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Qwen 比較2026年版|GPT-4o・Claude・DeepSeekと性能・料金・用途を検証

Qwen 比較2026年版|GPT-4o・Claude・DeepSeekと性能・料金・用途を検証

この記事の読み方:比較軸を絞り、意思決定に直結する情報だけを示す

Alibaba Cloudが開発する大規模言語モデル「Qwen」シリーズを導入検討するとき、多くの経営・事業責任者が最初に問うのは「既存のGPT-4oやClaudeと比べて、切り替えるだけの合理性があるか」という一点に尽きる。本記事はその問いに正面から答えるため、ベンチマーク・API料金・用途適合性・セルフホスト実現性の四軸でQwenと主要競合をQwen 比較の観点から検証する。

Qwenシリーズの全体像・基本概念についてはQwen総合ガイドに譲る。本記事は「どのモデルをどの用途に選ぶか」という意思決定に直結する比較情報だけを掘り下げる。

2026年6月時点でのQwenの現行ラインナップは、クローズドな旗艦API(qwen3-max・qwen3.5-plus・qwen3.5-flash)と、Apache 2.0で無料配布されるオープンウェイトモデル(Qwen3-235B-A22B等)の二層構造である。この構造を前提として比較を読み進めてほしい。なお、一部情報媒体で「Qwen3.6」「Qwen3.7」といったバージョン名が言及されているが、2026年6月時点のAlibaba Cloud Model Studio公式ドキュメントでは確認できないため、本記事では断定せず言及しない。

クローズドAPI層 qwen3-max / qwen3.5-plus / qwen3.5-flash Alibaba Cloud Model Studio 従量課金 重み非公開・HuggingFaceからDL不可 オープンウェイト層 Qwen3-235B / 32B / Coder / VL 他 Apache 2.0 / HuggingFace 無料DL 商用利用可(モデルごとにライセンス要確認)
Qwen二層構造の概念図(出典:Alibaba Cloud Model Studio公式ドキュメント、2026年6月8日確認)

Qwen 比較の前提:現行ラインナップと比較対象モデルの整理

比較の土台として、Qwenの現行モデルと比較対象を一覧化する。数値・モデル名はAlibaba Cloud Model Studio公式ドキュメント(2026年6月8日確認)を根拠とする。

モデル名 パラメータ規模 公開形態 主な用途
qwen3-max 1兆超のMoE(重み非公開) クローズドAPI 複雑なタスク・エージェント
qwen3.5-plus 非公開 クローズドAPI 性能・速度・コストのバランス
qwen3.5-flash 非公開 クローズドAPI 軽量・高速・低コスト
Qwen3-235B-A22B 総235B・活性22B(MoE) オープンウェイト Apache 2.0 推論・数学・コード生成
Qwen3-32B / 14B / 8B / 4B / 1.7B / 0.6B 320億〜6億(密モデル) オープンウェイト Apache 2.0 エッジ・ローカル推論
Qwen3-Coder(例: Qwen3-Coder-Next 総80B/活性3B) 80B超のMoE オープンウェイト コード生成・コーディングエージェント
Qwen3-VL(例: Qwen3-VL-235B-A22B-Instruct) 235B MoE オープンウェイト 画像・動画理解

本記事での比較対象はGPT-4o(OpenAI)・Claude 3.5 Sonnet(Anthropic)・Gemini 1.5 Pro(Google)・DeepSeek-V3およびDeepSeek-R1(DeepSeek)とする。いずれも2026年6月時点でエンタープライズ導入が現実的な選択肢として検討されるモデルだ。

Qwenシリーズの料金詳細はQwen料金ガイドを、各モデル間の細かな違いはQwenモデルの違い解説を参照されたい。

ベンチマーク比較:Qwen 比較で数値が示す実力の輪郭

ベンチマークスコアは「特定の評価セットにおける正答率」であり、実業務での精度と直結しない点を前置きしたうえで、現行の代表的なスコアを示す。以下の数値はQwen公式ブログ(https://qwenlm.github.io/blog/qwen3/、2026年6月8日確認)を主要根拠とする。

モデル GPQA Diamond(科学・論理) AIME 2024(競技数学) HumanEval+(コード生成)
GPT-4o(OpenAI) 53.6% 90.2%
Claude 3.5 Sonnet(Anthropic) 59.4% 92.0%
Gemini 1.5 Pro(Google) 46.2% 84.1%
DeepSeek-R1 71.5% 79.8%
Qwen3-32B 68.4% 72.0% 90.1%
Qwen3-235B-A22B 77.2% 85.7% 93.8%

三点を整理する。第一に、Qwen3-235B-A22BはGPQA Diamond(科学・論理の高難度問題集)で77.2%を記録し、比較対象の中で最上位水準にある。第二に、AIME 2024(競技数学)の85.7%はDeepSeek-R1の79.8%を上回る。第三に、HumanEval+のコード生成では93.8%を示し、Claude 3.5 Sonnetの92.0%・GPT-4oの90.2%を超える水準にある(出典:Qwen公式ブログ https://qwenlm.github.io/blog/qwen3/)。

ただし、Qwen3-235B-A22BはApache 2.0のオープンウェイトモデルであり、これらのスコアを実業務で活かすには相応のGPUインフラが必要な点に注意が必要だ。APIとして利用する場合の旗艦はqwen3-maxであり、そのベンチマーク詳細は公式発表を随時確認されたい。

なお、J-STAGEに掲載された「学術論文における生成的AI:DeepSeek、Qwen、ChatGPT、Gemini、Llama…」(国立研究開発法人科学技術振興機構、J-GLOBAL)では、複数のLLMを学術的文脈で比較評価しており、Qwenシリーズが実用研究の比較対象として一定の地位を占めていることが確認できる(出典:https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202502208468800477)。

Qwen3のアーキテクチャと思考モード切り替えの仕組みについてはQwen3詳細解説を参照されたい。

API料金比較:コストで見たQwen 比較の優位と限界

エンタープライズ導入においてランニングコストは稟議の最重要項目の一つである。以下はAlibaba Cloud Model Studio公式料金ページ(https://www.alibabacloud.com/help/en/model-studio/model-pricing、2026年6月8日確認)および各社公表値をもとにした参考値だ。為替・プランの変更により変動するため、稟議提出前には必ず公式ページで最新値を確認すること。

モデル 入力(USD/100万トークン) 出力(USD/100万トークン) 備考
GPT-4o(OpenAI) $5.00 $15.00
Claude 3.5 Sonnet(Anthropic) $3.00 $15.00
Gemini 1.5 Pro(Google) $3.50 $10.50
DeepSeek-V3 $0.27 $1.10
qwen3-max(Alibaba Cloud) 約$1.20〜$3.00(段階課金) 約$6.00〜$15.00(段階課金) 入力長で段階課金
qwen3.5-plus(Alibaba Cloud) 約$0.40〜$1.20(段階課金) 約$1.20〜$3.60(段階課金) 入力長で段階課金
qwen3.5-flash(Alibaba Cloud) 約$0.05〜$0.25(段階課金) 約$0.40〜$2.00(段階課金) 入力長で段階課金

コスト面で整理すべきポイントは二つある。一つは、qwen3-maxの入力コスト最低水準(約$1.20/100万トークン)はGPT-5.5の$5.00と比べて大幅に低く、大量のAPI呼び出しが発生するプロダクション環境では差が顕在化しやすい。もう一つは、qwen3.5-flashは入力約$0.05〜$0.25という水準で、分類・要約・簡易QAのような単純タスクを大量処理するバッチワークフローに適している。

ただし、純粋なAPIコスト最安値はDeepSeek-V3($0.27/100万トークン入力)が上回る場面が多い。「安さのみ」を基準にするならDeepSeek-V3も有力候補であり、Qwenの優位性はコスト・性能・マルチモーダル・ライセンスを総合したバランスにある。

なお、旧来あった無料開発者API枠は2026年4月頃に終了しており、現在は一時的なオンボーディングトライアル枠と、一般ユーザー向けの無料チャットアプリ(chat.qwen.ai)という形態となっている(公式ドキュメント、2026年6月時点)。セルフホストの環境構築手順についてはQwen導入・セットアップガイドを参照されたい。

用途別比較:Qwen 比較から導く選定マトリクス

「どのモデルが最も優れているか」という問いより「自社のユースケースにどれが合うか」という問いのほうが稟議上は本質的だ。以下に代表的な業務用途を軸とした選定指針を示す。

用途 Qwenの評価 主な競合の評価 選定指針
中国語コンテンツ生成・翻訳 ◎ 明確な優位 GPT-4o ○ / Claude 3.5 ○ 日中・中英バイリンガル用途ではQwenを第一候補とする
日本語文章生成・コピーライティング ○ 実用水準 GPT-4o ◎ / Claude 3.5 ◎ 和文表現の精妙さが最優先ならGPT-4o・Claudeが有力
コード生成・デバッグ・エージェント ◎ オープンウェイトトップ水準 Claude 3.5 ◎ / GPT-4o ◎ セルフホストでApache 2.0ならQwen3-Coderが有力候補
数学・論理推論・研究支援 ◎ AIME 2024で85.7% DeepSeek-R1 ○(79.8%) 推論精度最優先ならQwen3-235B-A22Bがオープンウェイトで最高水準
大量バッチ処理・コスト重視 ◎ qwen3.5-flashが低コスト DeepSeek-V3 ◎(最安値圏) 最安値ならDeepSeek-V3、Qwenはエコシステムとのバランスで選ぶ
画像・文書・動画理解 ◎ Qwen3-VLがオープンウェイトトップ水準 GPT-4o ◎ / Gemini ◎ OSS構成でマルチモーダルを内製化するならQwen3-VLが有力
超長文コンテキスト(数百万トークン) △ 現行は128K Gemini 1.5 Pro ◎(1Mトークン) 超長文書処理が必須ならGemini 1.5 Proが現実解
ハルシネーション抑制・事実確認 △ 改善途上 Claude 3.5 ◎ 医療・法務・コンプライアンス用途ではClaudeが優位
オンプレ・プライベートクラウド展開 ◎ Apache 2.0で商用利用可 Llama(Meta) ○(条件付き商用) 制限の少ない商用利用ならQwen3 Apache 2.0が最有力候補の一つ

◎=明確な優位 ○=実用水準 △=改善途上または用途に不向き(評価は目安であり、実業務での検証を推奨)

Qwen3-VLのマルチモーダル能力についてはQwen-VL詳細解説を、コード生成特化モデルの詳細はQwen-Coder詳細解説を、画像編集・生成機能についてはQwen画像編集解説を参照されたい。

DeepSeekとのQwen 比較:中国系オープンウェイトモデルの分岐点

Qwen検討時に最も頻繁に並走する競合がDeepSeek-V3・R1だ。両者ともに中国発・高品質・オープンウェイトという共通項を持ち、エンタープライズで同時に検討されることが多い。J-STAGEに掲載された「中国語映画スクリプト継続に関する大規模言語モデルの比較研究」(国立研究開発法人科学技術振興機構、J-GLOBAL)では、複数のLLMを中国語の自然言語生成タスクで比較しており、Qwenシリーズが中国語処理において学術的にも注目される存在であることが確認できる(出典:https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202602213732785970)。

比較軸 Qwen3-235B-A22B DeepSeek-V3 DeepSeek-R1
アーキテクチャ MoE(総235B・活性22B) MoE(総685B・活性37B) MoE+強化学習推論(総671B・活性37B)
GPQA Diamond 77.2% 59.1% 71.5%
AIME 2024 85.7% 79.8%
中国語品質
マルチモーダル対応 ◎(VL・画像生成・音声が充実) △(別系統のJanusが存在)
ライセンス Apache 2.0 MIT MIT
API入力コスト(参考最低水準) 約$1.20/100万トークン(qwen3-max、段階課金) $0.27/100万トークン $0.55〜/100万トークン

推論・数学・コード生成ではQwen3-235B-A22Bがベンチマーク上位にある。DeepSeek-V3はAPIコストの安さとMITライセンスの自由度が強みだが、マルチモーダルの充実度ではQwenに差がある。DeepSeek-R1は強化学習を活用した推論特化の設計で数学・論理タスクに強いが、Qwen3-235B-A22BのAIME 2024スコア85.7%はこれを上回る(出典:Qwen公式ブログ https://qwenlm.github.io/blog/qwen3/)。

純粋なAPIコスト最安値ではDeepSeek-V3が依然として優位であり、Qwenはマルチモーダル対応の充実・特化モデルのエコシステム・Apache 2.0ライセンスの使いやすさを総合した価値を判断軸とする。

セルフホストのROI試算:Qwen 比較における内製化の判断軸

オープンウェイト版Qwen3をオンプレミスまたはプライベートクラウドで動かす場合のコスト感を示す。以下は参考目安であり、実際のコストはGPU調達方法・稼働率・量子化設定により大きく変動する。

モデル 推奨VRAM(FP16) 量子化(Q4)時の目安VRAM 月額クラウドGPU目安
Qwen3-8B 約16GB 約8GB $100〜$300程度
Qwen3-32B 約64GB 約20〜24GB(RTX 4090 1枚で動作可) $1,000〜$3,000程度
Qwen3-235B-A22B(MoE) 全重みロード時400GB超、推論時は活性22B相当 量子化とMoE対応フレームワーク(llama.cpp・vLLM等)で現実的な構成が可能 $4,000〜$10,000程度

セルフホストのROIが成立しやすい条件は概ね三つある。一つは月間API利用コストが相応の水準を超えるトークン消費量があること。もう一つはデータをクラウドに送れないセキュリティ・コンプライアンス要件が存在すること。三つ目は応答速度やシステム統合の自由度を高めるために推論インフラを内製化したいケースだ。

Alibaba CloudのAPIを利用する場合、データが経由するリージョンについては日本・欧州リージョンを含め、法務・コンプライアンス部門との事前確認が必要である。GDPRや日本の個人情報保護法に厳格に対応すべき用途では、オープンウェイト版のプライベートクラウドへのデプロイが現実的な選択肢となる。

音声・対話インターフェースの活用についてはQwen TTS解説も参考になる。

Qwenを選ぶ理由・選ばない理由:導入判断のための三つの問い

ここまでのQwen 比較を踏まえ、最終的な導入判断をするうえで問うべき問いを三つ示す。

問い1:中国語処理・マルチモーダル内製化・コスト削減のいずれかが優先課題か。この三つのいずれかが当てはまるなら、Qwenは比較の最上位に置くべきモデルである。中国語については他の主要モデルを上回る場面が多く、Qwen3-VLはオープンウェイトのマルチモーダルとして現状の最上位水準にある。APIコストはqwen3-maxの最低水準(約$1.20/100万トークン入力)でGPT-4oの$5.00と比べて大幅に低く、大量処理環境では差が顕在化する。

問い2:オープンウェイトで商用利用できることが重要か。Apache 2.0ライセンスはサービス組み込み・ファインチューニング・再配布を広く認める。MetaのLlamaが条件付きの商用ライセンスを設けているのに対し、Qwen3シリーズはより制限が少ない形での商用展開が可能である(モデルごとにライセンス要確認)。社内LLM基盤をApache 2.0モデルで構築したい場合、Qwen3は現状最有力の選択肢の一つだ。

問い3:日本語品質・ハルシネーション抑制・超長文コンテキストのいずれかが最優先か。この三つが最優先であれば、GPT-4o・Claude 3.5 Sonnet・Gemini 1.5 Proを第一候補とし、Qwenを補完的に使う構成が合理的だ。Qwenの日本語は実用水準には達しているが、和文のレトリックや敬語の精妙さではGPT-4o・Claude 3.5がなお優位な場面がある。ハルシネーション抑制が最優先の医療・法務用途ではClaudeの優位は明確だ。

弊社クリスタルメソッドが開発するバーチャルヒューマン・AIアバターソリューション「DeepAI」では、実在の人物の容姿・表情・声・振る舞いをデジタル空間で再現し、接客・研修・面接練習・広報などの用途で活用される。複数のLLMバックエンドとの接続を前提とした設計のため、Qwenを含む多言語対応モデルとの組み合わせを検討する局面が生じることもある。

Qwenシリーズは2025〜2026年にかけての開発ペースが非常に速く、本記事で示したベンチマーク・料金は変化しうる。最終的な意思決定前には必ず公式のAlibaba Cloud Model StudioおよびQwen公式ブログで最新情報を確認されたい。Qwenシリーズに関するブログ記事一覧はクリスタルメソッドブログからも参照できる。

参考文献

監修

河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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