blog

Windows ShellのCVE-2026-96951、悪用確認済み——10月の更新で修正

Windows ShellのCVE-2026-96951、悪用確認済み——10月の更新で修正

CVE-2026-96951 とは——Windows Shell に発見されたコマンドインジェクション

2026年10月13日、MicrosoftはWindows Shellに存在するコマンドインジェクション脆弱性CVE-2026-96951を公開した(cve.org)。CISA(米サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁)の既知悪用脆弱性カタログ(KEV)には2026年10月13日付で追加されており、悪用が確認されている(CISA KEV)。

脆弱性の本質はCWE-77(コマンドで使用される特殊要素の不適切な無力化)にある。Windows Shellがコマンドで使われる特殊要素を適切に処理しないため、権限のない攻撃者がネットワーク経由でセキュリティ機能を回避できる。MicrosoftのFAQによると、回避されるのはMark of the Web(MOTW、ネットから入手したファイルに付く警告の目印)による防御である。攻撃には、細工したファイルをメールやメッセージで送りつけ、リンクのクリックや添付ファイルを開く操作を利用者にさせる必要がある。MSRCの改訂情報では悪用が検出されている(Exploitation Detected)。CVSSスコアは8.8(HIGH)で、Microsoftが評価したベクタは AV:N/AC:L/PR:N/UI:R/S:U/C:H/I:H/A:H/E:F/RL:O/RC:C だ。

EPSS(悪用確率の統計的推定)は2026年10月29日時点で0.098(パーセンタイル0.9554)と高く、全CVEの上位5%に位置する(NVD)。この数値は確率の推定であり「悪用される」と断定するものではない。

未認証の攻撃者ネットワーク経由特殊文字を含むコマンド送信Windows Shell特殊要素の処理に欠陥セキュリティ機能を回避影響(CVSS 8.8 / HIGH)機密性:高 完全性:高可用性:高CISA KEV 掲載(悪用確認)10月の更新で修正
図:CVE-2026-96951 の攻撃経路。未認証の攻撃者がネットワーク越しにWindows Shellの欠陥を突き、セキュリティ機能を回避できる。影響を受けるのは表のビルド未満で、MSRCが案内する2026年10月の更新プログラムで修正されている。

ほかの製品で悪用が見つかった脆弱性への対応は、PAN-OS管理画面のCVE-2026-0322で説明しています。

関連記事Struts CVE-2016-3081は悪用確認?

CVE-2026-96951 の影響を受ける Windows バージョン一覧

影響範囲はWindows 10の旧バージョンから最新のWindows 11 26H2、さらにサーバー製品全域に及ぶ。下表はCVE公式記録(cve.org)に基づく影響バージョンの一覧だ。

CVE-2026-96951 影響を受ける製品・バージョン(2026年10月29日時点)
製品 アーキテクチャ 影響を受けるビルド範囲
Windows 10 Version 1607 32-bit / x64 10.0.14393.0 〜 10.0.14393.9612 未満
Windows 10 Version 1809 32-bit / x64 10.0.17763.0 〜 10.0.17763.9376 未満
Windows 10 Version 21H2 32-bit / ARM64 / x64 10.0.19044.0 〜 10.0.19044.7807 未満
Windows 10 Version 22H2 32-bit / ARM64 / x64 10.0.19045.0 〜 10.0.19045.7807 未満
Windows 11 Version 23H2 ARM64 / x64 10.0.22631.0 〜 10.0.22631.7652 未満
Windows 11 Version 24H2 ARM64 / x64 10.0.26100.0 〜 10.0.26100.9711 未満
Windows 11 Version 25H2 ARM64 / x64 10.0.26200.0 〜 10.0.26200.9711 未満
Windows 11 Version 26H1 ARM64 / x64 10.0.28000.0 〜 10.0.28000.3231 未満
Windows 11 Version 26H2 ARM64 / x64 10.0.26300.0 〜 10.0.26300.9711 未満
Windows Server 2012 R2(Core 含む) x64 6.3.9600.0 〜 6.3.9600.23470 未満
Windows Server 2016(Core 含む) x64 10.0.14393.0 〜 10.0.14393.9612 未満
Windows Server 2019(Core 含む) x64 10.0.17763.0 〜 10.0.17763.9376 未満
Windows Server 2022 x64 10.0.20348.0 〜 10.0.20348.5761 未満
Windows Server 2025(Core 含む) x64 10.0.26100.0 〜 10.0.26100.33650 未満
Microsoft Edge(Chromium 版) — 1.0.0.0 〜 154.0.4258.62 未満
Outlook.com — 1.0.0 〜 20260925.100 未満

自社で使用している製品のビルド番号を確認し、上表のビルドより古ければ影響を受ける。表のビルド以降に更新されていれば修正済みである。

自社が対象か判断がつかない場合は、お使いの製品と版の情報をお送りいただければ、公式情報をもとに対象かどうかの目安をお伝えします(無料相談)。

次に読む:Plex Media Serverの脆弱性、更新は必要?

Plex Media Server脆弱性CVE-2026-96654——KEV登録・既存版は更新を

修正版——2026年10月の更新プログラムとCISAの期限

MSRC(Microsoft Security Response Center)の更新プログラムガイドには、Windows各版について2026年10月の更新プログラム(KB)が修正として掲載されている。CVE公式記録の影響範囲は「〜未満」のビルドで示されており、表のビルド以降に更新済みの端末は対象外である。Microsoft Edge(Chromium版)は10月26日の改訂で追加され、154.0.4258.62以降への更新が案内されている。各版のKB番号は MSRCのCVE-2026-96951のページ で確認できる。CVE公式記録とMSRCに、公式の回避策の記載は確認できない。

CISAがKEVに掲載した際の「対処期限2026年10月16日」は、米国連邦政府機関(FCEB機関)を対象とした義務的な期限であり、日本企業や民間組織に対して法的拘束力を持つものではない。

CISAが求める対処の要旨は次のとおりだ(CISA KEV)。

  • ベンダーの指示に従って緩和策を適用し、BOD 26-04の優先度付けガイダンスに従う。
  • クラウドサービスについては、該当するBOD 26-04のガイダンスに従う。
  • 緩和策が利用できない場合は、製品の使用を停止する。
  • 各資産のインターネット露出を評価し、BOD 26-04のパッチ適用ガイドラインに従う。

対処——更新プログラムの適用と期限

  • 2026年10月の更新プログラムを適用する。対応するKBはMSRCのCVE-2026-96951のページを参照。Edgeは154.0.4258.62以降。
  • 公式の回避策は確認できない。
  • CISAの対処期限は2026年10月16日(米連邦機関向け)。

自社の機器が対象かどうかの判断や、すでに侵入されていないかの確認は、構成やログを見ないと判断できません。


参考文献

重大な脆弱性が出たら、メールでお知らせします

悪用が確認された重大な脆弱性が出たときだけ送ります(頻繁には送りません)。無料・配信停止はメール内のリンクからいつでもできます。

個人情報の扱い

脆弱性への対応・AIセキュリティでお困りの方へ

クリスタルメソッドは、脆弱性情報の監視とお知らせ、AIセキュリティのご相談、AIを業務に取り入れる際のセキュリティを学ぶ研修をお受けしています。「使っている製品が対象か分からない」「社内でAIを使うときの注意点を整理したい」といった段階からご相談いただけます。

AIニュースのまとめをメールで

毎週月曜、海外AIニュースの日次ダイジェストを1週間分まとめてお届けします。無料・いつでも配信を停止できます。

監修

河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
運営会社について | 編集方針

Read next

あわせて読みたい

  • PAN-OS管理画面にRCE脆弱性CVE-2026-0322、悪用確認で更新急げ

    PAN-OS管理画面にRCE脆弱性CVE-2026-0322、悪用確認で更新急げ

    CVE-2026-0322 の概要:何が起きているか 2026年10月14日、Palo Alto Networksは自社のファイアウォールOS「PAN-OS」の...

  • Plex Media Server脆弱性CVE-2026-96654——KEV登録・既存版は更新を

    Plex Media Server脆弱性CVE-2026-96654——KEV登録・既存版は更新を

    CVE-2026-96654とは——Plex Media Serverで悪用が確認された脆弱性の概要 2026年10月20日、米国サイバーセキュリティ・インフラ...

  • 2016年公表のStruts脆弱性CVE-2016-3081、10月にCISAが悪用確認

    2016年公表のStruts脆弱性CVE-2016-3081、10月にCISAが悪用確認

    CVE-2016-3081とは——Apache Strutsに潜むリモートコード実行の脆弱性 CVE-2016-3081は、Javaのウェブアプリケーションフレ...

View more