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第8回「製造業のAIと従来の自動化システムとの違いとは?」
AIと自動化システムの共通点
製造業において、AIテクノロジーと従来の自動化システムと共通する点は、「判断をする事」という非常に分かりやすいものです。もっとも明確な例は、製品品質を左右する検査となります。Aという製品に不良が無いかどうかを「判断する」為に、企業が自動化システムを導入するという訳です。AにBという要素があればダメ、それ以外なら大丈夫、といった具合に、自動化システムもAIも「判断」を行ってくれます。
自動化システムは、工場の無人化という理想的な環境を実現する為の画期的な技術でした。従来は人間、しかも熟練の技(知見・経験)を有したベテラン従業員でなければ持ちえなかった「言葉では説明しきれない感覚」「暗黙知」といった部分を、代わりに自動制御する事が出来るようになったのです。
また、「24時間、体調や環境に左右されずに安定して動作する」と言う点も、従来の自動化システムとAIの共通項であると言えます。随分前から日本の製造業は少子高齢化に伴う人手不足に悩まされており、現場では人量が作業量に追いつかないという圧迫環境が生まれがちです。そのような人材課題を解決する上でも、自動化システムは欠かす事の出来ない存在でした。
AIと自動化システムの相違点
そのような共通点があるものの、従来の自動化システムは大きな技術課題を有していました。それは大きく分けて2点あると言えるでしょう。第一の問題は、「判断基準の導入や再設定を専門家が行わねばならない」というものです。製造業では問題があれば即時改善が求められますが、専門家への依頼を行うには時間・費用が必要であり、スピード感に欠けたものとなります。また、フットワーク軽く判断基準を調整出来ない為に、導入時に全ての状況を想定して基準を作り込むという途方もない労力が必要となります。
更に、自動化システムの第二の問題は「判断基準が不正確である場合は、新たに目視検査等が必要になる」というものです。人手不足の解消の為に自動化システムを導入しているにも関わらず、結果として人のリソースが二次的な検査に割かれてしまうのでは意味がありません。この場合、「不正確」というのは、必ずしも「間違っている」という訳ではありません。判断基準が変更出来ない為に、人間が行えるような僅かなグレーゾーンの判断を行う事が出来ず、結果として再検査が必要な製品が生じてしまうのです。
一方、AIによるシステムの場合は、システムが稼働してからも基本的には専門家を介さずに判断基準を調整・追加する事が出来ます。その場合のコスト・時間は掛からず、非常にスピーディーなものです。またそうした判断基準の調整・追加を重ねるにつれ、AIが自律的な学習を深め続ける事となり、「熟練の技」の域にまで(あるいはそれよりも更に高度な域にまで)、検査等の能力を発揮する事が出来るようになります。このように「技術継承による安定生産の確保」「効率化による人手不足の解消」に強みを発揮出来るからこそ、AIが
従来の自動化システムに替わって製造業の中核となりつつあるのです。
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