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第4回「製作工程に起きる”シワ検知”の世界」

人間とAIの技能対決

AI研究者で非常に有名な方に、ダートマス大学・脳エンジニアリング研究所所長リチャード・グレインジャー博士がいます。若い頃にロックスターを目指していたという彼は、後に世界を代表する計算論的神経科学者という地位に上り詰めました。実は「AI」という名称が正式に付けられたのも、こちらの研究所で1956年に開催された夏季研究学会でした。

そんな彼が、次のような発言をしています。「我々人間の臓器の中で脳だけが、思考・学習・認知を行う。こうしたどんな課題についても、工学はまだ脳の能力を超えるのはおろか、肩を並べることさえできていない。どんでもない努力と予算が使われているのに、顔認識でも、自然言語の理解でも、経験からの学習でも、人間に太刀打ちできる人工システムはまだ一つもないのだ。」

なんだかAIと未来に対するロマンが打ち消されてしまうような味気ない発言ではありますが、実際にグレインジャー博士が言った通りでもあります。AIは決して、全治全能のゼウスではなく、SF世界で描かれるような超人的な存在ではありません。「まだありません」、という言い方が正しいのかもしれませんが――

とにかく、私たち人間は、2歳の段階で、既に目の前にいる犬や猫を正しく判断する事が出来るはずです。それは対象の犬と猫が正しく視覚される距離において、どの場所、どの時間からも、正確に判断が出来るからです。また、もし犬か猫かが分からなければ、少し歩いて回り込んだり、近づいてみたりして、その対象物をしっかりと見定める事が出来るのです。これとまったく同じ事をAIに行わせようとする事は、あまりに多くの技術的な課題に出くわしてしまいます。

しかし、その一方で、私たちは「特化した分野」において、AIに最高の仕事をさせる方法を創り出してもいます。グレインジャー博士が想像をしきれなかった世界に、私たちは一歩、足を掛けている状態なのです。特化した分野における2Dまたは3DのAIの働きは、人間をはるかに超える「正確性とスピード」の判断力を発揮しているのです。

シワ検知

弊社のAIにおける応用事例の中に「シワ検知」を発見する3Dセグメンテーション系のAIがあります。繊維産業のメーカーは、検査工程で完成した布の表面を事細かにチェックし、品質を維持する必要があります。製品に著しいシワが入っていた場合、それをAIは異常検知という方法で、私たち人間にその様子を知らせてくれるのです。

こちらの検査工程において、AIはカメラによって撮影した布の様子を外観検査によって捉え、シワ検知を解析します。「シワは見た目に分かりやすいから、検知も簡単かな?」と思う方も多いかもしれませんが、実はこちらもかなり奥深い世界です。それは撮影する際の照射光の種類(可視光・紫外線等)や角度によって、立体検査時の解析が微細に異なるからです。人間でも、経験と技能を十分に積んだ熟練工ではないと確認しきれないような、細かなシワもあります。その「シワ検知」の世界に、私たちのAIは果敢な結果を示し続けているのです。弊社の外観検査の事例についてはこちらからご覧ください。

外観検査・誤欠品

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監修

河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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