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シンギュラリティとは?「2045年問題」をわかりやすく解説

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、AI(人工知能)が人間の知能を超える時点を表す言葉で、一説には2045年にこれが起きるとされています。

シンギュラリティについては、実際にそれが起こりうるのかも含めて様々な意見がありますが、もしシンギュラリティが実現すると、私たちの社会に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

この記事では、シンギュラリティという言葉の意味やいつ起こるのか、そして研究者や著名人による様々な意見と、シンギュラリティ後の社会などについて、詳しく紹介していきます。

1.シンギュラリティ(技術的特異点)とは?

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、AI(人工知能)が人間の知能を超える時点を指す言葉です。

Singularityという言葉自体は、もともと物理や数学の専門用語で「特異点」を意味する言葉として使われてきましたが、1980年代からAI研究者の間で「技術的特異点」を表す言葉として使われるようになりました。「技術の進歩によって、これまでの常識を一変させるような特異な時点」と言えばわかりやすいでしょうか。

しかし、単にその時点を指すだけではなく、AI(人工知能)の機能が人間の知能を上回ることによって、私たちの社会や生活に大きな変化が起きることも意味しています。

2005年には、著名なAI研究者のレイ・カーワイル博士が、シンギュラリティをAIがもたらす世界の変化を示す未来予想上の概念と提唱し、AIが人間の持つ情報量、処理速度、知識共有能力と融合する事だと定義しています。

すなわち、AIが人間と同等以上の能力を有することで、人間の思考や行動そのものを代わりに行ったり、協力して対処したりすることができるようになると言えます。

AIが人間に取って代わると言うより、人間とAIが協力し合う初回が到来すると言って良いでしょう。

2.シンギュラリティの歴史

シンギュラリティという概念はいつ頃から現れ、一般的に使われるようになっていったのか、その歴史について見ていきます。

そもそもAIの研究が始まったのは1950年代で、「第一次AIブーム」とも言われます。

この頃、コンピュータや原子爆弾の開発で有名なアメリカの数学者ジョン・フォン・ノイマンが、はじめて「特異点」という言葉を使ったとされており、その内容は同じくアメリカの数学者スタニスワフ・ウラムが書き残した文章によれば、「あるとき、進歩が早まる一方の技術と生活様式の変化が話題となり、どうも人類の歴史において何か本質的な特異点が近付きつつあって、それを越えた先では我々が知るような人間生活はもはや持続不可能になるのではないかという話になった。」とされています。

第一次AIブームの時代において、コンピュータが、一定のルールに従って回答を求めることができるようになりました。

1980~90年代は、第二次AIブームと言われ、特定の分野において専門的知識をコンピューターに覚えさせることで、複雑な問題について答えを導き出せるようになりました。

2006年から現在までが第三次AIブームと言われますが、この期間における技術的な進歩の代表的なものが、ニューラルネットワークの登場と、機械学習やディープラーニングの普及です。

ニューラルネットワークは、人間の脳を構成する神経細胞のネットワークを再現するもので、これによって、AIが自ら情報を取り入れる機械学習、ディープラーニングが実現し、加速度的な能力アップが図られるようになったのです。

ビッグデータと呼ばれる大量のデータを扱うようになったことも、AI自らによる学習の必要性が高まった一因と言えるでしょう。

このようなAIの急速な能力向上によって、人間の知能を超えることが現実味を帯びたことで、シンギュラリティの概念が提唱されるようになったのです。

3.シンギュラリティはいつ起きるか?

「シンギュラリティ」という言葉の提唱者であるレイ・カーワイル博士は、その著書「The Singularity is Near」の中で、「2029年にAIが人間並みの知能を備え、2045年に技術的特異点が来る」と記しています。

すなわち、カーワイル博士は2045年に技術的特異点が起き、AIが人類の知能を超えた結果「AIが自らより進歩したAIを創り出すことができるようになる」としています。

この現象を「2045年問題」とも呼びますが、2045年という時期の根拠となっているのが、「ムーアの法則」及び「収奪加速の法則」と言われる二つの理論です。

これらについて見ていきたいと思います。

3-1.ムーアの法則

「ムーアの法則」は簡単に言えば、コンピューターの集積回路の基礎ユニットであるトランジスタの数が18か月ごとに倍増するというものです。

インテルの創業者であるゴードン・ムーア氏がこの法則を提唱したのは1965年でしたが、その後概ねこの法則の通りにトランジスタの集積度合いは増え続けており、現在の集積回路のトランジスタ数は当時の1億倍にもなっていると言われています。

この状況を敷衍すると、2045年には集積回路の性能が、人間の知能を超えるに必要なレベルに達するということになるのです。

3-2.収奪加速の法則

「収奪加速の法則」は技術の発展や進歩の度合いは、時間の経過とともにリニア(線形)ではなく指数関数的に進むというものです。

産業革命やコンピュータの登場を引き合いに出すまでもなく、新しい技術が開発されると、その技術によってさらに次の技術的な進歩が早まり、加速度的に技術革新が進むというもので、誰にも実感できる内容ではないかと思います。

この加速度的なイノベーションの進展度合いを鑑みると、2045年に人間の知能を超えるAIが登場するとされます。

4.シンギュラリティによる社会への影響?

シンギュラリテイによって、私たち人間社会にはどのような変化がもたらされるでしょうか?

雇用、メディア、医療、教育、交通など様々な分野において、劇的な変化が起きることが予想されます。

もしかしたら、文化や言語、戦争や外交のあり方も変わってくるかも知れません。

ここでは、雇用と医療について未来予想をしてみたいと思います。

4-1.雇用における変化

シンギュラリティが起こると、仕事や職業の一部がAIに代替されることが予想されますが、2014年に、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏は、「雇用の未来-コンピューター課によって仕事は失われるか」と題する論文で、20年後には現在存在する仕事の47%が無くなると結論付けています。

そして、職業ごと無くなるものとして、「飲食店の従業員」「販売員」「工場の組み立て作業者」「電話の窓口対応」などを例示していますが、いずれも比較的定型業務とされるものです。

一方、「教師」「医者」「画家」「漫画家」「ミュージシャン」といった人間を扱う仕事、クリエイティブな仕事については、AIによる代替が困難で、今後も人間が担う職業としています。

4-2.医療における変化

シンギュラリティによるAIの高度化や高度な医療テクノロジーの進歩によって、人間の身体の一部を人工化することが可能になると言われています。

AIが人間の知能を超えるというならば、すなわち人間の脳もニューロンというデジタル回路からなるある種のコンピューターと同じとも考えられます。

今後は、人間の意識をデータに代えて脳の外部に保存したり、書き換えたり,さらにはAIにコピーすることすら可能となるかも知れません。

医療現場では、これまでの技術では代替できなかった臓器が人工臓器に代替可能となったり、これまで不可能とされてきた臓器や脳の外科手術が可能となり、人間の寿命がさらに延びるようになるかも知れません。

5.シンギュラリティに関する著名人の意思

シンギュラリティについては、近い将来に起きるという意見だけではなく、シンギュラリティは起こらないとする意見もあり、またシンギュラリティの到来をどのように受け止めるべきかなど、多くの著名人による様々な意見が表明されています。

これらについて少しご紹介したいと思います。

5-1.ヒューゴ・デ・ガリス

ヒューゴ・デ・ガリス氏は、オーストラリアの人工知能(AI)の研究者で、今世紀後半に人工知能が人類の知能を遥かに超え、その10の24乗倍の能力を持つかも知れないとし、さらに人工知性が開発されることで、10の36乗倍もの高度な能力を有する可能性すらあるとしました。

こうした、人間を遥かに凌駕する能力をAIが持った場合、そして人工知性といったものが備わった場合、必ずしも人間との共存ではない判断がなされるかも知れません。

ヒューゴ氏は、もしAIが人類を滅ぼそうとしたときに、人類はAIに対抗できないのではないか、としてシンギュラリティに対する懸念を表明したのです。

5-2.ポール・サフォー

アメリカの未来予測学者であるポール・サフォー氏は、AIの性能が指数関数的に向上したとしても、人間を超えるというより人間の能力を向上させる存在に変わりはないとして、シンギュラリティにより人間の得ることができるメリットが大きいと、強く肯定する見解を表明しています。

5-3.ジェリー・カブラン

スタンフォード大学の人工知能の権威であるジェリー・カプラン氏は、AIと人間を同一にして比較する考えそのものを否定し、「AIは人間と同じような思考はできない」としました。

そして、AIによって人間が駆逐されるといった危機感をもっているのは「映画やドラマの中の出来事やメディアなどの過激な主張に影響されているのであり、AIはあくまで人間の未来をひらく技術であり、怯えることなく人間のための利用方法を考えるべき」としました。

あくまで、AIの進歩を肯定する考えを示したものと言えます。

5-4.マルケス・ガブリエル

ドイツの哲学者であるマルクス・ガブリエルも、「知性は人間の非生物的、感覚的な部分であり、AIとは異なる」という考えを示し、シンギュラリティそのものを否定しました。

本記事では、シンギュラリティという言葉の意味と、シ

シンギュラリティが起こる、起きない、またAIと人間の知能を同一に捉えるか否か、意見が分かれるところですが、AIがますます高性能化し、社会のあらゆる場面で活用される未来の到来は間違いないでしょう。

シンギュラリティが来るにせよ来ないにせよ、私たちはAIによる社会の変化に適応し、人間にとって正しく利益となるようなAIとの「共存」を探っていかなければなりません。

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