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医療DXとは?課題と取り組み事例を詳しく解説
少子高齢化が進行すると同時に、発達してきたデジタル技術。
人手不足などの問題を、BIMやAIなどを活用して、どう効率化を図るか。
さまざまな業界において、諸問題の解決策となることを期待されているDXですが、医療業界ではどのように活用されているのでしょうか。
今回は医療業界が抱える課題に触れながら、DXに取り組んでいる例についてご紹介していきます。
医療におけるDXの定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、最新のデジタル技術を活用し、既存の枠組みや業務プロセスを変革することです。DXはビジネスの場でも日常的に使われるようになりました。医療の業界でもDXへの期待が高まっています。以下では、そんな医療におけるDXについて解説します。
新しい医療技術の開発は、世界の中でも数カ国しかできないことであり、その内の一つが日本です。しかし、製薬をはじめとした医療技術の開発には、莫大な費用と時間がかかる上に、出来たものが現実的に有用かどうかも分かりません。
医療において、医療保険制度の中で、公平性・フリーアクセスが求められ、他の医療機関との競争性・優位性よりも、医療提供をいかに効果的・効率的に行えるかが重要です。
DXの詳細な説明は下記リンクよりご確認ください。
>> DXとは?定義や意味を分かりやすく解説!
医療業界が抱える課題
医療業界は、製薬関係や病院など、いくつかの分野に分けることができますが、その中でも代表的な課題についてご紹介します。
2025年問題
さまざまな業界でも問題視されている、2025年問題。この2025年問題とは、第一次ベビーブームに生まれた世代が75歳以上となり、人口比の中で一番大きな割合を占めることになることで起きる問題。医療業界においては、医療や介護などのサポートを必要とする世代が最も多いのに対して、少子化により次世代の担い手がすくないことで、医療関係者一人ひとりの負担が大きくなります。
しかしながら日本の医者不足は、世間の話題としてよく取り上げられますが、世界の人口比から考えると医者不足とは言えません。人口1000人あたりの医者の数は、日本が2.1人なのに対して、労働力が豊富なインドでは0.6人と大幅に下回っています。故に問題なのは、医者不足ではなく、治療の必要な患者数の多さによります。そして、その患者数に高齢化が大きく関係しています。
高齢化によって医療の負担が大きくなるという事は、現場の手が回らず、必要な人に必要な医療のサービスが受けられなくなるだけでなく、過重労働によって離職者が増える原因にもなり得ます。故に、必要に応じた医療の担い手と作業の効率化が早急の課題となります。
赤字問題
日本にある病院のうち、実に4割が赤字経営になっているのだとか。その原因の一つとなっているのが、多すぎる病院数にあります。日本の病院数は世界の中でも一番であり、その数は約9000施設。二位であるアメリカが5000施設ほどであるのを考えると、その病院数の多さが際立ってきます。
しかし、なぜ病院が多すぎると赤字経営になるのでしょうか。それは、各病院に必要な設備を整えるためのコストを考えた時に、大きな病院一つにかかるコストと、複数の小さな病院にかかるコストでは、後者の方が大きいからです。街の中で一つの病院にCTやMRIがあれば十分なのに、10以上の病院が持っていたら、それは当然ながらCTやMRIを持つことで得られる利益よりもコストの方が上回ってしまいます。
日本はなぜここまで病院が多いかというと、開業医が多いことに起因します。日本にある病院のうち、公的な病院は3割で民間病院は7割になります。しかし、日本と同じように公的な仕組みで医療財政を賄っている国では、大半が公的病院となっており、病院数がコントロールしやすい状態にあります。
病院の赤字経営は、増えすぎた病院数とコストによる問題が大きな影響を与えていると言えます。
抱える課題の解決案
医療業界が抱えている2025年問題と赤字経営、この二つを解決するには何が必要になるのでしょうか。また、デジタル技術はどのように活用されているのでしょうか。
病院機能の分化
病院を効率よく運営するために、機能の分化が必要となってきます。病院を訪れる患者はさまざまな症状を抱えています。故に、一つの病院で全てを完結させる事は難しいと言えます。適した病院に適した人材を配置することで、役割分担しながら効率よく治療を行うことができます。それにより、コストを抑えて赤字経営を避けることも可能になります。
そして機能分化を進める上で、病院ごとのネットワークの構築が必要となります。そこでクラウドサービスを導入する事例もあります。患者の情報や診察データなどを共有することは、続く以下二つのデジタル技術にも大きく関係します。
AIの活用
CT検査など、人の手によって行われる診察は非常に技術のいるものであり、ヒューマンエラーの原因でもありました。しかし、そこでAIを導入することで、CT検査における画像解析をAIに任せたり、新薬の開発などもAIを活用することで、効率よく開発が進み、研究期間の短縮が可能となります。
また、AIによって診断されたデータは、クラウドによっても共有がしやすく、管理が非常に容易になります。
電子カルテの導入
医療業界における代表的なデジタル化が、電子カルテです。紙のカルテは、それを記入する先生によっては文字が判別しづらく、ヒューマンエラーとなるきっかけになったり、カルテそのものを移動させる手間も含めて効率の悪いものでした。しかし、電子カルテなら情報が紛失する恐れもなく、手間も省けます。
さらに、電子カルテの最大のメリットは、情報を見つけやすく共有しやすいことにあります。欲しい情報を検索することで簡単に見つけられるため、探す手間が省け、医者同士や他の病院とも情報共有ができるため、紙に比べて圧倒的な優位性を持っているのです。
ただ電子カルテには、記入する先生が慣れるまでに時間がかかるというデメリットもあります。特に機種が変わると操作感も大きく変わるため、使いやすさにおいては紙の方が優れていると言えます。
DXを取り入れた例
オムロンヘルスケア
オムロンヘルスケアは、心疾患手術をおこなった患者が遠距離からでも術後の診察ができるように、Completeという機器を開発しました。これを使うことで、毎日家庭から病院に血圧や心電図などを計測して送信し、AIによって解析を行うことができます。
昭和大学
日本が抱えている問題として、ICUの不足が挙げられますが、それの解決策として昭和大学が、AIとIoTを活用したデジタルICUを開発しました。昭和大学と県外のICUをネットワークで接続し、支援センター内にいる医師がサポートすることで、病院における患者の管理や業務の効率化を図ることができます。
※参照:昭和大学ならびにフィリップスによる専門医不足・医療分野における労働生産性改善・地域連携促進、医療の質向上に向き合う
クリスタルメソッドの取り組み
クリスタルメソッドでは、医療分野に対する取り組みのひとつとして、「問診AI」を開発しています。
問診AIといっても医師のように問診からお薬の提供までするわけではなく、患者さんが普段かかりつけの先生や看護師に普段話せないことをサポートする役目として開発しています。
例えば病室に常にタブレットなどを置いておき、そこにAIアバターが常駐する。
患者さんは常に、苦しかったり痛かったり、些細な変化をタブレットのAIアバターに話しかけて状況を報告することができます。
医師としては、AIからのフィードバックにより普段忙しくてヒアリングできない時間や、些細なフリートークから生まれる重要なキーワードを、取りこぼすことなく把握できます。
例としてこちらの動画もご覧ください⇩
まとめ
既に治療を必要とする患者の増大は進んでおり、それによって現場の手が足りていない状態に陥っています。それを解決するためには、デジタル技術を活用して人手が必要な作業を減らし、機能の分化によって作業効率を上げることが急務となっています。
クラウドサービスを活用して機能の分化を行うことができれば、電子カルテやAIによる判断など、デジタル化による恩恵はさらに大きくなることでしょう。日本の医者不足と赤字経営問題を解決する、大きな転換点になると言えます。
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