ディープフェイクの今後

これまではディープフェイクを作るには高価な機材と高性能なコンピュータなどが必要で、映画業界や会社規模でしか作成できませんでした。
しかし、技術の進化により簡単に作成できるようになり、今では無料のツールが出たり、ディープフェイク動画を作成できるアプリが登場したりと、一般人にも馴染みのあるものになりました。
カメラ機能の向上もあり、お互いの顔を交換した写真をSNS上にアップロードしたり、理想の顔になれるアプリで楽しむ若者も目立ちます。
さらに、このご時世でオンライン化が進み、ZOOMなどでカメラ越しに会話する場面が増えました。
オンライン授業、オンラインミーティングなどが当たり前になる一方で、カメラの向こうにいる相手が本当に本人なのか、考えると恐ろしくなります。
悪い面が目立ってニュースになりがちですが、一方でディープフェイクの良い面もたくさんあります。
映像作品では、故人を登場させたり、CGとディープフェイクを駆使することで役者に危険をさらすことなく派手なアクションシーンが制作できます。
ゲームなどでは、自身の顔を取り込みキャラクターに再現することで、より世界観に没頭できます。
アパレルのオンラインショッピングや美容室などは直接足を運ばなくても、自身に近いバーチャルモデルを作成することで着用した際のイメージが湧きますし、バーチャルアイドルなどもより自然な動きに近づいていくでしょう。
ますますAIの発展・進化に伴い、ディープフェイクは、私たちの娯楽をより豊かにし、生活になくてはならないものになるでしょう。
生活をより豊かにするために
ここまでディープフェイクの現状やメリット・デメリット、今後について解説してきました。
映像作品においてはディープフェイクは必須になりつつありますし、今後オンラインが主流になれば私たちの生活にも一層馴染み深いものになっていくでしょう。
しかし、高精度がゆえに悪用される危険性があることを忘れてはいけません。今はディープフェイクを見破る技術も開発されていますが、個人個人が正しい知識と理解を持って有意義に使っていきたいものです。
AIの法と倫理のルール化
法律への侵害、倫理、社会受容性の観点の問題から国内外で、AIへの規制が増えてきています。
AIビジネスを始めようとする、大企業とスタートアップともに、ステークホルダー、法律の無視より、非難を受け、ビジネスが止まるという事例が相次いできています。
2018年10月24日には、国立国際臨床医療研究センターのAIプログラムは、糖尿病リスク予想ツールを作成し、公開したところ、厚生労働省より、プログラム医療機器に当たるとして、翌日には公開停止となりました。(現在は再公開されています。)
顔認証システムについても問題が起こっています。
2017年5月には、米国でサウスウェールズ警察による顔認証システムに対して、市民自由活動が提訴を行い、AI利用停止となっています。
このように幅広いステークホルダーの調査がビジネスを継続するには必要不可欠となってきています。AIは現行法に違反しやすく、米欧では、AIの法と倫理のルール化に着手が進んでいます。
それに従い、信頼できるAIのための倫理ガイド、社内体制を整える企業が増えてきています。
2021年には、バイデン大統領が、AIルールが必要と宣言をし、2021年4月21日、AI規則案として、EU全体に直接適用法則が公表されました。AI規則案では、明確な人権侵害を行うAIは禁止するとしていて、規則を守らないと制裁金が課されるとされています。一方ディープフェイクはローリスクであると考えられていて、弱い規則が適用されるとされています。
国内外で、AIビジネスを行う上で問題が上がっています。2つの例を挙げてお話します。
◆VIP接客における顔認証

1つ目にVIP接客事例に関するお話です。AIによる顔認証により、金融業界と旅館業界でVIPに対して優遇した接客を行うものです。顧客の個人情報をVIPに使うことに対する本人同意がなく、個人情報保護法との兼ね合いが問題となります。
一般顧客からの同意を得づらく、倫理、社会受容性の視点からは、重要顧客の個人情報が割れる恐れがあり、犯罪を誘発するのではないかという問題も考えられます。銀行でのリスクは高く導入は困難と予想されます。
◆介護施設における生体認証機能カメラ
2つ目に介護施設における生体認証機能カメラについてのお話です。被介護者の保護と介護者の効率及び負担を軽減する目的を持ちます。
プライバシー及び、高齢者への心理的、性的虐待へ該当するかどうかが問題となります。撮影箇所と方法を限定し、利用者、家族へ事前に相談しておくこと、同意しない人、すべての恥部が映り込まないことが大切となります。これは技術的解決を施すことによって可能となっています。
時には規制緩和が必要となってきますが、国際ビジネスをするには、海外の法律、倫理を守ることが重要であり、リテラシーを持つことが重要となってきています。