blog
AIブログ
Linuxカーネルmlx5eにCVE-2026-99078——CVSS9.8、修正版へ更新を
文:クリスタルメソッド編集部 監修:河合 継(代表取締役)

CVE-2026-99078とは——mlx5eドライバのバッファ管理に潜む致命的不備
2026年10月23日、Linuxカーネルのネットワークドライバ「mlx5e」に深刻な脆弱性CVE-2026-99078が公開された(最終更新:2026年10月24日、採番元CNA:Linux)。CVSS 3.1スコアは9.8(Critical)と評価されており、スコアのベクトルはAV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:Hだ。認証不要・ネットワーク越しに攻撃可能という条件であることが、このスコアの高さに直結している。
問題の根本は、striding RQ上でAF_XDP(高速パケット処理向けのLinuxソケット機構)を使用している場合のXSKバッファ解放処理にある。mlx5eはXSKバッファの解放をMPWQE(Multi-Packet WQE)の再充填まで遅延させる設計だが、XSKアロケーションが-ENOMEMを返してメモリ確保に失敗した場合、actual_wq_headが前進しない。これにより後続のNAPI pollが同じWQEを再試行する。
mlx5e_free_rx_mpwqe()は解放済みの各スロットを「解放可能(releasable)」とマークしたままにするため、再試行時にフレームがXSKプールへ戻されて再割り当てされた後でも、古いポインタを経由してxsk_buff_free()が再度呼ばれる可能性がある。いわゆる「stale pointer経由の二重解放」の問題だ。
20秒間のAF_XDPゼロコピー負荷テストでは、1,575,262回のバッファ割り当て失敗が発生したが、無効なディスクリプタ・WQEエラー・カーネル警告は発生しなかった。
同じmlx5eに見つかったもう一つの脆弱性は、mlx5eのCVE-2026-99079で説明しています。
CVE-2026-99078の影響を受けるLinuxカーネルバージョン
CVE公式記録(cve.org)によれば、影響の有無は次の通り整理される。
| 系列 | 状態 | 修正済みバージョン(以降) |
|---|---|---|
| 6.4以降(各系列の修正版より前) | 影響あり | 下の各系列の修正版へ |
| 6.6系 | 修正済み | 6.6.160以降 |
| 6.12系 | 修正済み | 6.12.113以降 |
| 6.18系 | 修正済み | 6.18.57以降 |
| 7.2系 | 修正済み | 7.2.11以降 |
| 7.3系以降 | 修正済み | 7.3(修正コミット適用済み) |
| 6.4未満 | 影響なし | — |
なお、2026年11月1日時点のEPSS(悪用確率の統計的推定値)は0.00455(パーセンタイル:0.395)と低水準だ。EPSSはあくまで統計的な推定であり、将来の悪用を保証するものでも否定するものでもない。CISA KEV(Known Exploited Vulnerabilities)への掲載はなく、現時点で実際の悪用が報告されたという情報は確認されていない。
CVE-2026-99078への対応と注意点
現時点で取るべき行動は次の通りだ。
影響を受けるバージョンを使用している場合は、ベンダーの告知が示す修正済みバージョンへ更新する。配布パッケージについては、各ベンダーの告知に記載された修正版で判断する。
公式の回避策は現時点でCVE記録に記載がない。
自社の機器が対象かどうかの判断や、すでに侵入されていないかの確認は、構成やログを見ないと判断できません。
参考文献
- CVE-2026-99078 公式記録 — https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2026-99078
- NVD(National Vulnerability Database)CVE-2026-99078 — https://nvd.nist.gov/vuln/detail/CVE-2026-99078
重大な脆弱性が出たら、メールでお知らせします
悪用が確認された重大な脆弱性が出たときだけ送ります(頻繁には送りません)。無料・配信停止はメール内のリンクからいつでもできます。
脆弱性への対応・AIセキュリティでお困りの方へ
クリスタルメソッドは、脆弱性情報の監視とお知らせ、AIセキュリティのご相談、AIを業務に取り入れる際のセキュリティを学ぶ研修をお受けしています。「使っている製品が対象か分からない」「社内でAIを使うときの注意点を整理したい」といった段階からご相談いただけます。
- 無料相談・お問い合わせ:ご相談はこちら
- 提供内容と料金:脆弱性の監視サービス
Read next
あわせて読みたい
-
Linuxカーネルmlx5eにCVE-2026-99079——CVSS9.8、修正版へ更新を
CVE-2026-99079とは——mlx5eで何が起きたか 2026年10月23日、Linuxカーネルの採番機関(CNA)によりCVE-2026-99079が...
-
Linuxカーネルlibiscsiに脆弱性CVE-2026-99153——修正版へ更新を
CVE-2026-99153とは——LinuxカーネルlibiscsiのITT検証不備 2026年10月28日、Linuxカーネルのlibiscsiコンポーネン...
-
Linux脆弱性CVE-2026-99046――gveドライバのXSKバッファリークと対応手順
CVE-2026-99046 の概要:gveドライバで何が起きているか 2026年10月23日、Linuxカーネルの公式CVEレコード(採番元CNA:Linux...
