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音声生成AIとは?おすすめツール12選と声を作るやり方|無料・商用利用の条件まで
文:クリスタルメソッド編集部 監修:河合 継(代表取締役)
音声生成AIとは、文章や音声を入力すると、人の声に近い自然な音声をAIが作り出す技術・サービスの総称です。無料で試すなら登録なしで使えるSakuraSpeech LITEや音読さん、作り込むならVOICEVOXなどのソフトが入口になります。公開して使う前は、商用利用の可否とクレジット表記の要否を必ず確かめます。

この記事では、音声生成AIとは何かを短く押さえたうえで、無料で試せるものから有料ソフトまでのおすすめツール12選と、実際に声を作るやり方(画面つき)を紹介します。料金・条件は2026年10月26日時点の各公式ページの記載です。AI音声の全体像はAI音声とは、法人向けサービスの詳しい比較はAI音声サービス比較、開発者向けのAPI比較は音声合成API比較で扱っています。
音声生成AIとは?(結論)
音声生成AIとは、文章や音声を入力すると、人間に近い自然な音声をAIで作り出す技術・サービスの総称です。代表的な種類は、文章を読み上げる「音声合成(TTS)」、特定の人の声を再現する「ボイスクローン」、話し声の声質を別の声に変える「音声変換」、歌声を作る「歌声合成」などです。
ナレーション制作、動画の吹き替え、読み上げ、キャラクターの声づくりなど用途は幅広く、どの種類を選ぶかは「何を入力して、どんな声を出したいか」で決まります。種類ごとの違いと、目的からの選び方はこのあと順に解説します。
音声合成APIの料金や日本語対応を比べるときは、音声合成API比較で解説しています。
関連記事音声生成AIはどう学べばいい?
目的から逆引き:あなたのケースで選ぶべき音声生成AIと「最初に確認する1点」
音声生成AIは「どの種類が優れているか」ではなく「何をしたいか」で選ぶと迷いません。ここでは技術の分類ではなく、実際にありがちな目的から逆引きし、適した類型と着手前に必ず確認すべき点を一覧にします。
| やりたいこと(目的) | まず向く類型 | 着手前に確認する1点 |
|---|---|---|
| 資料・記事をその場で読み上げて確認したい | TTS(音声読み上げ) | 無料のWeb読み上げツールで足りるか(登録不要・即時性を優先) |
| 動画やナレーションに安定した声を継続的に使いたい | TTS(ナレーション向け) | 生成音声の商用利用可否とクレジット表記の要否 |
| 特定の人物・自分の声を再現して使いたい | ボイスクローン | 本人の明示的な同意を取得・記録しているか(他者の声は原則不可) |
| 楽曲・歌ものを作りたい | 歌声合成/楽曲生成 | 学習元・生成物の権利関係と公開範囲(配信・収益化の可否) |
| キャラクターや接客で感情・抑揚を出したい | 感情音声 | 言語・話者バリエーションが用途に合うか、破綻時の差し替え手段 |
音声生成AIが「向かない・慎重にすべき」3つの場面
効率化の手段として強力な一方、次のケースでは導入前に立ち止まる判断が必要です。
- 本人同意のない他者の声の再現:政治家・著名人・知人などの声をクローンする用途は、権利・肖像・なりすましのリスクが高く、多くのサービスで規約上も禁止されています。
- 誤読が許されない厳格な用途:固有名詞・専門用語・金額や日付など、読み間違いが実害につながる場面は、生成後の人による読み上げ確認(校正)を前提にしないと危険です。
- 感情の機微が成果を左右する対話:クレーム対応や採用面接のような、間・共感・その場の判断が要となる場面は、現状は人が担い、AIは下書き・練習・定型応答の補助に留めるのが安全です。
迷ったときの一行判断
- 「まず試したい・費用をかけたくない」→ 無料のWeb読み上げ(TTS)ツールで即着手し、要件が固まってから有料・高品質へ移行します。
- 「声の一貫性・商用が重要」→ 商用利用条件と話者の権利が明確なサービスを選び、無料版の可否だけで決めないことが大切です。
- 「自分・自社の声で」→ 同意取得の運用(誰の声を・何に使うか)を先に設計してからクローンを検討します。
いずれの場合も、生成音声を公開・商用で使う前に「商用利用可否」「クレジット表記」「声の権利者の同意」の3点を確認しておくと、後戻りを防げます。
次に読む:音声生成AIの活用事例はどんな場面?
おすすめの音声生成AIツール12選(2026年10月・公式ページで確認)
上位で紹介されることの多いツールから、無料で試せるもの・買い切りのソフト・声の種類が多いサービスを12個選びました。無料の範囲と商用利用の条件はツールごとに大きく違うため、使い道に合わせて選んでください。
| ツール(種類) | 無料で使える範囲 | 商用利用・料金 | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| SakuraSpeech(日本語の読み上げ) | 体験ページは登録不要(1回1,000文字・1時間20回まで)。Freeプランは月2,000文字 | Freeは個人の学習・趣味利用のみ。個人の収益化はBloom(月980円・税込1,078円・月20万字)から。APIはBloomMax以上 | 日本語の案内文・接客の決まり文句 |
| 音読さん(ブラウザの読み上げ) | 登録なしで1,000文字、無料登録で5,000文字 | 商用利用可。無料ではクレジット表記が必須。有料はベーシック月980円(税込1,078円)から | 原稿をすぐ音声ファイルにしたい |
| 音読さん AI音声合成 Beta(話し方を指示できる読み上げ) | 登録なしで生成できた(無料会員は400文字) | 商用利用可(同ページのFAQ) | ナレーション調・明るい調子など話し方を変えたい |
| VOICEVOX(無料ソフト) | ソフトは無料(Windows/Mac/Linux) | 商用・非商用を問わず無料。クレジット表記と、キャラクターごとの規約に従う | 動画のキャラクター音声 |
| VOICEPEAK 商用可能 6ナレーターセット(買い切りソフト) | 体験版あり(入力文字数などに制限) | ダウンロード版23,800円・パッケージ版29,800円(税込)。購入すると使用許諾の範囲で商用・業務利用可 | 研修・解説動画のナレーションを社内で量産 |
| ElevenLabs(多言語・ボイスクローン) | 無料プランは月10,000クレジット | 商用ライセンスとインスタントボイスクローンはStarter(公式FAQで月6ドル)以上。対応言語は74 | 多言語の吹き替え、自分の声の再現(本人の同意が前提) |
| AivisSpeech(Aivis Project・無料ソフト) | バージョン1.1.0時点の基本機能は今後も無料(Windows 10 22H2以降/11、macOS 13以降) | ソフト本体は個人・法人、商用・非商用を問わずクレジット表記なしで利用可。音声モデルごとのライセンスに従う。Cloud APIは従量課金と月額プラン | 無料で自然な日本語の読み上げを作り込みたい |
| A.I.VOICE2(国産のキャラクター音声ソフト) | 記載なし(製品の購入が前提) | 結月ゆかりのダウンロード版は、エーアイの2023年12月の発売発表では14,080円(税込)でした(公式サイトは2026年10月26日に503で直接読めず、現行価格は公式サイトで要確認)。営利目的の個人は個人商用ライセンス、法人の業務利用は法人ライセンスが必要 | キャラクターの声で動画・ゲームを作る |
| AITalk(法人向けの音声合成) | 個人向けの「かんたん!AITalk」は個人利用限定(業務・商用は不可) | 「声の職人」クラウド版は基本プラン月額60,000円(税別)。作成した音声ファイルを商用で配布・複製する場合は別途費用が必要な場合がある | 企業の案内放送・研修教材など業務の読み上げ |
| CeVIO AI(国産のキャラクター音声ソフト) | さとうささら等の公式キャラクターで作った音声は、非商用なら無料で利用可(「CeVIO」とキャラクター名を記載) | 個人の動画投稿は広告収入ありでも無料の範囲。法人や店舗の業務利用・電話の自動応答・eラーニングは有料の商用利用ライセンス(個別見積もり) | 個人の動画・ゲーム制作 |
| Canva(デザインツールの読み上げ機能) | 無料アカウントで作成・使用できる(一部のAI機能に使用制限あり) | 利用規約と利用規定を守れば商用目的にも使用可。日本語の読み上げに対応 | スライドやSNS動画にそのまま声を入れたい |
| CoeFont(声の種類が多い) | 無料プランは非商用で、音声生成800文字 | 商用利用はStandard以上(英語版の料金ページで月20ドル・税込) | 声の種類から選びたいナレーション |
ブラウザで読み上げる:SakuraSpeech・音読さん
文章を貼り付けてボタンを押すだけで声になります。登録なしで試せるので、最初の1本はこの2つのどちらかで作ると早いです。2つを同じ文章で動かした画面はAI音声とはの記事に載せています。SakuraSpeechは、本サイトを運営するクリスタルメソッドの製品です。
話し方を言葉で指示する:音読さん AI音声合成 Beta
「明るく元気に」「ドキュメンタリーのナレーターのように」など、読み上げスタイルを選ぶか自由に書いて指定できます。速度・ピッチの調整とWAV形式でのダウンロードにも対応しています。同ページのFAQには、入力した文章は生成AIの学習に使われないと書かれています。
パソコンで作り込む:VOICEVOX・AivisSpeech・VOICEPEAK・A.I.VOICE2・CeVIO AI
インストールして使う国産のソフトは、抑揚やアクセントを細かく直せるのが強みです。無料で始めるならVOICEVOXかAivisSpeech(VOICEVOXの使い方はVOICEVOXの使い方)、クレジット表記を入れにくい業務のナレーションなら、購入で商用利用できるVOICEPEAKが候補になります。CeVIO AIは個人の動画投稿なら広告収入があっても無料の範囲で使えますが、法人の業務利用には有料のライセンスが要ります。A.I.VOICE2も、営利目的の個人や法人が使う場合は用途に合ったライセンスが必要です。
業務の読み上げを任せる:AITalk
AITalkは企業の案内放送や研修教材などで使われる法人向けの音声合成で、クラウド版は基本プラン月額60,000円(税別)からです。個人向けの「かんたん!AITalk」は個人利用限定で、業務や商用には使えません。
いつものデザインツールで使う:Canva
Canvaは無料アカウントでAI音声を作成・使用でき、日本語の読み上げにも対応しています。スライドやSNS用の動画を作りながら、その場で声を入れたいときに便利です(一部のAI機能には使用制限があります)。
声の種類・ボイスクローン:ElevenLabs・CoeFont
用意された多数の声から選ぶほか、ElevenLabsは有料プランで短い音声から声を再現するボイスクローンが使えます。どちらも無料プランでは商用利用ができない(ElevenLabsは商用ライセンスがStarter以上、CoeFontは無料が非商用)ため、公開する音声は有料プランで作ります。実在の人の声を再現するときは本人の同意が欠かせません。
音声生成AIで声を作るやり方(4ステップ・実際の画面つき)
ここでは登録なしで使える2つのツールを実際に動かし、声を作る流れを4つのステップで紹介します(2026年10月26日に操作)。
ステップ1:原稿を入れて声を選ぶ
読み上げたい文章を入力欄に貼り、声(話者)を選びます。1文が長すぎると息継ぎが不自然になりやすいため、句点(。)で区切った短めの文にしておくと聞きやすくなります。
ステップ2:話し方を指定して生成する
音読さん AI音声合成 Betaでは、読み上げスタイルに「明るく元気」を選び、「本日はご来店いただき、ありがとうございます。新しいサービスについて、三分ほどでご案内します。」(46文字)を生成しました。登録なしで約7秒の音声ができ、画面上で再生できました。

ステップ3:読み間違いを辞書で直す
社名や商品名などの固有名詞は、読み方を辞書に登録して直します。SakuraSpeech LITEの体験ページで、ユーザー辞書に「CrystalMethod」の読み「クリスタルメソッド」を登録してから「CrystalMethodの新しい音声ガイドへようこそ。ご案内は三分ほどで終わります。」を生成すると、生成時間200msで約6秒の音声ができました。体験ページでは辞書を3件まで登録でき、アクセント(0=低・1=高)も指定できます。

ステップ4:書き出して、使う前に条件を確かめる
できた音声をダウンロード(音読さん AI音声合成 BetaはWAV形式)し、最後にもう一度聞き直します。公開する前に、上の表の「商用利用・料金」の列で商用利用の可否とクレジット表記の要否を確かめておくと、あとから作り直す手間を防げます。
音声生成AIの活用シーン
音声生成AIは、人が読み上げて録音していた作業の多くを置き換えられます。代表的な使い道と、そのときに確かめたい条件をまとめます。
| 使い道 | 具体的な例 | 確かめたい条件 |
|---|---|---|
| 動画のナレーション | YouTube・SNS動画、商品紹介動画の読み上げ | 商用利用とクレジット表記の条件 |
| 研修・eラーニング教材 | 社内研修の解説音声、マニュアルの読み上げ | 法人の業務利用が無料の範囲か(CeVIO AIなどは有料ライセンスが必要) |
| 電話の自動応答・店舗の案内 | 電話の案内音声、店内・施設のアナウンス | 店舗・商業施設での利用条件、聞き取りやすい話速 |
| Webページや資料の音声化 | 記事や資料を耳で聞ける形にする(読み上げによるアクセシビリティ向上) | 長文の文字数上限と、固有名詞の読み |
| 多言語の吹き替え | 同じ動画を英語など複数の言語で読み上げる | 対応言語と、元の話者の同意(ボイスクローンの場合) |
音声生成AIの種類を整理する:TTS・ボイスクローン・歌声合成・感情音声の4類型
音声生成AIと一口に言っても、その技術的な目的と出力の性質は大きく異なります。現場で適切なツールを選ぶには、まず類型を正確に理解することが前提となります。2026年時点で実務的に意識すべき主な音声生成AIの種類は、以下の4つに整理できます。
TTS(Text-to-Speech)は、テキストを音声に変換する最も基本的な類型です。ナレーション・アクセシビリティ・コンテンツ制作など用途が広く、2026年現在も音声生成AIの中核を成します。日本語特化で無料利用できるVOICEVOXや、多言語対応の商用サービスであるElevenLabsが代表的な選択肢として挙げられます。
ボイスクローン(音声クローニング)は、特定の人物の声の特徴を学習し、その話者スタイルで任意のテキストを読み上げる技術です。短い音声サンプルから声の特性を抽出し再現するサービスが登場しており、広報動画の多言語化やキャラクター音声の継続運用に活用されます。一方で、本人同意なく声を複製することの倫理的・法的リスクは、どの現場でも運用前に必ず整理しておくべき問題です。
歌声合成は、旋律・歌詞・音程情報を入力として歌声を生成するカテゴリーです。Suno AIのようにテキストプロンプトから楽曲そのものを生成できるサービスや、VOCALOIDのように楽譜と歌詞を入力として歌声を合成するエンジンが代表格となります。テキストだけでなく音楽的構造も扱う点でTTSとは本質的に異なり、楽曲制作・BGM生成・バーチャルアーティストといった用途に特化します。
感情音声合成は、TTS・ボイスクローンの延長線上に位置しながら、発話の「感情・強調・テンポ」を明示的に制御できる類型です。ピッチ(抑揚)・エネルギー(声の力強さ)・デュレーション(テンポ)といったパラメータを操作し、「自信ある語り口」「やわらかい接客トーン」といった表現を再現します。接客シミュレーションや研修ロールプレイへの組み込みが進んでいます。
音声合成の技術的な仕組み(ニューラルTTS・拡散モデル・GAN等の構造)については別記事で詳述しています。本記事は「どの音声生成AIの種類を何の目的で選ぶか」という実務判断に絞って論じます。
音声生成AIの種類別・代表モデルと2026年の最新動向
各類型の代表モデルと現時点での特徴を整理します。ツールの仕様・価格・機能は変更されやすいため、導入前には各公式サイトで最新情報を確認してください。
| 種類 | 代表モデル/サービス | 主な特徴 | 主な用途 | 注意点・限界 |
|---|---|---|---|---|
| TTS | ElevenLabs、VOICEVOX、Voice Space(200種超の音声モデル) | 多言語対応・高自然性。VOICEVOXは日本語特化・無料利用可 | ナレーション量産・読み上げコンテンツ・アクセシビリティ | 文脈による抑揚制御に限界があります。商用利用条件を必ず確認 |
| ボイスクローン | ElevenLabs(Instant Voice Cloning)、Murf | 短い音声サンプルから話者特性を再現。多言語出力に対応するサービスが増加 | 広報・キャラクター維持・動画多言語化 | 本人同意が不可欠。なりすまし悪用リスクへの組織的ガバナンスが必要 |
| 歌声合成 | Suno AI、VOCALOID(YAMAHA) | テキストプロンプトから楽曲生成が可能に。音楽的表現力が急速に向上 | BGM・楽曲制作・バーチャルアーティスト | 著作権の帰属が法的に未整理な場面が多い。商用利用規約の確認が必須 |
| 感情音声合成 | ElevenLabs(感情スタイル制御)、産総研「いざなみ」「くしなだ」 | ピッチ・エネルギー・テンポを明示的に制御。日本語感情表現の研究基盤が整備 | 接客シミュレーション・研修ロールプレイ・対話AI組み込み | 感情ラベル付き学習データが少なく、精度のばらつきが残る |
国内の動向として特筆に値するのが、産業技術総合研究所(産総研)が2025年3月に公開した日本語音声基盤モデル「いざなみ」「くしなだ」です。日本語音声の自然性と感情表現の研究基盤として公開されており、国内の音声AI開発・評価に活用できる(産総研プレスリリース 2025年3月10日)。英語や中国語を中心とした海外モデル主導で進んできた音声生成AIの分野に日本語専用の基盤モデルが登場したことは、日本語特有のイントネーション・長音処理・感情ニュアンスの精度向上において一定の意義があります。
総務省「令和6年版 情報通信白書」は、生成AIが急速に普及した背景としてモデルの高精度化と利用コストの低下を指摘しており(総務省・情報通信白書)、音声生成AIもその潮流のなかで実務活用が拡大しています。音声生成AIの技術的な基盤であるGANや拡散モデルの仕組みについては、GAN(敵対的生成ネットワーク)の解説記事も参照してください。
音声合成の業務導入や自社サービスへの組み込みをご検討の方は、日本語特化AI音声合成「SakuraSpeech」を開発するクリスタルメソッドの無料相談をご利用ください。
音声生成AIの種類を選ぶ実務的な4つの判断軸
現場で音声生成AIの種類を選ぶ際、「音質が良い」「知名度がある」という理由だけで選定すると、後から商用利用不可・言語非対応・感情制御不足といった問題に直面します。以下の4軸で整理して選定することが実際の運用では有効です。
①目的の明確化:ナレーションの量産ならTTS、特定人物の声を継続使用するならボイスクローン、楽曲制作なら歌声合成、研修や対話AIへの組み込みなら感情音声合成が適合しやすくなります。複数の種類を組み合わせる構成にする場合は、APIの連携可否と音声フォーマットの互換性を事前に確認しておく必要があります。
②商用利用条件の確認:VOICEVOXは無料かつ商用利用が可能だが、利用規約に従ったクレジット表記が求められるケースがあります。ElevenLabsは有料プランで商用利用が可能だが、プランによって生成可能時間・音声クローニングの可否が異なります。社外公開コンテンツに音声を使用する場合は、必ず公式利用規約を一次情報として確認すること。
③言語・話者の対応範囲:日本語の自然性はサービスによって大きく差があります。英語を主要設計言語とするモデルを日本語に適用すると、アクセントや長音処理が不自然になりやすくなります。VOICEVOXや産総研モデルのような日本語専用設計、あるいは日本語の評価実績が明示されているサービスを選ぶ判断が現場では合理的です。
④倫理・リスク管理の設計:特にボイスクローンは、本人の同意なく声を複製・使用することが深刻なリスクとなります。文部科学省が公開した「生成系AIについて」(文部科学省PDF)でも、生成AIの利用には適切なガバナンスが求められると整理されています。音声クローニングを業務利用する際は、利用ポリシーの明文化・本人同意の取得・使用チャネルの制限を運用ルールとして整備すべきです。
DeepAI(バーチャルヒューマン/AIアバターソリューション)では、リップシンク・表情生成と音声合成を組み合わせ、接客・研修・面接練習用途での活用を想定した設計をとっています。音声のPitch(高さ・抑揚)、Energy(大きさ・力強さ)、Duration(テンポ)の三軸を各10点満点でスコア化し、感情状態の変化を定量的に把握できるようにしています。こうした複数指標を統合して評価精度を高める枠組みは、特許第6452061号(学習データ生成方法、学習方法、及び評価装置)の考え方とも関連します。音声生成AIとテキスト処理の連携という観点では、BERTとNLPの解説記事やマルチモーダルAIの解説記事も参照してください。
音声生成AIの限界と現場で直面しやすい失敗パターン
技術の進歩が著しい分野だからこそ、過大な期待を持って導入し、現場で想定外の問題に直面するケースが生じやすくなります。類型ごとに代表的な落とし穴を整理しておきます。
感情表現の過信:感情音声合成は「穏やかなトーン」「力強い語り口」をある程度制御できます。しかし人間の発話が持つ微妙な間・息遣い・感情の揺らぎを完全に再現する段階には至っていません。研修ロールプレイや対話AIに組み込む場合、シナリオ設計と音声表現の整合性を人間が最終確認する工程を省くと、現場での違和感が積み重なりやすくなります。
日本語品質の過信:同一サービスでも言語によって品質差が大きくなります。グローバル展開しているサービスの日本語対応が後付け的である場合、アクセント・長音・読点の処理で不自然さが残りやすくなります。POC(概念実証)段階でネイティブ話者による試聴評価を組み込むことが、後のやり直しを防ぐ実際的な手順です。
ボイスクローニングのガバナンス不足:ボイスクローン技術は詐欺・なりすましへの悪用リスクを内包します。業務利用であっても、生成した音声がどのチャネルにどの範囲で使われているかを管理台帳として記録し、不正利用が発覚した際の対処フローを事前に整備しておくことが現実的なリスク管理となります。「使い始めてから考える」では遅い局面が生じやすくなります。
歌声合成の著作権リスク:歌声合成・楽曲生成AIでは、学習データの著作権・生成物の権利帰属が現時点でも法的に未整理な領域が残ります。BGMや楽曲素材を商業コンテンツに使用する場合は、法務部門または専門家への確認を経ることが原則となります。利用規約の「商用利用可」の表記が、生成物の著作権まで包括的に保証するわけではないことに注意が必要です。
入力音声品質の見落とし:ボイスクローンの出力品質は、学習に使う入力音声の録音品質に大きく依存します。ノイズが多い・録音環境が不安定な音声をサンプルとして使うと、出力音声に不自然なノイズや癖が残りやすくなります。収録環境の確保とサンプル品質の基準設定は、導入前の検討事項として見落とされやすくなります。
音声生成AIが依拠する機械学習の基礎については機械学習の基礎解説・ディープラーニングの解説記事を、効率的な表現学習の背景についてはスパースモデリングの解説記事も参照してください。音声生成AI全般の概要についてはブログトップから関連記事を参照してください。
バーチャルヒューマン「DeepAI」について
DeepAIは、実在の人物の容姿・表情・声・振る舞いをデジタル空間で再現するバーチャルヒューマン/AIアバターです。リップシンク・表情生成・音声合成・対話AIを組み合わせ、接客・研修・面接練習・広報などでの活用を想定しています。音声生成AIの企業での活用はお問い合わせからご相談いただけます。
声の権利と著作権:公的資料で確認できること(2026年10月時点)
実在の人の声に似せた音声を作る場合は、ツールの規約に加えて法律上の論点があります。文化審議会著作権分科会のワーキングチームに出された文化庁の資料「生成AIによる声優を模した声の生成・利用と著作権との関係について」では、特定の声優に似せた声をAIで生成して楽曲を歌わせるなどした音源・動画について、著作権法上の権利が及ぶかが論点として取り上げられています。同じ資料には、政府の「知的財産推進計画2024」で、俳優や声優などの肖像や声の利用・生成について不正競争防止法との関係を整理するとされていることも示されています。
つまり、他人の声の再現は法的な考え方の整理が進んでいる途中の分野です。実務では、本人の同意を書面で取る、氏名やキャラクター名を使って本人の作品と誤解させる表示をしない、ツールの規約で禁止されている使い方をしない、の3点を守るのが確実です。
参考文献
- 文部科学省「生成系AIについて」https://www.mext.go.jp/content/20230525-mxt_kiso-00029966_11.pdf
- 総務省「令和6年版 情報通信白書|生成AIの急速な進化と普及」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd131210.html
- 産業技術総合研究所「日本語音声基盤モデル『いざなみ』『くしなだ』を公開」https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2025/pr20250310/pr20250310.html
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