第12回「製造業のAIテクノロジーの発展フェーズとは?」

日本の製造業の未来に欠かす事のできないAIの諸相をお伝えするべく、「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」と題し、これより全20回に渡ってAI解説記事をお届けしております。今回、第12回は「製造業のAIテクノロジーの発展フェーズとは?」に関するお話です。

人工知能(Artificial Intelligence)、すなわち「AI」と呼ばれる技術の基本的な考えは、1947年、数学者アラン・チューリングによって提唱されました。それから半世紀以上の歳月を経て、私たちのデジタル世界は大きく変容し、近年はAI技術が驚異なスピードで進化を遂げ続けています。私ども「クリスタルメソッド株式会社」も、そうしたAI技術躍進の黎明期、2008年頃から活動を開始し、「DeepAICopy」「対話型AI HAL3(ハルさん)」「Winry」「多機能深層学習アプリケーション」「2D/3D検知システム」等、多様な実用製品をお届けしております。

究極的に言えば、私たち人類は「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を人の代わりに担ってくれるロボットやプログラムを求めています。AIは、まさにその「効率性」と「正確性」を同時に実現する革新的手段であり、今後の日本社会、特に製造業を牽引する存在になると、私どもは確信をしております。そのような牽引をどのようなステップ(フェーズ)にて行うかという点では、現在3つの概念が示されています。

AIの産業活用発展3フェーズ

人工知能技術戦略会議(2017年3月開催)が示した「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」によれば、日本の産業におけるAI活用の発展フェーズは「①各産業・各領域において、データ駆動によって展開されるAIが普及する」、「②①のそれぞれの領域から更にAI活用の枠組みが広がり、新産業が拡大していく」、「③扇状に広がった各領域・新産業が更に複合的にAIによって繋がり、循環型の成長を行える社会の確立に至る」というものだと言います。

前回の記事でご紹介したモノづくり大国・ドイツの「第四の産業革命=インダストリー4.0」という国家プロジェクトは、まさに①②③のそれぞれのフェーズを見越したものとなっています。ドイツでは製造業において「大企業・中小企業を問わず全ての工場が自律的な判断・情報蓄積・フィードバックを可能とするシステムを導入するスマート工場となる(フェーズ①②)」事を目指しており、更にその先には「工場同士も繋がるサイバー・フィジカル・システムの完成と一切の材料・エネルギー等の無駄のない社会の実現(フェーズ③)」を想定しています。

現在のAIが持つ「予測・分類・実行」の自律的かつ学習的な強みを最大限に活かす、そのようなドイツの「インダストリー4.0」プロジェクトは、自動車製造を中心として、世界に先駆けてその成功事例を示しつつあります。アメリカがこれに続き、近年では中国も大きくAIの発展フェーズを取り入れる動きが活発化しています。日本でもモノづくりが最も鮮烈に輝いた1980年代においてAI研究が国家プロジェクトとして進められました(第二次AIブーム)が、その後に世界からは「周回遅れ」を取るような地位に下がってしまいました。

製造業の発展フェーズ

より具体的な青写真として、日本の製造業は「AIの発展フェーズ①」において、IoTとAIを活用したスマート工場の確立と、AIによる新製品・新サービスの開発環境支援が必要であると考えられています。IoT(Internet of Things:あらゆるモノがインターネットによって繋がっている事象)はAIテクノロジーとの親和性が高く、モノ同士の情報収集・分析・共有、そして自律的な学習やフィードバックを促します。

製造業(工場)では、「Quality:品質・仕様」「Cost:コスト・原価」「Delivery:数量・納期」の管理(QCD管理)が基本となり、IoTとAIには「自動制御(異常検知・工程制御)」「製造管理(現状把握・遠隔計測)」「生産管理(管理最適化・受発注最適化)」「経営管理(経営判断の円滑化)」「開発設計(設計リードタイムの削減)」等のメリットを求めています。これらを実現し得た場合、発展フェーズ①は発展フェーズ②へ移行して、「それぞれの分野が繋がる事で更なるサービス・製品を生み出す」「モノづくり・コトづくり・物流システム等が完全に統合されて効率化を果たす」という状態へ至ります。

そのAIの発展フェーズ②が十分に成熟した時、発展フェーズ③へ移行します。全てのヒト・モノ・コトの情報が相関する社会が実現する事によって、「必要なモノ・コトだけを必要なヒトに届けられる(工場が社会に必要な量だけ製造出来るようになる=Society5.0)」というSDGs環境が実現します。この段階では従来の社会システムでは成し得なかった、より創造的な製品・サービスの在り方が登場すると言われ、しかもそれらが次々に生み出され活性化に至ります。SDGs社会の実現は人類存続というマクロな視点でも不可欠なものであり、それだけにIoTとAIの特異性に強烈な注目が集まっています。

輝かしい製造業の未来へ向けて

私たちの全ての願いを叶えてくれる汎用AI(強いAI)の登場はまだ先の話になりそうですが、「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」という人間の脳構造を模倣した「ニューラルネットワーク」の誕生により、着実に「AI自らが、学習の積み重ねによって、より高度な判断を行う」という技術が現実のものとなっています。医療分野を始め、自動運転・カーナビ・ノイズキャンセル・音声分離・ロボティックス・介護・ビジネスデータ・IoT・アシスタントAI(Amazon EchoやGoogle Home等)、生活のあらゆるシーンでの活用が広がっています。

その中でも製造業は、AIが強みとする「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を存分に活かせる分野であり、そこに日本の輝かしい未来へと繋がる原動力が隠されています。既に私どもが実用化に成功している工業用検査(外観検査・欠品検査、異音判定等)のAIを含め、今後、ますますの技術革新への邁進を続けてまいります。私どもの製品にご関心がございましたら、どうぞ何なりとお問合せを頂ければと存じます。

以上、こちらが製造業AI解説特別連載「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」、第12回「製造業のAIテクノロジーの発展フェーズとは?」に関するお話でした。続く第13回は「製造業が求める『不良原因』の分析AI活用とは?」について取り上げさせて頂きます。

第5回 AI・人工知能 EXPO【春】

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■「第5回 AI・人工知能 EXPO【春】」
公式サイト:https://www.ai-expo-at.jp/
会期:2021年4月7日(水)~9日(金)10:00~18:00
会場:東京ビッグサイト青海展示棟(商談可能)
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
参加料金:事前登録にて無料
後援団体:
一般社団法人 人工知能学会
一般社団法人 日本ディープラーニング協会
同時開催:
第2回 ブロックチェーン EXPO【春】
第1回 量子コンピューティング EXPO【春】

■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段 4 丁目 1-14 TL ビル 5F
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20 名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話 AI「HAL」に向けた「意識」の導入
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