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第20回「日本の製造業におけるAI活用分野の可能性と気概とは?」
日本製造業のAIシェア奪取
IoTやAIの革新的テクノロジーを使って国家・地球規模の新しい未来を、具体的かつ実践的な形で真っ先に描いたのはドイツであると言えるでしょう。ドイツは製造業(工場)のあらゆるQCD管理(「Quality:品質・仕様」「Cost:コスト・原価」「Delivery:数量・納期」)が、サイバー・フィジカル・システム(現実と仮想の情報を一致させるシステム)によって結びついた時、そこに「一切の無駄が生じない極限の製造ビジネススタイル」が生まれると考えています。この国家的プロジェクトが「インダストリー4.0」であり、アメリカ、中国もこの流れに追随しながら革新モノづくり社会への道のりを歩んでいます。
日本でも、最も製造業が勃興した1980年代の「Made in Japan」時代において、国家プロジェクトとしてAI関連技術を開発しようという推進力が生まれました。同プロジェクト(第5世代コンピュータ国家プロジェクト)には当時570億円という予算を投じられ、大々的な展開がなされましたが、結果としては実益あるものを生み出す前にバブル崩壊等の影響で頓挫してしまいました。以後は、先のドイツ、アメリカ、そして中国の動きを見ながら、受動的に製造業へのAI活用の道を模索しているといった状態です。
しかしAI活用分野自体には受動的なスタイルであっても、実はAI活用に必要な技術力は未だに日本は世界トップクラスに君臨し続けています。AI活用に不可欠なセンサー技術は日本製造業の得意分野であり、産業用ロボット技術は世界シェア50%を超える数値を示しています。特定の分野では特異性のある突出した技術性を有する日本は、その技術をAI活用社会の樹立に十分な貢献、あるいは指導を果たせるのです。ドイツ・アメリカ・中国らが推進する「インダストリー4.0」の流れに乗るのか、それとも日本独自路線を打ち立てるのかは現時点では定かではありませんが、先見性のある適切な戦略さえあれば、日本が何らかの形でAI世界の立役者になれる事は間違いありません。
日本製造業のAI活用へ向けて
逆に言えば、徐々に世界基準のAIプラットフォームが出来つつある中において、今こそ日本の製造業界・政府はAI戦略の方針を定め、強い発展・参加・挑戦の気概を持ち、『和製AIまたはそれに関連するテクノロジー』を集中して開発しなければなりません。これが行われなければ、日本の基盤産業である製造業は未来のメインストリームから外れてしまうでしょう。
モノづくり大国としての存在を示した日本は、独自の発想や視点を現実の形にしながら、安全・安心の品質を維持する、非常に高度な「Quality:品質・仕様」「Cost:コスト・原価」「Delivery:数量・納期」の管理(QCD管理)を体現して来ました。こうした製造業(工場)を支えて来たのは、「匠」とも評される「熟練の技・知見・経験」です。AIはこうした「匠の技」を継承し、特化した分野という条件であるのなら、その匠という師を超えた働きぶりを示します。日本がこのような「匠の継承」という視点からAI活用を推進する事も、世界の流れで存在を示す一手となるでしょう。
その他、「IoT」「ビッグデータ処理」「RPA」「金属3Dプリンター」「協働ロボット」等、AI活用を巡るシーンは多様です。省人化・省力化、そして「必要なモノ・コトを必要なだけ生み出す」というSDGs社会の実現へ向けて、日本製造業が行うべき事は山積しています。強烈な戦略の推進力が国家規模で生まれる近い未来を、AI開発領域に携わる私どもとしても強く望まずにはいられません。日本製造業のAI活用史の局面は、今、ピンチとチャンスの双方の岸に足を置いている状態なのです。どちらの岸に上がる事が出来るかは、数年内のAI戦略の是非に掛かっています。
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