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コラム|液晶ディスプレイ製造の異常検知AIの世界
人類はAIに何を期待するか
AI技術の基軸となる深層学習の基本は「ニューラルネットワーク」という考え方であり、こちらは、私たちの脳の仕組みのひとつである神経細胞の繋がりと、その繋がりによって行われている情報交流の流れを模倣するものです。現在、この深層学習を中心に、AI技術の開発が進められています。
AI開発に携わっている人間は、AIに2つの希望を託しています。それは、「①AIによって何かを解明して欲しい」という希望、そして「②何かを実現して欲しい」という希望です。
①の「解明して欲しい」という希望は、純粋なAI研究者に見受けられる多くの傾向です。AIは深層学習によって自動的に、正確かつスピーディーに情報を判断する能力を持ちます。それによって、学術的な解読、身体構造の解析、社会の活動傾向などを一気に発展させたい、という想いを託しています。②の「実現して欲しい」という希望は、工学系のAI技術者に見受けられる多くの傾向です。自動運転、病気検知、製造の円滑化などの社会革新をもたらしたい、という想いを託しています。
この①②の希望を叶える為に必要なAI開発の方向性には、主に3点が存在します。「①人間の知能と同等のAIを創る」「人間の知能の一部を特化させたAIを創る」「人間の知能とは無関係なAIを創る」というものです。現代の国際的潮流としては、主に②の「人間の知能の一部を特化させたAIを創る」という方針が多く取られています。
例えば、飛行機は鳥の飛行を模倣したものですが、鳥の総てを完全に模倣する必要はありません。「飛ぶ」という特化した機能を果たせれば、飛行機の目的が達せられるからです。このように、一部に特化させた機能性を発揮させる事により、AIは人間社会にとって大きな有用性をもたらすのです。
また別の例で、将棋や囲碁のゲームAIは、Google HomeやAmazon Echoのように、情報を調べて教えてくれたり、簡単な会話が出来たりと、そういった能力はありません。もちろん、私たちのように身体(ハードウェア)を使って動き回る事もできなければ、このように脳(ソフトウェア)を総動員して記事を執筆する事も出来ません。しかし、将棋や囲碁のゲームAIは「ゲームで勝利する事に特化された能力」が深層学習によって実現され、今では人間のプロを凌駕するほどに進化しています。
液晶ディスプレイ製造の異常検知
この記事は、スマートフォン、タブレット、パソコン等の電子媒体でお読み頂いているかと思います。まさに、そのような電子媒体の画面、液晶ディスプレイに使用される「フィルム生産の工程検査」の現場にも、このような「特化型のAI技術」が導入されています。ディスプレイに用いられる機能性材料の生産工程は、外観検査による品質確保が最重要課題です。しかし、高い生産性を実現するRoll to Roll方式という連続生産の方法では、連続不良が発生するリスクも高くなるのです。
ここで応用されるAIは、欠陥画像のビッグデータを集積し、深層学習による自律調整を行う事で、高精度かつリアルタイムにフィルムの欠陥・不良を分類する事が出来ます。製品品質の異常検知を、正確かつスピーディーに判断し、これを速やかに人間へ通知するのです。既存の生産システムとの統合により、24時間365時間の稼働を可能としています。このような応用事例は、「何かを実現して欲しいという希望によって、人間の知能の一部に特化したAIが開発され、工学分野に展開された」、顕著な一例だと言えます。弊社でもAIによる異常検知の研究を行っております。詳しくはこちらからご覧ください。
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監修
河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)
AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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