blog

Google Colaboratoryとは|初心者がPythonを始めるための環境

Google Colaboratory(通称:Colab)は、Googleが提供するクラウドベースのPython実行環境です。ソフトのインストールも環境構築も不要で、Googleアカウントさえあれば今すぐPythonコードを書いて実行できます。機械学習・データサイエンス・ディープラーニングを学びたい初心者から、研究・業務で活用するプロフェッショナルまで、幅広い層に利用されています。本記事では、Google Colaboratoryの特徴・無料版と有料版の違い・始め方・基本的な使い方まで、網羅的に解説します。

Google Colaboratoryとは

Google Colaboratory(グーグル・コラボラトリー)は、Googleが機械学習の教育・研究を目的として提供するクラウド型のPython実行環境です。Googleドキュメントやスプレッドシートと同じく、Googleドライブ上で動作するサービスの一つであり、ブラウザから直接アクセスして使えます。

コードとテキストを同一ファイル内に混在させられる「ノートブック形式」を採用しており、Jupyter Notebookと互換性があります。データ分析の過程をドキュメントのように記録しながら進められるため、学習記録・研究報告・チーム内共有など、さまざまな用途に適しています。

Pythonとは

1991年に開発されたプログラミング言語Pythonは、コードの記述がシンプルで読みやすく、初学者でも比較的とっつきやすい言語です。現在、機械学習・データサイエンス・自然言語処理・画像認識など幅広い分野で標準的に使われており、TensorFlow・PyTorch・scikit-learnといった強力なライブラリが揃っています。これから機械学習を始めるうえで、最も選ばれやすい言語といえます。

環境構築が不要

Pythonを自分のコンピュータで動かそうとすると、Anacondaのインストール・仮想環境の構築・Jupyter Notebookの設定など、複数の手順を踏む必要があります。バージョン管理やライブラリの依存関係でつまずく初心者も少なくありません。

Google Colaboratoryでは、これらの作業が最初から不要です。ブラウザでアクセスするだけで、NumPy・pandas・Matplotlib・TensorFlow・scikit-learnなどの主要ライブラリが事前にインストールされた状態で使えます。Python公式サイトでも「練習目的ならGoogle Colaboratoryの利用を検討してください」と案内されているほど、入門環境として高く評価されています。

Googleアカウントがあれば1分で始められる

Googleアカウントを持っていれば、追加のセットアップなしに即座に利用開始できます。作成したノートブックはGoogleドライブに自動保存されるため、PC・スマートフォン・タブレットなど異なるデバイスからアクセスしてコードの続きを実行することも可能です。また、共有リンクを発行して他のユーザーとノートブックを共同編集できるのも、Googleドライブならではの利点です。

さらに、画像処理を高速化するGPU(Graphics Processing Unit)や、Googleが自社開発したディープラーニング専用プロセッサのTPU(Tensor Processing Unit)を無料で利用できる点も大きな特徴です。高価なハードウェアを購入しなくても、クラウド上で本格的なディープラーニングモデルの学習が行えます。

無料版と有料版(Colab Pro・Pro+)の違い

Google Colaboratoryには無料版と有料版があります。2021年3月から日本でも有料プランが提供開始され、現在は用途や予算に応じて選べる複数のプランが存在します。

プラン 料金(目安) 主な特徴
無料版 0円 GPU・TPU利用可、セッション上限あり(最大12時間程度)、接続が切れる場合あり
Colab Pro 約1,179円/月 高性能GPU優先割り当て、セッション最大24時間、バックグラウンド実行、RAM拡張
Colab Pro+ 約5,767円/月 さらに高速なGPU、長時間バックグラウンド実行、V100相当のGPUへのアクセス強化

※料金はGoogle公式の最新情報をご確認ください。為替・価格変更により変動します。

無料版でも機械学習の学習や小規模な実験には十分対応できます。長時間の学習処理や大規模モデルの訓練を継続的に行う場合は、有料版へのアップグレードを検討するとよいでしょう。

クラウド上でコードとデータが流れるColabのノートブックイメージ
クラウド上でコードとデータが流れるColabのノートブックイメージ

Google Colaboratoryの始め方

Google Colaboratoryを始める方法は大きく2通りあります。どちらもGoogleアカウントへのログインが前提です。用途や習慣に合わせて使いやすい方法を選んでください。

方法1:公式サイトから始める

最も手軽な始め方は、Google Colaboratoryの公式サイト(colab.research.google.com)に直接アクセスする方法です。

① 公式サイトにアクセス

②「ファイル」をクリック

③「ノートブックを新規作成」

④ ファイル名を変更

⑤ Googleドライブに保存完了

アクセスすると「Colabへようこそ」というウェルカムノートブックが表示されます。左上の「ファイル」メニューから「ノートブックを新規作成」を選ぶと、コードを入力できる空白のノートブックが開きます。ファイル名はノートブック上部の名前部分をクリックすることで自由に変更でき、作成したファイルはGoogleドライブのマイドライブに自動保存されます。

方法2:Googleドライブから始める

Googleドライブを普段から使っている方には、ドライブからノートブックを作成する方法が便利です。

① ドライブで「新規」→「その他」

②「アプリを追加」を選択

③「Colaboratory」を検索・インストール

④「新規→その他→Colaboratory」で作成

初回はアプリの追加が必要ですが、一度追加してしまえば次回以降はGoogleドライブの「新規→その他→Google Colaboratory」と選ぶだけで即座に新しいノートブックを作成できます。既存の.ipynbファイルをドライブにアップロードして開くことも可能です。

Google Colaboratoryの使い方

Google Colaboratoryのノートブックは、「セル」と呼ばれる入力単位で構成されています。セルには「コードセル」と「テキストセル」の2種類があり、それぞれ役割が異なります。

コードセル:Pythonを実行する

Pythonのコードを入力・実行するのがコードセルです。ノートブック左上の「+コード」ボタンをクリックすると新しいコードセルが追加されます。

コードセルにコードを入力したら、以下のいずれかの方法で実行します。

  • Shift+Enter:実行して次のセルに移動
  • Ctrl+Enter(Windows)/Cmd+Enter(Mac):実行してそのセルに留まる
  • セル左側の▶ 実行ボタンをクリック

実行結果はセルの直下に表示されます。グラフや画像もインラインで表示されるため、コードと結果を一覧しながら作業を進めることができます。不要なセルを削除するには、セルを選択すると右端に表示されるゴミ箱アイコンをクリックするか、メニューの「編集→セルを削除」を使います。

初めてコードを実行する際は、Googleのサーバー上に仮想マシン(ランタイム)が割り当てられます。接続が確立するまで数秒かかることがありますが、以降は同じランタイム上でコードが実行されます。

テキストセル:メモ・説明を記述する

テキストセルは、コードに対する説明・分析の考察・見出しなどを記述するためのセルです。「+テキスト」ボタンをクリックすることで追加できます。テキストセルはMarkdown記法に対応しており、以下のような書式が使えます。

書式 記法 表示例
大見出し # テキスト 大きな見出し
中見出し ## テキスト 中程度の見出し
小見出し ### テキスト 小見出し
太字 **テキスト** テキスト
箇条書き - 項目(半角ハイフン+スペース) ・項目
番号付きリスト 1. 項目 1. 項目

テキストセルの上部ツールバーにある書式設定ボタンを使えば、Markdownの記法を知らなくても太字・箇条書き・リンク挿入などが行えます。コードの前後に目的・結果・考察を記述しておくと、後から見返したときや他者と共有する際に非常に分かりやすいノートブックになります。

目次(セクション)を作成する

ノートブックが長くなると、目的のセクションを探すのが大変になります。Google Colaboratoryでは、テキストセルに見出し(#・##・###)を設定することで、左側のサイドバーに自動で目次が生成されます。

目次を表示するには、ノートブック左端のメニューアイコン(目次アイコン)をクリックします。表示された目次から各セクションに直接ジャンプできるため、長い分析ノートの管理が大幅に楽になります。また「新しいセクションを追加」ボタンから、見出しとコードセルがセットになったセクションを一括で追加することもできます。

ライブラリの追加インストール

ColabにはNumPy・pandas・Matplotlibなどの主要ライブラリが標準搭載されていますが、標準では含まれていないライブラリもコードセルからインストール可能です。

!pip install ライブラリ名

例えば!pip install japanize-matplotlibと入力して実行すると、Matplotlibで日本語フォントを使えるようにするライブラリがインストールされます。ただし、Colabのランタイムはセッションを切ると初期化されるため、接続しなおした際は再度インストールが必要です。

GPUを有効化して使う

ディープラーニングの学習を高速化したい場合は、GPUを明示的に有効化する必要があります。手順は以下のとおりです。

① メニュー「ランタイム」をクリック

②「ランタイムのタイプを変更」

③ ハードウェアアクセラレータで「GPU」を選択

④「保存」でGPU有効化完了

同様の手順でTPUも選択できます。無料版ではGPUの使用時間に制限がある場合があります。長時間の学習を中断なく行いたい場合は、有料プランの利用を検討してください。

Googleドライブとの連携

大きなデータセットをColabで扱う場合、Googleドライブをマウント(接続)してファイルを読み込む方法が便利です。以下のコードをコードセルで実行することでドライブをマウントできます。

from google.colab import drive
drive.mount('/content/drive')

実行後に認証を完了させると、Googleドライブ内のファイルを/content/drive/MyDrive/というパスで参照できるようになります。CSVファイル・画像データセット・学習済みモデルの保存と読み込みなどに活用できます。

ノートブック形式で分析過程とグラフが並ぶColab活用イメージ
ノートブック形式で分析過程とグラフが並ぶColab活用イメージ

まとめ

Google Colaboratoryは、環境構築不要・無料でGPU/TPUが使える・Googleドライブと連携できるという三拍子揃ったPython実行環境です。初心者がPythonや機械学習を始める入口として最適なだけでなく、データサイエンティストや研究者が本格的な分析・モデル訓練を行うプラットフォームとしても十分な機能を備えています。

本記事で紹介した内容をまとめると、以下のとおりです。

  • Google Colaboratoryとは:Googleが提供するクラウド型Python実行環境。環境構築不要でブラウザから即使える
  • 無料版・有料版:無料でもGPU/TPUが使える。長時間・高性能な処理にはColab Pro・Pro+が有効
  • 始め方:公式サイトまたはGoogleドライブの2通りでノートブックを作成できる
  • 使い方:コードセルでPythonを実行、テキストセルでMarkdownメモを記述、目次・ライブラリ追加・GPU有効化・ドライブ連携も可能

AIやデータサイエンスの需要が高まり続けるなか、Google Colaboratoryはその学習コストを大幅に下げてくれる強力なツールです。まずはGoogleアカウントでログインし、「print(“Hello, Colab!”)」の一行から試してみてください。

監修

河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
運営会社について編集方針

AIブログ購読

 
クリスタルメソッドがお届けする
AIブログの更新通知を受け取る

Study about AI

AIについて学ぶ

  • AIエージェント デジタルID ガバナンス 責任追跡——エストニア構想が日本企業に突きつける問い

    AIエージェント デジタルID ガバナンス 責任追跡——エストニア構想が日本企業に突きつける問い

    エストニアが示した「AIエージェント デジタルID」の核心——なぜ今、責任追跡が問われるか 2026年6月17日前後、エストニアのKristen Michal首...

  • Amazon OpenAI提携が日本企業への影響——AI調達の力学はどう変わるか

    Amazon OpenAI提携が日本企業への影響——AI調達の力学はどう変わるか

    映画流産が可視化した提携の本質——Amazon OpenAI提携と日本企業への影響の出発点 2026年6月、Amazon MGM Studiosがルカ・グァダニ...

  • 感情認識API ビジネス活用の判断軸——KLIPYのGoogle AI支援参加が示す転換点

    感情認識API ビジネス活用の判断軸——KLIPYのGoogle AI支援参加が示す転換点

    KLIPYのGoogle AI Futures Fund参加が示す「感情認識API ビジネス活用」の転換点 2026年6月17日、GIF・ミーム・短尺クリップ向...

View more