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AIブログ
コラム:製造工程作業監査AIの世界
ハリー・ポッターは実現する?
本連載記事の第11回で触れた「シンギュラリティー(技術特異点:人工知能が人間の知能指数を超える状態)」で登場した、元Googleエンジニアのレイ・カーツワイル。
彼は2045年にはAIが人間の脳計算を超えるという、指数関数的な予測を提唱した人物です。
これまでもインターネットやウェアラブル端末の「予言」を的中させている電子世界の第一人者で、その発言には一定の根拠性があります。以下、彼の言葉をもう少し追ってみましょう。
「では、シンギュラリティーとは何なのか?それは、未来、テクノロジーの変化のペースがあまりに急速で、その影響があまりに大きいために、人間の生活が後戻りできない形で変化する時代のことである。その新時代はユートピアでもディストピアでもないが、ビジネスモデルから、死を含む人生のサイクルまで、意味のある人生を送るために我々が頼りにしている諸概念を一変させる…(中略)…J・K・ローリングの『ハリー・ポッター』をその観点から考えてみよう。
確かに空想物語かもしれないが、今から僅か数十年後には実現する我々の世界の、不合理とは言えない姿である。ポッターが使うどの「魔法」も、テクノロジーによって基本的には実現するだろう。クィディッチをやったり、人やものを違う形に変えたりするのは、没入型の仮想現実環境のなかで、あるいは実際の現実でもナノスケールのデバイスを使って、実現可能だろう。」
夢のような話ですが、確かに、AI開発に携わる弊社としても、「さもありなん」という意見です。
私たちも既に、その一部の開発に至っています。例えば、弊社が主力開発をしております「HAL3(ハルさん)」は、幅広くオフィスワークに対応する対話型AIです。ホグワーツ魔法学園の中には、「人間のように話す夫人像の額縁」が階段に飾られていましたが、そちらは既に私たちの製品でもある程度の再現が可能なのです。
ただし、もちろん私たちはAIに依存してはなりません。誰もが専門知識がなく、専門的に機械を扱えるようになると、いざシステムが機能しなくなった場合に人間が対応しきれなくなってしまうのです。
例えば、2009年のエールフランス447便の墜落事故は、速度計が故障してから僅か4分後の悲劇として起こりました。想定外の機器故障に対応しきれなかった、パイロットの技能不足が指摘されています。事故やミスが起きた時に、速やかに人間の手にコントロールを戻せる環境づくりが、今後の未来において必要不可欠であると言えます。
AIは全知全能のゼウスではなく、あくまで役立つ存在として、依存ではなく活用をする。そのスタンスが重要なのです。
製造工業用検査
そのようなスタンスのもと、今、製造業の世界が大きく変容しつつあります。
主にAIが革新をもたらしている作業が、製造工業用検査です。外観検査、欠品検査、異音判定等が、これに相当します。
「データの見える化・共用化」を行いながら、画像解析による検品、異音・振動データ解析による機器故障や不良品率の高まり予測、部品調達・製造数・倉庫在庫の管理など、広範囲に渡ってAIが担える得意分野が存在しています。
このような製造工業用検査AIが担当するのは、仕事そのものではなく、タスクです。
AIが製造業に浸透すると「仕事が奪われる」という警戒心を抱く意見があるのですが、短期的にはそちらの考えは適切ではなく、人にとっては「タスクが変化する」だけです。例えば、この世に洗濯機という機械が登場した際、私たちは洗濯という仕事そのものを失ったでしょうか。
そんな事はなく、今も私たちは「洗濯機を使って」、「洗濯という仕事」を行っています。以前のように「洗濯板で石鹸をつけてごしごしこする」というタスクは変容し、「洗剤を入れてボタンを押す」というタスクになったという話なのです。
より正確に、そしてよりスピーディーな判断を行えるAIが、人間を助けてくれる場面が数多くあります。もともと機械化が進んでいる製造業の現場では、まさにその需要潜在性が大きいのです。
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