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DeepSeek APIの使い方:現行モデル・料金・日本語導入と企業利用の注意

DeepSeek APIの使い方を、公式ドキュメントだけを根拠に整理した記事です。2026年10月時点の現行モデルはdeepseek-flashとdeepseek-v4-proの2つで、接続先はhttps://api.deepseek.com、OpenAIのSDKがそのまま使えます。

この記事では、現行モデルと料金、APIキーの取得からリクエスト送信までの手順、日本語で使うときの実務上の注意、企業が利用する前に確認すべき規約上の論点を順に説明します。なお、日本語性能を示す公式の数値は確認できなかったため、記載していません。

DeepSeek APIの使い方:現行モデル・料金・日本語導入と企業利用の注意

現行モデルと仕様(2026年10月時点)

DeepSeek API Docsの料金ページによると、APIで指定するモデル名はdeepseek-flashとdeepseek-v4-proです。前者の実体はDeepSeek-V4.1-Flash、後者はDeepSeek-V4-Pro-0813と表記されています。

項目 deepseek-flash deepseek-v4-pro
モデルの版 DeepSeek-V4.1-Flash DeepSeek-V4-Pro-0813
コンテキスト長 1M 1M
最大出力 最大384K 最大384K
思考モード 非思考・思考(既定は思考) 非思考・思考(既定は思考)
画像入力(Vision) 対応 非対応
同時接続数の上限 2,500 500

両モデルとも、JSON出力、ツール呼び出し、Responses API、Anthropic API形式に対応すると記載されています。FIM補完(ベータ)は非思考モードのみです。

更新履歴(公式のUpdatesページ)では、2026年9月10日にDeepSeek-V4.1-Flashが公開され、deepseek-flashへの切り替えが案内されました。旧Flash系のモデルは廃止され、旧名称は一時的にV4.1-Flashへ振り向けられています。2026年8月13日にはV4-ProのGA版が公開されました。

注意点が1つあります。旧名称のdeepseek-chatとdeepseek-reasonerは、2026年4月24日の更新履歴で2026年7月24日に廃止予定と記載されています。deepseek-v4-flashは現在も受け付けられますが、V4.1-Flashに処理されFlash価格で課金されるとされています。新規に作るコードではdeepseek-flashを使うのが公式の案内に沿った書き方です。

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料金(公式の表の値)

料金はピーク時間帯とオフピーク時間帯で2段階です。以下は公式の料金ページにある100万トークンあたりの米ドルです。

区分 Flash オフピーク Flash ピーク Pro オフピーク Pro ピーク
入力(キャッシュヒット) $0.003 $0.006 $0.022 $0.044
入力(キャッシュミス) $0.15 $0.3 $0.66 $1.32
出力 $0.6 $1.2 $1.98 $3.96

公式の注記では、オフピークの料金はピークの半額です。ピークは月曜から金曜のUTC 01:00-04:00と06:00-10:00で、中国の祝日は除かれます。それ以外の時間帯、週末、祝日の全日はオフピークです。日本時間に直すと、平日の10:00-13:00と15:00-19:00がピークに当たります(UTC+9で換算した値)。

課金は「トークン数×単価」で、チャージ済み残高と付与された残高から引かれ、付与分が先に使われます。公式は価格を変更する可能性があるとしているため、実装前に料金ページを確認してください。

DeepSeek APIの使い方:キー取得から送信まで

公式のクイックスタートによれば、DeepSeek APIはOpenAI形式とAnthropic形式の両方に対応しており、SDKの設定値を変えるだけで使えます。設定値は次のとおりです。

項目 値
base_url(OpenAI形式) https://api.deepseek.com
base_url(Anthropic形式) https://api.deepseek.com/anthropic
api_key DeepSeekのプラットフォームのAPI keysページで作成
model deepseek-flash または deepseek-v4-pro
1. APIキーの作成API keysページで発行2. 環境変数に登録DEEPSEEK_API_KEY3. リクエスト送信base_urlとモデル名を指定
図1:利用開始までの3ステップ

ステップ1:APIキーを作成する

DeepSeekのプラットフォームでアカウントを作り、API keysページでキーを作成します。キーは他人に見せず、ソースコードやリポジトリに書かないでください。

ステップ2:環境変数に設定する

公式のサンプルもキーを環境変数DEEPSEEK_API_KEYから読む形です。

export DEEPSEEK_API_KEY="(発行したキーを入れる)"

ステップ3:リクエストを送る

Pythonの例です。公式サンプルの構成(openaiライブラリ、base_url、思考モードの指定)に沿い、メッセージだけを日本語にしています。事前にpip3 install openaiを実行します。

import os
from openai import OpenAI

client = OpenAI(
    api_key=os.environ.get("DEEPSEEK_API_KEY"),
    base_url="https://api.deepseek.com",
)

response = client.chat.completions.create(
    model="deepseek-flash",
    messages=[
        {"role": "system", "content": "あなたは丁寧な日本語で答えるアシスタントです。"},
        {"role": "user", "content": "APIの利用開始手順を3行で説明してください。"},
    ],
    stream=False,
    reasoning_effort="high",
    extra_body={"thinking": {"type": "enabled"}},
)
print(response.choices[0].message.content)

curlの場合の送信先はhttps://api.deepseek.com/chat/completionsで、Authorization: Bearer $DEEPSEEK_API_KEYヘッダーを付けます。streamをtrueにするとストリーミングで受け取れます。

構造化したデータが欲しいときはJSON出力が使えます。公式のガイドは、response_formatを{'type': 'json_object'}にすること、プロンプトに「json」の語と出力例を入れること、途中で切れないようmax_tokensを適切に設定することを求めています。また、まれに空の内容が返る場合があるとも書かれています。

日本語で使うときの実務上の注意

公式ドキュメントには、日本語の精度を示す数値や、日本語向けの専用機能の記載は確認できませんでした。そのため「日本語性能が高い」とは書けません。採用前に自社の文書で出力品質を試すことが前提です。公式の記載から言える実務上のポイントは次のとおりです。

  • 課金はトークン数ベースです。日本語の文書で必要なトークン数は、公式に記載がないため、自社の文書で実測して見積もってください。
  • コンテキストキャッシュが既定で有効です。公式ガイドは「enabled by default for all users」とし、利用結果のprompt_cache_hit_tokensとprompt_cache_miss_tokensでヒット数を確認できます。固定の社内規程やマニュアルを先頭に置き、質問を後ろに足す構成にすると、ヒットした分は入力単価が下がります。ただしキャッシュは「best-effort」で、ヒット率は保証されません。
  • ピーク時間帯が日本の営業時間と重なります。日本時間の平日10:00-13:00と15:00-19:00はピーク料金です。急ぎでない一括処理は、13:00-15:00や夜間(オフピーク)に回すと単価が半額になります。
  • エラー対応を実装します。公式のエラーコードでは、401は認証失敗(キーの誤り)、402は残高不足、422はパラメータ不正、429はリクエスト過多、500はサーバーエラー、503は過負荷です。500と503は少し待って再試行するよう案内されています。
  • 同時接続数に上限があります。上限はアカウント単位で、どのAPIキーを使っても合算されます。上限(Flashは2,500、Proは500)を超えると429が返ります。上限の引き上げは申請フォームから依頼できると記載されています。
  • 待機中の応答に注意します。推論が10分間始まらないと、サーバーが接続を閉じます。待機中は、非ストリーミングでは空行、ストリーミングでは: keep-aliveのコメントが送られるため、HTTP応答を自前で解析する場合は扱いを考慮してください。

企業利用での注意:規約とプライバシーポリシー

ここでは、公式サイトで公開されている規約類を開いて確認できた記述だけを挙げます。法的な判断は、必ず最新の原文を法務部門が確認してください。

データの保管場所と学習利用(プライバシーポリシー)

日本語版プライバシーポリシー(最終更新日は2026年2月10日)には、収集した情報を「中華人民共和国にある安全なサーバーに保存」すると書かれています。居住国外のサーバーに保存される場合があるとも記載されています。

利用目的には、サービスの改善・開発と、機械学習モデルやアルゴリズムなど自社技術のトレーニングと改善が含まれています。一方、モデル訓練や技術最適化のための個人データ利用を拒否する権利も明記されています。保持期間は、アカウントがある間は入力などのデータが保持されると読める記述です。

つまり、「API経由のデータは学習に使われない」と言い切れる記述は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。機密情報や個人情報を送る場合は、このポリシーの該当箇所を確認し、自社の基準で許容できるかを判断する必要があります。

利用規約(Open Platform利用規約)

Open Platformの利用規約(発効日は2026年4月29日)では、次の点が確認できました。

  • 送信した入力と、それに対応する出力についての責任は利用者にあります(第4.1条)。
  • 出力に関する権利は、DeepSeekが利用者に譲渡するとされています(第4.2条(2))。
  • エンドユーザーに対し、出力がAIによって生成されたものであることを明示する義務があります(第8.1条)。
  • 準拠法は中華人民共和国(大陸)の法律で、まず誠実な協議を行い、それでも解決しない場合は杭州のDeepSeek登記事務所所在地の裁判所に提訴できるとされています(第10条)。

以上は規約の英語原文の記述を要約したものです。

日本企業への示唆(事実と意見を分けて)

ここからは筆者の意見です。公式の記述から確認できる事実は、料金が公開されていること、キャッシュが既定で有効なこと、データが中国本土のサーバーに保存されること、準拠法が中国法であることです。これらを踏まえると、次のような進め方が考えられます。

  1. 機密性の低い用途から試す。公開情報の要約や、社外に出ても問題のない文書の分類など、データ保管場所が問題になりにくい用途で出力品質を確認する。
  2. 個人情報・機密情報は法務と確認してから。前節のプライバシーポリシーと規約を根拠に、送信してよいデータの範囲を社内で決める。
  3. フォールバックを用意する。429や503が返ったときに、別のLLM APIへ切り替えられる設計にしておく。公式のエラーコードの案内にも、429では別のプロバイダーのAPIを一時的に使うことが挙げられています。
  4. コストはピーク・オフピークで設計する。用途ごとにモデル(FlashかPro)と実行時間帯を決めると、単価を抑えやすくなります。

関連記事

〈参考文献〉

監修

河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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