不動産業界が抱える課題

不動産業界でのDX事例で何となく不動産業界でのDXについて理解できたのではないでしょうか。
しかし、DXはただ導入するのが目的ではなく、導入することで業務効率など各業界が抱えている課題を解決する事が目的となりますが、不動産業界はどのような課題を抱えているのでしょうか。まずは、その大まかな課題を3つに分けてご紹介していきます。
非対面におけるサービス提供の欠如
一つ目は、非対面でのサービス提供を行う機会が少ないこと。今までの常識として、消費者が物件を内覧したり契約するには、対面が基本でした。なぜなら、2017年まで賃貸住宅の契約には、対面で説明する必要が不動産屋にあったからです。しかし、このコロナ禍によって対面で説明するのは難しくなり、さらにリモート環境が増えてきたことから、対面でなくても行えるリモート内覧などの需要が高まっていました。
しかし、不動産業界ではそう言った需要に答えるためのサービスがまだ普及しておらず、更には所有していても価値のない物件”負動産”が増えていると言われています。故に、リモートの需要に対応し、消費者にとって契約しやすいサービス提供を行う事が急務であるといえるでしょう。
慢性的な人手不足
これは不動産業界に限らず全ての業界に当てはまることですが、少子高齢化によって労働人口が減少傾向にあります。それによって、若手が入社してこないと技術の継承が満足に行えず、加えて増える業務量・情報量によって、不動産業界は慢性的な人手不足に陥っています。例えば、全産業における一事業所の従業員数が平均して10.4人と報告されているのに対して、不動産業界では3.3人と極端に少ないことが分かっています。
これを改善するにも、少子高齢化によって採用人数を増やすこと自体は難しいと考えられます。なので、率先して業務の効率化を行うことで、一人当たりの作業量を減らす必要性があります。
IT化の遅れ
業務効率を上げるのであれば、デジタル技術を取り入れる事が最も早い方法といえるでしょう。しかし、不動産業界はアナログな方法によって運営されている部分が多く、それによってIT化が非常に遅れているのが現状です。
例えば、企業によってはメールのような電子ツールによるやりとりを好まず、ファックスのような紙媒体による連絡や情報の管理を行う場合があります。その傾向は、消費者との契約時に紙が積極的に採用されている様子からも、把握する事ができます。
賃貸住宅の契約は、2017年の法改正によって対面だけでなく、オンラインでも手続きが行えるようになりました。これをIT重説と呼びますが、ITに対する理解の低い経営者や小さな企業においては、まだまだデジタル技術の導入が遅れているのが現状でしょう。