AIと異音判定の関係について説明します!

 皆さん、「AI」や「ディープラーニング」という単語を耳にすることが最近増えてきたのではないかと思います。しかし、その仕組みについて知りたいと感じても、「私には難しそう...」と敬遠してしまっている方も多いのではないでしょうか。
 本記事では、音のAIを用いた異音の判定について例を交えてに解説していきたいと思います。

AIで異音検知を行った例


 従来、製造業における場内での異音検知や、建築業における建造物に対しての異常打音検知は、長年作業に従事した熟練者でないと困難でした。しかし、熟練工が幾度となく積み上げた経験と同様に、深層学習を用いたAIもビックデータを学習しながら自立調整を行うことで、その状況に特化した「正確でスピーディーな判断」ができるようになりました。また、音のAIでは装置の音から監視対象の状態や、生産状況を適切に把握することができるため、ただ異常を検知するだけではなく、メンテナンスや故障の時期を予測することが可能となります。

 このようにAIを音の分野にも応用することでより効率的に多くの場所で、熟練工並みの高精度で異音の検知が行えるようになりました。また、同時にリスクを最小限におさえつつ、合理的かつ効率的な保守・メンテナンスを行うことができるという効果も期待されています。
 ここで、弊社で開発した異音検知AIの例についてご紹介します。弊社の音のAIは以下のような音を判別することが出来ます。

[上] 人の声と思われるもの   [下] 人の声ではないと思われるもの


[上] 正常なモーター音   [下] 異常と思われるモーター音


異音検知を行うAIの背景

 AIを構成する重要な要素として、ニューラルネットワーク(Neural Network, NN)と呼ばれるものがあります。この「ニューラルネットワーク」は人間の脳における情報交流の流れを模倣したもので、AIはこのニューラルネットワークで入力を「色」や「形」、「模様」など注目すべき特徴量と呼ばれる情報に分解し、入力情報と判定モデルの情報を対応づけます。例として入力画像が「リンゴ」であるか判定するAIがあったとき、そのAIは映っている対象を「赤(色)」、「球状(形)」といった複数の情報に分割して、作成した「リンゴ」モデルの情報と結びつけて比較を行うことで判別を行います。

 そして、現在ではこのニューラルネットワークの考え方から発展した畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)と呼ばれるものが広く使われています。当初、CNNは画像認識の分野で大きな成果を収めたネットワークだったのですが、その性能の高さから最近では音の判定など様々な分野へ応用されています。異音検知AIはこのCNNを用いて学習をしております。

 では、入力音声から異音を検知するAI、つまり、「異音」と「正常音」を判別するAIを作るにはどうすればよいでしょうか。
 先ほど述べた通りAIが判別を行うには、入力情報と作成したAIモデルの情報と対応付ける必要があるので、「異音」と「正常音」を対応付けるための大量の「異音」と「正常音」のデータ、学習が必要となります。

 ここで、重要なのが学習に使用する音データが必ずしも高音質でクリアなものではないことです。この異音検知AIを、監視対象以外の音が多く発生しやすい環境で使用したいと考えてみてください。例えば、人の話し声が入りやすい環境や、監視対象以外に様々な機械がある工場、監視対象と似た機械が複数並んでいる環境などです。もし仮に、クリアで高音質な「異音」だけで学習させてしまった場合、たとえ正常な動作をしていたとしても誤って異常と検知されてしまう可能性があります。館内放送や話し声、隣の機械の音など、正常であるにも関わらず環境音で監視対象に異常が発生したと検知されてしまうと困りますよね。
 このように環境の影響にできるだけ左右されないようなAIを作るために、あえてノイズの混じった音を学習させる必要があります。混ぜるノイズの例としては、人の声やプラスチック音、金属音などがあります。

 これらの大量の「異音」データと「正常音」データをCNNを用いて対応関係を学習させることで、環境音にできるだけ左右されないような、対象だけを厳密に監視する異音検知AIを作成することができます。

弊社での取り組み

 本記事では、AIを用いた異音判定について説明させていただきました。音のAIではその監視対象物の状態を把握することで、異音検知だけでなく、メンテナンス・故障時期などもリスクを抑えながら効率的に予測することができます。弊社ではこの技術を応用して人の声の判別やプラスチック音の判別、正常なモーター音の判別などの様々な異音検出を行っております。
 また、弊社では、本記事で紹介した「異音検知」以外にも、音のAIを用いた「音の生成」など様々な技術へ応用しています。以下に弊社による音のAIの活用事例についてまとめておりますので、興味がございましたら是非ご覧ください。
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