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OpenCVとは|Intelが開発したオープンソースライブラリ
Pythonを始めとして、様々なプログラミングにおいてよくライブラリが使用されますが、今回ご紹介するOpenCVもその内の一つ。正式名称は「Open Source Computer Vision Library」といい、画像処理などの機能を持った無料で使えるライブラリです。
しかし、初心者の方は「OpenCVでどんなことができるのか」などの疑問をお持ちでしょう。そこで今回は、OpenCVについて解説しながら、メリットやできる事をご紹介していきます。
OpenCVとは
まず初めにOpenCVとは、2021年12月にバージョン4.5.5となった、Intelが開発したライブラリです。画像を認識したりトリミング・リサイズ・減色処理を行ったり、動画の中から物体を検出することができます。そしてプログラム言語としては、C++・Javaなど幅広く利用することができますが、主にPythonで使われることが多いです。
また、対応しているOSについても、Windows、Linux、MacOSはもちろんのこと、iOS、Androidやなど、幅広い端末に対応しています。
ライブラリとは
プログラミングする時に、よく登場するのがライブラリ。これは、よく利用する機能を事前にプログラムして、様々な場面で使えるようにした、いわばプログラミングにおける部品のようなものです。
一からプログラムを組んで同じ機能を再現することもできますが、時間も手間もかかってしまいます。なので、効率的に作業を進めるために導入するものになります。
画像処理とは
スマホのカメラにおける顔認証や、自動車の追突防止機能を始めとして、日常的に取り入れられている画像処理は、類似するパターンやデータと比較したり、画像の加工・データの抽出など、幅広いことが行われています。
画像処理はディープラーニングによって精度を高め、特にパターン認識という技術により以前まで人間が行っていた作業を、ロボットやAIで行えるようになった事から注目されています。
OpenCVのメリット
無料で利用できる、画像処理・機械学習の機能を持ったOpenCVですが、使う事でどのようなメリットを持っているのでしょうか。続いては、そのポイントについて紹介していきます。
初心者でも使うのが簡単
まず一つ目が、初心者でも使うのが非常に簡単な点。自分で一から機能をプログラムする事なく、ライブラリを導入する事で機能を追加することができますが、しかし肝心のライブラリの使い方が難しかったら本末転倒でしょう。
しかし、OpenCVはインストールすること自体が簡単であり、更に使い方に関してもメソッドさえ覚えれば、初心者でも使いこなすことができます。
準備作業を行うことができる
画像の解析を行う際には、そのまま写真のデータを使うことはできず、学習しやすいように何かしらの加工が、事前に必要になります。例えば、画像処理する際にカラーの情報はほぼ必要ないのでグレースケール化したり、輪郭をはっきりさせるために閾値処理するなど。そこでOpenCVを活用すれば、ノイズの除去や欠損のある画像の削除を始めとして、画像加工を簡略化することができます。
ARやVRの開発にも利用できる
最近では無人コンビニなど、DXを導入するにあたってよく利用されるARやVRですが、OpenCVを利用することでAR・VRのコンテンツを開発することもできます。これらのコンテンツを作成する時、多くの場合ではUnityがよく使われますが、そんな時にはOpenCV for Unityというプラグインを購入することで、OpenCVが使えます。
複数のライブラリと組み合わせる事ができる
OpenCVは画像処理に関する機能を持ったライブラリですが、他にもライブラリは無数に存在します。そこで、他のライブラリと組み合わせることで、より高度な処理が可能になったり、できることの幅が広がっていきます。
OpenCVで出来る事
ここまでOpenCVとは何か、そして使用するメリットについてご紹介していきました。画像処理に関する機能を持ったOpenCVですが、グレースケール化を始めとして様々な事ができます。なので続いては、できることの一例についてご紹介していきます。
画像の表示
カメラ等から取り込んだ画像を、imreadというメソッドを活用して表示する事ができます。そして、表示する画像はカラー・モノクロを選ぶこともでき、表示した画像はそのままimwriteメソッドで他のファイルへと保存することもできます。
画像の編集
画像のリサイズや切り取りにおける画像データの統一から、上下左右反転・回転などを行うことで機械学習に必要なデータのカサ増し、グレースケール化・減色処理を始めとした機械学習における計算量を減らすための準備作業などが行う事ができます。
機械学習においては、数万枚の写真を必要とすることも多く、そのような膨大な画像を持っていないケースも当然あります。そんな時に活用されるのが、既に持っているデータ量を増やして学習させるデータオーグメンテーション(同一の画像を引き伸ばしたりすることでデータ量をカサ増しする技術)であり、そのような処理においてもOpenCVは活用されます。
ノイズ除去
画像処理に使用する写真は、何も綺麗なものばかりではありません。中にはノイズが含まれた画像もあり、ノイズは画像処理の妨げとなってしまいます。そこで、OpenCVではblurメソッドやGaussianBlurメソッドを使用することで、ノイズを除去する事ができます。そうすることで、画像から目的の情報を取得するのに邪魔な情報を取り除き、機械学習に最適な形にする事ができます。
物体検出
コンピューターにとってピクセルの集まりでしかない画像から、物体を検出する際に、OpenCVでは特定の物体をバウンディングボックスと呼ばれる四角い領域で処理することで、物体を検出する事ができます。この物体検出が行えるのがOpenCVの特徴であるともいえ、ディープラーニングで学習することで、より精度の高い分析が可能になります。
類似画像の検出
画像の類似する部分を別の画像から見つけ出す処理のことをテンプレートマッチングといい、OpenCVではmatchTemplateメソッドを使うことで可能になります。見本となる画像とターゲットとなる画像を少しずつずらす事で、どの部分が類似するかを認識する事ができます。
ただ、テンプレートマッチングだけでは、傾斜がついた類似する画像を検出する事ができないので、精度の高い検出には他のメソッドも組み合わせる必要があります。
まとめ
今回は、Intelが開発したOpenCVの特徴やメリット・できる事について紹介していきました。
誰でも無料に使えるライブラリであり、かつメソッドを理解すれば導入も使い方も簡単なので、初心者にとっても比較的使いやすいライブラリであると言えます。また、画像処理や機械学習の機能を持っており、様々なOS・プログラム言語にも対応しているため、AR・VRに関するコンテンツの開発にも、非常に使いやすいと言えます。
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