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自治体DXとは?その事例、取り組みと課題について解説
自治体ではどのようなDXが行われているのでしょうか
様々な業界において推進されているDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、それは何も企業に限った話ではありません。少子高齢化は日本社会全体を通して共通の問題であり、それは自治体も例外ではありません。
この記事ではDX導入を請け負う弊社が
・自治体DXの事例
・自治体の取り組み
・自治体が抱える課題
についてわかりやすく解説します。
自治体DXとは?
自治体DXとは自治体での手続きや書類をデジタル化し、AIによるデータの活用で自治体と市民の生産性の向上のため、サービスやアナログな業務体制を変えていくことです。
自治体DXを達成するために
自治体によるDXを達成するためには、以下の二つの点が求められています。
- 自らが担う行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して、住民の利便性を向上させる
- デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を測り、人間的資源を行政サービスのさらなる向上に繋げる
参照:自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画/総務省
総務省における自治体DX推進
自治体が抱える、人手不足・業務の効率化の二つの課題に対して、総務省では自治体のDXを推進するために二つのレポートを公開しています。それが、自治体DX推進計画と自治体DX推進手順書です。次は、この二つの概要について紹介していきます。
自治体DX推進計画について
令和2年12月25日に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」における、DXによって生まれるデータが、新しい価値創造のきっかけになる点や、EBPMによる効率的な業務を可能にすると認識した上で、自治体全体が足並み揃えて重点的に取り組むべき事項や内容を具体化したのが自治体DX推進計画です。
2025年の壁の翌年である2026年3月までを本計画の期間として次の1、2について示しています。
1.DXを推進するために必要な体制の構築
・組織体勢の整備
・デジタル人材の確保・育成
・計画的な取り組み
・都道府県による市町村支援
2.DXに向けて取り組む具体的な内容
・自治体の情報システムの標準化・共通化
・マイナンバーカードの普及・促進
・自治体の行政手続きのオンライン化
・自治体のAI・RPAの利用促進
・テレワークの推進
・セキュリティ対策の徹底
1.においては、自治体が現状抱えている課題を解決する方法に関してであり、IT化とは違いDXに必要な組織全体の改革や、DXを活用して技術の導入や助言などが行える人材の確保について、説明が行われています。
また2.においては、DXを取り入れることで業務を自動化し事務作業の軽減し、それによって生まれた余裕で住民に良質なサービスを提供すること。その一環として、マイナンバーカードを普及させることで、手続きをオンライン化できる取り組みなどについて、説明がされています。
参照:自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画/総務省
自治体DX推進手順書について
自治体DX推進計画を踏まえた上で、着実にDXを推進できるように制作されたのが、自治体DX推進手順書。その内容として、ステップ0からステップ3までの4段階に分けて手順が述べられています。
・ステップ0 DXの確認共有・機運醸成
DXにまだ着手していない自治体が最初に着手するステップで、DXには単なるデジタル技術を取り入れる改革だけでなく、利用者目線の改革が大切となります。これを可能とするためには、各自治体の幹部による強いコミットメントが必要となりますが、中には誤解していたり目指すべき先がイメージしにくい職員もいます。故に、DXを理解し目指すべき将来を明確にすることを目的としています。
・ステップ1 全体方針の決定
DXへの取り組みを効果的に行うために、まずは全体を通して方針を統一し、DXを推進するビジョンや工程を共有することを目的としています。
そのために、DXを推進する意義(利便性の向上や新たな価値の創出など)と、目標時期を含めた各取り組みの進め方が述べられています。
・ステップ2 推進体勢の整備
DXは組織を変革させれば完了するものではありません。それを利用する人材の確保・育成も必要となります。故に、DX推進担当部門を設置し、積極的にデジタル技術やデータを利用し、DXの進捗確認の必要性が述べられています。
・ステップ3 DXの取り組みの実行
ここに至ると、実際に計画を実行するステップになります。ガイドラインを踏まえながら、PDCAサイクルによって適時進捗を確認することが求められます。
自治体DXの事例
自治体DXとは何か、総務省における推進については解説しましたが、ここでは自治体DXの事例について、わかりやすく解説します。
業務のデジタル化
一つ目の事例は業務のデジタル化です。
社会全体でDX推進が取り組まれている中、自治体では主にペーパーレス化や脱ハンコのようなデジタル化が進められています。これにより時間外の受付も出来るようになります。さらにシステムやデータのクラウド化を実施することが可能になり、自治体全体で情報を共有することができ業務の効率化につなげることができます。しかしこのペーパーレス化や脱ハンコはまだ完全に行われている状況には達していません。
これ以外にもオンラインを活用したWEB会議や行政手続きなどの市民対応も実施されており、銀行のインターネットバンキングが活用の一例としてとして取り上げられます。また、最近では公共機関でAIのチャットボットをよく目にすることがあること思います。これも自治体DXの1つであり、非接触によるコロナ対策と外国語対応しているため外国人も利用できるお問合わせサービスとして活用されています。
AIによるデータの活用
二つ目の事例はAIによるデータの活用です。
各自治体では日々莫大な市民のデータが蓄積されており、それも活用することができる情報ばかりです。この大量の情報を活かしAIを活用することでサービスを利用する国民のニーズを分析し、サービスの向上を図ったり政策立案に活用することで行政に対して国民の需要を反映しやすくなります。そのためデータを活用することは、人々の暮らしの変革を促すため直接的にDX推進につながる大事なことです。
フィールドワークを通じたスマート人材育成
三つ目の事例はフィールドワークを通じたスマート人材育成です。
DXを推進する上で必要になってくる、デジタル技術を活用できる人材の育成ですが、三重県ではAI・RPAについて職員が学び、フィールドワークを通じてデジタル技術を活用した地域の課題に取り組む試みが行われています。
引用:スマート人材育成事業最終報告会
先進自治体におけるDX事例
ここでは自治体の中でも先進的なDXに取り組む事例を地方自治体から1つ、省庁から1つ事例を紹介していきます。
滋賀県「おうみ自治体ネット」
おうみ自治体ネットは平成14年に運用が開始された、県および市町間の行政情報を1つに結ぶネットワークシステムです。県と市町が相互に情報を共有することでサービスの向上や業務の効率化、または県全体の横断的なサービスを提供することが可能になりました。
行政時で使用するシステムであるためそのセキュリティの安全性はかなり重要視されるな部分です。しかしおうみ自治体ネットは県独自のネットワークを使用しているため、セキュリティの高さが特徴として挙げられるほどの安全性を確保しています。
引用:おうみ自治体ネット(滋賀県)
国土交通省「i-Constraction」
i-Constraction(アイ・コンストラクション)は深刻化する人手不足問題解決と建築業界の生産性の向上を目的に始まった取り組みです。人手不足により給与や休暇が少なく、さらにこれが生産性の低さに影響するような悪循環が建築業では問題になっていました。そのため省人化をするために、測量から設計、施工、検査、維持管理の建築生産システムを、ICTを全面活用することにより生産性の向上を目指します。
実際にはCIMという技術により、着工前では気づけないような潜在的な課題を事前に把握することができるようになりました。これ以外にもドローンの活用により従来は1週間かかるような測量が大幅に省力化されたり、ICT建機により難易度が高い作業であっても経験や技術が少ない作業員が行うことができ、熟練の作業員による業務の属人化を防ぐことができます。
引用:i-Construction|国土交通省
自治体が抱える課題
DXを取り入れることによる恩恵が大きいのは確かですが、そもそもなぜ自治体にDXを取り入れる必要があるのでしょうか。それを考える上で、現状で自治体が抱えている課題についてご説明しましょう。
少子化による人手不足
まず一つ目は、少子化による人手不足が挙げられます。自治体の役割には、税収の管理やまちづくり・社会福祉の提供などありますが、一番身近な例としては図書館やゴミ処理関係でしょうか。これら自治体の業務をこなすためには人手が必要なのに対し、少子化と過疎化が相まって地方では人手不足に陥っています。
民間の業者に管理を任すことも考えられますが、人口が減少している地域では同時に労働力や生産性も低下しており、税収も減少しているため現実的ではありません。
また、DXに関して言えば、せっかく取り入れてもDXを活用できる人材がいないため、効果的な運用ができない問題などもあります。
業務の効率化
先程の人手不足の話に付随してくるのが、業務の効率化という課題。同じ業務量のまま人手が減少しているのであれば、人手を増やすか業務を効率化するという、どちらかの選択肢しかありません。しかし、現状の自治体には既存のシステムを活用した無駄な作業が多く、効率的な業務ができているとは言えません。
世間的に大きな話題を産んだトピックの一つとして、町と銀行のやりとりにフロッピーディスクが使われていた点があります。フロッピーディスクはネット環境に接続せずにデータの管理ができるため、自治体をはじめとした一部の組織では信頼されている傾向にあります。しかし、当然ながらフロッピーディスクでは効果的にデータの活用や管理ができないため、その点からも自治体の業務の非効率さが伺えます。(また、ネット環境を信頼できていないあたりからも、DXを効果的に活用できる人材が稀有であることも、想像に難しくありません)
自治体におけるDX化への課題
デジタル人材不足
どの業界でも言えることですが、DX化を取り組むにあたってデジタル人材は必要不可欠な存在です。しかし現状は社会全体でデジタル人材不足が問題になっており、自治体も例外ではありません。
そのためデジタル人材を積極的に採用するとともに、人材の教育に注力する事で、DXを推し進めるにあたって鍵となるデジタル人材を確保する必要があるります。
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組織間の連携
日本の行政は縦割りの文化が強く残っているという特徴があります。これにより各自治体で異なる情報システムを構築してしまい、組織同士でうまく情報を共有することができません。これでは全ての自治体がDX推進に取り組んでも、IT化はされるが非効率な部分が残ってしまい目標である「デジタル技術の浸透による人々の暮らしの変革」が達成できません。
そのため国は、新たに設立されたデジタル庁が国全体をまとめて変革するようなDX推進が求められます。
この記事のまとめ
様々な業界において人手不足は深刻な問題ですが、それは自治体にも当てはまります。故に、既存のシステムからDXを取り入れることで、組織全体のシステムを変革させ、データを活用した効率化や新たな価値の創造が求められています。
まだまだDX化をするにあたり課題も多いですが、DX化の重要性を感じることで、DX化への取り組みが加速していくでしょう。
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