IoT導入のためのポイントとは?
では、今度は実際にIoTを取り入れる場合において、
考えなければいけないポイントについて解説します。
主な要点としては下記の様なポイントがあります。
ポイント その① IoT導入の目的やビジョンの明確化
まずはIoTを導入することにより、どのような結果を得たいのか、
明確なビジョンを考えるようにしましょう。
最終的な目標が定まっていないと事業戦略に迷いが出てしまいます。
そのため、ビジョンを確定させてから必要な工程やコスト、
人材などを見積もり、逆算して戦略を立てていきましょう。
ポイント その② ITやIoTに詳しい人材の確保
次にITやIoTに詳しい人材を確保すること、
もしくは自社内で育てていくことも大事なポイントになります。
IoT機器を製造もしくはIoTの環境を構築するためには、
システムを構築できるエンジニアや、データを分析するサイエンティストも必要です。
そのため、できれば自社内でIoTエンジニアやデータサイエンティストを育て、
IoT環境の構築を目指すと良いでしょう。
ポイント その③ PoC(Proof of Concept)を実施する
新しくIoT機器の導入やシステムを設計する際には、
効果が出るのか予測し検証することも必要になります。
このように新規で実施するプロジェクトやコンセプト施策が実現できるか、
繰り返し検証を行うことをPoC(Proof of Concept)と言います。
日本語では「概念実証」とも呼ばれます。
つまりPoCを定期的に行うことによって、IoTに関する現場担当者と、
経営者の認識のズレやギャップをなくすことも重要なのです。
ポイント その④ スモールビジネスからスタートする
大規模なIoTの導入にはコストも手間も掛かりますので、
まずは現状の課題を解決するスモールビジネスとして、IoTの環境を構築しましょう。
その際、大切なのは変化する顧客のニーズに柔軟に対応できるよう、
繰り返しプロトタイプを作れる環境にしておくことが大事です。
そして、何よりも自社の強みと提供しているサービスに、
どのようにしてIoTを結びつけるかを常に考えることが大切です。
IoT人材に求められるスキルとは?
IoT導入のためのポイントとしてIoTに詳しい人材の確保がありましたが、
実際にどのような人物がIoTを進められるのでしょうか?
そこで、今度はIoT人材に必要なスキルについて解説します。
主に必要と思われるスキルは下記のようなものです。
スキルその① ネットワークに関する知識
IoT機器を導入し活用するためには、当然インターネットに詳しく、
ネットワークシステムについての知識も豊富でないといけません。
IoT機器同士の接続やクラウド上のサーバーに接続する技術、
さらには不具合が起きた際の対応スキルも求められます。
スキルその② 組込系の技術や知識
様々な製品やデバイスなどにCPUを組み込んで動作させる技術も必須です。
また、ソフトだけではなくハードウェアに関する知識も必要でしょう。
ただし、現在のIoT機器には高性能なCPUやメモリが導入されているため、
高度なプログラムを組むスキルは必要なくなっています。
スキルその③ アプリ構築の技術や知識
インターネットによりモノからデータを取得・操作するためには、
スマホやタブレットから操作できるアプリの開発も必要になります。
そのため、安定してIoT機器を動作させられるように、
エンジニアの技術や知識も求められることになります。
スキルその④ データ管理や解析するための知識や技術
IoT機器が取得した大量のデータは、正しく分析し活用することで効果を得ます。
しかし、膨大なデータ量は手作業では解析できませんので、
AIなどを活用し解析できるシステムを構築できる人材が必要となります。
そのため、AIに関する技術やスキル、ビッグデータに詳しい人材の確保も重要です。
IoTの活用事例について
それでは、最後に実際のIoT導入の成功事例について見ていきましょう。
IoTは複数のモノが連携することで新しい価値提供が可能になります。
具体的には下記の様な事例があります。
事例① ウェアラブルデバイスでの健康データ管理
AppleのApple Watchでは、センサーで心拍数や睡眠状態などを把握、
健康状態を可視化するサービスを提供しています。
こうした手首や腕、頭などに装着するコンピューターデバイスを
ウェアラブルデバイスと言いますが、これもIoTの仕組みが活かされています。
人間だけでなく、ペットなどにも首輪で付けられるデバイスもあるため、
幅広い顧客層に需要があり、市場も拡大していくと思われます。
事例② スマートハウスでの家電製品の操作
IoT家電を配置して、音声認識AIによる操作で利便性を良くした
「スマートハウス」の仕組みもIoTを上手く活用した事例です。
この動画は、トヨタホームが公開したIoTを活用したスマートハウスを紹介するものです。
スマートハウスは単にスイッチ操作の手間がなくなるメリット以外にも、
自動で照明や電気をオフにするなどの設定で省エネも実現できます。
外出先からのエアコンや給湯器の操作も可能ですので、
日々忙しい方には重宝するIoTの仕組みになっています。
事例③ 車や機械などの自動運転システム
近年開発が進んでいる自動車などの自動運転システムも、
IoTが積極的に活用されている良い事例です。
車内に搭載したAIやセンサーの技術により、走行状況や位置を認識し、
より安全に運転できるように分析データが送られてきます。
また、車だけでなく工場の機械にもこうしたIoT機器は導入され、
トラブル防止や異常検知などで役立っています。
事例④ 服薬容器のIoT化
脳梗塞患者のために服用しなければいけない薬のケースをIoT化、
時間になるとスマートフォンに通知が来るシステムを導入した例もあります。
錠剤をケースから取り出すことでセンサーが検知し、
記録がデータとして保存され本人や医師、薬局が確認できます。
薬剤の飲み忘れ防止や服用による症状の改善効果測定などが期待されており、
医療・ヘルスケアの分野で取り入れられています。
事例⑤ 建物の安全確認システム
建築の分野では大成建設が、地震発生時における建物の安全性をすぐにチェック、
ダメージなどを測定し施設管理者に通知できるIoTの仕組みを取り入れました。
建物の要所に加速度センサーを組み込むことで、地震直後に健全性を確認・評価、
即時通知でデータが送られてくるようにしています。
このシステムで施設管理者は建物の現地調査にわざわざ来る必要がなくなり、
建物の使用可否を素早く判断できるようになります。
事例⑥ 農業機械へのIoT活用
農業分野では農作機大手のヤンマーなどが農作機械にIoTの仕組みを導入し、
効率的な農業を行えるように取り組んでいます。
この動画は、ヤンマーが公開したIoTを活用した近未来の農業を紹介するものです。
スマートアシストと言うシステムを導入し農作機にセンサーを設置、
作物の情報や農機の稼働状況や位置情報も送信してくれます。
また、不具合などのトラブル検知や盗難時などにも通知してくれるため、
農業従事者にとって非常に助けになるIoTの活用方法となっています。
事例⑦ 正確な気象予測と船舶航路の提案システム
気象情報を扱うウェザーニューズでは、船の位置情報や気象情報などから、
より正確な気象予測や船舶の航路提案などを行うIoT機器を開発しました。
海運企業で世界ナンバーワンのA.P. モラー・マースク社と契約を結び、
800隻を超える船舶からの運行情報などを取得し活用しています。
これにより、船舶は常に最新の位置情報や気象データを取得でき、
運航によるリスクも管理、安全に業務が行えるようになっています。
事例⑧ 倉庫管理やピッキングでのIoT活用
物流業界では商品を運ぶピッキング作業にIoTを活用し、
これまで人が行っていた運搬作業を、ロボットが代わりに行う仕組みにしました。
自動で商品をスタッフのいる場所まで運搬してくれるため、
広い倉庫をわざわざ移動する手間や時間が省ける効果があります。
さらに、倉庫内の資材にICタグなどを設置すれば、ドローンでの上空からの管理もでき、
物流業界での省力化や効率化に役立っています。
事例⑨ IoTでの発注業務自動化
酒類の卸売業者の中にはIoTを取り入れることで手間のかかる棚卸作業、
将来的には発注作業も自動化するという取り組みも出ています。
重量をセンサーで感知し在庫を把握できるIoTを導入することで、
従来では時間が掛かっていた棚卸を効率化しています。
これにより人手不足や過剰在庫などのリスクも低減が可能となり、
今後は取引先への発注手続きも自動化されることが期待されています。
事例⑩ 鳥獣被害対策へのIoT活用
地方自治体では鳥やイノシシなどの獣での水田・畑の被害を防ぐため、
獣検知センサーや罠捕獲センサーを設置するIoT化を実施しています。
センサーが獣を検知するとサイレンやフラッシュで獣を追い払い、
検知した情報が農家や猟友会などに送信される仕組みとなっています。
これにより、迅速に追い払いや捕獲が可能となり、畑や水田の作物被害も低減、
農家の作物収入増加の効果が期待されています。