
ChatGPTに学習させないようにするには?
結論から言うと、設定の「データコントロール」でモデル改善(学習)をオフにするだけで、あなたが入力したテキストや画像が今後の学習に使われなくなります。無料・有料いずれのアカウントでも、スマホ・PCの両方から数十秒で完了します。
- 基本の設定:ChatGPTの「設定」→「データコントロール」→「すべての人のためにモデルを改善する(Improve the model for everyone)」をオフにする。以降の会話は学習に使われません。
- その会話だけ残したくない:画面上部から「一時チャット」を有効にすると、その会話は履歴に保存されず学習にも使われません。機密情報を扱うときに有効です。
- すでに送った内容が心配:OpenAIのプライバシーポータル(privacy.openai.com)から、過去データの削除や学習停止をリクエストできます。設定変更は「これから」の入力にのみ効く点に注意してください。
ChatGPTに学習させないとはどういう意味か
ChatGPTに何かを入力すると、OpenAIはその会話をモデルの品質改善に役立てる可能性がある。これが「学習に使われる」状態であり、初期設定(既定)ではこの利用が有効になっている。なお「チャッピー」はChatGPTの日本語圏での俗称・愛称で、SNSなどで使われる呼び方だが、公式のアプリ内・設定画面上の表記はあくまで「ChatGPT」であり、この記事で扱う設定操作も対象は同じChatGPTのアカウント設定になる。
個人ユーザーが懸念するのは主に二点だ。一つは、仕事上の機密に触れる文章や社名・氏名を含む文書をそのまま入力してしまうこと。もう一つは、プライベートな悩みや健康情報など、第三者に渡したくない情報をチャットに書き込んでしまうことである。
「学習させない」とは、厳密には「OpenAIがモデルの改善目的でその会話データを使用することにオプトアウトする」という意味になる。設定をオフにすれば、少なくともモデル改善への使用は停止される。ただし、安全性レビューなど一部の目的での利用は残りうるとOpenAIは説明しており、入力した情報がゼロリスクになるわけではない点は最初に押さえておくべきだ。
個人情報保護委員会も2023年6月に生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しており、生成AIへの個人情報入力には慎重な姿勢を求めている(出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/)。設定の変更は、その姿勢を実装する最初の一手といえる。
ChatGPTに学習させない設定のやり方:モデル改善をオフにする
手順そのものはシンプルで、慣れた人なら1分以内に終わる。以下にPCブラウザを前提とした操作の流れを示す。スマートフォンアプリでも設定メニューの構成はほぼ同じだ。
- chatgpt.comにサインインし、画面左下または右上のアカウントアイコンから「設定」を開く。
- 設定画面の中から「データコントロール」または同等のプライバシー関連メニューを選ぶ。
- 「すべての人のためにモデルを改善する」のような表記のトグルを確認し、オフ(無効)に切り替える。
この操作が完了した時点から、以後の会話はOpenAIのモデル改善に使用されなくなる。過去の会話に遡及してオプトアウトされるわけではないため、機密性の高い内容を過去に入力していた場合は、当該会話をチャット履歴から個別に削除するか、全履歴を一括削除する操作も合わせて検討したい。削除操作も同じ設定メニューから実行できる。
なお、メニューの文言はOpenAIが随時変更することがある。手順が見つからない場合はOpenAIの公式ヘルプ(help.openai.com)を参照するのが確実だ。
ChatGPTに学習させない使い方:一時チャットを活用する
オプトアウト設定を有効にしても、履歴そのものはアカウントに残る。「履歴にも残したくない」「一度きりの検索的な使い方をしたい」という場面では、「一時チャット」機能(Temporary chat)が有効だ。
一時チャットを選択して開始した会話は、チャット履歴に保存されず、OpenAIのモデル改善にも使用されない扱いになる。会話が終了すると記録が残らないため、氏名や住所が含まれる文章の校正、医療や法律に関する個人的な相談、社外秘に関わる資料の下書き補助など、痕跡を残したくないシーンに適している。
ただし一時チャットにも限界はある。会話が保存されないということは、後から同じ文脈を引き継いで続きを尋ねることができないということでもある。複数回に分けて作業を進めるプロジェクト型の使い方には向かず、その場限りの単発タスクに絞って使うのが現実的だ。
ChatGPTのプロジェクト機能を活用して作業を継続する場合は、ChatGPTのプロジェクト機能について詳しく解説した記事を参照してほしい。一時チャットとプロジェクトは用途が明確に異なるため、使い分けを意識すると運用の整理がつく。
設定後も続けるべき運用習慣:オプトアウトで安心しすぎない
オプトアウト設定は「モデル改善への使用を止める」ものであり、「入力した情報が外部に漏れるリスクをゼロにする」ものではない。現場での運用を考えると、設定変更に加えて次の習慣を維持することが重要だ。
機密情報はそもそも入力しない
個人名・社名・取引先名・契約金額・未公開の製品情報・医療情報・認証情報(パスワード等)は、オプトアウトの有無にかかわらず入力しないことが基本原則だ。入力してしまった場合は、その会話を設定メニューから削除する。削除の操作については、OpenAIの公式ドキュメント(help.openai.com)に手順が記載されている。
プランと設定の関係を把握しておく
無料(Free)プランとPlusプランでは、既定の状態では会話がモデル改善に使われる可能性がある。一方、BusinessプランとEnterpriseプランは入力データが既定でモデル学習に使用されない設計となっている(出典:ChatGPT料金プラン公式ページ、およびOpenAI Business ChatGPT pricing)。
以下の表に各プランの学習設定の既定状態を整理する。
| プラン | 月額(USD) | モデル学習への利用(既定) | 個人が変更可否 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | 有効(既定) | 設定からオフに変更可 |
| Go | $8 | 有効(既定) | 設定からオフに変更可 |
| Plus | $20 | 有効(既定) | 設定からオフに変更可 |
| Pro | $100/$200 | 有効(既定) | 設定からオフに変更可 |
| Business | $25(年払$20) | 不使用(既定) | 管理者が組織単位で管理 |
| Enterprise | カスタム | 不使用(既定) | 管理者が組織単位で管理 |
個人利用で機密性の高いタスクを継続的にこなすなら、Plusプランでオプトアウトを手動で設定しておく運用が現実的な選択肢になる。料金プランの詳細はChatGPTの料金プランを比較した記事で確認できる。
オプトアウト設定のデメリットも把握しておく
モデル改善をオフにすると、OpenAIがユーザーの利用データをフィードバックに活用できなくなる。すなわち、自分の使い方を通じてモデルが改善される恩恵に貢献しなくなるという側面がある。機能的なデメリットとしては、一部のパーソナライズ機能が制限される可能性がある点だ。ただし、日常的に機密情報を扱う個人にとって、このトレードオフは明確にオプトアウトを選ぶ理由となる。
定期的に設定を確認する
OpenAIはサービスの仕様変更や規約更新を行うことがある。アプリのメジャーアップデート後や、利用規約の変更通知を受け取った際は、設定画面のデータコントロール系メニューを確認し、意図したとおりオフになっているかを再確認することを習慣にしたい。
ChatGPTの基本的な仕組みや機能全体についてはChatGPT総合解説記事も参照してほしい。また、タスク自動化や操作の自動化を検討している場合は、ChatGPTのタスク機能やOperator(操作自動化)機能の解説も合わせて確認することで、データの流れをより正確に把握できる。
この設定で解決しないこと:限界を正確に知る
オプトアウトをめぐっては、過剰な期待と過剰な不安の両方が見受けられる。実態を正確に把握するために、設定でできることとできないことを整理しておく。
できること:モデル改善目的での会話データ使用を停止すること。一時チャットで履歴を残さずに利用すること。過去の会話を削除してデータを消去すること。
できないこと:OpenAIのサーバーへの一時的な通信そのものを止めること(ChatGPTはオンラインサービスである)。安全性や不正利用のレビューなど、OpenAIが利用規約上留保している利用目的を完全に排除すること。入力した情報が今後いかなる形でも参照されないことを技術的に保証すること。
文部科学省が2024年に発表した生成AI活用に関するガイドラインでも、生成AIに入力するデータの取り扱いには十分な注意が必要との見解が示されている(出典:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」https://www.mext.go.jp/content/20241126-mxt_jogai01-000038813_03.pdf)。この姿勢は学校教育に限らず、個人利用においても参考になる基準だ。
要するに、「学習させない設定=入力してよい情報の範囲が広がる」と解釈するのは誤りであり、「機密情報は入力しない」という大前提の上に設定変更が乗っかる、と理解するのが正しい。
なお、組織・企業のガバナンスや監査証跡の観点からのセキュリティ対策は本記事の対象外だ。法人での管理体制については、ChatGPTのセキュリティ・ガバナンス関連記事を参照してほしい。
カスタムGPTsを業務に使っている場合は、ChatGPT GPTs(カスタムGPT)の解説記事でデータの取り扱い方針も確認しておくとよい。
まとめ:ChatGPTに学習させない設定は、設定画面のデータコントロール系メニューからモデル改善をオフにするだけで完結する。一時チャットも組み合わせれば、履歴を残さない運用も可能だ。ただし設定はあくまで最初のステップであり、機密情報をそもそも入力しないという運用習慣が最も重要な防衛線になる。
「履歴の削除」と「モデル学習をオフにする」は別の設定
ここまでの設定を終えたあとに、もう一つ整理しておきたい誤解があります。それは「チャット履歴を削除・非表示にすること」と「モデル学習をオフにすること」は、ChatGPT内部では独立した別の仕組みだという点です。
| 設定 | 操作する場所 | 効果の範囲 | 過去の会話への遡及 |
|---|---|---|---|
| チャット履歴の非表示・削除 | 各チャットの「履歴と学習」/個別チャットのメニュー | 画面上に会話を表示・保存するかどうかのみ | 削除した会話は画面上から消えるが、学習利用の可否とは別問題 |
| モデル改善(学習)のオン・オフ | 設定>データコントロール>「すべての人のためにモデルを改善する」 | 今後の入力が学習データに使われるかどうか | 設定変更後の入力にのみ適用され、過去分は自動では遡及されない |
つまり「履歴を消したから学習もされていないはず」という判断は正確ではありません。学習を止めたいだけであれば履歴削除ではなくデータコントロールの設定を、過去に入力した分まで扱いを変えたい場合は次章の削除リクエストを、それぞれ別々に行う必要があります。
過去の入力データについて削除をリクエストする方法
「オプトアウトの設定を有効にする前に入力してしまった内容」を個別に削除したい場合は、ChatGPTのアプリ内設定だけでは対応できず、OpenAIが提供するプライバシー窓口(privacy.openai.com)から申請する形になります。
- ブラウザで privacy.openai.com にアクセスする
- プライバシーに関するリクエスト(データの削除・開示など)を行うための入力フォームに進む
- ChatGPTで利用しているアカウントのメールアドレスなど、本人確認に必要な情報を入力する
- リクエスト内容(データ削除の希望である旨)を送信する
フォームの項目名やボタンの文言はOpenAI側の仕様変更で随時変わる可能性があるため、この記事では手順の流れのみを紹介しています。実際に申請する際は、privacy.openai.com上に表示される最新の案内に従ってください。また、申請してから反映されるまで一定の時間がかかる点、不正利用防止のためログの一部が一定期間保持される場合がある点も、OpenAIの公式なプライバシー関連ポリシーとして案内されています。
【デバイス別】モデル改善オフの操作手順
基本的な設定項目は共通ですが、メニューの開き方はデバイスによって多少異なります。
| デバイス | 設定への入り方 |
|---|---|
| Web版(PCブラウザ) | 画面左下のアカウント名(アイコン)をクリック→「設定」→「データコントロール」の順に進む |
| iPhone(iOSアプリ) | アプリ左上または左下のメニューを開く→設定アイコンをタップ→「データコントロール」を選択 |
| Android(Androidアプリ) | アプリのサイドメニューを開く→設定をタップ→「データコントロール」を選択 |
いずれの端末でも最終的にたどり着く項目は同じ「データコントロール」画面です。アプリのバージョンによってメニューの位置や表記(日本語/英語表示)が変わることがあるので、見当たらない場合は設定内を検索してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. モデル学習をオフにすると、それより前に入力した内容も学習に使われなくなりますか?
A. いいえ。設定をオフにした時点より後の入力には適用されますが、それ以前に送信済みの内容まで自動的に遡って除外されるわけではありません。過去分を扱いたい場合は、前章のプライバシーポータルからの削除リクエストが必要です。
Q. 履歴(チャット一覧)を削除すれば、学習もされなくなりますか?
A. されません。履歴の削除・非表示は画面上の表示に関する設定であり、モデル学習の可否とは別の設定です。学習を止めたい場合は必ずデータコントロールの「モデルを改善する」設定自体をオフにしてください。
Q. APIやGPTs(カスタムGPT)経由の利用も、この設定でまとめてオプトアウトできますか?
A. ChatGPTアプリ内の「データコントロール」設定は、基本的にChatGPTアプリでの利用が対象です。API経由の利用や社内で構築した仕組みでのデータの扱いは、契約プラン・利用形態ごとに個別のポリシーが適用されるため、本記事冒頭のプラン比較表の内容や契約時の規約を必ず確認してください。不明な点は、加入しているプランのサポート窓口に直接問い合わせるのが確実です。
Q. Business・Enterpriseプランなら、社内での利用は何も気にしなくて大丈夫ですか?
A. デフォルトでモデル学習に使われない設定になっている点は安心材料ですが、それだけで社内のAI利用ルールが不要になるわけではありません。誰がどの情報をChatGPTに入力してよいか(顧客の個人情報や未公開の社内資料の扱いなど)は、設定とは別に社内ガイドラインとして明文化しておく必要があります。私たち自身、RAGや自然言語処理を用いたAIプロダクトを開発する立場として、こうした「機能面のオプトアウト設定」と「運用ルール」は両輪でそろって初めて安全に使える、という点を実務上のポイントとしてお伝えしておきます。
参考文献
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年6月)
https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ - 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」(2024年11月)
https://www.mext.go.jp/content/20241126-mxt_jogai01-000038813_03.pdf - OpenAI「ChatGPT料金プラン」
https://chatgpt.com/pricing/ - OpenAI「Business ChatGPT pricing」
https://openai.com/business/chatgpt-pricing/