blog
AIブログ
AIロープレとは?営業・接客での評価の仕組みをわかりやすく解説【2026】
文:クリスタルメソッド編集部 監修:河合 継(代表取締役)
最終更新:2026年10月21日
AIロープレ(AIロールプレイング)とは、AIが顧客や面接官などの相手役を演じ、対話練習の内容・話し方・表情を自動で評価してフィードバックする研修手法です。相手役を用意せずに何度でも練習でき、指導者によるばらつきの少ない評価を受けられる点が、従来の対人ロープレとの最大の違いです。

この記事は、「AIロープレ」という言葉を初めて調べる方に向けて、AIロープレとは何か・メリットとデメリット・使える場面・AIが実際に何をどう評価しているか(実際の評価画面つき)・ChatGPTなどで今日から試す方法・ツールの選び方と費用・導入の進め方・限界を、1ページで分かる形にまとめました。
先に結論だけ:AIロープレの価値は「相手役がいなくても何度でも練習できること」と「評価の根拠が記録に残ること」の2つです。基本の反復はAIに任せ、本番に近い仕上げと個別の指導は人が担う組み合わせが現実的です。まずはChatGPTなどの生成AIチャットで小さく試し、人数が増えて評価の統一や記録の管理が必要になった段階で専用ツールを検討する、という順番が無理のない進め方です。
ロープレ(ロールプレイング)そのものの意味・種類・進め方はロープレとは?意味・目的・種類とやり方、営業ロープレの進め方は営業ロープレとは?種類・進め方・シナリオ例で解説しています。なお、この記事を公開しているクリスタルメソッドはAIロープレ製品「DeepAI対話AIロープレ」を提供しており、本文のデモ動画と評価画面はその実際の画面です。
目的から読む場合:
| 知りたいこと | 読む章 |
|---|---|
| 営業研修でAIロープレを使いたい | 評価の章(営業ロープレのデモ)/営業研修に組み込む4週間の例 |
| ツールを選びたい | ツールの選び方と主なサービスの比較 |
| 費用を知りたい | 費用相場と料金の決まり方 |
| 今日から無料で試したい | 生成AIチャットで試す手順 |
AIロープレとは?仕組みと、従来のロープレとの違い
ロープレ(ロールプレイング)とは、顧客役・営業役などの役割を演じて、実際の場面を想定した対話を反復練習する研修手法です。AIロープレは、このうち「相手役」と「評価」をAIが担うものを指します。AIが顧客・クレームを言うお客さま・面接官などを演じながら商談・接客・電話応対・面接の対話練習を提供し、その応答内容・音声・表情などを自動で評価してフィードバックします。
なぜ相手役と評価をAIに任せる発想が出てきたのでしょうか。人が相手役を務める従来のロープレには、営業でも接客でも共通する弱点が三つあります。
- 練習機会の不足:上司やトレーナーの時間が必要なため、回数を増やせません。
- 評価の属人性:指導者によって評価の視点が異なり、同じ練習をしても受けるフィードバックが変わります。
- フィードバックの抽象性:「もう少し丁寧に」「自信を持って」といった言葉は、何をどう変えればいいかを具体的に示しません。
この三つの中で最も解決が難しいのが「フィードバックの抽象性」です。練習機会は仕組みで増やせますし、評価のばらつきはルーブリック(評価基準表)で抑えられます。しかし「良かったよ」の一言は、指導者が「何がどう良かったか」を言語化する余裕と技術を持てていないことから生まれます。AIロープレはこの問題に対し、「対話を記録して計測し、具体に落とす」という形で応えます。発言内容・音声・表情をデータとして保持し、「何分何秒に、どういう発言があり、それが相手にどう受け取られたか」を後から参照できるようにします。これが従来のロープレとの本質的な違いです。
企業の業務で生成AIの活用が進んでいることは、総務省「令和6年版情報通信白書」(soumu.go.jp)が各領域・業界の活用動向として企業の事例を挙げて紹介しています。研修の分野でも、AIを相手役にした練習が使われ始めています。
AIロープレの主な機能
- AIによる対話シミュレーション:AIが顧客・クレームを言う客・面接官などの相手役を演じ、テキストまたは音声で会話を進めます。
- 自動評価・フィードバック:あらかじめ決めた評価項目(ヒアリングの深さ、提案の筋道、言葉づかいなど)に照らして採点し、改善点を返します。
- シナリオ設定:商材・業種・相手の性格や難易度を変えて、練習する場面を作り分けます。
- 録画・文字起こし:やり取りを記録し、後から本人や上司が振り返れます。
- 学習データの管理・分析:受講者ごとの実施回数やスコアの推移を集計し、育成の進み具合を把握します。
どこまでを評価対象にするか(発言内容だけか、声や表情まで含むか)はサービスによって大きく異なります。この違いは後の「AIロープレは何を・どう評価しているのか」の章で、実際の評価画面を使って説明します。
対人ロープレとの違い
| 項目 | 対人ロープレ | AIロープレ |
|---|---|---|
| 相手役 | 上司・同僚が演じる(日程調整が必要) | AIが演じる(時間・場所を選ばない) |
| 練習回数 | 相手役の空き時間に左右される | 何度でも繰り返せる |
| 評価 | 指導者の経験と主観に左右されやすい | 同じ評価基準で一貫して採点される |
| 心理的な負担 | 人前で失敗する緊張がある | 一人で気兼ねなく失敗できる |
| 得意なこと | 場の空気の読み合い・信頼関係づくり・想定外への対応 | 基本の型の反復・話し方の癖の可視化 |
AIロープレは対人ロープレを置き換えるものではありません。基本の反復をAIに任せ、人による指導を本番に近い仕上げに集中させる組み合わせ方が現実的です(AIが苦手な領域は後述)。
実際のAIロープレがどう動くかは、次のデモ録画で確認できます。会議画面に表示されたお客さま役のAIアバターに対して、音声で応対していく様子を録画したものです(クレーム対応のシナリオ・約1分48秒)。
AIロープレを自社に合うものに絞り込むときは、AIロープレの手法タイプと選び方で解説しています。
AIロープレのメリット・デメリット
メリットの中心は「回数」と「評価の根拠」です。相手役の確保が不要なので24時間・何度でも反復でき、同じ基準で採点されるため指導者による評価のばらつきが減ります。繰り返しの言葉や間の取り方、表情のくせといった、自分では気づきにくい習慣が記録として見えることも、人を相手にした練習にはない利点です。
デメリットは「準備」と「非言語の限界」です。シナリオと評価基準を整える手間がかかり、導入直後はAIとの対話に慣れる期間が要ります。場の空気や沈黙の意味といった非言語の機微は、現状のAIでは完全には再現できません。どこまでをAIに任せ、どこから人が見るかは後の「限界と注意点」の章で整理します。
次に読む:AIロープレの作り方は?
AIロープレの活用シーン|営業・接客・電話応対・面接まで
AIロープレは「相手役を用意し、対話を記録して評価する」仕組みなので、営業に限らず、対話の質が成果を左右する業務なら応用できます。ただし、営業のロープレと、それ以外(接客・電話応対・クレーム対応・面接)のロープレは練習する中身が違います。営業には提案資料を見せながら説明する練習と、資料そのものの出来の評価が入ります。接客や電話応対では、所作や声だけで伝える型、クレームの一次対応が中心になります。
| 場面 | 練習する内容と、AIが見る点 | くわしい記事 |
|---|---|---|
| 営業(商談・価格交渉・反論処理) | ヒアリング→提案→反論への切り返し→次の約束の流れ。提案資料を見せながら説明する練習と、見せた資料の評価まで含む(この記事のデモ参照) | 営業ロープレの進め方/お題30選 |
| 接客・販売 | 入店からお見送りまでの案内の流れ、所作、不安の解消。押しの強さより安心感を評価する | 接客ロープレの進め方/接客トレーニングのAI活用 |
| 電話応対・コールセンター | 声だけで伝える型、受電と架電の違い、用件の整理と復唱。話速やフィラー語が評価に表れやすい | コールセンターのロープレ |
| クレーム・カスハラ対応 | 謝罪→原因の説明→解決策の提示という一次対応。相手役(AI)の声のトーンの変化で対応の良し悪しが分かる | クレーム対応デモ |
| 保険・金融の営業と窓口 | 設計書・目論見書などの資料を見せながらの説明、説明義務を満たす言い方、断定表現の回避 | 保険営業ロープレ/金融機関のロープレ |
| 面接(就職・転職) | 面接官役との問答と深掘り質問への答え方。話の中身・話し方・表情を評価する(この記事の後半で無料で体験できます) | 一人でできる面接練習/AI面接とは |
どの場面でも共通するのは、「同じ条件で何度も」という反復が人が相手だと成立しにくい点です。価格交渉で崩れる、クレームの最初の一言で詰まる、面接で結論が後回しになる、といった崩れやすい場面を切り出して繰り返すのがAIロープレの基本的な使い方です。
ブラウザだけで試せる、ログイン不要のデモも公開しています。ホテルのフロント業務、保育士の保護者対応、複合機の提案、健康状態のヒアリングなど、業務別のシナリオを選んで「体験する」を押すと、AIアバターとの会話画面が開きます(一覧に表示されるシナリオは、開くたびに入れ替わります)。

業務ロープレのデモを試す(ログイン不要) > / クレーム対応AIロープレを体験する >
AIロープレは何を・どう評価しているのか|実際の評価画面で見る
「AIがフィードバックをくれる」という説明は多くの比較記事で見かけますが、「AIが具体的に何を計測し、どう評価しているか」まで書かれていることは多くありません。ここでは評価の中身を三つの層に分けて説明し、そのあとに実際の評価画面を見ていきます。
評価の三層構造
AIロープレの評価は、大きく三つの層に分かれます。
- 発言内容の評価(テキスト層):何を言ったか。提案の論理性・顧客課題への対応・ヒアリングの深さなどを、大規模言語モデル(LLM)が発話内容と事前定義した評価軸を照合して採点します。
- 音声の評価(音声層):どう話したか。話速・ピッチ変動・無言区間の長さ・「えーと」などのフィラー語の頻度を音声信号処理で抽出します。これらは本人が自覚しにくい話し癖の可視化に有効です。
- 表情・感情の評価(非言語層):どう見えたか。顔の各部位の動きをリアルタイムで解析し、感情の推移と緊張度を発話タイムラインに沿って記録します。
DeepAI対話AIロープレでは、この非言語層として、受講者の表情・感情・緊張度を発話のタイムラインに沿って解析し、「どの場面で緊張が高まったか」「どの発言の後に相手役の反応が変わったか」を時系列で参照できるようにしています(顔のランドマーク解析にはMediaPipeを使用)。ただし、この解析は「相手の内面を読む」技術ではありません。表情や声のパターンを統計的に分類しているため、照明・カメラの角度・個人差で精度は変わります。単独の判断材料にせず、複数のシグナルの組み合わせで傾向を把握する補助的な情報として扱うのが適切です。
実際の評価画面:営業ロープレの終了後にAIが返すもの
次の録画は、医療機器(血管内超音波診断用プローブ)の提案を想定した営業ロープレのデモです。AIが病院の用度課長役を演じ、受講者は提案資料を画面に表示しながら商談を進めます。商談を終えて「会話を終了して分析」を押すと、AIが対話全体を分析して評価画面を表示します(録画は約10分50秒、評価画面は9分50秒ごろから)。
ポイント:普段の商談と同じように、資料を見せながら練習できる
このデモの大きな特徴は、実際の商談と同じように、提案資料を相手に見せながら説明する練習ができる点です。パワーポイントなどで作った普段の商談資料をPDFなどの形式でアップロードし、ロープレ中に「相手に見せる」を押すと、AIの相手役の前に資料が表示されます。ページを送りながら説明している間はAIが話を聞いていて、区切りがつくと資料の内容をふまえて質問や反応を返します。


さらに、商談で見せた資料そのものも評価されます。このデモでは使った2つの資料それぞれについて、見せたページと提示したタイミングが記録され、わかりやすさ・訴求ポイント・デザイン性で採点されました(例:わかりやすさ78、訴求ポイント84、デザイン性90で、資料の点は84.0)。講評には「結論と導入条件が先に示され、価格・保守・手続きまで一連で追いやすいです。反面、文字量が多いページは要点をさらに絞ると良い」といった、資料の直し方まで書かれます。口頭だけのロープレでは練習しにくい「どのページで何を話すか」「相手がどこで引っかかるか」まで、本番に近い形で確かめられます。
デモの流れ:AIの相手役はどう反応したか
AIの相手役は、質問に一問一答で返すだけではありません。院内の事情(委員会の日程や決裁者)や過去の不満(保守料、回収時の代替品不足)をあらかじめ持っていて、営業がうまく聞き出したときに初めて話します。資料を見せれば、その内容に沿って質問を返します。要点だけ抜き出すと次のとおりです。
| 時間 | やり取り |
|---|---|
| 0:10 | AIの課長が面談の条件を示します。「初めての製品なので、不具合対応・今の機器との互換性・院内の手続きを確認したいです。30分でお願いします」 |
| 1:36 | 営業が採用の流れを質問すると、AIが院内の流れを具体的に答えます。診療科からの申請→用度で整理→材料委員会→事務部長の決裁で、委員会は毎月第3木曜日、資料は2週間前までに必要です |
| 2:31 | 営業が「議案をまとめるうえで一番手間がかかるのは」と深掘りすると、AIが「比較資料や見積もりがそろわないまま議案を求められること」と本音を話します |
| 4:17 | 営業が資料を見せながら保守の一本化を提案し、過去の回収対応で困ったことを聞きます。AIは「代替品が1週間届かず現場から言われた。そこを一番気にしている」と答えます |
| 6:07 | AIが「この製品自体に不具合の報告はあるのか」と踏み込みます。営業が資料の該当ページを示して件数と回収歴を正直に答えると、AIは「正直に話していただけるのは助かる」と反応します |
| 8:12 | 営業が本日の論点を3つに要約し、物品リスト→適合確認表→見積もりの期日と、診療科の部長への説明の場を提案します。AIが日程の調整を引き受けます |
| 9:42 | 商談の終了後、AIによる評価画面へ |
※資料に出てくる出荷数や不具合件数などの数字は、デモ用に作成したものです。

このデモでは、ヒアリング(84点)やクロージング(88点)の評価は高かったものの、2つの発言がコンプラ違反と判定されて合計30点が減点され(断定的な優位表現で−10点、プロモーションコード/接待の示唆で−20点)、総合スコアは45.5点で「不合格」と判定されました。話の進め方が上手でも、言ってはいけない表現が一つあれば結果が大きく変わります。対人のロープレでは見逃されやすいこうした点を、同じ基準で必ず拾えるのがAI評価の強みです。
点数は話の中身だけで決まるわけではありません。音声からは抑揚・声量・話速・発音を10点満点で採点し(このデモでは抑揚6.8、声量7.3、話速7.8、発音7.3で、音声スコアは72.5点)、映像からは落ち着き(緊張の少なさ)や表情の推移を記録します。これらは観点の「伝達品質」に反映されます。コンプラ違反と判定された発言はそのまま引用され、対話の記録では発言ごとに録音を聞き直せます。録音・録画は受講者と研修担当者の両方が確認できるため、AIの判定に納得がいかないときも、実際の発言にさかのぼって確かめられます。
評価は点数だけで終わりません。商談のステップごとに、できていた点(Goodポイント)と、次に深掘りすべき点(Badポイント)が、実際のやり取りに即して返されます。


なお、このデモの評価画面には「音声・表情の評価は育成支援目的で、人事査定には使用されません」と明記されています。AIの評価を育成のためのフィードバックに使い、人事評価と切り離しておくことが、現場が安心して失敗できる環境につながります。
なぜ「納得感のある成長」につながるのか
「もう少し自信を持って」と言われた受講者は、何をどう変えればいいか分かりません。「自信」は行動として指定されていないからです。一方、記録にもとづくフィードバックは「提案の場面で話す速さが上がり、相手が考える間がなくなっていた」のように行動として特定され、「間を取る」「話す速さを落とす」という具体的な改善に直結します。評価の根拠が指導者の主観ではなく記録されたデータにあるため、受講者は「なぜそのフィードバックなのか」を理解しやすく、納得できるフィードバックは行動の変化につながりやすくなります。
もう一つの強みは、即時フィードバックと再挑戦を繰り返せることです。人の指導者が必要な従来型では同じシナリオを翌日もう一度やるのは難しいですが、AIなら10分後に再実施できます。練習→フィードバック→改善点を1つに絞る→同じシナリオで再挑戦、というサイクルを短く回すことが、スキル定着の近道になります。
発言内容を見る3つの観点と、営業・接客での違い
三層のうち「発言内容」の評価は、さらに「何を言ったか」「どう進めたか」「いつ動いたか」の3つの観点に分けられます。ここを知っておくと、返ってきたスコアが何を根拠にしているのかを読み解きやすくなります。
- 発話の内容:何を言ったか。ヒアリングの質問が課題の特定に向かっているか、提案が相手の発言と噛み合っているか、禁止事項(断定的な効果保証など)に触れていないか。
- 会話の構造:どう進めたか。話す/聞くの比率、質問と提案の順序、相手の反論を一度受け止めてから返しているか(承認→再提案の型)。
- 対話のタイミング:いつ動いたか。相手が懸念を出した直後にクロージングを急いでいないか、沈黙や割り込みの扱い方。音声のロープレでは話速や発言の重なりもここに含まれることがあります。
営業と接客では、同じ観点でも評価の向きが変わります。評価基準を組むときは、この差を分けて設計するのが基本です。
| 評価軸 | 営業ロープレでの見方(例) | 接客ロープレでの見方(例) |
|---|---|---|
| 話す/聞く比率 | ヒアリング局面では聞く側が多いほど加点されやすい | 説明局面では正確に伝え切れているかを優先 |
| 提案の踏み込み | 次アクションへの明確なクロージングを評価 | 押しの強さより不安の解消・安心感を評価 |
| 反論・クレーム対応 | 反論を再ヒアリングの機会に変換できたか | まず感情を受け止める一次対応ができたか |
| 禁止表現 | 誇大な効果保証・値引きの乱発 | たらい回し・責任回避の言い回し |
導入を検討するときは、評価軸が営業用と接客用で分かれているか、それとも一律の総合点しか出ないのかを確認すると、そのツールがどこまで実務を分けて見ようとしているかの目安になります。
AIロープレの始め方|ChatGPTなどの生成AIチャットで今日から試す
専用ツールを入れる前に、ChatGPTやGeminiなどの生成AIチャットでもAIロープレは試せます。相手役の設定・場面・終わり方の3つを最初に伝えるだけで、文字のやり取りでの練習が成立します。音声で会話できる機能があるサービスなら、声での練習にも使えます。
手順(4ステップ)
- 場面とゴールを決める:「初回訪問で課題を聞き出す」「価格への反論に答える」など、1回の練習で扱う場面を1つに絞ります。
- 相手役の設定を書く:業種・役職・今の状況・気にしていること・最初は話さない本音を、箇条書きで渡します。
- 進め方を指定する:「1回の発言は3文まで」「こちらが『終了』と言うまで顧客役を続ける」「途中で助言しない」と決めておきます。
- 終了後に講評させる:評価の観点(ヒアリング・提案の筋道・反論への対応・次の約束)を先に示し、根拠になった発言を引用させます。
そのまま使えるプロンプトの例(練習用に作成したもの)
あなたは顧客役です。次の設定で、私(営業担当)の商談練習の相手をしてください。
【相手役】従業員120名の部品メーカーの総務課長。50代。現在は別の会社の勤怠管理システムを使っている。
【状況】契約更新が3か月後。入力の手間に現場から不満が出ているが、乗り換えの手間と費用を心配している。
【最初は話さない本音】前回のシステム入れ替えで現場が混乱し、社内で責められた経験がある。こちらが導入時の支援について具体的に聞いたときだけ話す。
【進め方】1回の発言は3文まで。私が「終了」と言うまで顧客役を続け、途中で助言はしない。
【終了後】ヒアリング・提案の筋道・反論への対応・次の約束の4観点を各5点で採点し、根拠になった私の発言を引用して、次に直す点を1つだけ挙げてください。
このプロンプトをGeminiに入力すると、次のように顧客役として応答します。


生成AIチャットでできること・できないこと
- できること:相手役との対話、発言内容への講評、同じ設定での繰り返し。準備は数分で済みます。
- できないこと:声の抑揚・話す速さ・表情の評価、受講者ごとの回数や点数の管理、全員を同じ基準で採点すること。講評は実行のたびに変わるため、点数は目安として扱います。
- 注意点:顧客名・未公開の価格・個人情報は入力しません。業務で使う場合は、自社の生成AI利用ルールを先に確認します。
生成AIチャットで自作する場合と、専用ツールの違い
| 項目 | 生成AIチャットで自作 | 専用ツール |
|---|---|---|
| 準備 | プロンプトを書けば数分で始められる | シナリオと評価基準の設定が要る(テンプレートを持つサービスもある) |
| 相手役 | 文字中心。音声機能があれば声でも | AIアバターや音声との対話が中心 |
| 評価の対象 | 発言の内容への講評 | 発言の内容に加え、声・表情・資料など(サービスによる) |
| 評価の一貫性 | 実行のたびに講評が変わる | 同じ基準で全員を採点する |
| 記録・管理 | 自分で保存する | 受講者ごとの回数・点数の推移を管理できる |
| 費用 | 無料プランでも試せる | 要問い合わせが多い(公式サイトに金額を載せているのは一部) |
| 向く段階 | 個人・少人数で試す段階 | 部署単位で評価をそろえ、記録を残す段階 |
まず生成AIチャットで「何を練習し、何を評価したいか」を固め、人数が増えて管理や評価の統一が必要になった段階で専用ツールを検討する、という順番が無理のない進め方です。プロンプトの作り方はAIロールプレイのプロンプト、無料で試せるサービスの範囲はAIロープレ無料はどこまで?で解説しています。
AIロープレの作り方|4ステップと、ツールなしで評価を客観化する評価シート
AIロープレは、専用ツールを使う場合も生成AIチャットで簡易的に行う場合も、次の4ステップで作れます。特別な開発や高度な設定は不要で、最低限「相手役はどんな人物か」「何を目的にした会話か」「どう振る舞ってほしいか」の3点を明確に伝えるだけでロールプレイは成立します。ここを曖昧にしたまま始めると、後段の評価(フィードバック)も曖昧になります。
- 場面とゴールを決める:練習したい場面と「できた」と言える条件を1ページで定義します。
- 相手役の設定を渡す:AIに演じさせる人物・目的・進め方をプロンプトまたは専用ツールに入れます。
- 会話して記録する:音声またはテキストで実際に会話し、やり取りを残します。
- 評価の観点で振り返る:記録を評価の観点に沿って見直し、次に直す点を1つに絞ります。
顧客役の人物像(ペルソナ)の作り方、プロンプトの書き方、評価ルーブリックの作成手順はAIロープレの作り方|内製とツールの判断軸で手順ごとにまとめています。以下では、ステップ3〜4の「記録をどう客観的な評価に変えるか」を、ツールがなくてもできる形で説明します。
ツールを選ばなくても今日から使える:録画と評価シートで客観化する
専用ツールを導入する前でも、評価の仕組みを客観化することは可能です。スマートフォンの録画機能と評価シートを組み合わせて、属人的なフィードバックを減らす方法です。
録画を使った客観化の手順
- 準備(5分):練習するシナリオ(顧客像・場面・ゴール)を1枚に書き出します。評価観点を2〜3項目に絞ります。
- 実施(5〜10分):スマートフォンで正面から録画しながらロープレを実施します。相手役は別の担当者でもAIツールでも構いません。
- 振り返り(10分):録画を自分で視聴し、下記チェックリストで自己採点します。指導者は同じリストを使って評価します。
- 1点改善・再実施(5〜10分):最も優先度の高い改善点を1項目だけ選び、同じシナリオを再実施します。
ロープレ評価チェックリスト(コピーして使える粒度)
| 評価軸 | 観察ポイント | 評価(○△×) |
|---|---|---|
| ヒアリング | 顧客の発言を遮らず、課題・ニーズを引き出す質問ができているか | |
| 提案の個別性 | 顧客固有の課題を起点に話しているか(一般論の押しつけがないか) | |
| 反論対応 | 価格・競合・現状維持への反論に、防衛的でなく前進的に応じているか | |
| 話速・間 | 重要な提案後に間を取っているか。早口で詰め込んでいないか | |
| フィラー語 | 「えーと」「あのー」の頻度が気になるレベルになっていないか | |
| クロージング | 次のアクション(日程・連絡先・提案書送付等)を明確に合意しているか | |
| 全体の自然さ | ロールプレイとして「演じている感」が強く出ていないか |
推奨頻度と時間設計:週2回・1回30分(準備5分→実施10分→振り返り10分→再実施5分)を目安にすると、1か月で8セッション確保できます。毎回「改善点は1点だけ」というルールを守ることが、習慣化と成長実感の両立につながります。
AIロープレツールの選び方と主なサービスの比較
AIロープレツールを選ぶとき、機能表だけを見ても失敗します。押さえるべきは「何を評価対象にしているか(テキストのみか、音声・表情まで含むか)」「現場が使い続けられる運用負荷か」の2点です。評価対象が違えば、返ってくるフィードバックの意味がまったく変わるからです。「営業スキルの底上げ」「新人の立ち上がり短縮」「コールセンターの応対品質」など、目的によって適したツールのタイプも変わります。
- 評価の対象:発言の内容だけか、声・表情・資料まで見るか。デモで「どの発言が・なぜその点数になったか」まで確認します。
- 音声での対話:電話や商談の練習が目的なら、音声対応は必須の条件です。
- シナリオの作りやすさ:自社の商材やよくある反応を、自分たちで設定できるか。テンプレートの有無と自由度を見ます。
- 記録と管理:受講者ごとの回数・点数の推移を研修担当者が見られるか。録音・録画で発言にさかのぼれるか。
営業チームで使うときの選定軸|3つの視点で絞る
機能の一覧から選ぶと決めきれません。営業チームの場合は、次の3つの視点で候補を絞ると比較しやすくなります。
- 商材と営業の型に合うか:自社の商談(初回訪問・価格交渉・資料を使った提案など)を、シナリオとして再現できるか。業種別のテンプレートがあっても、自社の反論や断り文句を足せるかを見ます。
- 評価と記録をどこまで管理できるか:誰が・いつ・何回練習したか、点数の推移、発言の録音を、管理者が一覧で見られるか。管理機能が弱いと、練習が個人任せになります。
- 管理者の負担が増えないか:結果の確認に毎回長い時間がかかると、続きません。点数の一覧と、気になった場面だけを聞き直せる作りかを、デモで確かめます。
練習の記録を営業支援ツール(SFA・CRM)や商談レビューとつなげたい場合は、連携の有無と範囲を提供会社に確認します。各社の公式サイトに記載がない項目は「公式に記載なし」として、問い合わせで確かめます。
主なAIロープレサービスの比較(要約)
代表的なAIロープレサービスを、「何を評価するか」と「主な用途」で整理しました。各社の公式サイトの記載をもとにまとめ、2026年10月6日に記載内容を確認しています。料金は多くのサービスが問い合わせ制のため、ここでは載せていません。
| サービス(提供会社) | 評価の対象(公式サイトの記載) | 主な用途 |
|---|---|---|
| AmiVoice RolePlay(アドバンスト・メディア) | 発話の音声と表情。説明すべき項目の達成度・NGワード・話速など。評価基準はカスタマイズできる | 営業 |
| PeopleX AIロープレ(PeopleX) | 評価軸の内訳は公式サイトに記載なし。即時フィードバックのほか、本番の映像をアップロードして評価する機能がある | 営業・接客 |
| UMU AIロープレ(ユームテクノロジージャパン) | 対話内容をAIが即時採点し、スキルの現在地をデータ化する | 営業(営業フェーズに沿った4段階のプロセス) |
| exaBase ロープレ(エクサウィザーズ) | 会話の内容。シナリオの評価基準に基づくスコアと改善点を示します。シナリオのテンプレートは180種類以上 | 営業など |
| SAPI ロープレ(Sapeet) | 対話の内容(ヒアリングの進め方・キーワードの使い方など)。動画で振り返りができる | 営業・接客 |
| アバトレ(AVITA) | 会話の内容・話すスピード・表情。ノーコードで自社用のロープレを作れ、スマホにも対応 | 営業・接客・コールセンターなど |
| VideoTouch AIロープレ(VideoTouch) | 評価の内訳は公式サイトに記載なし。AIが応対を評価し、レポートを生成する | コンタクトセンター・営業・店舗接客 |
| DeepAI対話AIロープレ(クリスタルメソッド・この記事の運営元) | 発言の内容・音声(抑揚・声量・話速・発音)・表情と落ち着き・見せた資料。コンプラ違反の判定も含む(本記事のデモを参照) | 営業・クレーム対応・面接練習 |
表のとおり、同じ「AIロープレ」でも、評価するのが会話の内容だけなのか、声・表情・資料まで含むのかはサービスによって大きく違います。各サービスの機能・料金・評価対象の詳しい比較と、目的タイプ別の選定チェックリストはAIロープレツールの比較・選び方にまとめています。
AIロープレの費用相場と料金の決まり方
AIロープレには、公開された「相場」がほとんどありません。比較記事で各社の公式サイトを確認した9製品のうち、8製品は金額を掲載しておらず「要問い合わせ」でした。
料金は主に課金方式(利用者数ごとの月額/実施回数ごとの従量課金/年間固定)・利用人数と頻度・機能の範囲(テキストのみか、音声・アバター・感情解析まで含むか)・初期費用やシナリオ制作費の組み合わせで決まります。月額だけで比べると、初期費用やカスタマイズ費の有無で総額が大きく変わる点に注意が必要です。
| 課金方式 | 向く使い方 | 見積もりで確認すること |
|---|---|---|
| 利用者数ごとの月額(ID課金) | 決まった人数が継続的に使う | 最低契約人数、契約期間、人の入れ替え時の扱い |
| 実施回数ごとの従量課金 | 繁忙期の前だけ、不定期に使う | 「1回」の定義(分数・採点の有無)、月の上限 |
| 年間固定 | 全社・複数部署で広く使う | 上限人数、追加費用の条件、更新時の値上げ |
| 初期費用・シナリオ制作費 | どの方式にも加わりうる | 自社で作れる範囲と、制作を依頼する場合の単価 |
公式サイトに金額の記載があるもの(2026年10月14日確認):生成AIチャットで試す段階なら、Gemini は無料プランが¥0/月、有料は Google AI Plus 725円/月・Google AI Pro 2,900円/月・Google AI Ultra 14,500円/月〜です(Google の料金ページの表示)。専用ツールは、比較した9製品のうち8製品が金額非掲載で、PeopleX は料金体系(初期導入コンサル費+基本料金+従量料金)だけを公式に記載しています。
費用対効果の考え方:金額より「人の時間」で比べる
専用ツールの金額が公開されていない以上、費用対効果は「見積もり額」と「対人ロープレに使っている人の時間」を比べて考えるのが現実的です。次は仮定を置いた計算例で、実測値ではありません。
| 仮定(営業10人・週2回・1回30分) | 対人ロープレ | AIロープレ+人の仕上げ |
|---|---|---|
| 受講者の練習時間(月) | 10人×8回×0.5時間=40時間 | 同じ40時間(反復はAIが相手) |
| 上司・トレーナーの同席時間(月) | 8回すべてに同席=40時間 | 月2回の仕上げだけ同席=10時間 |
| 評価の記録 | 指導者のメモ(残らないことが多い) | 全回の録音・点数・講評が残る |
この仮定では、上司・トレーナーの時間が月30時間減り、その時間を本番に近い仕上げや個別の指導に回せます。実際の人数・頻度・時給を当てはめて、見積もり額と比べてください。判断は月額の絶対額より「1人あたり・1回あたりの練習コスト」で見るのが実用的です。導入費用を抑える制度として、ITツールの導入を支援する「IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)」や「中小企業省力化投資補助金」が候補になりますが、対象となるツールの条件・申請枠は年度や制度改定によって変わるため、導入前に各制度の公式サイトまたは事務局で自社のツールが対象要件を満たすか確認してください。課金方式ごとの違いと見積もり前の確認リストはAIロープレの料金はどう決まる?費用を左右する4要素、無料で試せる範囲はAIロープレ無料はどこまで?で解説しています。
AIロープレ導入の進め方(5ステップ)
導入でつまずく原因の多くは、ツールの性能よりも「何のために使うか」が曖昧なまま始めることにあります。次の順で進めると、現場で使われないまま終わるリスクを抑えやすくなります。
- 目的と対象者を決める:新人の早期戦力化、商談のヒアリング力強化、クレーム対応の標準化など、伸ばしたいことを1つに絞り、対象の部署と人数を決めます。
- 小さく試す:1チーム・1シナリオに限って試し、受講者が実際に繰り返し使うか、フィードバックが現場の感覚と合っているかを確かめます。
- シナリオと評価基準を整える:自社の商材やよくある顧客の反応をシナリオに落とし込み、「良い応対」の基準を評価項目として言葉にします。前述の評価シートがそのまま下書きになります。
- 運用ルールを決めて本番運用する:実施の頻度、結果を誰がいつ確認するか、上司との面談でどう使うかを決めてから全員に展開します。
- 結果を振り返って広げる:スコアの推移と現場の成果(商談の進み方や応対品質)を見比べ、評価基準やシナリオを見直したうえで他の部署へ広げます。
トップセールスの型をシナリオに入れる
シナリオと評価基準は、社内で成果を出している人の商談から作ると、現場の実態に合います。手順は次のとおりです。
- 成果を出している営業の商談(録音や議事録)から、お客さまが言う反論や断り文句を書き出します。
- それぞれの反論に対する切り返しの言い方を、良い例として1〜2文で残します。
- 反論をAIの相手役の設定(本音・懸念)に入れ、切り返しの良い例を評価の観点に入れます。
- 言ってはいけない表現(断定的な効果保証、根拠のない値引きの示唆など)を、禁止表現として別に一覧にします。
社外に出せない情報(顧客名・未公開の価格)は、書き出す段階で伏せるか置き換えます。
営業研修に組み込む|4週間の進め方の例
営業チームの研修にAIロープレを入れるときの設計例です。効果を示す実測値ではなく、この記事のデモで採点される7つの観点(ヒアリング・知識と根拠・反論処理・クロージング・伝達品質・コンプラ遵守・見せた資料)を、週ごとに割り当てた例です。1回30分・週2回を目安に、週のテーマを1つに絞り、毎回の「直す点」は1つだけにします。
| 週 | 練習する場面 | 主に見る観点 | 人(上司・トレーナー)が見るところ |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 初回訪問で課題と決裁の流れを聞き出す | ヒアリング・伝達品質 | 質問が課題の特定に向かっているか。話す量と聞く量の比率 |
| 2週目 | 価格・競合・現状維持への切り返し | 反論処理・知識と根拠 | 反論を一度受け止めてから返せているか。根拠のない断定がないか |
| 3週目 | 提案資料を見せながらの説明 | 見せた資料・伝達品質 | ページごとに何を話すか。文字量の多いページを絞れているか |
| 4週目 | 次の約束の取り付けと、言ってはいけない表現の回避 | クロージング・コンプラ遵守 | 断定的な優位表現や接待の示唆など、禁止表現に触れていないか |
4週間のあとは、スコアの推移を「複数回の平均と伸び幅」で見て、評価基準とシナリオを見直します。AIの点数は人事評価に直接つなげず、育成のための材料として使います。営業ロープレそのものの進め方は営業ロープレとは?種類・進め方・シナリオ例、お題の例は営業ロープレのお題・コツ集で解説しています。
管理者が週次で見ること
- 練習の実施状況:誰が何回やったか。実施していない人に声をかけます。
- 点数の推移:1回の点ではなく、複数回の平均と伸び幅を見ます。
- 気になった場面だけを聞き直す:全員の全録音ではなく、低かった観点とコンプラ判定が出た場面に絞ります。時間の目安は、1人あたり数分です。
- 来週のテーマを1つ決める:全員共通で1つ、個人ごとに「直す点」を1つ。
よくある失敗パターンと防ぎ方
- 点数を人事評価に直結させる:現場が失敗を避けるようになります。点数は育成に使い、評価とは切り離します。
- シナリオが固定のまま:慣れて点が上がっても、本番の反論には強くなりません。月に1回は反論や相手の性格を入れ替えます。
- 管理者が結果を見ない:練習が個人任せになり、続きません。週次の確認を最初に決めます。
- 評価基準が曖昧:同じ発言でも点がぶれ、納得感が出ません。加点・減点の具体例を数件ずつ文章にします。
評価基準を自社で決めるときの勘所|AIスコアの「ぶれ」の読み方
ステップ3で評価基準を整えるとき、最初につまずきやすいのが「同じ人が同じように話したのに点が違う」というスコアのぶれです。これは必ずしも不具合ではなく、評価という行為の性質上、ある程度の揺らぎが含まれます。主な出どころは次の3つです。
- 相手役(AI)側の変動:相手の出す反論や質問が回ごとに変われば、受け手の対応の難しさも変わり、点も動きます。
- 会話の長さ:短い会話ほど1発言の比重が大きく、少しの言い回しの差がスコアに効きやすくなります。
- 基準の曖昧さ:「傾聴できている」を数値化する定義が緩いと、境界の事例で判定が揺れます。
こうした性質があるため、AIスコアは「絶対的な合否ライン」としてではなく、同一条件・複数回・傾向で読む相対指標として扱うのが実務的です。1回の点だけで人を評価しない、という運用ルールが土台になります。自社で評価基準を設計するときの勘所を表にまとめます。
| 設計項目 | やりがちな失敗 | 望ましい設計の一例 |
|---|---|---|
| 評価軸の数 | 10軸以上に細分化し、現場が読めない | 営業/接客ごとに3〜5軸へ絞り、行動が変わる軸だけ残す |
| 合否の使い方 | 1回のスコアで昇格・評価を判定 | 複数回の平均と伸び幅で判断し、育成の目安に留める |
| 人とAIの役割 | 最終評価までAI任せにする | AIは均一な基準での一次観測、最終判断と対話フィードバックは人が担う |
| 基準の言語化 | 「良い対応」を感覚で放置 | 加点/減点の具体例を数件ずつ明文化し、AIにも人にも共有 |
AIロープレの評価を「点数を出す仕組み」としてだけでなく「自社の望ましい対応像を言語化する作業」として扱うと、どの発言を加点し、どれを減点するかを決める過程そのものが、営業・接客の基準づくりになります。
AIロープレの限界と注意点|人が担う領域
AIロープレの可能性を肯定しつつ、実務上の限界も明確にしておきます。これを理解しないまま導入すると、期待と現実のギャップが失敗の原因になります。
AIが苦手な三つの領域
- 想定外への対応力:AIのシナリオは設計された範囲内で動きます。本番では相手が突然話題を変えたり、感情が急変したりします。そうした揺れへの対応力は、AIとの練習だけでは身につきにくい部分です。
- 信頼関係づくり:「相手の空気を読む力」や「この人となら話せると思わせる何か」は、現状のAI対話では再現が難しく、人の指導者との練習が欠かせません。
- 行動パターンの変容:AIは「何が問題か」を指摘できますが、「なぜその行動が抜けないのか」という個人の内面に踏み込んだコーチングは、人の指導者の仕事です。
人とAIの役割分担と、運用上の注意点
うまく機能している使い方を整理すると、「AIで基礎の反復を作り、人で応用力を仕上げる」という役割分担になります。AIは回数と客観性を担い、人のトレーナーはコーチング・本番に近い緊張感の演出・個人の内面への働きかけを担います。この分業が最初から設計されているかどうかが、長期的な成果の分かれ目です。
- AIのスコアを人事評価に直接つなげない:感情解析の精度には個人差・環境差があり、スコアの高低が現場の成果をそのまま反映しているとは限りません。「AIスコアは練習の補助データ、最終評価の責任は人が持つ」というルールを導入前に明示しておくと、現場の抵抗感を抑えやすくなります。
- 入力する情報に注意する:顧客の実名・未公開の価格・個人情報は、生成AIチャットにも専用ツールにも入れません。録音・録画を誰が見られるかの範囲も、始める前に決めておきます。
感情解析の技術的な詳細は感情解析AIの仕組みと活用で解説しています。
営業研修・ロープレへのAI導入をご検討の方は、クリスタルメソッドの無料相談をご利用ください。
DeepAI対話AIロープレについて
(この節は自社製品の紹介です。ここまでの選び方・評価の解説とは分けてお読みください。)
クリスタルメソッドが開発する「DeepAI」は、実在の人物の容姿・表情・声・振る舞いをデジタル空間で再現するバーチャルヒューマン/AIアバターのソリューションです。その対話AIを研修に使えるようにしたものが「DeepAI対話AIロープレ」で、AIアバターが顧客役・クレームを言うお客さま役・面接官役を演じ、この記事のデモのとおり、発言の内容・音声(抑揚・声量・話速・発音)・表情と落ち着き・見せた資料を採点し、コンプラ違反の判定も行います。練習の記録は受講者と研修担当者の両方が確認でき、スマートフォンからも練習できます。
導入実績は、大手人材派遣会社・大手SIer・大手コールセンター・大手印刷会社の4業種です。製品の詳細はDeepAI対話AIロープレ(営業研修・商談対策を自動化)のページで案内しています。クレーム対応のデモはブラウザで体験できます。
面接練習もAIロープレの一種|無料のAI面接練習で体験できます
面接(就職・転職)の練習も、相手役(面接官)との対話を練習し、その応答を評価するという意味でロープレの一種です。営業・接客・電話応対などの場面は上の「活用シーン」の表にまとめました。ここでは、AIロープレがどんなものかを実際に体験できるよう、AI面接練習の申込フォームを置いています(無料・約5〜10分)。
AI面接練習では何を評価し、反復でどう変わるか
面接練習は、相手役(面接官)との対話を練習し、その応答を評価するという点で、営業・接客のロープレと同じ構造です。AI面接練習では、AIの面接官が志望企業や職種に合わせて質問し、回答に対して「なぜそうしたのか」「どんな工夫をしたのか」と深掘り質問を重ねます。終了後は、話の中身・話し方・表情について、評価と改善点が返されます。


AI面接練習ツール「DeepAI 面接練習」の利用データ(2026年6〜9月・AIによる自動評価)からは、AIロープレ全般に通じる次の傾向が見えています。
- 2回以上練習した人のうち74%は、1回目より最後の回のスコアが上がっていました。同じ形式で繰り返し、具体的な改善点を受け取りながら直していけることが、AIロープレの強みとして数字に表れています。
- 練習後の改善コメントで最も多かったのは「具体例や数字が足りない」で、99%の練習で指摘されていました。「成果や学びを言葉にできていない」(49%)、「結論が先に来ない・話の構成が分かりにくい」(41%)が続きます。営業ロープレで「提案に根拠の数字がない」「結論が遅い」と指摘されやすいのと同じ傾向です。
- 表情については、約8割の練習で「笑顔が少ない」「表情が硬い」という助言が出ていました。本人が自覚しにくい非言語のくせを可視化できるのは、AIロープレならではの点です。
- 100点満点の総合スコアで70点以上になったのは約5%で、最初から高い点を取れる人は多くありません。1回目の結果より、回数を重ねた後の変化を見るのが実用的です。
AI面接の仕組みや評価項目、受ける前の対策は AI面接とは?仕組み・評価・対策を解説 で詳しく解説しています。無料のAI面接練習は、上のフォームから試せます。
AIロープレのよくある質問
AIロープレとは何ですか?
AIを顧客役や面接官役にして、営業・接客・電話応対・面接などのロールプレイング(模擬の対話練習)を行い、その内容をAIが評価する練習手法です。人の相手を用意せずに何度でも会話練習ができ、話し方や切り返しをその場で振り返れます。価値は練習の「回数」と「フィードバックの即時性」にあります。
AIロープレは無料で試せますか?
試せます。ChatGPTやGeminiなどの生成AIチャットは無料プランでも相手役と講評を試せます。専用サービスでは、公式サイトの記載として、PeopleX AIロープレに無料プランの案内、SAPI ロープレに無料トライアルの案内があります(2026年10月確認)。まず自社の商材でシナリオが組めるかをデモで確認するのが近道です。
AIロープレの費用はいくらですか?
公式サイトで金額を公開していないサービスが多く、課金方式(利用者数ごとの月額・実施回数ごとの従量・年間固定)・利用人数・機能の範囲・初期費用の組み合わせで決まります。月額の絶対額より「1人あたり・1回あたりの練習コスト」で見るのが実用的です。具体的な料金は各ツールの最新情報をご確認ください。
AIロープレのおすすめは?
目的で選びます。「自社の業種・商材の反論を再現できるか」「練習後に何を改善すべきかが記録・可視化されるか」の2点で見ると失敗しにくくなります。生成AIチャットでも始められますが、声・表情・資料まで評価したい場合や、部署で評価をそろえたい場合は専用設計のものが向いています。
AIロープレは対人ロープレの完全な代替になりますか?
なりません。反復練習と客観的な評価はAIが得意ですが、想定外への対応や信頼関係づくり、最終的な合格判定や個別の指導は人の指導者が担う設計が現実的です。
AIロープレの評価は公平ですか?
AIは同じ基準で全員を評価するため、評価者による甘辛のばらつきは解消されます。ただし評価基準そのものの妥当性は導入企業側の設計に依存するため、基準を現場と合意してから運用することが重要です。
AIロープレは音声で会話できますか?
サービスによります。公式に音声対話を明記しているのは一部で、テキスト対話のみのツールもあります。電話・商談の練習が目的なら音声対応は必須の条件にしてください。
AIロープレは中小企業でも導入できますか?
可能です。少人数から使えるプランを持つサービスもあります。IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)や中小企業省力化投資補助金が候補になりますが、対象となるツールの条件・申請枠は年度や制度改定によって変わるため、公式サイトや事務局での確認が必要です。
主要サービスの機能比較はAIロープレ比較記事、料金の考え方はAIロープレ料金ガイドで解説しています。
まとめ:AIロープレを検討するときの判断軸
この記事の要点を三つにまとめます。
- AIロープレが解決する問題の本質は「フィードバックの抽象性」です。練習機会の不足や評価の属人性も問題ですが、「何をどう変えるか」が伝わらない抽象的なフィードバックこそが、従来のロープレで成長が止まる主な原因です。AIは対話を記録して計測することで、この問題に応えます。
- AIが評価しているのは、発言内容・音声・表情の三層です。「感情が分かる」のではなく「表情と声のパターンを統計的に分類して傾向を示す」ものなので、補助的なシグナルとして扱います。
- AIに任せる範囲と人が担う範囲を最初に設計することが成否を分けます。AIは回数・客観性・即時フィードバックを、人は応用練習・コーチング・個人の内面への働きかけを担います。
検討するときの判断軸を表にまとめます。
| 問い | 見るところ |
|---|---|
| 何を練習したいか | 崩れやすい場面を1つ切り出す(価格交渉・クレームの一言目・面接の結論など)。営業なら資料の説明まで含める |
| AIは何を評価するか | 発言の内容だけか、声・表情・資料まで見るか。「どの発言が・なぜその点数か」をデモで確認する |
| 人は何を担うか | 想定外への対応・信頼関係づくり・最終評価は人が担います。AIスコアを人事評価に直結させない |
| どこから始めるか | まず生成AIチャットで小さく試し、人数が増えて評価の統一や記録が必要になったら専用ツールへ |
ツールを選ぶときは、「何を評価しているのか」「なぜそのフィードバックになるのか」を提供会社に説明してもらうことが最初の判断軸になります。その問いに具体的に答えられるかどうかが、評価設計が作り込まれているかの目安です。
参考文献
- 総務省「令和6年版 情報通信白書|各領域・業界における活用動向」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd152120.html
関連記事
クレーム対応AIロープレ(無料体験)
怒った声が、穏やかに変わります。
謝罪し、原因を伝え、解決策を示すと——お客さま(AI合成音声)の声のトーンが、その場で変化していきます。本番さながらのクレーム対応を、実機で体験できます。
営業ロープレ・研修のAI活用をご検討の方へ
クリスタルメソッドは、AIを相手に営業・接客のロールプレイングを繰り返せる仕組みを開発・提供しています。「自社の営業研修・OJTにAIロープレをどう活かせるか」「導入の進め方や費用を知りたい」といったご相談を承っています。
- 無料相談・お問い合わせ:ご相談はこちら
- クレーム対応AIロープレの無料体験:カスハラ対応AIロープレを体験する
- AIロープレ 導入ガイド(無料):無料ダウンロード
Read next
あわせて読みたい
-
AIロープレの作り方|顧客役プロンプト完成テンプレと評価ルーブリック記入例
AIロープレの作り方とは、人工知能を相手役とした営業や接客の模擬訓練(AIロープレ)を自社向けに構築する具体的な手順のことです。ロープレの概要・種類やツール選定...
-
AIロープレ比較|機能表で選ぶと失敗する”4つの手法タイプ”と自社に合う選び方(開発者解説)
AIロープレの比較とは、AIが相手役を務めるロールプレイング練習サービスを、練習の手法(何を体験させるか)、評価対象(対話の内容・音声・表情のどれを採点するか)...
-
営業ロープレのお題30選|フェーズ×商材の実践シナリオ集
営業ロープレのお題とは、営業活動における特定の場面や顧客の反応を想定し、模擬練習を行うために設定する具体的なシチュエーションや課題のことです。実際の商談を再現し...
