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銀行のDX化で日本の金融業が激変する
さまざまな業界で推進されているDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、それは金融業界も例外ではありません。金融業界の中でも、銀行は社会インフラの一つとも言われていますが、普通の企業は消費者のニーズの多様化や市場の変化に対応するためにDXを導入するのに対して、銀行は何を目的にDXを導入するのでしょうか。また、銀行が解決するべき課題や、DXを導入したどのような事例があるのでしょうか。
銀行におけるDXとは
一般的にDXといえば、少子高齢化による労働力の不足・レガシーシステムによる変化に対応できない組織体制などの課題に対して、デジタル技術をシステム全体に取り入れて新しい技術に対応しやすい組織づくりを行い、業務を効率化することで労働力の不足を解消することが目的と言えます。そして、それは銀行においても例外ではなく、特に地方の銀行になるほど、未だにデジタルではなくフロッピーディスクによるデータのやり取りを好む習慣が残っています。そして、それこそがDXを導入することで銀行が改善されるべきポイントであると言えます。
確かに、DXを導入する代表的な例であるクラウドは、ネットワークに接続して利用する関係から、外部から侵入される可能性がないとは言い切れません。その点において、物理的に管理するフロッピーディスクは、外部からデータを取りにくいと言えます。また、古いシステムの方が使い勝手が良いことからも、フロッピーディスクを使う文化が残っていると言われています。しかし、古いシステムによるデータの管理は利用しづらく、労働力が不足している現状に対して、非効率的な業務が要求されます。
故に、少ない労働力でも効率的に事業を運営できるような組織づくりが、今の銀行には求められています。
銀行が抱える課題
各業界は、労働力の不足・レガシーシステム・長時間労働など、さまざまな課題を抱えており、それは銀行も例外ではありません。また、これらに加えて銀行特有の課題もあります。DXは、業界が抱える課題を解決し、新しい技術や変化に対応しやすくすることが目的なので、まずはその課題を明確にしていきましょう。
衰退する地域経済
地方の過疎化は進み、総務省のデータによると2000年から2015年までの間に、地方から三大都市圏への転出入の超過は累計150万人だと報告されています。その原因としては、地方における賃金や安定性において良質な雇用が不足しているから、それを求めて都市に流出していると考えられています。また、それに加えて少子高齢化による影響によって、地方経済が縮小し、地方に密着した地方銀行は大きな影響を受けることになります。
この課題を解決するためには、地方銀行は地域経済の活性化は死活問題であると言えます。よって、DXを導入することで、地域におけるネットワークや産業の活性化を狙い、豊富な経営支援のノウハウや経験を活かした、地方創生への貢献が期待されます。
マイナス金利政策による貸出金利息の減少
2016年1月に日銀がデフレ脱却と2%の物価上昇を目指すために、マイナス金利政策が行われました。マイナス金利により、民間銀行が日銀にお金を預けると利息を支払わないといけない状態になるため、銀行がより積極的に企業へ貸出業務を行うように促す目的で実施されました。しかし、それによって銀行の中心業務である貸出業務において、利益が減少している現状にあります。マイナス金利政策により、銀行の貸出額そのものは増えているものの、金利の低下が生まれてしまっているためです。金利の低下によって利ざやが小さくなってしまったため、貸出額が増えてもそれを上回っているため、貸出金利息が減少してしまっているのです。
また、今では銀行だけでなく、さまざまな企業が貸出業務を行うようになり始めたことから、競争が激化した点も利益が減少している原因の一つにあります。特に、大手コンビニやユーザーを多く抱えるIT企業は、それを活かしたサービスの提供が行えるため、銀行にとって大きな脅威となる存在と言えます。
ここにおける課題は、銀行が時代に合わせて変化することなく、市場に対応できなかった結果であり、それによって競争力が失われたのだと言えるでしょう。よって、DXを導入してあらたなビジネスモデルを創造する必要性があると言えます。
現在の銀行のDX達成率は?
では実際、銀行はどれほどDXを達成していて、どれほどレガシーシステムが残っているのでしょうか?
ここで、経済産業のDXレポートを見てみましょう。サマリーの最後のページをみると、金融業界で完全にレガシーシステムが残ってていないのはなんと0%となっていることがわかります。これは他の業界と比べても低い水準です。銀行は特に顧客の大事なお金を預かる仕事ですから、下手にシステムをいじって壊してしまう可能性を恐れ、手が出しにくいのかもしれませんが、DX推進が求められますね。
銀行業界におけるDXの取り組み
大手の銀行では、DXを導入したさまざまな事例がありますが、その一部についてご紹介していきます。これらの事例を参考にすることで、DXを導入して目指すべき組織づくりの参考になるでしょう。
SMBCグループ
日本のメガバンクの一つ、SMBCグループでは、2016年にIT専門教育部門としてデジタルユニバーシティを発足し、2021年からはグループ5万人以上の全従業員に向けた「デジタル変革プログラム」をスタートしました。DXを取り入れるにあたって、デジタル技術を取り入れるだけではなく、それを利用する人材の育成や確保が重要になってきます。特に、デジタル技術の活用だけでなく、「なぜデジタルを学ぶ必要があるのか」という点を重視することで、スキルだけでなくマインドからの成長を目指しています。
MUFGグループ
こちらもメガバンクの一つ、MUFGグループでは、2021年4月デジタルトランスフォーメーションの推進を目的として、「デジタルサービス事業本部」を設立しました。さらに、DX戦略をImprove,Reform,Disruptの3つの領域にわけ、電子化や新規事業の創生を行っています。2022年4月には、BizSIGNという電子署名サービスをリリースしました。
また、SMBCグループの社内SNSでは従業員が積極的に意見交流できる環境を設け、新しいアイディアや賛同する声を集めやすくすることで、新しいビジネスに繋げる活動がされています。
日本シティ銀行
博多に本店を置く西日本シティ銀行では、“地域の元気を創造する”をキャッチフレーズに、“ビジネスモデル・業務の変革”や“新たなビジネス創出”をサポートするDXに取り組んでいます。その支援内容として、オンライン創業相談やテレワーク・ペーパーレスなどにおいて、コストや作業効率を向上させるための方法を、顧客の抱える課題に合わせて提案をおこなっています。
地域の企業がDXに取り組むのは、地域の経済を回復する上でも重要なポイントになります。しかし、地域の企業はDXを導入することに前向きでも、なかなかどうやって勧めて良いのか分からないという声が多いと言います。故に、西日本シティ銀行と共にDXへ取り組むことで、地域創生を目指していくことに繋がります。
まとめ
銀行業界では、会計システムを導入するなど既存の業務を改善するデジタル技術から、手続きを簡単にしスマホ一つで口座を開設できるようにした顧客のニーズへの対応。そして、DXを導入したい地域の企業の支援など、そのDXへの取り組みは多岐にわたります。そして、それらの活動の重要性が、地方経済の縮小やマイナス金利政策によって浮き彫りとなりました。以前までは、ある種日銀に預けるだけでリスクを最小限に利益を伸ばせていましたが、それが難しくなった現状があるからこそ、新しいビジネスのきっかけやDXの取り組みに目を向けるきっかけとなったと言えます。
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DXについて定義や意味から分かりやすく解説をします。以下の記事でイチから解説します!是非ご覧ください!
>> DXとは?定義や意味を分かりやすく解説!
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