2.シンギュラリティの歴史
シンギュラリティという概念はいつ頃から現れ、一般的に使われるようになっていったのか、その歴史について見ていきます。
そもそもAIの研究が始まったのは1950年代で、「第一次AIブーム」とも言われます。
この頃、コンピュータや原子爆弾の開発で有名なアメリカの数学者ジョン・フォン・ノイマンが、はじめて「特異点」という言葉を使ったとされており、その内容は同じくアメリカの数学者スタニスワフ・ウラムが書き残した文章によれば、「あるとき、進歩が早まる一方の技術と生活様式の変化が話題となり、どうも人類の歴史において何か本質的な特異点が近付きつつあって、それを越えた先では我々が知るような人間生活はもはや持続不可能になるのではないかという話になった。」とされています。
第一次AIブームの時代において、コンピュータが、一定のルールに従って回答を求めることができるようになりました。
1980~90年代は、第二次AIブームと言われ、特定の分野において専門的知識をコンピューターに覚えさせることで、複雑な問題について答えを導き出せるようになりました。
2006年から現在までが第三次AIブームと言われますが、この期間における技術的な進歩の代表的なものが、ニューラルネットワークの登場と、機械学習やディープラーニングの普及です。
ニューラルネットワークは、人間の脳を構成する神経細胞のネットワークを再現するもので、これによって、AIが自ら情報を取り入れる機械学習、ディープラーニングが実現し、加速度的な能力アップが図られるようになったのです。
ビッグデータと呼ばれる大量のデータを扱うようになったことも、AI自らによる学習の必要性が高まった一因と言えるでしょう。
このようなAIの急速な能力向上によって、人間の知能を超えることが現実味を帯びたことで、シンギュラリティの概念が提唱されるようになったのです。