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Google メッセージにGeminiの詐欺検出「強化保護モード」――Androidの新しい詐欺対策
文:クリスタルメソッド編集部 監修:河合 継(代表取締役)

要点:Googleは2026年10月14日(米国時間)、Androidの詐欺対策をまとめて発表した。中心は、Google メッセージの新しい設定「強化保護モード(Enhanced protection)」だ。有効にすると、知らない相手とのやり取りをクラウドのGeminiが文脈ごと読み、時間をかけて信用させる型の詐欺も見抜く。あわせて、通話の転送を悪用した乗っ取りと、画面共有中の情報のぞき見への対策も加わった。強化保護モードは「今後数週間で順次提供」とされ、日本で使えるかどうかは発表に書かれていない。
何が発表されたのか
発表はGoogle公式ブログ「The Keyword」の記事で、Google メッセージとAndroidの担当プロダクトマネージャーの連名で出された(出典:blog.google)。Googleによると、「電話」アプリとGoogle メッセージのAIによる詐欺検出は、すでに毎月500万件を超える詐欺の疑いがある通話・メッセージを知らせている。今回の発表はその上に、次の3つを足すものだ。
- Google メッセージの「強化保護モード」(オプトイン=自分で有効にする設定)
- チャットアプリの通知に出す詐欺警告を、Pixel以外のAndroid端末にも広げる
- 通話の転送と画面共有を悪用した詐欺への新しい防御
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Google メッセージの「強化保護モード」でできること
強化保護モードは、Googleが「最も強力で賢い防御」をまとめて有効にする設定と説明している。中身は次の3つだ。
① 会話の流れから詐欺の意図を読む(Private AI Compute)
詐欺師は、最初は無害な雑談で信用させ、何日もかけてから本題に入ることが多い。Googleはこれを「slow-burn(じわじわ型)の会話」と呼ぶ。強化保護モードでは、知らない相手と会話しているときに、Google メッセージの詐欺検出がクラウド上のGeminiの上位モデルを使い、会話全体の文脈から相手の狙いを判断する。これまでの端末内の検出を補い、新しい手口や痕跡を隠そうとする相手も見つけられるようにするという。
プライバシーについてGoogleは、この解析を「Private AI Compute」で行うと説明している。データは暗号化され、専用の安全な領域で処理され、Googleを含め本人以外は見られないとしている。対象はPixel 6以降、Galaxy S24シリーズ以降、Galaxy Z Flip/Z Fold6以降など、AICoreに対応したAndroid端末だ。なお、迷惑メッセージとして報告した場合は、そのメッセージと内容がGoogleに送られて分析される(報告は任意)。
② 見たことのないURLをGemini Nanoで点検
Google メッセージは以前から、既知の詐欺・フィッシングサイトへのリンクに警告を出している。ただ詐欺師は、まだどこにも登録されていない新しいサイトを次々に作る。強化保護モードでは、端末内で動くGemini Nanoがウェブ上の最新の手がかりを合わせて、見慣れないリンクが信頼できるかをタップ前に判定する。対象はPixel 10以降、Galaxy S26シリーズ、Galaxy Z Flip/Z Fold8など一部の端末だ。
③ 知らない番号からのリンクに「立ち止まる」警告
連絡先に登録していない番号から届いたリンクには、作り直した警告画面が出て、タップする前に考える時間と説明を示す。この機能はこれまで一部の国の端末か、Androidの「高度な保護機能」を有効にした端末でしか使えなかった。Android 6以降が対象とされている。
通知の詐欺警告はPixel以外にも広がる
Googleは昨年、Pixelで、人気のチャットアプリの通知に詐欺の疑いを表示する機能を始めた。アプリを開く前に、通知の段階で危ないメッセージに気づける。今回、HONOR、Infinix、iQOO、itel、JOVI、Motorola、OPPO、OnePlus、realme、TECNO、vivo、Xiaomiと組み、年内に「さらに数億人」へ広げるとしている(対応状況はメーカーごとに異なる)。
電話・画面共有を使った詐欺への新しい防御
| 機能 | 防ぐ手口 | 提供時期・対象 |
|---|---|---|
| 画面共有中の自動マスク | 画面共有で「手伝う」と言い、パスワードやカードのセキュリティコードを盗み見る | ChromeとAndroid WebViewのログイン欄・支払い画面を共有中に自動で隠す。Android 15以降に今月から順次 |
| 通話の転送を防ぐ | 着信を別の番号へこっそり転送させ、ワンタイムパスワード(OTP)を奪ってアカウントを乗っ取る | アプリが裏で転送を有効にするのを止め、転送用のコードを手入力させられそうなときは警告。12月上旬からPixelなど一部端末 |
| 銀行からの電話を本物か確認 | 発信者番号を銀行の番号に偽装する「なりすまし電話」 | 銀行の公式アプリと連携し、本当に銀行が発信したかを着信時に確認。確認できなければ通話を切って知らせる。ブラジルのBanco do Brasil、Itaú Unibancoなどで先行、Revolutも対応 |
銀行なりすまし電話の対策は6月に始まっており、Banco do BrasilとItaú Unibancoの2行だけで300万件を超える偽装通話を止めたとGoogleは説明している。ブラジルでは銀行なりすまし詐欺が12か月で195.7%増えた(ブラジル銀行連盟FEBRABANの数字として紹介)。参加したい銀行向けの開発者向け資料も公開されている。
通話の転送を悪用した乗っ取りは、多要素認証を突破する手口の一つでもある。手口の全体像は多要素認証の突破とは?MFA疲労・AiTMの手口とAIで防ぐ方法で解説している。
日本で使えるのか
Googleの発表には、日本での提供時期や対象国の一覧は書かれていない。脚注には「一部の機能はすべての国で利用できるとは限らない」とある。発表で紹介されている利用者調査も、米国・カナダ・オーストラリアの回答者が対象だ。日本の利用者は、Google メッセージの設定に「強化保護」が表示されるかどうかで確認するのが確実だ。
日本で今すぐ役立つのは、手口そのものを知っておくことだ。数日かけて親しくなってから投資や送金に誘う、宅配や銀行を名乗るSMSで新しいURLを踏ませる、画面共有を頼んで暗証番号を見る、といった流れは、国を問わず使われている。SMSやメールで偽サイトへ誘導する手口と、AIを使った防ぎ方はフィッシング対策にAIを使う方法とは?2026年の最新手口・事例と防ぎ方にまとめている。
読むときの注意点
- 比較調査はGoogleの委託:発表では「AndroidはiOSより標準の詐欺対策が強い」という評価を紹介しているが、これはGoogleが費用を出したLeviathan Security Groupの調査(2026年10月)だ。YouGovとの利用者調査(2026年6〜7月、4,500人)もGoogleの実施で、どちらも第三者の独立した比較ではない点に注意したい。
- クラウドに送る範囲:強化保護モードは、知らない相手との会話をクラウドで解析する設定だ。Googleは中身を誰も見られないと説明しているが、会社支給のスマートフォンで有効にするかは、社内の情報管理の決まりと照らして判断したい。
- 提供は段階的:強化保護モードは「今後数週間」、通知の詐欺警告の拡大は「年内」、通話の転送対策は「12月上旬」と時期がばらばらだ。発表日にすべてが使えるわけではない。
参考文献
- Google(The Keyword)「New Android scam protections」2026年10月14日
- The Verge「Android is using AI to suss out scammers in Google Messages」2026年10月14日
監修
河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)
AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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