第20回「高度知的活動AIの世界」

[中国語の部屋]

カリフォルニア大学バークレー校元名誉教授の言語哲学者、ジョン・サールが、1989年、『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』誌の中で興味深い命題を提示しました。こちらはAI研究において非常に意義のある命題であったので、今でも私たちAI研究者が折に触れる内容となっています。その名も、「中国語の部屋」という議題です。

「デジタル・コンピューターは、記号を操作するデバイスであって、その意味や解釈については考慮しない。一方、人間は、至高するときには、それよりも遥かに多くの事を成す。人間の心には一般に、有意義な思考、感情、心的内容がある。形式的な記号それ自体は、決して心的内容とはなり得ない。なぜなら記号は、当然の事として、誰かシステムの外にいる者が意味を与える場合を除き、意味(あるいは解釈・語義)を持たないからだ。」

「これを理解するには、英語しか話せない人間が部屋に閉じ込められているところを想像すると良い。ここには1冊のルールブックがあり、コンピューター的なルールに従って、中国語の文字を処理するやり方が書いてある。原理上、その人物はチューリング・テストでは中国語を理解していると判断される。なぜなら、彼は中国語の質問に答えて、正確な中国語の文字を生成する事が出来るからだ。ところが、実際の彼はそうした文字の意味を全く知らず、中国語の単語をひとつも理解していない。しかし、もし彼が中国語を理解していないとする理由を、単に中国語を『理解する』為のコンピューター・プログラムを利用している為だとするなら、他のどんなデジタル・コンピューターもそれを理解していないという事になる。なぜなら、コンピューターが、プログラムを走らせる事のみによって、人間が持たないものを持つようになる事は無いからだ。」

少々気難しい表現が書かれていますが、要するに、ここではAI(コンピューター)が知性を持てるかどうか、という疑問が呈されているのです。「完璧な中国語の手引き」に沿って、AIが指示の通りにテストの空欄を埋めていったら、そのテストは満点を取れるでしょう。しかし、テストが満点だからと言って、そのAIが知性を獲得していると表現するには、どうにも疑問があります。近年、医師試験に合格するAIや、読経を行うAIなど、非常にユニークな「高度知的活動」を行うAIが登場してはいますが、それらも知性を獲得しているというより、ただ手順に沿って答えを判断しているだけに過ぎません。(私たちだって、広義で言えば、物理法則に従っているだけの知性なき機械だと言う事も出来ますが…そうして考えても、キリが無いですね。)

「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」が登場して以来、AI世界には革新が訪れました。「AI自らが、学習の積み重ねによって、より高度な判断を行う」という状況が実現に至り、ある分野や領域に限った特化型AIにおいては、既に人間の知能を遥かに超える働きぶりを示している状況です。医療用画像処理、工業用検査(外観検査・欠品検査、異音判定等)、自動運転やカーナビ、ノイズキャンセルや音声分離、ロボティックス、介護、ビジネス、医療、IoT。私たちの生活のあらゆる側面でのAI応用が行われています。Amazon Echo、Google Homeなどのように、アシスタントAIの存在が日常に浸透し始めている昨今です。

今後、高度知的活動を行うAIへの需要、そしてそれに向けた開発が、一層の高まりを示す事でしょう。

[感情という複雑な輝き]

色々な考え方があると思いますが、弊社としては、AIの高度知的活動を無機質なものにしない為に必要な要素が、「感情的反応」という部分にあると考えています。そのような考えのもとで私たちが主力開発しているのが、音声感情解析機能を有した対話型AI、「HAL3(ハルさん)」です。HAL3は喜怒哀楽の感情を深層学習によって読み取り、空間・環境・対人関係に応じた適切な反応を返すシステムを組んでおります。ゆくゆくは、HAL3に「意識(感情反応による思考や意思選択)」を持たせたい。これが、私たちの未来へ向けた確たる展望なのです。

「科学における偉大な進歩は、新しい大胆不敵な想像力からもたらされる。」と、哲学者のデューイが述べています。さて、AIの「シンギュラリティー(技術特異点)」が、本当に2045年に到来するのか、どうか。弊社はその人類の挑戦の一翼を担う者として、今日も力強く前進を続けております。

[第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】]

「革新」が「日常」に広がる世界。私たちは今、まさにAI技術との付き合い方を考え、来に向けて力強く歩む段階にあります。此度、2020年10月28日(水)~30日(金)、「第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】」が幕張メッセにて開催されます。AIに関するあらゆるサービスが出展しており、最新のAIサービスを導入・比較検討することができる日本最大のAIの専門展となっております。私たちクリスタルメソッド株式会社も、その分野の一翼を担う活動者として、同イベントへの参画を行わせて頂いております。AIでの課題解決にご興味のある方は、ぜひとも積極的にご参加を下さいませ!
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■「第1回 AI・人工知能 EXPO【秋】」
公式サイト:https://www.ai-expo-at.jp/
会期:2020年10月28日(水)~30日(金)10:00~18:00 ※最終日のみ17:00終了
会場:幕張メッセ(事前登録によりオンラインでも来場、商談可能)
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
参加料金:事前登録にて無料
後援団体:
一般社団法人 人工知能学会
一般社団法人 日本ディープラーニング協会
同時開催:
第1回 ブロックチェーン EXPO【秋】
第1回 量子コンピューティング EXPO【秋】

■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段 4 丁目 1-14 TL ビル 5F
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20 名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話 AI「HAL」に向けた「意識」の導入
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