
Seedance 2.5とは:ByteDanceが2026年7月に発表した動画生成モデル
Seedance 2.5は、ByteDanceのSeedチームが2026年7月31日に公開した動画生成AIモデルだ。テキストや画像から動画を生成する「基本生成」と、複数の参照素材を組み合わせてコンセプトやスタイルを引き継ぐ「参照ベース生成」を両立し、長尺のストーリー動画・マルチモーダル参照・細かな編集という三つの軸で大きく進化したと公式は説明している。
発表元のByteDanceはTikTokやCapCutを展開する企業であり、SeedanceはByteDanceのAI研究チーム「Seed」が手がける動画生成モデルのシリーズだ。動画生成AI全体の基本は動画生成AIの解説も参照してほしい。
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Seedance 2.5でできること:30秒生成から部分編集まで
Seedance 2.5の仕様として公式ブログ(ByteDance Seed, 2026年7月31日)が明示している主な機能は次のとおりだ。
- 1回の生成で最大30秒、複数回の延長が可能(”Up to 30 seconds per generation, with multi-round extensions”)
- 大量の参照素材を一括入力:1回のパスで画像最大30枚・動画10本・音声10本を参照素材として指定できる
- タイムスタンプ単位の部分編集:動画・音声のうち特定の区間だけを狙って変更できる
- グリーンバック編集:背景を差し替えやすい形式での生成
- カメラ視点の編集:生成後にカメラアングルを操作
- モーション参照:別の動画の動きを参照して生成に反映
- クレイ(白モデル)レンダーの参照:造形や形状をスタイル参照として利用
Dreamina(CapCutの動画生成サービス)の公式ページ(2026年9月時点)によれば、4K出力をうたうほか、ベータの長尺モードで180秒まで延長できるとされている。また、不要な字幕やBGMが勝手に入ることを減らしたとも説明されている。
話題のきっかけ:YouTube急上昇に入った「AIが考えるおばあちゃんゲーム」
2026年9月下旬、日本のYouTubeで「AIが考えるおばあちゃんゲーム2【Pollo AI/Seedance 2.5】」(チャンネル:AI動画ラボコイコイ)が急上昇ランキングに入り、2026年9月26日時点で再生数は約17万回に達した。ゲーム実況風の架空映像と音声をAIで生成したフィクション動画で、前作「AIが考えるおばあちゃんゲーム」も同様の手法で話題を集めた経緯がある。
このシリーズはPollo AIというサービス経由でSeedance 2.5を使って制作されており、動画のタイトルにモデル名が明記されている。
前バージョンSeedance 2.0との比較と、権利問題の経緯
Seedance 2.0は2026年2月12日に公開され、1回の生成で最大15秒という仕様だった。Seedance 2.5では最大30秒へ倍増し、参照素材の大量入力や部分編集など編集ワークフローに関わる機能が大幅に追加されている。
| 項目 | Seedance 2.0 | Seedance 2.5 |
|---|---|---|
| 発表日 | 2026年2月12日 | 2026年7月31日 |
| 1回の最大生成時間 | 最大15秒 | 最大30秒(延長対応) |
| 参照素材の一括入力 | —(出典に記載なし) | 画像30枚・動画10本・音声10本(1回で) |
| タイムスタンプ単位の部分編集 | —(出典に記載なし) | あり |
| 主な提供サービス(公式) | Dreamina(CapCut)制限版 | 即夢AI・豆包Pro・Dreamina・API(BytePlus ModelArk) |
| 権利・肖像の制限(公式発表分) | 実在人物の顔を含む素材からの生成を停止・無許可IPをブロック(2026年3月以降) | 公式ブログに2.0と同等の制限の明記なし(2026年9月時点) |
Seedance 2.0で起きた権利・肖像をめぐる問題
Seedance 2.0は公開直後、米映画協会(MPA)から著作権侵害として非難された。Disneyが2026年2月13日、Netflixが同月17日に停止要求(cease-and-desist)を送付し、俳優組合SAG-AFTRAも組合員の声や肖像の無断使用への懸念を表明した。ByteDanceは2月16日に「知的財産権を尊重し、安全対策を強化する」と声明を出し、2026年3月26日にCapCut経由の制限版「Dreamina Seedance 2.0」を提供。この版では、実在の人物の顔を含む画像・動画からの動画生成を行わないこと、無許可のIP利用をブロックすることを仕様として明示した。
Seedance 2.5においてこれらの制限がどう適用されているかは、2026年9月時点の公式ブログには明記がないため断定できない。業務利用を検討する際には、利用予定のサービスの利用規約と最新の公式案内を必ず確認する必要がある。
どこで使えるか:提供サービスとAPI
2026年9月時点での提供状況は次のとおりだ。
- 即夢AI(Jimeng):ByteDance傘下の動画・画像生成サービス。中国語UIが中心。
- 豆包Pro(Doubao Pro):ByteDanceのAIアシスタントサービス。
- Dreamina(CapCut):CapCutの動画生成機能。公式ページでは”Dreamina Seedance 2.5 is officially live worldwide”と案内されており、グローバルで利用可能とされている(2026年9月時点)。
- BytePlus ModelArk API:開発者向けAPIは2026年8月以降に順次提供。発表時点では”coming soon”とされていた。
- 外部サービス(Pollo AIなど):Pollo AIのように、Seedance 2.5を選べるモデルとして提供している外部の動画生成サービスも存在する。
料金はサービス・プラン・地域によって異なるため、各サービスの公式ページで確認してほしい。
次に読む:業界別に動画生成AIをどう活用する?
公式が認める苦手なこと
ByteDance Seedの公式ブログは、Seedance 2.5について次の課題を明示している。
“there is still room for improvement, particularly regarding the physical plausibility of complex motions and the stability of scenes involving interactions among multiple subjects”
要約すると、(1)複雑な動きをする物体の動きが物理的に不自然になりやすい、(2)複数の被写体が関わる場面では映像が安定しにくい、という二点だ。
業務で使う前に:権利・肖像の実務的な注意点
動画生成AIを業務に使う場合、入力する素材と生成物の扱いは、利用するサービスの利用規約で確認するのが出発点になる。Seedance 2.5固有の問題に限らず、以下の点は事前に整理しておきたい。
- 入力素材の権利:参照素材として使う画像・動画・音声が自社所有または利用許諾を得たものかを確認する。Seedance 2.5は1回で大量の参照素材を受け付けるため、素材の権利確認漏れが起きやすい。
- 実在人物の顔・声の扱い:Seedance 2.0の経緯が示すように、実在の人物の顔や声を使った生成は法的リスクが高い。Seedance 2.5での制限の詳細は利用するサービスの利用規約で確認すること。
- 著作物キャラクターの入力:映画・アニメ・ゲームの既存キャラクターを参照素材に使うことは、利用規約上も著作権上も問題になりうる。
- 商用利用可否:サービスごとに商用利用の可否・条件が異なる。Dreaminaなど各プラットフォームの利用規約を必ず読む。
- AIが生成したことの開示:広告・マーケティング用途では、AI生成であることを明記する必要があるかを、掲載先のルールや社内の方針で確認しておく。
企業サイトの動画を動画生成AIで作って見えてきたこと
クリスタルメソッドは2026年9月、自社コーポレートサイトのトップページのスライド動画を動画生成AI(OpenAI Sora 2)で制作した。登場人物は架空の設定で、製品・技術のイメージ映像として使っている。その過程で気づいた点を、Seedance 2.5の仕様と並べて整理する。なお当社はSeedance 2.5を使っておらず、両者の品質比較ではない。
① 候補を複数本作って選ぶ工程が必ず必要になる
1本生成してそのまま採用できるケースは少ない。同じプロンプトから複数本生成し、人が見て判断する工程が実際に必要だった。どのモデルを使う場合でも、複数の候補を生成して選ぶ時間は見込んでおいた方がよい。
② サービスの利用制限・アクセス集中に備える
別の動画生成サービスでアクセス集中によるエラーが続き、別サービスに切り替えた経験がある。締め切りのある業務では複数のサービスを使える状態にしておくと安心だ。
③ 動画に説明文字を入れない判断
当社では説明の文字を映像に入れず、必要な文字はWebページ側に置いた。文字を後から直したいときに、動画を作り直さずに済む。なお、Dreaminaは「不要な字幕が勝手に入ることを減らした」と説明している。
④ 「作り直せばよくなる」とは限らない
全体を統一したデザインで作り直した版が、見た人から「前の方がよい」と評価され元に戻した。生成AIで動画を刷新する際は、既存素材との比較を社内外の複数人で確認してから差し替えることを勧める。
⑤ スマホ向けの縦長(9:16)動画は別に作る
PCとスマホで動画の比率を切り替える場合、縦長版を別途生成する必要がある。一部は向きが崩れて出力されたため作り直しになった。縦長の出力が意図どおりになるかは、使うモデル・サービスで実際に確かめる必要がある。
⑥ ページの表示速度を意識してファイルサイズを管理する
動画を多数載せるとページが重くなる。同じ動画を使い回す・圧縮する・遅延ロードを使うなどの対策は、動画生成AIを使うかどうかにかかわらず企業サイトでは必須の工程だ。
動画生成AIの全体像はAI動画とは?仕組み・活用の解説、主なサービスの比較は動画生成AIの解説も参考にしてほしい。
よくある質問(FAQ)
Seedance 2.5は無料で使えますか?
料金はサービスやプランによって異なります。Dreaminaなど各プラットフォームの公式ページで最新の料金プランを確認してください。本記事では金額を明記しません(変動があるため)。
日本語のテキストプロンプトに対応していますか?
Dreaminaはグローバル展開を公式に案内しています。ただし日本語プロンプトの精度については各サービスで実際に試して確認することを勧めます。
生成した動画を商用利用できますか?
利用するサービスの利用規約によります。商用利用を想定している場合は、該当サービスの規約で商用利用の可否・条件を必ず確認してください。
Seedance 2.5のAPIを自社サービスに組み込めますか?
BytePlus ModelArk経由でのAPI提供が2026年8月以降に順次開始されています。開発者向けの詳細はBytePlus公式の案内を参照してください。
既存動画の一部だけ差し替えることはできますか?
タイムスタンプ単位で音声・映像の特定区間を編集する機能が公式に紹介されています。ただし操作の詳細や対応しているサービスは利用するプラットフォームによって異なります。
出典・参考
- ByteDance Seed公式ブログ「Introducing Seedance 2.5」(2026年7月31日)
https://seed.bytedance.com/en/blog/one-take-creation-flexible-referencing-introducing-seedance-2-5 - Dreamina公式ページ「Seedance 2.5」(2026年9月時点)
https://dreamina.capcut.com/seedance/seedance-2-5 - Pollo AI 日本語ハウツー「How to Use Seedance 2.5」(2026年9月時点)
https://pollo.ai/ja/hub/how-to-use-seedance-2-5 - Wikipedia「Seedance 2.0」(2.0の公開日・権利問題の経緯)
https://en.wikipedia.org/wiki/Seedance_2.0 - YouTube「AIが考えるおばあちゃんゲーム2【Pollo AI/Seedance 2.5】」(チャンネル:AI動画ラボコイコイ)
https://www.youtube.com/watch?v=h4-24Qlkj7Q
