第15回「製造業のビッグデータにおけるAI活用の課題とは?」

日本の製造業の未来に欠かす事のできないAIの諸相をお伝えするべく、「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」と題し、これより全20回に渡ってAI解説記事をお届けしております。今回、第15回は「製造業のビッグデータにおけるAI活用の課題とは?」に関するお話です。

人工知能(Artificial Intelligence)、すなわち「AI」と呼ばれる技術の基本的な考えは、1947年、数学者アラン・チューリングによって提唱されました。それから半世紀以上の歳月を経て、私たちのデジタル世界は大きく変容し、近年はAI技術が驚異なスピードで進化を遂げ続けています。私ども「クリスタルメソッド株式会社」も、そうしたAI技術躍進の黎明期、2008年頃から活動を開始し、「DeepAICopy」「対話型AI HAL3(ハルさん)」「Winry」「多機能深層学習アプリケーション」「2D/3D検知システム」等、多様な実用製品をお届けしております。

究極的に言えば、私たち人類は「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を人の代わりに担ってくれるロボットやプログラムを求めています。AIは、まさにその「効率性」と「正確性」を同時に実現する革新的手段であり、今後の日本社会、特に製造業を牽引する存在になると、私どもは確信をしております。ただし、その一方ではデータ量の莫大な増加から、AI・IoTの製造業活用には特定の課題も持ち上がっています。

ハングの発生

IoT(モノがインターネットに繋がる事象)とAIが工場のあらゆるQCD管理(「Quality:品質・仕様」「Cost:コスト・原価」「Delivery:数量・納期」)に適用された場合、工場の様々なシーンにおけるデータが各種センサーを通じて集積・分析・共有し続ける事になります。このような工場は「スマート工場」という名称が用いられ、日本産業界が目指す「Society5.0」やドイツが先駆的に実現している「インダストリー4.0」の理想像であり、これによって一切の無駄が生じない極限の製造ビジネススタイルに至ります。

ただし、ここに「データ量」という現実的な視点を持ち込みますと、ひとつの課題点が見えて来ます。全ての工場の生産活動が可視化(見える化)されてデータとして処理され続ける時、そのあまりの膨大なデータ量によって通常システムでは対応しきれず途中で稼働を停止してしまう状態、いわゆる「ハング」が発生するリスクがあります。

ハングはシステムが受け入れる事のできない程の量のデータ、つまり「ビッグデータ」を捌ききれない時に起こります。電子世界における処理人材不足なのです。電子世界がハングする程の情報量を人がひとつひとつ確認する事も出来ませんので、そこに新たなテクノロジーを適用する必要性が生じます。このような電子世界の処理能力不足を解消する為のヒーローがAIとなります。

AIとビッグデータ処理

現在のAIは主に3つの得意分野を有しています。数値予測・ニーズ・マッチングなどを展開する「予測機能」、情報判断・情報仕分け・音声識別・画像識別・動画識別・異常検知などを展開する「分類機能」、作業自動化・表現生成・行動最適化などを展開する「実行機能」です。ビッグデータ処理を行うAIは、特にこの中での「分類機能」に特化したものが大きな役割を果たします。

それぞれ機能領域における具体的な活用事例は、「予測機能面」では「線形回帰」「重回帰」「協調フィルタリング」、「分類機能面」では「ディープラーニング」「ロジスティック回帰」「SVM」「k-means法」、「実行機能面」では「DQN」「自然言語処理」といった名前が上がります。様々なAIのアルゴリズムを活用し、そのシーンにもっとも見合った形を適用しているのです。

AIがビッグデータ処理を効率的かつ適切に行う際に重要な観点が、日付時刻情報(タイムスタンプ)です。リアルタイムで生産活動全体を監視したい場合、「日付時刻情報をIoTシステム全体におけるどのような状況・順序で刻印するのか」という設定に誤りがあると、日付時刻に対するデータの信頼性が失われてしまいます。ビッグデータを取り扱うIoTシステムは、場合によっては「データを伝達する順序」「実際に事象が発生した順序」という2点に相違が出るケースが見受けられます。スマート工場の理想像を実現する為には、この点を十分に配慮した上でAI学習を促さねばなりません。

輝かしい製造業の未来へ向けて

私たちの全ての願いを叶えてくれる汎用AI(強いAI)の登場はまだ先の話になりそうですが、上述の「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」という人間の脳構造を模倣した「ニューラルネットワーク」の誕生により、着実に「AI自らが、学習の積み重ねによって、より高度な判断を行う」という技術が現実のものとなっています。医療分野を始め、自動運転・カーナビ・ノイズキャンセル・音声分離・ロボティックス・介護・ビジネスデータ・IoT・アシスタントAI(Amazon EchoやGoogle Home等)、生活のあらゆるシーンでの活用が広がっています。

その中でも製造業は、AIが強みとする「辛抱強さ=効率性」と「冷静さ=正確性」を存分に活かせる分野であり、そこに日本の輝かしい未来へと繋がる原動力が隠されています。既に私どもが実用化に成功している工業用検査(外観検査・欠品検査、異音判定等)のAIを含め、今後、ますますの技術革新への邁進を続けてまいります。私どもの製品にご関心がございましたら、どうぞ何なりとお問合せを頂ければと存じます。

以上、こちらが製造業AI解説特別連載「AIでコペルニクス的転回を迎えるモノづくり」、第15回「製造業のビッグデータにおけるAI活用の課題とは?」に関するお話でした。続く第16回は「製造業のAI活用を推進する中国の諸相とは?」について取り上げさせて頂きます。

第5回 AI・人工知能 EXPO【春】

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■「第5回 AI・人工知能 EXPO【春】」
公式サイト:https://www.ai-expo-at.jp/
会期:2021年4月7日(水)~9日(金)10:00~18:00
会場:東京ビッグサイト青海展示棟(商談可能)
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
参加料金:事前登録にて無料
後援団体:
一般社団法人 人工知能学会
一般社団法人 日本ディープラーニング協会
同時開催:
第2回 ブロックチェーン EXPO【春】
第1回 量子コンピューティング EXPO【春】

■弊社概要
会社名:クリスタルメソッド株式会社
公式サイト:https://crystal-method.com/
住所:〒102-0073 東京都千代田区九段 4 丁目 1-14 TL ビル 5F
代表者:代表取締役 河合 継
研究者:20 名以上
主な取引先:大手自動車メーカー、金融システム構築
展望:対話 AI「HAL」に向けた「意識」の導入
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