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アノテーションとは|その意味や利用される場面・種類についてご紹介
ビッグデータやAI・機械学習などが世間によく取り上げられている現代で、重要となるのが”アノテーション”と呼ばれる作業です。データはそのままでは利用しづらく、正確に取り扱うことができません。故に、アノテーションという作業によって、データをより扱いやすい形にし、機械学習の効率向上にも繋げることができます。
本記事では、実際にAIを開発する企業がアノテーションについて、
・アノテーションの意味
・利用される場面や種類
・アノテーションのツール
をわかりやすくご紹介していきます。
アノテーションとは
ここでは、アノテーションについてわかりやすく解説します。
注釈という意味を持つ
英語で注釈という意味を持つアノテーションは、データに対してタグ・メタデータと呼ばれる情報を付与していくことを指します。
データをAIに取り込んだ時、そのままの状態では”それはどんなデータなのか”という事をAIが理解することができません。そこで、教師あり学習を行う際の正解(教師データ)に、それがどんなものなのかと言う情報を付与したデータを利用することで、抽象的な概念を学習しやすくなる効果があります。
様々な分野におけるアノテーション
アノテーションはAIや機械学習だけでなく、IT関係やプログラミングなど様々な分野で利用されており、利用の仕方が少々異なります。
例えばプログラミングであれば、プログラムには直接影響しないものの、それが何に関するコードなのか、そして他の人と情報を共有するためのコメントといった用途があります。
また、YouTubeにもアノテーションに関わる機能があり、動画上に表示するリンクやコメントがアノテーションとして呼ばれていました。しかし、2019年に完全に機能が削除され利用できなくなりました。
他にもWEBサイトであれば、同一のコンテンツを複数のURLで公開している時に、検索エンジンにそれらが同一のものであると教えるためにも利用されています。
アノテーションが利用される場面
注釈という意味を持つアノテーションですが、実際にどの様な場面で利用されるのでしょうか。用途としては、大きく分けて「ビックデータの活用」「機械学習における教師データ」の二つがあります。
ビックデータの活用
マーケティングを始めとして、現代で様々な状況において利用されるビッグデータ。多様化した消費者のニーズを理解し、変化する市場や広告戦略を活用する点において、ビッグデータの存在は必要不可欠です。しかし、その膨大な情報量ゆえに、そのままだと適切なデータを探しにくいという欠点を持っています。
そこで、”このデータは何に関するデータなのか”という事を表すアノテーションを利用することで、素早く求める情報を見つけやすくなります。情報を効率よく整理し、情報の収集やデータの分析を行いやすくなります。
また、人の目であれば簡単に理解できるような情報でも、AIでは抽象的な概念を理解しにくいです。しかし、そんな時にも取得したデータにアノテーションが行われていれば、AIを活用した分析もよりスムーズになり、その結果市場の変化に対してタイムリーに分析結果を反映させることが可能になります。
機械学習における教師データ
DXを始めとして、様々な分野で期待されている機械学習ですが、精度の高い機械学習を進める点においても、アノテーションは重要な存在です。
まず、機械学習には”教師あり学習”・”教師なし学習”の二つがありますが、教師なし学習は答えとなるデータを必要としません。故に、基本的には教師あり学習を行う際に、アノテーションが必要となります。教師あり学習を行う時の流れとしては、以下の様に進行していきます。
1. データ収集
2. 意味づけ:アノテーション
3. 学習
4. 評価
5. 運用
欠陥品の発見や自動運転における信号の認識などは、人間にとっては判断が容易でも、抽象的な概念である故にAIには判断が難しいと言えます。そこで、アノテーションを行うことによって、機械学習としての精度を高めることができます。
アノテーションの種類
アノテーションによって意味付けが行われるデータには、「画像」「音声」「テキスト」を始めとしたいくつかの種類が存在します。続いては、その内容についてご紹介していきます。
画像
機械学習においてよく利用される画像処理ですが、そこで使用する画像にもアノテーションが行われます。その手法は大まかに3つ「物体検出」「領域抽出」「画像分類」があります。
・物体検出とは、その画像に映り込んでいるものが何かを検出し、その対象に対して意味付けを行います。そして、物体検出にはバウンディングボックスなどの方法があります。
・領域抽出とは、写っている被写体に対して、その位置や特徴の意味付けを行います。AIに対して、画像の中におけるどの部分を読み取って欲しいのかを、理解させる処理となります。
・画像分類とは、画像に映り込んでいる物体や領域ではなく、画像そのものにタグづけを行い、分類する手法になります。
音声
音声データに対するアノテーションには、音量や音程など音としての特徴に意味付けを行う場合と、人が話した音声データが持つ内容に対して意味づけを行う場合があります。音声認識や意図抽出の分野で活躍するこのデータは、一度音声をテキスト化してから、AIは意味を理解しようとします。
高度な音声認識システムを作り上げるには、年齢や性別・話し方の癖を始めとした様々なパターンを学習させる必要があります。しかし、高度な音声認識システムをコールセンターなどに導入することができれば、顧客の質問に対応しやすくなり顧客体験の向上につなげることができます。
テキスト
テキストデータに対するアノテーションには、特定の不適切なテキストを非表示にしたり、逆に欲しい情報を抽出してマーケティングに活用することができます。その為に、意味付けを行った特定の単語をSNS上から分類したり、音声をテキスト化したデータなどが利用されます。
アノテーションを行う際には、そのテキストがどのような感情を持つのか、テキストが命令・リクエストを始めとしたどの意図を持つのか、特定の固有名詞を指すのかを、判断できることがポイントになります。
アノテーションを利用できるサービスとは
機械学習の精度を高める為にも必要なアノテーションですが、それらのデータを全て自社で揃えるのは時間的にも作業的にも非常に難しいことだと言えます。よって、アノテーションに関するサービスを導入することで、その手間を削減することができます。
サービスの内容によって、画像に対するアノテーションを行うのか、それとも教師データの作成からAI開発まで全般的に取り扱うのか、そしてアノテーションをどの日数で行えるのかなど、様々な違いがあります。
まとめ
今回はアノテーションについてご紹介していきました。データに意味を持たせることで、必要な情報を抽出しやすくしたり、機械学習における教師データとして利用することができます。また、テキストデータにおいては、顧客の声を拾いやすくなるため、顧客体験の向上や新規事業の開拓にも繋がります。
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