第11回「ドイツ製造業が実現したスマート工場とは?」

日本の製造業の未来に欠かす事のできないAIの諸相をお伝えするべく、「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」と題し、これより全20回に渡ってAI解説記事をお届けしております。今回、第11回は「ドイツ製造業が実現したスマート工場とは?」に関するお話です。

人工知能(Artificial Intelligence)、すなわち「AI」と呼ばれる技術の基本的な考えは、1947年、数学者アラン・チューリングによって提唱されました。それから半世紀以上の歳月を経て、私たちのデジタル世界は大きく変容し、近年はAI技術が驚異なスピードで進化を遂げ続けています。私ども「クリスタルメソッド株式会社」も、そうしたAI技術躍進の黎明期、2008年頃から活動を開始し、「DeepAICopy」「対話型AI HAL3(ハルさん)」「Winry」「多機能深層学習アプリケーション」「2D/3D検知システム」等、多様な実用製品をお届けしております。

究極的に言えば、私たち人類は「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を人の代わりに担ってくれるロボットやプログラムを求めています。AIは、まさにその「効率性」と「正確性」を同時に実現する革新的手段であり、今後の日本社会、特に製造業を牽引する存在になると、私どもは確信をしております。ドイツでは、既にそのような「スマート工場」を意欲的に現実の形として推進しています。

サイバー・フィジカル・システム

ヨーロッパ随一のモノづくり大国であるドイツでは、2013年4月、世界に先駆けてAIを適用したスマート工場の構築計画に乗り出しました。ここでは政府・企業・大学・研究所が合同となった一大プロジェクトチームが編成され、「第四の産業革命=インダストリー4.0」というスローガンの実現へ向けた開発が進められました。

「インダストリー4.0」プロジェクトにおいて、ドイツは「スマート工場」を「中小企業を含めた全ての工場に適用する」目標を掲げました。この「スマート工場」は「インターネットによって繋がり、自律的な判断・情報蓄積・フィードバックを可能とするシステムを導入した工場」という意味になります。これを実現する為に、ドイツは「AIによるサイバー・フィジカル・システム」が必要であると見なしました。

この「サイバー・フィジカル・システム」の意味するものは、フィジカル(現実空間)をAIによってサイバー(電子空間)でほとんど全て可視化出来るようにする、というものです。これによって正確性・効率性を格段に向上させた理想的な生産体制を生み出すというのが、ドイツ製造業における青写真となります。自動車製造業を中心に、ドイツはこの「インダストリー4.0」プロジェクトの成果を確実に挙げ続けています。

SDGs実現の貢献へ

ドイツが「インダストリー4.0」プロジェクトの副産物として捉えている要素が「SDGsの実現」です。サイバー・フィジカル・システムによって「在庫が財庫」となり、「材料・エネルギーの無駄が一切排除される」という状態に到れば、結果として地球に優しい新時代の製造業の在り方を体現出来るという訳です。

このような環境への貢献が出来る理由は、AIによる極限までの効率化によって、工場が「必要な人にだけ必要な量の製品を作る」という状況を生み出す事が出来るようになるからです。ドイツ構想の場合、工場は単体ではなく総体として繋がるものであるとしているので(工場同士でもデジタルネットワークで繋がっているので)、オーダーごとにほとんど在庫を抱える事なく製造を行いながら、従来のような部品・材料・エネルギーの浪費が回避されるという事になります。

このドイツの「スマート工場」事例のような画期的・未来的な発展を生み出す原動力が、ビッグデータ分析の精度向上、あらゆるプロセスの自動化、状況に対する予測能力の強化、産業機器の保守・管理・最適化等を行えるAIにあります。AIの持つ自律的・学習的な予測・分類・実行の特異な機能性は、製造業において新時代の革新を生み出す為に、今や必要不可欠な存在となっているのです。

輝かしい製造業の未来へ向けて

私たちの全ての願いを叶えてくれる汎用AI(強いAI)の登場はまだ先の話になりそうですが、「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」という人間の脳構造を模倣した「ニューラルネットワーク」の誕生により、着実に「AI自らが、学習の積み重ねによって、より高度な判断を行う」という技術が現実のものとなっています。医療分野を始め、自動運転・カーナビ・ノイズキャンセル・音声分離・ロボティックス・介護・ビジネスデータ・IoT・アシスタントAI(Amazon EchoやGoogle Home等)、生活のあらゆるシーンでの活用が広がっています。

その中でも製造業は、AIが強みとする「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を存分に活かせる分野であり、そこに日本の輝かしい未来へと繋がる原動力が隠されています。既に私どもが実用化に成功している工業用検査(外観検査・欠品検査、異音判定等)のAIを含め、今後、ますますの技術革新への邁進を続けてまいります。私どもの製品にご関心がございましたら、どうぞ何なりとお問合せを頂ければと存じます。

以上、こちらが製造業AI解説特別連載「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」、第11回「ドイツ製造業が実現したスマート工場とは?」に関するお話でした。続く第12回は「製造業のAIテクノロジーの発展フェーズとは?」について取り上げさせて頂きます。

第5回 AI・人工知能 EXPO【春】

--------------------------------------------------
■「第5回 AI・人工知能 EXPO【春】」
公式サイト:https://www.ai-expo-at.jp/
会期:2021年4月7日(水)~9日(金)10:00~18:00
会場:東京ビッグサイト青海展示棟(商談可能)
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
参加料金:事前登録にて無料
後援団体:
一般社団法人 人工知能学会
一般社団法人 日本ディープラーニング協会
同時開催:
第2回 ブロックチェーン EXPO【春】
第1回 量子コンピューティング EXPO【春】

■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段 4 丁目 1-14 TL ビル 5F
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20 名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話 AI「HAL」に向けた「意識」の導入
--------------------------------------------------