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DeepSeekとは?できること・使い方・モデル・安全性を初心者向けにやさしく解説【2026年版】
文:クリスタルメソッド編集部 監修:河合 継(代表取締役)
「DeepSeek(ディープシーク)って、安くて賢いって聞くけど実際どうなの?」「無料で使えるの?安全なの?」——そんな方に向けて、このページではDeepSeekのできること・使い方・料金・安全性、そして今どうなっているかを、専門用語をできるだけ避けてやさしくまとめます。AIにくわしくない方でも、読み終えるころには「自分なら何に使えそうか」がイメージできるはずです。
細かい仕様・料金表・他AIとの比較は、それぞれの専用記事へリンクしています。まずはここで全体像をつかんでください。最新のニュースを知りたい方は「最新動向」の章からどうぞ。

DeepSeekとは?ひとことで言うと「安くて賢い、中国発のAIアシスタント」
ディープシーク(DeepSeek)は、中国のAI企業「DeepSeek(深度求索)」が開発しているAIアシスタントです。ChatGPTやClaude(クロード)と同じように、質問すると文章で答えてくれたり、文章やコードを作ってくれたりします。
いちばんの特徴は、トップクラスの賢さを、無料のWebチャットや低価格のAPIで使えること。「MoE(混合エキスパート)」というしくみで、必要な部分だけを動かして効率よく動くよう設計されているため、低コストを実現しています。さらにモデルが公開(オープンウェイト)されているので、自分のPCや自社サーバーでも動かせます。2026年10月22日時点の主力はV4世代で、高精度の旗艦モデル「DeepSeek-V4-Pro」と、9月に公開された軽量・低コストの「DeepSeek-V4.1-Flash」の2本立てです。DeepSeek-R1で知られた推論(筋道を立ててじっくり考える働き)は、現行V4モデルの思考モード(答える前にいったん考える動作)に引き継がれています。
Webチャット版を無料で使えるかどうかは、DeepSeekの無料版の仕組み・制限で解説しています。
【2026年10月時点】ディープシークの最新動向:米国が政府機関から排除・現行モデルはV4.1-FlashとV4-Pro
いま話題になっているのは、①米国の政府機関からの排除、②モデルとAPIの更新、③障害と調査をめぐる報道の3つです。順に整理します。
米国が連邦の民生機関からディープシークを排除(2026年10月19〜20日)
- 何が決まったか:米国土安全保障省(DHS)が、Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd(DeepSeek)とその関連会社のIT製品・サービスを連邦の民生機関の調達から外し、DeepSeekと関連会社の製品、およびDeepSeekの実装を使って作られた第三者の製品・サービスを、民生機関のITから取り除くよう命じました。2018年の連邦調達サプライチェーン安全保障法(FASCSA)に基づく命令で、官報(Federal Register)の2026年10月20日号に通知が掲載されています。
- 理由:報道では、政府職員や契約業者がこれらのツールを使うと、機密性の高いデータが中国側に移る恐れがあるためと伝えられています(AFP=時事)。
- 中国の反応:中国外務省は10月20日、毛寧報道官が「国家安全保障の概念を過度に拡大解釈している」と述べて措置に反対しました。時事通信によると、商務省は米中の首脳間の合意を無視したものだとして撤回を求めています。
- 一般の利用者との関係:官報の通知の本文は連邦の民生機関の調達とITについて書かれたもので、個人や一般の民間企業の利用を直接禁じる記載はありません。この点は下の「安全に使うために」の章で、実際に気をつけたいことと合わせて説明します。
(出典:Federal Register Vol.91 No.201「Notice of Order Regarding Exclusion and Removal of DeepSeek Products」(DHS、Docket DHS-2026-0628)、AFPBB News、時事ドットコム。2026年10月22日に確認)。日本企業の立場から見た整理は DeepSeek政府禁止が日本企業に突きつける中国AI調達リスク をご覧ください。
モデルとAPIの更新:現行は「deepseek-flash」と「deepseek-v4-pro」の2本立て
DeepSeekのAPIモデルは2026年10月22日時点で、「deepseek-flash」(DeepSeek-V4.1-Flash・速さと低コスト重視)と「deepseek-v4-pro」(DeepSeek-V4-Pro・高精度の旗艦)の2本立てです。V4.1-Flashは2026年9月10日に公開された最新モデルで、画像も扱えるネイティブのマルチモーダルに対応しました。10月17日には「deepseek-flash」の中身がDeepSeek-V4.1-Flash-1017に更新され、公式のWeb・アプリのモデルも同時に更新されています(公式は、API呼び出し方法と価格は変わらないと案内)。同じ日に、DeepSeek自前の検索エンジンを使う検索API(Search & Fetch)も公開されました。V4-Proは8月13日に正式版(GA)となり、エージェント用途の性能が大きく強化されています。旧モデル名の「deepseek-chat」「deepseek-reasoner」は2026年7月24日で提供終了と告知されていたもので、現在の公式料金ページには載っていません。「deepseek-v4-flash」という旧名も受け付けられますが、中身はV4.1-Flashに転送されます。
- 一度に読み込める文章量が大きい(コンテキスト長 最大1Mトークン・最大出力384K):トークンはAIが文章を扱う単位で、長い文書や大量の資料も一度に読み込めます
- 料金は時間帯で2段階に:2026年8月16日から、混雑する時間帯(ピーク)と空いている時間帯(オフピーク)で単価が変わる方式になり、オフピークはピークの半額です。ピークは平日(中国の祝日を除く)のUTC 01:00〜04:00と06:00〜10:00で、日本時間では10:00〜13:00と15:00〜19:00にあたり、土日と中国の祝日は終日オフピークです。例としてdeepseek-flashの出力100万トークンあたりの単価はオフピーク$0.60/ピーク$1.20、deepseek-v4-proは$1.98/$3.96です。最新の単価表と他社比較は DeepSeek APIの解説 にまとめています
(出典:DeepSeek公式APIドキュメント 料金ページ・更新履歴。単価は2026年10月13日、更新履歴とモデル名は10月22日に確認しました)

DeepSeekのAPI料金は、V4の正式版やV4.1-Flashの公開に合わせて見直されてきました(公式の更新履歴では、V4.1-Flashの公開時にAPI価格が引き下げられたと案内されています)。「DeepSeekはいつも極端に安い」という前提で選ばず、導入を検討するときは最新の料金を都度確認することをおすすめします。
障害と調査をめぐる報道:サービス停止・Anthropicの報告書・中国当局の調査
- 10月15日にサービスが一時使えなくなりました:共同通信によると、DeepSeekは10月15日、対話型AIなどサービスの一部が使えなくなったと発表しました。アプリやウェブサイトには「サーバーは一時利用不可」と表示され、同社は原因を特定して復旧作業を進めていると説明しています。具体的な原因は、確認できた報道では公表されていません。
- Anthropicの報告書がDeepSeekを名指ししました:米Anthropicは2026年9月の報告書「Detecting and countering misuse of AI: September 2026」で、DeepSeekが利用者の依頼を本人に知らせないままClaudeに中継し、その回答を訓練に使っていたと指摘しています。サードパーティ製やClaude Codeなどのコーディングツール経由でDeepSeekのモデルを使っていた利用者の依頼が、Claude Opusへ回されたともしています。報告書は、2026年7月の14日間にDeepSeekによるものと判断した蒸留(他社モデルの出力で自社モデルを学習させること)が1,210万件超のやり取りに及んだと述べています。以上はAnthropic側の調査結果で、DeepSeekが公に見解を示したことは、確認できた範囲では見当たりません。
- 中国当局も調査に着手したと報じられています:時事通信(2026年9月23日配信)によると、中国の国家インターネット情報弁公室が、DeepSeekと月之暗面(ムーンショットAI)について、米AI企業に国家機密情報が流出した疑いがあるとして調査を始めました。調査の結果や処分は、確認できた報道では示されていません。
(出典:共同通信(Yahoo!ニュース)、Anthropic「Countering misuse of AI: September 2026」、時事ドットコム。いずれも2026年10月16日に確認)
次に読む:DeepSeekのWebチャットの使い方は?
DeepSeekで何ができる?(主な機能)
DeepSeek(ディープシーク)は、文章の作成・要約、翻訳、プログラミング支援、データ整理、難しい推論まで、はば広く使えます。試しやすい具体例を挙げると——
- 文章の要約・作成:長いメールや資料を数行に要約したり、たたき台の文章を作る
- 翻訳・言い換え:日本語⇔英語などの翻訳や、堅い文章をやさしく言い換える
- プログラミング支援:コードの生成・修正・エラー原因の説明。思考モードのdeepseek-v4-proは複雑な実装の相談にも向く
- 調べもの・整理:箇条書きの整理、表への変換、アイデア出しの壁打ち
- じっくり考える推論:算数・論理・段取りなど、途中の考え方を示しながら答える(V4系の推論モード)
- コスト・データ面の自由度:無料のWebチャットに加え、開発向けの低価格API、データを外に出したくない場合の自社サーバー実行も選べる
業務でどこまで実用になるか、機能と限界をくわしく知りたい方は DeepSeekでできること(業務別の機能と限界)の解説 をご覧ください。最新モデルの中身は DeepSeek V4の詳細解説、考える過程を見せる推論モデルの系譜は DeepSeek-R1の解説 で紹介しています。
無料で使える?料金はいくら?
DeepSeekはWebチャット(chat.deepseek.com)なら完全無料で使えます。有料の個人サブスクリプションは存在せず、消費者向けチャットは無料のみです(混雑時は「Server Busy」によるスロットリングあり)。なぜ無料で使えるのか・無料の範囲や制限は DeepSeekはなぜ無料で使えるのか に、開発者向けのAPI単価や他社との料金比較は DeepSeekの料金解説 にまとめています(金額は変動するため、必ず最新をご確認ください)。
使い方・利用形態は3つ(Web版/API/ローカル実行)
導入を検討するとき、「どのモデルか」より先に決めておきたいのが「どの形態で使うか」です。形態によってデータの扱いが違います。
| 利用形態 | 向いている人 | データの扱い・注意 |
|---|---|---|
| Web版・アプリ | まず無料で試したい | 入力は中国企業のサーバーで処理される。機密・個人情報は入れない |
| API | 開発・自動化に組み込みたい | 低単価が魅力。規約とデータ保持の確認が前提(API解説) |
| ローカル実行 | データを外に出せない | オープンウェイト(MIT)を自社PC・サーバーで実行(ローカル実行の解説) |
Web版の具体的な操作手順は DeepSeekの使い方ガイド、文書画像をMarkdown化するOCRモデルは DeepSeek-OCRの特徴・使い方の解説 をご覧ください。モデルがMITライセンスのオープンウェイトで公開されている意味は大きく、データを外部に出さずに試せますし、特定の会社のサービスに縛られずに済みます(いわゆる「ベンダーロックイン」を避けやすい)。まずは無料のWeb版で用途に合うかを確かめ、機密を扱う工程だけローカル実行やAPIへ切り分けるのが現実的です。
Web版を今すぐ試す:具体的な手順とプロンプト例
実際に使うイメージがわきやすいよう、Web版での具体的な流れを示します。
- アクセス・登録:chat.deepseek.com にアクセスし、メールアドレスまたは電話番号でアカウントを作成する(登録・利用ともに無料)
- 入力欄にプロンプトを入力:画面下部のテキストボックスに指示文を入力してEnter(または送信ボタン)を押す
- 必要に応じて思考モードに切り替える:算数・論理パズル・込み入った実装相談など「じっくり考えてほしい」課題では思考モードをオンにすると、答えを出す前の考え方の道筋も示しながら回答が返ってくる。単純な要約や雑談は通常モードのままで十分速い
- 出力を確認し、対話を重ねて絞り込む:一度で満足のいく答えが返らない場合は「もっと簡潔に」「表形式でまとめ直して」のように追加で指示を出し、やり取りを重ねて仕上げていく
2026年9月29日に実際の画面で確認したところ、ログイン画面には「ログイン」「新規登録」のほか「Googleでログイン」「Appleでログイン」のボタンがありました。ログイン後のトップ画面には「お手伝いできることはありますか?」という入力欄が表示され、その下に「ディープシンク」(上の手順3の思考モード)と「スマート検索」の切り替えボタンが並んでいます。

例えば「新入社員向けに、ビジネスメールの基本ルールを5つ教えてください。」と送ると、数秒で「件名は用件が一目でわかるように書く」「宛先(To/CC/BCC)を正しく使い分ける」など5つのルールが、悪い例・良い例つきで返ってきました。次の動画は、送信から回答が表示されるまでの画面の流れです(約8秒・コマ送り)。

プロンプト(指示文)は、あいまいな依頼より具体的な依頼のほうが精度の高い回答が返ってきやすいのは、他の生成AIと同様です。目的・条件・出力形式を1文足すだけで結果の的確さが変わります。
- 要約したいとき:「以下の文章を、社内会議で共有する想定で箇条書き3点に要約してください。専門用語は残してよいですが、結論を最初に書いてください。(本文を貼り付け)」
- 翻訳・言い換えたいとき:「次の日本語の文章を、取引先向けの丁寧なビジネス英語に翻訳してください。直訳ではなく英語として自然な言い回しにしてください。(本文を貼り付け)」
- コードを書かせたいとき:「Pythonで、CSVファイルを読み込んで特定の列だけを抽出し別のCSVで出力する関数を書いてください。標準ライブラリのみ使用し、ファイルが存在しない場合のエラー処理も含めてください」
- じっくり考えさせたいとき(思考モード向き):「次の条件を満たす配送ルートを考えてください。まず前提条件を箇条書きで整理し、そのうえで手順を追って結論を導いてください。(条件を記載)」
いずれも、目的(何のために使うか)・条件(制約や前提)・出力形式(箇条書き/表/コードなど)の3点を書き添えるのがコツです。この組み立て方はDeepSeekに限らずChatGPTやClaudeでも共通して有効です。
APIで組み込む場合の基本
自社のツールや業務フローに組み込みたい場合はAPIを使います。DeepSeekのAPIはOpenAIのAPIと互換性のある形式で設計されているため、OpenAI向けに書かれた既存のコードやライブラリを、接続先(エンドポイント)・APIキー・モデル名を書き換えるだけで流用しやすいのが実務上のメリットです。大まかな流れは次のとおりです。
- DeepSeekの公式サイトでアカウントを作成し、APIキーを発行する
- OpenAI互換のクライアントライブラリ(Python・Node.jsなど)で、接続先をDeepSeekのAPIエンドポイントに向ける
- モデル名に「deepseek-flash」(DeepSeek-V4.1-Flash。速さ・低コスト重視)または「deepseek-v4-pro」(精度重視)を指定してリクエストを送る。旧名の「deepseek-v4-flash」も受け付けられるが、公式は「deepseek-flash」を使うよう案内している。どちらのモデルも思考モードに対応し、既定で有効になっている
- まずは低単価のdeepseek-flashで動作確認し、精度が足りない工程だけdeepseek-v4-proに切り替えて費用対効果を見極める、という使い分けが現実的です
- Anthropic形式のAPI(接続先 https://api.deepseek.com/anthropic )にも対応しているため、Claude向けに作ったツールから呼び出す構成も取れます
公式ドキュメントの「Your First API Call」では、接続先(base_url)・モデル名・curlでの呼び出し例が1ページにまとまっています(下の画面)。

具体的なコード例やSDKの選び方は DeepSeek APIの解説 に、Ollamaなどを使って自社PC・サーバーで動かすローカル実行の具体的なコマンド手順は DeepSeekのダウンロード・インストール手順 でまとめています。
ローカル実行のハードルは、正直に言うと高めです。公式モデルカードによると、フル版のV4-Proは総パラメータ1.6兆(活性化49B)、現行のV4.1-Flashも総パラメータ552B(活性化8B/16B)で、どちらも一般的なゲーミングPC(VRAM8〜24GB程度)にそのまま載る大きさではありません。必要なメモリ量は、量子化の方式などで変わるため、公式に記載はありません。モデルの重みはMITライセンスで公開されており(下の画面はV4.1-Flashのモデルページ)、自社サーバーでの実行は可能です。ただし、機密データを外に出したくないという理由だけでフル版のローカル実行を検討する場合は、専用サーバーを構える予算と工数まで含めて判断する必要があります。「ローカルで試したい」だけなら、DeepSeek-R1を蒸留した1.5B〜70Bの小型モデル(公式Hugging Faceで公開)から試すのが現実的です。ただしR1世代のモデルで、現行のV4系とは別物です。

日本語でも使える?
使えます。日本語で質問すれば日本語で答えてくれ、文章の作成・要約・翻訳にも日本語で対応しています。2026年9月29日に確認したWeb版のトップ画面(上の画面)でも、入力欄には「お手伝いできることはありますか?」と日本語で表示されていました。
日本語の自然さや得意・不得意は用途によって差が出ます。まず無料のWeb版で、自分が使いたい場面の質問を試してみるのがいちばん確実です。タスク別の強みと限界、日本語でAPIを使うときの考え方は DeepSeekは日本語に対応している? にまとめています。
ChatGPT・Claudeと何が違う?
大きな違いは、Webチャットが無料で、APIの上位モデルも他社の上位モデルより大幅に安いこと、そしてモデルが公開されていて自分で動かせることです。おおまかな違いを表にまとめると次のとおりです(詳細は各比較記事へ)。
| 比較軸 | DeepSeek | ChatGPT | Claude |
|---|---|---|---|
| 個人向け料金 | Webチャットは完全無料(有料個人プランなし) | 無料枠+Plus $20/月 | 無料枠+Pro $20/月 |
| モデル公開(オープンウェイト) | ◎ MITライセンスで公開・自己ホスト可 | ✕ 非公開 | ✕ 非公開 |
| APIの単価(出力100万トークンあたり・上位モデル) | DeepSeek-V4-Pro $1.98〜3.96 | GPT-6 Astra $50 | Claude Opus 5.5 $20 |
| APIの単価(同・軽量モデル) | DeepSeek-V4.1-Flash $0.60〜1.20 | GPT-6 Luna $0.50 | Claude Haiku 5.5 $0.50 |
| データ処理の拠点 | 中国企業のサーバー(Web/API) | 米国(OpenAI) | 米国(Anthropic) |
APIの単価は、各社の公式料金ページを2026年10月13日に確認した値です(DeepSeek・OpenAI・Anthropic)。DeepSeekの幅は時間帯による違いで、空いている時間帯が安いほう、混雑する時間帯が高いほうです。
この表から分かるとおり、「DeepSeekはどのモデルも他社よりずっと安い」とは言えなくなっています。上位モデルどうしでは今もDeepSeekが5〜25分の1ほどの単価ですが、軽量モデルどうしでは他社が値下げしたため、ほぼ同じ価格帯になりました。大量の処理を安く回したいだけなら他社の軽量モデルも候補になり、難しい推論を安く使いたい場合にDeepSeek-V4-Proの価格の利点が大きい、という整理になります。
参考として、DeepSeek-V4-Proの公式モデルカード(preview版の公開時のもの)のベンチマークでは、コーディングを測る「LiveCodeBench」で93.5と、比較対象のうち値のあるClaude Opus 4.6 Max(88.8)・Gemini 3.1 Pro High(91.7)を上回っています。一方、大学院レベルの専門知識を問う「GPQA Diamond」は90.1で、Gemini 3.1 Pro High(94.3)・GPT-5.4 xHigh(93.0)・Claude Opus 4.6 Max(91.3)を下回ります。比較対象は当時の他社モデルで、現行のGPT-6やClaude 5.5系とは比べていません(出典:Hugging Face公式モデルカード。後述の参考文献を参照)。
くわしい比較は DeepSeekを徹底比較(ChatGPT・Gemini・Claudeとの違い) や DeepSeekとChatGPTの比較 をご覧ください。
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安全に使うために(データ・プライバシーの注意点)
便利な一方で、注意すべき点もあります。Webチャットやアプリに入力したデータは中国企業のサーバーで処理されるため、機密情報・個人情報・営業秘密はそのまま入力しないのが基本です。どうしても扱いたい場合は、ローカルで動かせばデータを外に出さずに使えます。
米国の政府機関での排除は、一般の利用者に関係ある?
官報の通知は連邦の民生機関の調達とITが対象で、個人や一般の民間企業が使うことを直接禁じる記載はありません。ただ、取り除く対象には「DeepSeekの実装を使って作られた第三者の製品・サービス」も含まれています。米国の政府機関と取引のある会社は、自社が使っているツールやサービスの中でDeepSeekが使われていないかを、提供元に確認しておくと安心です。日本の会社が何を確認すべきかは DeepSeek政府禁止が日本企業に突きつける中国AI調達リスク に、日本政府の注意喚起は 業務利用に関する注意喚起の解説 にまとめています。
- 入力してよい目安:公開情報や一般的な作業(要約・翻訳・アイデア出しなど)はそのまま入力可。社内向けだが機密ではない情報は、会社名や固有の数値を伏せ字にしてから入力すると安心です
- 入力を避けるべきもの:氏名・連絡先・契約内容・未公開の技術情報などの顧客情報・個人情報・営業秘密。機密を扱う業務は、ローカル実行やデータ保持を確認したAPI構成を検討する
- その他の注意点:中国製AI特有の応答制限がある話題や、提供者の所在国が問題になる組織では、利用前に社内ルールを確認する
ディープシークをめぐる最近の指摘と、業務で使う前の確認事項
2026年9月から10月にかけて、上で触れたとおり、Anthropicの報告書での指摘と中国当局の調査報道、10月15日の障害が相次ぎました。これらは調査や報道の段階で、事実関係が確定したわけではありません。ただ、業務で使うかどうかを決める材料にはなります。
- どこで処理されるかを確認する:公式のWebチャットやアプリに入れた内容は、前述のとおり中国企業のサーバーで処理されます。第三者のサービスやコーディングツール経由で使う場合は、依頼がどこへ送られ、どのモデルで処理されるのかを、サービス提供元の説明で確認してください。
- 入力する情報の範囲を社内で決める:個人情報・認証情報・未公開の技術情報は、報道の真偽にかかわらず入れない運用が安全です。
- 止まっても業務が回る形にしておく:10月15日のように数時間使えなくなる場合があります。業務の流れに組み込むなら、ほかのAIに切り替えられる手順も用意しておきます。
- 組織のルールを確認する:提供者の所在国や調査報道を理由に、利用を制限している組織もあります。利用前に情報システム部門や法務へ確認してください。
入力前にチェックしたい具体的な判断基準
「機密情報を入れない」と言われても、実務では線引きに迷う場面が多いはずです。次のような基準で考えると判断しやすくなります。
- そのまま入力してよいもの:すでに公開されているニュース記事や公式資料の要約、固有名詞を含まない一般的な文書のひな形作成、公開済みの自社サービス説明文のリライトなど
- 加工してから入力するもの:社内資料の”型”や論理構成だけを借りたい場合は、会社名・氏名・金額・契約番号などの固有情報を「A社」「担当者B」「金額X円」のように伏せ字・仮名に置き換えてから入力する。文面の骨格を使うだけならこの方法で十分なことが多い
- 入力してはいけないもの:顧客の氏名・連絡先・住所などの個人情報、契約書の具体的な条項や金額、未公開の技術仕様や特許出願前の内容、社外秘の人事情報、ログイン情報やAPIキーなどの認証情報。これらは一部を伏せ字にしても文脈から推測されるおそれがあるため、そもそも入力しない
- 保存・利用のされ方への心構え:無料のWebチャットに入力した内容は、サービス改善のためにサーバー側で保持・参照される可能性がある、という前提で使うのが安全です。これはDeepSeekに限らず無料のクラウド型AIサービス全般に共通する考え方です。データの取り扱いを契約で明確にしたい場合は、企業向けAPI契約や、自社サーバーで完結するローカル実行を検討してください
安全性・リスクの詳細と対策、入力してよい/ダメな情報のくわしい線引きは DeepSeekの危険性・リスクの解説 でくわしく取り上げています。
DeepSeekのこれまで:「ショック」から現行モデルまでの歩み(公式APIの更新履歴から)
2025年1月のR1から2026年のV4.1-Flashまでの流れを、DeepSeek公式APIドキュメントの更新履歴(API Docs・Change Log)に載っている日付で並べました。
| 公式の更新日 | モデル | 公式の更新履歴の内容 |
|---|---|---|
| 2025年1月20日 | DeepSeek-R1 | 推論モデルR1がAPIで使えるようになった(model=deepseek-reasoner) |
| 2025年8月21日 | DeepSeek-V3.1 | 1つのモデルで思考モードと非思考モードを使い分ける形に |
| 2025年12月1日 | DeepSeek-V3.2 | deepseek-chat・deepseek-reasonerがV3.2に更新 |
| 2026年4月24日 | DeepSeek-V4(V4-Pro・V4-Flash) | APIがV4-ProとV4-Flashに対応。旧名のdeepseek-chat・deepseek-reasonerは3か月後(2026年7月24日)に提供終了と告知 |
| 2026年7月31日 | DeepSeek-V4-Flash | V4-Flashの正式版APIがパブリックベータとして公開 |
| 2026年8月13日 | DeepSeek-V4-Pro | V4-Proの正式版(GA)をアプリ・Web・APIで展開 |
| 2026年9月10日 | DeepSeek-V4.1-Flash | 画像も扱えるネイティブのマルチモーダル対応。API価格も引き下げ |
(出典:DeepSeek公式APIドキュメント 更新履歴、2026年10月13日確認。各モデルの中身は DeepSeek V4の詳細解説 をご覧ください)
2025年1月「DeepSeekショック」の衝撃
DeepSeekが2025年1月に低コストで高性能とされる推論モデル「R1」を公開したことは、世界のAI業界・株式市場に大きな衝撃を与えました。米国の主要AI関連株が急落し、「高性能AIの開発には巨額の計算資源が必須」という当時の前提が揺らいだ出来事として世界的に報じられ、以降DeepSeekは「低コストで実用的な中国発AI」の代表格として知られています。LLMを業務で選ぶ際は、話題性だけでなくコスト対効果とAPIの安定運用実績を合わせて確認するとよいでしょう。
「ショック」の経緯と、その後の現在地は DeepSeekショックとは何だったか にまとめています。
よくある質問
Q. DeepSeekは無料で使えますか?
A. はい、Webチャット(chat.deepseek.com)は完全無料で使えます。有料の個人サブスクリプションは存在せず、消費者向けチャットは無料のみです。開発者向けのAPIは従量課金で、上位モデル(V4-Pro)は他社の上位モデルより大幅に安く、軽量モデル(V4.1-Flash)は他社の軽量モデルと同じくらいの価格です。
Q. 安全ですか?
A. 入力データは中国のサーバーで処理されるため、機密情報は入力しないのが基本です。ローカルで動かせばデータを外に出さずに使えます。
Q. ディープシークは最近止まったと聞きましたが、本当ですか?
A. 共同通信によると、DeepSeekは2026年10月15日、対話型AIなどサービスの一部が使えなくなったと発表しました。原因は確認できた範囲では公表されていません。業務で使う場合は、止まったときにほかのAIへ切り替えられる手順を用意しておくと安心です。
Q. ディープシークは調査されていると聞きましたが、使って大丈夫ですか?
A. 2026年9月、AnthropicがDeepSeekの依頼中継などを報告書で指摘し、中国当局も調査に着手したと報じられました。結果は出ておらず、事実関係は確定していません。個人情報や機密を入力しない、組織のルールを確認する、という基本を守ったうえで判断してください。
Q. 米国でディープシークが禁止されたと聞きましたが、本当ですか?
A. 米国土安全保障省が、連邦の民生機関の調達から外し、民生機関のITから取り除くよう命じたことが、2026年10月20日の官報に載りました。DeepSeekの実装を使った第三者の製品・サービスも対象です。官報の通知には、個人や一般の民間企業の利用を直接禁じる記載はありません。
Q. ChatGPTと何が一番違いますか?
A. Webチャットに有料プランがなく無料で使える点、APIの上位モデルが他社の上位モデルより大幅に安い点、モデルが公開されていて自分で動かせる点です。一方で、入力したデータは中国企業のサーバーで処理されます。
Q. 日本語でも使えますか?
A. 使えます。日本語での質問・文章作成にも対応しています。
Q. 最新モデルはどれですか?
A. 2026年10月22日時点では、9月10日公開の「DeepSeek-V4.1-Flash」(API名:deepseek-flash。10月17日にV4.1-Flash-1017へ更新)と、8月に正式版となった旗艦「DeepSeek-V4-Pro」(API名:deepseek-v4-pro)の2本立てです。旧モデル名のdeepseek-chat / deepseek-reasonerは2026年7月24日で提供終了と告知されていました(出典:公式APIドキュメント)。
Q. 料金はいくらですか?
A. 個人向けのWebチャットは完全無料で、有料の個人サブスクリプションはありません。開発者向けのAPIのみ従量課金で、2026年8月16日からは時間帯によって単価が変わります(オフピークはピークの半額)。例として出力100万トークンあたり、deepseek-flashはオフピーク$0.60/ピーク$1.20、deepseek-v4-proは$1.98/$3.96です。料金は変動する場合があるため、公式料金ページで最新を確認してください。
Q. 自分のPCで動かしたり、商用利用できますか?
A. できます。V4-Pro・V4-FlashともにMITライセンスのオープンウェイトとして公開されており、自社のPC・サーバーで動かして商用利用することも可能です。
Q. DeepSeekは何と読みますか?どこの会社のAIですか?
A. 「ディープシーク」と読みます。中国のAI企業DeepSeek(深度求索)が開発しているAIアシスタントで、2025年1月に推論モデル「R1」を公開して世界的に知られるようになりました。
Q. DeepSeek-R1はいまも使えますか?
A. APIの旧モデル名(deepseek-chat・deepseek-reasoner)は2026年7月24日で提供終了と告知され、現在の公式料金ページには載っていません。R1で知られた「考える過程を示す」働きは、現行のV4系モデルの思考モードに引き継がれています。公開されているR1のモデルを自分のPC・サーバーで動かす使い方は、ローカル実行の解説をご覧ください。
Q. DeepSeekのAPIは、いまでもほかのAIより安いですか?
A. 上位モデルどうしでは大幅に安いままです。2026年10月13日に各社の公式料金ページで確認した出力100万トークンあたりの単価は、DeepSeek-V4-Proが$1.98〜3.96、Claude Opus 5.5が$20、GPT-6 Astraが$50です。一方、軽量モデルどうしでは差がなくなっており、DeepSeek-V4.1-Flashの$0.60〜1.20に対して、GPT-6 LunaとClaude Haiku 5.5はどちらも$0.50です。
まとめ
DeepSeekは、「安くて賢い」を地で行く、無料から気軽に試せるAIアシスタントです。2026年10月22日時点の主力はV4世代(V4.1-Flash/V4-Pro)で、最大1Mトークンの長コンテキストや推論モードにも対応しています。まずはWebチャットで気になる質問を投げてみてください。米国の政府機関では排除が決まりましたが、個人や一般の民間企業の利用を直接禁じるものではなく、入力する情報に気をつけることが基本です。「もっとくわしく」と思ったら、各専用記事から料金・使い方・安全性・他AIとの違いを深掘りできます。
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参考文献
- DeepSeek 公式APIドキュメント(料金):https://api-docs.deepseek.com/quick_start/pricing(2026年10月13日確認)
- DeepSeek 公式APIドキュメント(モデル更新情報):https://api-docs.deepseek.com/updates(2026年10月22日確認)
- Federal Register Vol.91 No.201(2026年10月20日)DHS「Notice of Order Regarding Exclusion and Removal of DeepSeek Products From Federal Civilian Executive Branch Information Technology Systems and Procurements」:https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2026-10-20/pdf/2026-21447.pdf
- Hugging Face — DeepSeek-V4-Pro 公式モデルカード(ベンチマークスコア出典):https://huggingface.co/deepseek-ai/DeepSeek-V4-Pro
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