第19回「行政分野で活躍するAIの世界」

[イーグル・アイ]

2017925日の日本経済新聞において、「1020年後に、日本の労働力人口の約49%AIに代替可能」という言葉が躍りました。センセーショナルな表現ですが、こちらをもう少し正確に言いますと、「仕事」ではなく「タスク」の大半にAIが適用される、という意味を示しているものと思われます。

例えば、ガスコンロという画期的な機器が私たちの生活の中に浸透した時、私たちは「薪を集めて、空気を送り込みながら、火を起こす」というタスクを「ボタンを押して、強弱を調整する」というタスクに変えました。タスクを効率化させた、という言い方も出来るでしょう。これは、「火を起こす」という仕事そのものが消失した訳ではありません。

スティーヴン・スピルバーグ総指揮のSF映画『イーグル・アイ』も、AIを誇張気味に味付けした存在として描いています。こちらはアメリカ政府が秘密裏に開発したAIが、憲法を独自解釈し、それに対する違反者を社会から徹底排除しようとする物語です。未来にはどうなるかは不明ですが、現時点におけるAIにはそこまでの意思や感情はありません。AIは「人間的な運命の選択を行う存在」ではなく、あくまでも「人間の選択を促す判断を示す存在」なのです。

こうなりますと、確かに映画『イーグル・アイ』のような、全知全能のゼウス、社会の絶対的な管理者のような汎用AIの誕生を期待してしまうものですが、もちろん現実にはまだ越えねばならない技術の壁がありますし、そもそもその壁を越えて良いのかは議論が分かれる所でしょう。

[行政分野で活躍するAI]

野村総合研究所とイギリスのオクスフォード大学との共同研究によりますと、2015年時点の予測では、「弁護士は1.44%と低いが、弁理士92.1%、司法書士78.0%、公認会計士85.9%、税理士92.5%(のタスク)が、AIに代替可能」という結果が示されています。つまり、「士業」と呼ばれる職業(のタスク)は、大半がAIによる応用が可能だという訳です。

裁判官においても、AIの活用が注目されています。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、シェルフィード大学、ペンシルベニア大学の研究者が、欧州人権裁判所の判例を学習して判決を予測するAIシステムを構築し、その結果が示されています。こちらのシステム「判例文章からテキストを抽出し、それぞれの裁判についての経緯・状況・関連法・事実・法律的主張の各項目についての単語軍とトピックリストを作成する」という手順を踏んだ上で、機械学習アルゴリズムを介し、判例を予測します。同システムは79%で判例を正しく予測する結果を生みました。

ただし、そのような裁判AIの場合、これまでの判例の傾向がそのままAIに反映されてしまうという点が懸念されています。一例として、「アフリカ系アメリカ人の再犯可能性が高い」というバイアス(偏り)が生じてしまい、適切な判例を導き出せない展開も有り得るのです。「参考にはなるが、依存してはいけない」――行政系AIに対するスタイルは、そのように一定の距離感を保つ意識を強く持たねばなりません。

総じて、行政分野のAI応用は、「単純な事務処理やリスク管理は自動化され、専門的で高度なコンサルティング的業務が増える」、そのような未来が想定されます。その時の私たちのタスクは、大きな変容を必要とするでしょう。

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