第5回「AIがみどりの窓口で働く日へ」

駅 対話AI みどりの窓口 道案内 DeepAICopy

事務員・タクシー運転手・電車運転士・倉庫作業員・警備員・工場労働者・スーパー/コンビニ店員。これらは近い未来において、AIに置き換えられる可能性が高い職業の一事例です。その他にも、特にAIが特別な才能を発揮すると言われている職種が、「受付業務」に携わる領域となります。

どのような企業や公共機関においても、基本的にはこの「受付」という人員が配置されています。「受付」の役割は、その場所に来た人間とコミュニケーションを取りながら、その人が求めているものを理解し、その理解に基づいて適切な回答や誘導を行うというものになります。

病院の窓口がイメージをしやすいかもしれません。病院を訪れる人間は、大きく分けて「患者」「患者の関係者」「病院の関係者」に分かれます。病院の関係者というのは、そこに働く医師や看護師だけではなく、外部のアドバイザー、医療資材を配達に来た方、医療機器や薬剤の営業をされに来た方なども含みます。それぞれに求めるものが違いますから、受付では彼らがどのような立場にある人で、どのような要望を持ち、何の解決を求めているのかについて、短い時間で適切に処理をする必要があります。

AIの深層学習には膨大な情報の蓄積・分析・活用を自律的に行える特徴があります。この特徴を用いて、人間の対話を自然に行えるような能力を発揮し始めていますので、まさに上述のような窓口業務でも存在感を示し始めています。また、こうした対話AIの強みとして数えられる更なる特徴が翻訳分野です。Google翻訳に代表されるように、ニューラル機械翻訳は日々進化を遂げています。コロナ禍により日本で仕事や生活を行う外国人の比率は多少ながら下がりましたが、人手不足の解消策として外国人労働力を積極的に呼び込んでいる昨今、このグローバリズムの波は今後も高まる事が予想されます。あらゆる組織の窓口において、外国語にも対応できる対話AIが大いに活躍するはずです。

多言語

特に、日本人・外国人問わず、毎日、多種多様な無数の人間が行き来する交通機関においては、こうした案内役としてのAIがとても大切な存在となり得ます。首都圏にお住まいの皆様にとってお馴染みの駅の案内場所、「みどりの窓口」もその良い事例です。20215月、JR東日本はコロナ禍の安全対策や事業の効率性を鑑みて、「みどりの窓口」を2025年までに約7割廃止するという決定を発表しました。廃止された場所で、JR東日本は無人化・遠隔化を進め、遠隔映像によるオペレーター対応やスマートフォン予約システムの拡充を目指すとしています。

しかし、先ほどのように駅というのは様々な背景を持った人たちが行き交う場所ですから、遠隔では行いにくい公共サービスもあります。遠隔操作では、どうしても瞬時の対応が出来ないケースも生じるでしょうし、直接的な肉体の感覚がなければ五感をうまく働かせる事も出来ません。例えば、外国人乗客が何か困った事があった際、現場に案内人がいれば全く言葉が通じなくてもボディランゲージや表情、細かいガイドブックの文字などから状況を判断する事も出来ます。遠隔オペレーターではそうした対応をしにくく、また簡単な道案内をする事も困難が伴います。遠隔オペレーターシステムでは、「あちらにまっすぐ進んで下さい」という事を伝えるだけでも一苦労です。

とは言え、この時代において経費を考えずに案内役の人員を多数配置する事は難しいので、やはりそこで対話AIの可能性が光ります。例えば、弊社が開発した対話AIDeepAICopy」は、映像を伴う自然な対話を自動生成する事が出来るプログラムです。実在する人物の容姿や個性を取り込む事で、実際に誰かと話しているような感覚を再現する事が出来ます。AIとしての効率性と正確性の強みを活かしながら、人間の感覚的な安心感も表現出来ますので、駅のような公共性の高い空間における案内役としても十分に機能を果たしてくれるでしょう。これをロボットに組み込んで身体的な拡張性を加えれば、道案内も自由自在に行う事が出来るようになります。

今後、AIと日常会話が円滑に行えるようになる時代になりますと、私たちはあらゆるシーンで対話AI搭載の「案内役」に出くわす事になるでしょう。どうしても解決しきれない難しい問題のみ人間が対応するという運営体制にすれば、私たちが抱えている慢性的な人手不足も解決に向かいます。