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第11回「ドイツ製造業が実現したスマート工場とは?」

サイバー・フィジカル・システム

ヨーロッパ随一のモノづくり大国であるドイツでは、2013年4月、世界に先駆けてAIを適用したスマート工場の構築計画に乗り出しました。ここでは政府・企業・大学・研究所が合同となった一大プロジェクトチームが編成され、「第四の産業革命=インダストリー4.0」というスローガンの実現へ向けた開発が進められました。

「インダストリー4.0」プロジェクトにおいて、ドイツは「スマート工場」を「中小企業を含めた全ての工場に適用する」目標を掲げました。この「スマート工場」は「インターネットによって繋がり、自律的な判断・情報蓄積・フィードバックを可能とするシステムを導入した工場」という意味になります。これを実現する為に、ドイツは「AIによるサイバー・フィジカル・システム」が必要であると見なしました。

この「サイバー・フィジカル・システム」の意味するものは、フィジカル(現実空間)をAIによってサイバー(電子空間)でほとんど全て可視化出来るようにする、というものです。これによって正確性・効率性を格段に向上させた理想的な生産体制を生み出すというのが、ドイツ製造業における青写真となります。自動車製造業を中心に、ドイツはこの「インダストリー4.0」プロジェクトの成果を確実に挙げ続けています。

SDGs実現の貢献へ

ドイツが「インダストリー4.0」プロジェクトの副産物として捉えている要素が「SDGsの実現」です。サイバー・フィジカル・システムによって「在庫が財庫」となり、「材料・エネルギーの無駄が一切排除される」という状態に到れば、結果として地球に優しい新時代の製造業の在り方を体現出来るという訳です。

このような環境への貢献が出来る理由は、AIによる極限までの効率化によって、工場が「必要な人にだけ必要な量の製品を作る」という状況を生み出す事が出来るようになるからです。ドイツ構想の場合、工場は単体ではなく総体として繋がるものであるとしているので(工場同士でもデジタルネットワークで繋がっているので)、オーダーごとにほとんど在庫を抱える事なく製造を行いながら、従来のような部品・材料・エネルギーの浪費が回避されるという事になります。

このドイツの「スマート工場」事例のような画期的・未来的な発展を生み出す原動力が、ビッグデータ分析の精度向上、あらゆるプロセスの自動化、状況に対する予測能力の強化、産業機器の保守・管理・最適化等を行えるAIにあります。AIの持つ自律的・学習的な予測・分類・実行の特異な機能性は、製造業において新時代の革新を生み出す為に、今や必要不可欠な存在となっているのです。

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