第16回「部品の検査・検品AIの世界」

[現代のAIの超得意分野]

「機械学習(Machine Learning)」から発展した「深層学習(Deep Learning:ディープラーニング)」。この考え方がAIに導入されてから、AIは二次元(2D)だけではなく、三次元(3D)のパターン認識も軽々と出来るようになりました。深層学習は「AI自らが、学習の積み重ねによって、より高度な判断を行う」為、更に正確に、更に効率的に、3Dセグメンテーション(事象や空間の認識)を行えるようになったのです。この3Dセグメンテーションは、現代のAIの超が付くほどの得意分野になりつつあります。

このようなAIが今、製造業の生産現場を大きく変容させつつあります。最も劇的な変化がもたらされる作業は、検査・検品(外観検査、欠品検査、異音判定等)の作業です。例えば、工場では、生産工程の最後に必ず検品(製品の検査)を行います。これまで、その作業はすべて経験と技能を積み重ねた人間の手で行って来ました。しかし、そうした作業は、まさに現代AIの得意範囲です。正式な完成品に様々なパターンの照明を当て、撮影をしながら、深層学習によって解析を行う。そうすれば、AIは熟練工並みの「目」で、検品・検査作業を24時間体制で行う事が出来るのです。弊社でも研究を行っております。詳しくはこちらをご覧ください。

外観検査

また、異音や振動などのデータを集めて、不良品率の高まりや機器故障の予兆を予測する事も出来ます。倉庫在庫管理、製造数管理、部品調達数管理など、管理面でもAIによる働きぶりは凄まじいものです。

工業分野のみならず、農業分野からの注目や需要も高まり続けています。AIによる病害虫診断、収穫時期予測、育成状況監視など、これまで人の手で行って来た地道な作業をAIに代替する事が可能なのです。畑や水田の温度・湿度データと天気予報情報から、高温や病虫害のリスクマネジメントを行う事も出来ます。これまでより正確に、速く、しかも不眠不休で、AIは農業生産者の逞しいサポーターとして活躍が出来るのです。

[実例と課題]

暗黙知や経験値、直観に根差す部分の大きかった検査・検品を、数値化やデータ化など「目に見える化・共有化」する事によって、経験値の無い新人でも現場の動向を把握して、適切に管理出来る。これが、現代AIにおけるパワフルな存在感です。

北海道の牧場でも、全ての牛の情報が蓄積され、AIによる管理を行っている事例があります。同牧場ではベテラン従業員のみならず、新人従業員も牛の具体的なデータを目にしながら、対等に現場状況の把握と管理を行っています。こうして、AIが確実に、生産性の向上や効率化に貢献をしているのです。このようにマニュアル化出来るタスクは機械が担い、マニュアル化出来ない部分を今まで通り人間が選択・行動する。このような関係が、今、徐々にあらゆる分野において構築されつつあるのです。

しかし、危惧もあります。AIの「目」や「データ処理」に依存した結果、対象である現実の製品・農産品・人と向き合わなくなってしまった場合、人は本質的な技巧性を失ってしまうかもしれません。先ほどの牧場でもその点に注視しており、「牛を見る技術が失われるのではないか、という想いもあります。逆に、専門部門として牛飼いを育成する環境を設けるべきではないかという検討を重ねている」という意見が聞かれます。

機械化や自動化により、専門を持たなくても専門的な仕事が出来るようになりますと、平常時はそれで問題がありませんが、いざ何かが起きた時の対応や選択が遅れたり、誤ったりしてしまうものです。AIが処理しきれない問題が人間に降りかかる事を想定し、私たちは「AIに依存する」のではなく、「AIを活用する」というスタンスを堅持しなければならないのです。

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