親和性をチェックする」「オススメの広告や商品をピックアップする」「最適なタイミングでプッシュ通知を行う」など、様々な応用が考えられます。

しかし、あくまでも、AIは全知全能のゼウスでは無いという事を念頭に置いておかねばなりません。ケヴィン・スペイシーのゴシップを想定出来なかったように、AIは答えではなく、あくまで私たちに判断(参考)を示します。私たちはその判断を適切に見極め、選択をしなければならないのです。

[第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】]

「革新」が「日常」に広がる世界。私たちは今、まさにAI技術との付き合い方を考え、来に向けて力強く歩む段階にあります。此度、2020年10月28日(水)~30日(金)、「第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】」が幕張メッセにて開催されます。AIに関するあらゆるサービスが出展しており、最新のAIサービスを導入・比較検討することができる日本最大のAIの専門展となっております。私たちクリスタルメソッド株式会社も、その分野の一翼を担う活動者として、同イベントへの参画を行わせて頂いております。AIでの課題解決にご興味のある方は、ぜひとも積極的にご参加を下さいませ!
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■「第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】」
公式サイト:https://www.ai-expo-at.jp/
会期:2020年10月28日(水)~30日(金)10:00~18:00 ※最終日のみ17:00終了
会場:幕張メッセ(事前登録によりオンラインでも来場、商談可能)
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
参加料金:事前登録にて無料
後援団体:
一般社団法人 人工知能学会
一般社団法人 日本ディープラーニング協会
同時開催:
第1回 ブロックチェーン EXPO【秋】
第1回 量子コンピューティング EXPO【秋】

■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段 4 丁目 1-14 TL ビル 5F
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20 名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話 AI「HAL」に向けた「意識」の導入
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