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なぜ私たちは「古い心」で生きるのか?進化心理学で読み解く現代社会を生きづらい理由
あなたの心は「原始時代のOS」で動いている?
スマートフォンを買い替えるたびに、OSを最新バージョンにアップデートしますよね。
古いOSのままでは、最新のアプリが動かなかったり、セキュリティに問題が生じたりします。
では、私たち自身の「心」というOSはどうでしょうか?
実は、私たち人類の心は、最新のテクノロジーが溢れる現代社会にまったく対応できていない「原始時代のOS」のまま動いているのかもしれません。
私たちホモ・サピエンスが地球に登場してから、まだ約30万年。
この壮大な時間の流れの最後の100年ほどで、テクノロジーは指数関数的に進化しました。
この急激な変化に、私たちの心というOSはついていけていません。
この大きなギャップこそが、現代社会にさまざまな「生きづらさ」を生み出している原因ではないかという見方があります。
進化心理学が明かす「心の古さ」
進化心理学とは、人間の心の仕組みを「生存と繁殖」という観点から読み解く学問です。
この視点から見ると、私たちの心は今も昔も、飢餓や外敵といった過酷な環境を生き抜くために最適化された「狩猟採集脳」で動いていることがわかります。
例えば、以下のような私たちの心の傾向は、すべて原始時代を生き抜くための適応戦略だったと考えられています。
■不安や恐怖に敏感:一瞬の判断ミスが命取りになる原始時代では、些細な変化にも気づき、不安を感じることで危険を回避できました。
現代でも、このプログラムは健在で、私たちは常に漠然とした不安を抱えがちです。満員電車や閉鎖された空間で息苦しさを感じるのも、逃げ場がないという本能的な恐怖からくるものかもしれません。
■他人との比較や承認欲求:群れの中で自分の地位を把握し、協力関係を築くことは生存に不可欠でした。
SNSで「いいね」やフォロワー数を気にするのも、この本能の名残りかもしれません。他者からの評価が、そのまま自分の生存確率に直結していた時代の名残だと言えます。
■糖分や脂肪を好む:いつ飢餓に陥るかわからない時代、貴重なエネルギー源である糖分や脂肪を好むことは、生き残るための合理的な選択でした。
飽食の時代となった今も、この食欲のプログラムは変わらず、肥満や生活習慣病の原因となっています。
■新しいものを恐れる:未知のものは危険と隣り合わせでした。新しい食べ物、新しい場所、新しい人物。
これらを警戒する本能は、今も私たちの心に深く刻まれています。変化を嫌い、現状維持を求める心理は、この本能的な恐怖に根ざしているのかもしれません。
これらの例からわかるように、私たちの心は、現代の快適で安全な社会には最適化されていません。
むしろ、現代社会が抱える多くのストレスや問題は、私たちの古いOSと新しい環境との間に生まれた「ミスマッチ」に起因している、と進化心理学は示唆しています。
テクノロジーがもたらす「新たな自然選択」
私たちは、心と環境のギャップに直面したとき、本能的に2つの方法で適応しようとします。
1.行動変容:環境に合わせて習慣や行動を変える。
2.文化装置の創造:法律や教育、宗教といった「社会の仕組み」を作って変化に対応する。
しかし、現代社会のテクノロジーの進化はあまりにも急激で、これらの適応戦略では追いつかないほどです。
このギャップは、もはや「新たな淘汰圧」になっているのかもしれません。
この新たな淘汰圧に対し、私たちは2つの選択肢に分かれます。
一つは、テクノロジーを使いこなし、ストレスとうまく付き合うことで、現代社会に適応していく人々。
もう一つは、時代の変化に追いつけず、メンタルや身体の不調をきたしてしまう人々です。
もちろん、現代社会には生活保護や医療保障、就労支援など、後者の人々を助けるためのセーフティネットがいくつも存在します。
しかし、直接的な生存競争にさらされることはないにしても、社会的な格差や孤立といった形で、間接的にその影響を受けてしまう可能性は否定できません。
つまり、私たちは今まさに「新しい進化のふるい」にかけられている真っ最中なのではないでしょうか?
テクノロジーは、私たちに無限の可能性を与える一方で、適応できない人々を置き去りにするリスクもはらんでいるのです。
私たちが目指す、新しい社会のカタチ
テクノロジーは、私たちの生活を豊かにし、多くの問題を解決してきました。
しかし、もしかしたらテクノロジーは、人類を救うどころか、私たち自身の心と体のミスマッチをさらに拡大させ、新たな「自然選択」の舞台を作り出しているのかもしれません。
私たちは、この「古いOS」を抱えたまま、この激しい変化の時代をどう生き抜いていくべきなのでしょうか。
クリスタルメソッドでは、テクノロジーを淘汰の道具ではなく、誰も取り残さないための「文化装置」として活用すべきだと考えています。
現代社会のスピード感や競争に疲弊し、孤立を感じている方々が、社会との繋がりを保ち、自分らしい生き方を見つけるための道具として、
テクノロジーが単なる効率化の道具ではなく、人々の人生をより豊かにするための、やさしい存在となる未来になるように、
弊社のDeepAIは、まさにそうした人々をサポートするために開発されました。
テクノロジーの先には、人の心があります。
わたしたちはAIがすべてを解決できるとは考えていません。
AIが人や社会を豊かにするわけではなく、AIを通じて人と人のコミュニケーションを生み出し、人の温かさや感情が真の豊かさをもたらすこと、
その本質を伝えたくて研究を続けています。
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