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人工知能(AI)とは? できること、できないこと、未来の展望を解説!
人工知能(AI)とは、人間の知能によって行うタスクを実行するコンピュータプログラムを指します。
AIは、その開発に60年かかってきたと言われ、理解が得られない冬の時代もありましたが、現在では、ビジネスに大きな変革をもたらすものとして、注目を集めています。
ある調査では、調査対象企業の83%がAIは企業の戦略的に重要であるとし、また75%がAIは新規事業やベンチャーを実現する鍵であると回答しており、企業のイノベーション実現のために不可欠であると認識されています。
この記事では、AIとは何か、その歴史や基本技術など基礎知識、またAIに出来ることと出来ないこと、AIの活用事例と将来展望を解説していきたいと思います。
1.人工知能(AI)とは?
「人工知能」は英語ではArtificial Intelligenceと言いますが、1956年にアメリカの計算機科学研究者のジョン・マッカーシーが初めて使った言葉で、これを略してAIと呼んでいます。
AIは通常のコンピューターとの違い、音声や文字の認識、情報処理と判断プロセスなどを学習し、ある程度の自己判断が行えます。学習した情報とプログラムされた推論や予測のアルゴリズムによって、状況に応じた答えを導くことができ、人間が行うタスクを代わって行うことができるのです。
人工知能に明確な定義があるわけではなく、人工知能学会では「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と定義しています。
福知山公立大学の西田豊明氏は「知能を持つメカ、または心を持つメカ」と定義しており、SF
映画に登場するロボットのようにも聞こえます。
2.AIの歴史
近年のAIは目覚ましい成果を出しており「AIブーム」のようなところがありますが、AIの研究が始まった1950年代後半以降、ブームと冬の時代を繰り返しており、決してその道のりは平坦ではありませんでした。
その歴史を振り返ってみたいと思います。
2−1.第一次 AIブーム 1950年代後半〜1960年代
Artificial Intelligence(AI)という言葉が生まれたダートマス会議が開催された1956年頃から1960年代が第1次AIブームと言われます。
この期間に、ニューラル・ネットワークのもととなる「パーセプトロン」という概念が生まれたことで、コンピューターによる「推論」と「探索」が可能となったことが、ブームの背景にありました。
しかしながら、当時のAIでは、明確なルールがある場合の問題解決にしか対応できず、現実社会で起こっている複雑な課題への対応が困難であることもわかってきたことで、1970年代には冬の時代を迎えることになります。
2−2.第2次 AIブーム 1980年代〜1990年代
第2次AIブームの立役者になったのは、1980年代の「エキスパートシステム」の誕生です。
エキスパートシステムとは、自ら学習する能力はありませんが、「〇だったら×を実行する、それ以外の場合は△を実行する」というように、ルール群という形で専門知識をインプットすることで、様々な状況に応じた対処方法の選択や判断ができるシステムです。
医療診断などへの応用を意図して開発が行われましたが、必要となる情報を全て人間がインプットしなければならず、実用化のためには膨大な知識をインプットする必要があり、その手間暇やコストの負担、ハードウエアの容量の限界などから、第2次ブームも次第に下火となったいきました。
2-3.第3次 AIブーム 2000年代以降
第3次AIブームは、2000年代から始まり、今もなおその渦中にあります。
第2次ブームでも「機会学習」が始まっていましたが、この頃になると機械学習がより進化し、AI自身がビッグデータから知識を習得する技術が進展します。
さらに、2006年にはAI自身が知識を定義する要素(特徴量)を抽出して、自ら学習するディープラーニング(深層学習)が登場すると、ブームに拍車がかかりました。
さらに2022年代以降は、機械学習やディープラーニング技術を応用し自ら画像を作りだす「画像生成AI」技術や、文章の自動生成や要約ができ、チャット機能などを用いて人とのコミュニケーションを行える「ChatGPT」が登場したことで、AIの本格的な普及が始まりつつあります。
3.AIの基本技術とは?
AIは非常に多くの技術の集積によって成り立っていますが、特に重要な意味を持つ、エキスパートシステム、機械学習、ニューラル・ネットワーク、ディープラーニング(深層学習)の4つの技術についてご紹介します。
3-1.エキスパートシステム
エキスパートシステムは、医療や法律といった特定の専門分野について、あらかじめコンピューターに知識をインプットしておくことで、専門知識が無い人でもコンピューターの助けを借りて解決策を見つけられるようにしたシステムです。
従って、自分で学習する仕組みは兼ね備えておらず、人間の手によるインプットが必要です。
3-2.機械学習
機械学習は、コンピューターが自らデータを学習するシステムですが、データをインプットするだけではなく、そこからパターンやルールを発見し、これをもとに分析や予測を行うことができるシステムで、人間がプログラムした以上のことが実行できる点が、エキスパートシステムとは大きく異なり、現在のAI技術の中核を担う技術といえます。
3-3.ニューラルネットワーク
ニューラル・ネットワークは、脳の神経細胞(ニューロン)の構造と機能をコンピュータ上にモデル化したシステムです。ニューロンは、他のニューロンから一定以上の強さの電気信号を受け取った場合に興奮することで、次のニューロンへ電気信号を送ることで、回路路して機能しますが、ニューラル・ネットワークはこれをモデル化したAIです。
ニューラル・ネットワークは入力層、中間層、出力層の3つで構成され、「入力層」で情報を受け取り、「中間層」で計算処理し、「出力層」で結果を出力します。これにより、例えば人間が例題と模範解答をニューラル・ネットワークに教えると、それ以外の範囲でも判断を行うようになります。
3-4.ディープラーニング(深層学習)
ディープラーニングは、ニューラル・ネットワークを用いた機械学習のひとつの手法で、十分なデータがあればニューラル・ネットワーク自体がデータ群の特徴を自ら抽出することができます。
ニューラル・ネットワークには計算処理を行う中間層がありますが、これを多層化することでより複雑で高度な処理が可能となったシステムと考えればよいでしょう。
ディープラーニングが実用化されたことで、人工知能のもつ学習・認識能力は格段に向上しており、本格的なAIブームが今なお継続している所以と言ってよいでしょう。
4.AIにできること、できないこと
それでは、2022年現在、人工知能にはどのくらいのことができるのか、できないことは何なのか、見ていきたいと思います。
4-1.できること
まず、できることを考える場合、何が期待されていて、どこまでできているのか、という点が重要です。特にAIの役割として期待されており、現時点である程度実用化されているものとして、①データに基づく予測、②画像認識、③音声認識、④自然言語処理があげられます。
①データに基づく予測
人工知能によって、蓄積されたデータからある事情の発生確率や将来的な傾向値を予測することは、特にビジネスにおいて期待される能力点です。
発生確率は、機械などの故障や劣化の予測、特定の病気の発症率といったものが想定されますし、傾向値では需要予測や不動産価格などビジネスに直結するものが既に実用化されています。
②画像認識
画像認識は、監視カメラによる顔認識システム、製造ラインにおける不良品の検出システムなど既に実用化されていることはご存知でしょう。
これも、膨大なデータの蓄積から、顔や製品といった物体の特徴量を自動的に学習し差異を判断するもので、AI技術の活用と言えます。
③音声認識
音声認識もSiriやGoogleの音声入力はいうまでもなく、多くのアプリや製品に実装されている技術です。
その仕組みとしては、人間の音声情報を受け取ると、膨大なデータの蓄積から音声の特徴と一致する文字をパターンから選択し、音声データを文字データに変換するものです。
なお、音声認識は次項の自然言語処理の前処理段階ともいえます。
④自然言語処理
自然言語処理も、既に自動翻訳、カスタマーサービスの自動応答などに実用化されています。
これは、人間の話し言葉や書き言葉などの自然言語のデータを受け取ったとき、その意味を抽出して、その意味に基づいて必要な作業を行うものです。
人間が使う自然言語は、プログラミング言語とは異なり、前後の県警によって意味が変わるなどの曖昧さをもっていますので、この膨大な文章データ解析により曖昧さを正しい意味に判断することができなければ、行う作業も見当違いになってしまいます。
4-2.できないこと
現在のAI技術をもってしてもできないことはいろいろと考えられますが、よく言われるのは、人間の感情や感性といった部分に関すること、そして創造性に関することです。
感情や感性に関わる部分は、そもそもデータ化が難しい部分ですし、AIは過去のデータから回答を導くシステムですから、ゼロから何かを生み出すことは苦手です。
ここでは、できないことの事例として、①感情を読み取ること、②ゼロから何かを生み出すことと取り上げます。
①感情を読み取ること
人間が感情を読み取る仕組みは非常に複雑で、相手の表情やしぐさ、声のトーンや抑揚など、むしろ言葉の意味以外の部分から読み取ることが多いともいえます。
現時点ではAIには、こうした「ノンバーバル(非言語)・コミュニケーション」は困難ですが、表情やしぐさといったデータが蓄積されることで、将来的にはAIによる感情認識も可能となるかも知れません。
②ゼロから何かを生み出すこと
現代では、小説を書くAIも誕生していますから、創造的な作業ができないわけではありませんが、もともとAIの働きはあらかじめインプットされたデータに基づくものなので、永遠にAIが「ゼロから生み出す」ことは出来ないともいえます。
逆にAIがゼロから何かを生み出す日がきたら、それが人間の知能を超える日なのかもしれません。
5.AIの活用状況と課題
現代の社会において、AIの活用分野は非常に多岐にわたっており、私たちの生活の中にも既に大きく浸透しているといってよいでしょう。
しかし一方では、AIの活用分野が拡大するにつれて、さまざまな課題も生じているといえます。
最後に、AIの活用状況と課題について整理しておきたいと思います。
5-1.AIの活用状況
AIは社会の様々な分野で活用が進んでいますが、ここでは、①自動運転技術、②医療分野、③製造業の分野、④コールセンター、⑤日常的な製品について、見ていきたいと思います。
AIは社会の様々な分野で活用が進んでいますが、ここでは、①自動運転技術、②医療分野、③製造業の分野、④コールセンター、⑤日常的な製品について、見ていきたいと思います。
①自動運転技術
自動運転技術は、各社がしのぎを削っていますが、2022年時点で公道上の走行が認められているのは、国土交通省のガイドラインによる5段階のうち、システムの要求に応じてドライバーが適切に対応する必要があるレベル3までの自動運転です。
今後技術の進展によって、一定の条件下で完全自動運転が可能なレベル4、完全自動運転か可能なレベル5が可能となることが期待されます。
②医療分野
医療分野においては、画像認識を使った「画像診断」の分野でAIの活用が進んでおり、レントゲン写真などから異常な個所を検知することで、人間の診断による見落とし、誤審を防ぐ意味もありますが、医師の負担軽減や診断の迅速化にも資するといえます。
この他、自然言語処理を活用したAIによる問診、カルテ解読が進むことで、診断の効率化が期待できます。
③製造業の分野
製造業の分野では、従来からのオートメーションの分野でAIの活用が進んでいる他、画像認識や予測技術を用いた、不良品の検知、予測的メンテナンスへの活用が進んでいます。
また、生産量を決めるために、過去の売上実績と季節、天候、その他社会的動きとの関係に関するデータをもとに需要予測を行うといった部分でも活用が進んでいます。
④コールセンター
多くの問い合わせへの対応として、AIによる音声認識や自然言語処理による自動応答を導入することで、コールセンターの効率化は格段に進みます。
特に近年ではチャットポッドやChatGPTを使うことで、365日24時間、顧客の質問に対してチャット形式で瞬時に的確な回答を行うことができます。
⑤日常的な製品
私たちの生活の中で使われる日常的な製品として、スマートスピーカー、掃除ロボット、翻訳アプリ、画像認識アプリなど、AIを活用したものは多々あります。
スマートスピーカーは音声認識、自然言語処理により、人間の指示に従って作動し、様々な家電の操作まで行うことができます。
- AIは日常生活においても、欠かすことのできないものとなっていくことでしょう。
5-2.AIの課題
AIの課題としては、AIによる画像認識、音声認識などの情報収集によって、これらを悪用したケースも存在するということや、個人情報の取得についてどこまでが許容されるかといった問題があると言えます。
また、AIによる判断や行為について、責任の所在がどこにあるのか、といた課題も生じています。例えば自動運転ひとつとっても、自動運転によって事故が起こった場合、ドライバーの責任なのか、自動車のメーカーの責任なのか、問題となっています。
このような課題の解決だけは、AIに頼ることはできません。人間の英知をもって議論し、ひとつひとつ解決していかねければならないでしょう。
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