第8回「AIが診断支援と病気予測を行う日へ」

病院 対話AI 病気の予測 バーチャルヒューマン DeepAICopy

医療分野の中でも、特にAIの深層学習の効果が発揮されるのは画像解析の領域だと言われています。現在、病院は問診だけではなく、患者が訴える症状の根本原因を確定する為にMRICTによって体内の画像を撮影します。厚生労働省の統計ではこうした医療画像の検査数が10年間で約5割も上がったと言われています。

そして検査数だけではなく、同時に撮影できる写真の数も技術の進化と共に上がっています。10年前は1回の撮影につき16枚が限度だったのですが、高性能機は320枚までの撮影も可能です。それだけ精緻に生体情報を画像として視覚化出来る事は、もちろん私たちの健康にとって喜ばしい事ですが、その一方で病院側が医療画像を解析する労力が大きくなるという事も意味しています。AIが健康時と病状時の写真を大量に深層学習し、画像から異常検知を行うようにすれば、そうした医療画像解析の現場の負担が軽減する事になります。

一例として、東京大学発のベンチャー企業エルピクセル社は国立がんセンター等の医療機関の提携により、脳MRI・胸部X線・乳腺MRI・大腸内視鏡等の医療画像診断支援システムEIRL2017年から運用しています。このように「自動化されたAI画像解析をベースに専門医による複数回の確認を経て診断を行う」という方法を用いる事により、現場の負担を減らしつつ、かつ医療サービスの品質を向上させる取り組みが行われているのです。

このように、AIによる診断支援システムの優れた点は、適切な学習が行われさえすれば「優秀な医師の技量」がそのまま反映され、それでお24時間、いつでもどこでも使えるようになるという事でしょう。専門医を育てる為には病院の実務や研究を含めて非常に多くの時間が掛かり、そのような労力が原因で慢性的な人手不足や経営問題が生じ得ます。「優秀な医師の技量」を獲得したAIであれば、それらの問題を解決できる可能性があります。

 

AIと医療診断の成果としては既に様々な実例がありますが、特に有名なものは20168月に発表された白血病患者発見の話になるでしょう。IMBの人工知能と評される「Watson」を用いて、2000万件以上のがんに関する英文論文を学習させる事により、特殊な白血病患者を診断から10分程度で導き出す事が出来たのです。ここで、医師は治療法が分からなかったのですが、「患者の遺伝子データ」の入力により、病名と治療法の双方をAIから引き出す事が出来たのです。

AIによる診断支援は、更に未来への可能性を秘めています。医療画像だけではなく、ウェアラブル端末等によって収集された生体情報から「病気の予測」を行う事も考えられます。このような遺伝子、このような生活習慣、このような生体情報であれば、このような症状がいついつに起きる可能性がある。このような予測を導ける可能性があるのです。厚労省は遠隔診療について厳格な規定を設けていましたが、ここ数年、特にコロナ禍を受けて一転推進する動きが見受けられます。

AIによって病気の予測をし、AIによって診断支援を受けて、遠隔型で医師の診断を受けるという方法であれば、今後の少子高齢化時代、そしてwithコロナ時代においても医療体制は品質を維持する事が出来るでしょう。そして更に、人間との自然な対話を行える仕組みを組み込んだ「対話AI」を用いるのなら、病院に「バーチャルヒューマン」を設け、医師・看護師の代わりを務める事が出来るようになります。

弊社の開発した「DeepAICopy」はそうした対話AIの実例です。「DeepAICopy」は現実に存在している人間の容姿や声質、そして動作も組み込み、これを映像として自動生成する事が出来ます。人間のように対話が出来るAIとなりますので、病院でも極めて自然な応対が可能となり、高品質の医療サービスを支援する存在になり得るでしょう。このような対話AIと、先ほどのような診断支援・病気予測の能力を持つAIを組み合わせれば、医療分野を力強く底支えする事が出来るでしょう。

AIが診断支援と病気予測を行えるようになる日が、着実に近づいています。医療行為の最終地点においては、もちろん熟練の人間の目や技がこれから先も必要です。しかし、医療行為の入り口においては、AIが活躍する領域は非常に幅広いものです。これからも医療分野へのAI適用は活発な模索が続くと予見されます。