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AIエージェントのアクセス制限策がない組織は54%——Gartnerが示す2027年の課題

AIエージェントが開けられる扉を鍵で絞り込むイメージのイラスト

米調査会社Gartnerによると、AIエージェントのアクセス範囲を制限する方法を決めていない組織が54%にのぼる。米Dark ReadingがGartnerとOmdiaの2027年の予測をまとめた特集で取り上げ、米Cybersecurity Insidersが2026年10月18日に報じた。両社とも、2027年の企業のAIセキュリティは「AIに何を触らせるかを管理できるか」が試金石になるとみている。

54%が「アクセスを制限する方法」を持たない

この2年、企業はAIによる自動化を急速に広げてきた。一方で、そのAIが社内のどのシステムやデータに触れてよいかを決める作業は追いついていない。Gartnerは、AIエージェントのアクセスを制限する決まった方法を持たない組織が54%あると報告している(Cybersecurity Insiders)。

Gartnerは、リスクの大きさはAIの賢さで決まるわけではないと指摘する。共有された調査の中で「AIシステムは、汎用人工知能(AGI)の水準に達しなくても重大なサイバーリスクを生みうる」と書き、企業の業務に影響を与えられることだけで十分だとしている。多くの企業で問題になるのは、エージェントが常に広いアクセス権を持ったままで、触れてよい範囲を誰も決めていないことだ。

AIエージェントの権限管理で見落とされやすい点は、AIエージェント権限管理のセキュリティリスクで解説しています。

関連記事AIエージェントとは?生成AIとの違いは?

2027年に向けた調査会社の見立て

  • 予算は増え、成果が問われる:Omdiaの調査では、59%の組織が2027年のAI予算を10%以上増やす見込み。支出は技術の優秀さよりも、投資対効果と生産性で評価されるようになる。
  • セキュリティ部門の役割:OmdiaのMelinda Marks氏は、セキュリティ部門は安全な導入を後押しする役になるべきだと述べ、データの保護、アクセスと利用のルール作り、ソフトウェアの供給網の保護を挙げた。
  • AIによる脆弱性発見への警戒:Gartnerの2026年の調査では、最高情報セキュリティ責任者(CISO)の76%が、AIによる脆弱性の発見を新たなリスクの上位10位以内に挙げた。

次に読む:AIエージェント制御リスクと企業導入の判断基準は?

AIエージェント制御リスクと企業導入の判断基準——DeepSeekの警告が示す本質

報道が挙げる3つの対策

記事は、GartnerとOmdiaの提言を次の3点にまとめている(Cybersecurity Insiders)。

  1. エージェントのアクセスを棚卸しし、特権として扱う:社内で動いているエージェントを洗い出し、それぞれの権限と触れるデータを記録する。自律性の高いものから順に、仕事に必要な範囲だけに絞る。Gartnerは、乗っ取られても仕事に必要な範囲にしか届かないよう、エージェントを「実行できる操作」の単位で管理するよう勧めている。
  2. ディープフェイクを前提に本人確認を作り直す:Gartnerは、AIで作った偽の映像や音声を「主流の」脅威と位置づける。国家を含む攻撃者が経営者やIT担当者になりすますため、偽物の検知に加え、端末の位置やIPアドレスといった状況の情報も組み合わせて確かめる。
  3. 供給網の混乱を常に起こりうるものとして備える:Omdiaは、混乱がいずれ収まると考えるべきではないとし、依存先が止まったときに業務を再開する計画を試しておくよう求める。記事は例として、AIアプリの開発に使われるオープンソースのライブラリ「LiteLLM」が攻撃者集団TeamPCPに狙われ、認証情報の盗難が広がった事案を挙げている。

日本企業がまず手を付けること

AIエージェントを業務に入れている、または入れる予定の企業は、上の提言を次の手順に落とし込める。

  • 一覧を作る:社内で動いているエージェント、使っているアカウントとAPIキー、触れるシステムとデータを表にする。部門が独自に作った自動化(シャドーAI)も含める。
  • 権限を分ける:読むだけでよいもの、書き込みが要るもの、外部へ送信するものを分け、エージェントごとに必要な権限だけを与える。人間の担当者と同じアカウントを使い回さない。
  • 操作の記録を残す:エージェントが何を読み、何を変えたかを記録し、あとから追えるようにする。
  • 止め方を決めておく:異常が見つかったときに、どのエージェントを誰が止めるかを事前に決めておく。

参考文献

  • Cybersecurity Insiders https://www.cybersecurity-insiders.com/ai-security-2027-ai-agent-access/

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監修

河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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