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動画生成AIとは?おすすめツールの比較・無料で使える範囲・使い方をわかりやすく解説【2026年版】

動画生成AIとは、文章(プロンプト)や画像などの指示をもとに、AIが映像を自動で作る技術のことです。Runway・Kling・Googleのような生成ツールがあり、Adobe Fireflyのように毎日無料で試せるものもあります。OpenAIのSoraは2026年にウェブ・アプリ・APIとも提供を終了したため、現役のツールとしては選べません。この記事では、できること、無料で使える範囲、ツールの選び方と比較、使い方の順に説明します。

この記事は、すでに「動画生成AIとは何か」が分かり、どのサービスを選ぶかを決めたい方向けです。できることを押さえたうえで、目的別の選び方、秒数・解像度・音声を同じ条件で並べた比較表、月額と無料枠、1本作るまでの手順、失敗しやすい点、公開前に確認することの順に説明します。仕組みや歴史は最後の節からAI動画の仕組みへ、料金の細かい比較は動画生成AIの料金比較、ツール同士の比較は動画生成AIツール比較、業界別の使われ方は動画生成AIの事例に分けています。

動画生成AIの解説

動画生成AIとは:画像生成AIとの違い

動画生成AI(動画AI)とは、深層学習モデルが人間の指示(プロンプト)や入力素材をもとに、映像を自動で生成・変換する技術の総称です。静止画生成AIが縦×横の画素の並びを出力するのに対し、動画生成AIは時間の方向(フレーム数)も加えた映像を出力しなければなりません。この時間的一貫性の担保が静止画生成との大きな違いであり、開発の難しさの理由でもあります。

入力形式は大きく三類型に整理できます。Text-to-Videoはテキストプロンプトのみから映像を生成する形式で、最も普及しています。Image-to-Videoは静止画に動きを付与して動画化する形式で、既存の写真素材を活かしやすい形式です。Video-to-Videoは既存映像のスタイル変換・延長・補間を行う形式で、編集ワークフローへの組み込みに適しています。商用ツールの多くはこれらを組み合わせて提供しています。

技術的な系譜をたどると、2020年前後はGAN(敵対的生成ネットワーク)が動画生成研究の主軸を担っていました。しかし2022年以降、拡散モデルの台頭とともに生成品質が飛躍的に向上し、2024年のOpenAI Soraの発表を境に業界は「実用期」へと移行しました。2026年現在、商用利用できるツールが各社から多数提供され、企業の広告制作から個人クリエイターの表現活動まで広く普及しています。

動画AIの入出力フロー 入力 テキスト/画像/動画 生成モデル 拡散モデル × Transformer 出力 時間的一貫性を持つ映像
図1. 動画AIの入出力フロー。時間軸方向の一貫性の担保が技術的中核となる。

数あるツールの中から自分に合うものを選ぶ基準は、動画生成AIツール比較で解説しています。

関連記事動画生成AIは業界別にどう活用されている?

動画生成AIでできることは?入力方式3つと活用シーン

動画AIでできることは、大きく3つに分けられます。

できること 内容 向いている使い方
文章から動画を作る(Text-to-Video) 「夕暮れの海辺を歩く犬」のような文章から、数秒〜十数秒の映像を作る イメージ映像、企画のたたき台、撮影が難しい場面
画像を動かす(Image-to-Video) 1枚の写真やイラストに、動きやカメラワークを付ける 商品写真やキャラクターなど、見た目を保ったまま動かしたいとき
動画を変換・編集する(Video-to-Video) 撮った映像の画風を変える、一部を差し替える、長さを伸ばす 既存の映像素材の作り直し、雰囲気の統一

このほか、原稿を読み上げる人物(アバター)の動画を作るタイプもあります。アバター動画・吹き替え・自動編集まで含めた「AIで作る動画」全体の入口はAI動画とはにまとめているので、この記事では文章や画像から映像を作る「生成モデル」に絞って説明します。場面ごとの使われ方は次のとおりです。

活用シーン 使い方の例
SNS・広告 短い縦型動画やバナー用の動く素材を、パターンを変えて複数作る
企画・提案 撮影や制作の前に、完成イメージを映像で共有する(絵コンテの代わり)
商品・サービス紹介 商品写真を起点に、使用シーンのイメージ映像を付ける
研修・マニュアル・説明動画 アバターに原稿を読ませ、内容の更新があれば原稿だけ直して作り直す
教育・解説コンテンツ 文章だけでは伝わりにくい動きや仕組みを、短い映像で補う
映像制作の素材づくり 背景や挿入カットなど、撮影しにくい素材を補う

どの場面でも、生成した映像をそのまま完成品にするより、「素材」として作って編集で仕上げる使い方が安定します。向く制作・向かない制作の見極めは、後半の節で整理します。

目的別に選ぶなら?SNS短尺・広告・社内説明・実写風・アニメ

ツールが多くて決められないときは、先に「何を作るか」から条件を絞ります。下の表は、各社の公式ページに書かれている条件(秒数・画面比率・音声・料金・商用利用)を、目的ごとに当てはめたものです。画風(実写風・アニメ風など)の得意不得意は、公式が数値や仕様として示していないため、表では断定していません。候補を2つに絞り、同じ指示を無料枠で入れて見比べるのが確実です。

作りたいもの 先に見る条件 候補になるサービス(公式記載の範囲) 公開前に確認すること
SNS向けの縦型・短尺 画面比率(縦9:16)と1本の秒数 Adobe Firefly(動画生成の画面で16:9と9:16を選べる。多くのモデルは最大8秒、一部は最大15秒)、Kling 3.0(3〜15秒)、Veo 3.1(8秒)、Gemini Omni(10秒) 無料枠の透かしと商用利用の可否(次の「月額と無料枠」の表)
広告・販促の素材 商用利用・透かしなし・音声 Runway(Standard以上は透かしなし)、Pika(Starter以上は商用ライセンスあり)、Kling(Standard以上は商用利用可・透かし除去)、Firefly(Fireflyのモデルの生成物は商用利用に適していると公式が記載) 実在の人物・他社ブランドを含めない。AI生成の表示が必要な場面がある(後半「公開前に確認すること」)
社内説明・研修動画 原稿を読み上げる人物(アバター)か、場面を生成するか 原稿に沿って話す人物の動画はSynthesia(Basicは無料・月10分・透かしあり)、HeyGen、NoLangなど。場面の映像を作るなら生成モデル 無料版は試用向き。社外へ出す動画は有料プランの商用条件を確認
実写風の映像 音声つきか、解像度は何まで選べるか Veo 3.1(1080p・4K、音声を同時生成)、Kling(720p・1080p・4K)、Firefly(最大4KのMP4) 画風の優劣は公式に数値がない。無料枠で同じ指示を2ツールに入れて比べる
アニメ風・イラスト風 参照画像から動かせるか、画風の指定方法 画像から動画にする方式(最初のフレームを指定できるFirefly、写真最大5枚から作れるGemini Omni) 元画像の権利を確認。公式に画風別の得意不得意の記載はなし
撮影済み映像の編集・延長 動画から動画への編集に対応しているか Gemini Omni(動画から動画への編集・シーンの延長・マルチターン編集と公式に記載)、Veo 3.1(シーンの延長) 編集元の映像の権利

全体像から確認したい方はAI動画とは、最初の1本を無料で作る流れはこの記事の「1本作るまでの手順」をご覧ください。

仕事で使い始めるときの進め方

  1. 用途を1つに絞る:「広告の素材」「提案のイメージ映像」など、最初に試す用途を1つだけ決めます。
  2. 無料枠で1〜2本試作する:同じ指示で作った映像の品質と、無料枠の上限を確かめます。
  3. 公開前のルールを決める:商用利用の条件、実在の人物や他社ブランドを入れない、AIで作ったことの表示、人による最終確認を社内で決めておきます。
  4. 有料プランに進むかを判断する:透かし、商用利用、必要な本数のどれかが無料枠で足りなくなった時点で、料金を比べます(動画生成AIの料金比較)。

主要サービスを同じ条件で比べると?秒数・解像度・音声・日本語

映像の仕様を、各社の公式ページに書かれている範囲で同じ項目に並べました(2026年10月30日に確認)。公式ページに書かれていない項目は「記載なし」としています。数字は更新されるため、使う前に各公式ページで確認してください。

サービス 最長の秒数 解像度 音声 日本語での指示 入力方式・主な特長
Gemini Omni 1.1 Flash(Google・Geminiアプリ) 10秒(公式) 記載なし ネイティブ音声生成 記載なし テキスト・写真(最大5枚)・動画から作成、シーンの延長、動画から動画への編集、マルチターン編集。個人アカウントはGoogle AIサブスクリプションが必要
Veo 3.1(Google DeepMind) 8秒(ページに「Veoの動画は8秒」と記載) 1080p・4K 効果音・環境音・セリフを同時に生成 記載なし テキスト・画像・最初と最後のフレーム・参照画像・動画からの延長。Gemini・Flow・Google Vids・AI Studio・Gemini APIから利用
Kling 3.0/4.0(Kling AI) 3.0は3〜15秒、4.0は3〜30秒 720p・1080p・4K(4.0は1080p・4Kで10-bit HDR) 3.0はモノラル、4.0は2チャンネルステレオ 日本語を含む4言語(中・英・日・韓)に対応と公式ブログに記載 4.0は2026年10月の正式公開予定で、9月28日に一部ユーザー向けの先行提供が始まったと公式が記載
Adobe Firefly(動画生成) 多くのモデルが最大8秒、一部は最大15秒 最大4KのMP4 複数のモデルがネイティブ音声に対応 記載なし(画面は日本語表示) 1つの画面でVeo 3.1 Fast、Firefly Video、Luma Ray3、Runway Gen-4.5、Kling 3.0から選べる。画面比率は16:9と9:16
Runway Gen-4.5 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし 公式の発表ページは文章からの動画の評価を載せ、画像から動画・キーフレームなどは「Gen-4.5にも広げる」と記載
Pika 2.5 記載なし 記載なし 記載なし(別の音声モデル「Pika Audio」がある) 記載なし 公式トップはモデル名のみで、秒数・解像度の記載なし
Hailuo AI(MiniMax H3) 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし 公式トップに料金・秒数の記載なし
OpenAI Sora 提供終了 提供終了 提供終了 提供終了 ウェブ・アプリは2026年4月26日、APIは2026年9月24日に終了(公式ヘルプ)

この表の読み方:秒数と音声で比べるならKling・Veo・Gemini Omni・Fireflyが公式に数値を出しています。Runway・Pika・Hailuoは、公式のトップ・発表ページから秒数や解像度を確認できなかったため空欄にしました。比べたい場合は、各社の料金ページと無料枠で実際に1本作って確かめてください。モデルの違いを深く見たい方は動画生成AIツール比較をご覧ください。

動画・画像生成AIの業務活用をご検討の方は、AI開発会社クリスタルメソッドの無料相談をご利用ください。

料金は月いくら?無料枠・透かし・商用利用の早見表

無料枠は使える量(回数・クレジット)、透かし、商用利用の3点で見ます。クレジットの単位は会社ごとに違うため、数字どうしは直接比べられません。下の表は、公式の料金ページに書かれている内容だけをまとめたものです(Runway・Pika・Kling・Synthesia・Adobe Fireflyは2026年10月30日に確認)。公式に書かれていない項目は「記載なし」としています。

サービス 無料で使える量 有料プランの月額(公式記載) 透かし・商用利用(公式記載)
Adobe Firefly プラン契約なしで、画像・動画・音声を毎日無料で生成(毎日リセット。回数の記載なし) Standard 1,580円、Pro 3,180円、Pro Plus 6,600円、Premium 31,680円(いずれも税込・公式プラン比較) 透かしの記載なし。Fireflyのモデルで生成したコンテンツは商用利用に適していると公式が記載(パートナーモデルは案件ごとに判断)
Runway Free:125クレジットを一度だけ付与(期限なし)。毎月の付与なし Standard $15(年払いは月$12・625クレジット)、Pro $35(年払いは月$28・2,250クレジット)(公式料金) Standardは「No watermarks」と記載。Freeの透かし・商用は料金ページに記載なし
Pika Free:毎月のクレジットは0(クレジットパックの購入が必要) Starter $10(900クレジット)、Creator $35(3,150クレジット)、Fancy $95〜。年払いは20%安い(公式料金) 料金ページは全プランで「透かしなし」と記載。Freeは商用ライセンスなし、Starter以上は商用ライセンスあり
Kling AI Basic:無料。月間クレジットなし Standard 初回$6.99・更新時$8.80(660クレジット)、Pro 初回$25.99・更新時$32.56(3,000クレジット)(公式の会員プラン案内) Basicは商用利用不可。Standard以上は商用利用可・ブランド透かしの除去
Synthesia(アバター動画) Basic:無料。動画は月10分まで Starter $19(年払いは月$14)、Pro $89(年払いは月$59)(公式料金) Basicの動画には透かしが入る。Starter以上でロゴなし
Google(Geminiアプリ) 個人アカウントの動画生成は無料枠なし。Google AIサブスクリプションが必要(公式) Google AI Pro 月2,900円、Ultra 月14,500円〜(2026年10月20日確認) 記載なし

アバター動画・編集系は、2026年10月20日に公式の料金ページで確認した値です。HeyGenは無料が月3本・1本1分まで、Creatorが月$29(年払いは月$24)で透かしなし。NoLangは無料が月3本程度、Standardが月2,980円(税抜・約20本)、Premiumが月7,980円(税抜・約70本)。Canvaは無料プランでもAI動画生成が使え(標準モデルで最大200回・高品質モデルで最大20回、毎月リセット。2026年10月26日確認)、Canva Proは年額11,800円です。

無料枠の使い分け:最初の1本を費用なしで試すなら、毎日無料で生成できるAdobe Fireflyか、125クレジットを一度だけ使えるRunwayが手軽です。公開や商用に使う動画は、表の「透かし・商用利用」を先に確認してください。アプリ・Webサイトごとの無料枠は無料AI動画生成アプリとAI動画生成の無料サイト比較に、「AI動画」全体の入口はAI動画とはにまとめています。

1本作るまでの手順:目的の決め方から生成・仕上げまで

画面はツールごとに違いますが、共通の流れは次の6ステップです。画面例は、公式のログイン不要ページから撮ったものです。

  1. 目的・尺・画面比率を決める:SNS用の縦動画なら9:16、説明用なら16:9。1本の秒数はツールの上限(上の比較表)の範囲で決めます。
  2. ツールを選ぶ:費用をかけずに試すなら毎日無料のAdobe Fireflyかクレジットが一度付くRunway。Geminiアプリは個人アカウントでGoogle AIプランが必要です。
    Geminiアプリヘルプ「Gemini アプリで動画を生成する」の冒頭。必要なものとして、個人アカウントではGoogle AIプランが必要であることなどが書かれている(2026年10月30日に表示)
    Geminiアプリヘルプの冒頭(2026年10月30日に表示)。個人アカウントではGoogle AIプランが必要で、18歳未満は利用できないと書かれています。
  3. 素材を用意する:文章だけで作るか、最初のフレームになる画像を1枚用意するかを選びます。商品や人物の見た目を保ちたいときは画像を起点にします。
  4. プロンプトを入れて設定する:下の型で被写体・動き・カメラ・雰囲気・時間を書き、モデルと画面比率を選んで[生成]を押します。
    Adobe Fireflyの動画生成ページ。最初のフレームの画像を追加する枠、プロンプト入力欄、モデル(Veo 3.1 Fast)の選択、画面比率、Moreの設定、生成ボタンが並んでいる(2026年10月30日に表示)
    Adobe Fireflyの動画生成ページ(2026年10月30日に表示)。最初のフレーム、プロンプト、モデル、画面比率、生成ボタンが1画面に並んでいます。
  5. 複数本を生成して選ぶ:同じ指示でも結果は毎回変わるため、3〜4本作って良いものを選びます。Geminiアプリでは、テンプレートを選んでプロンプトを入力して送信し、数分待つ流れです。
    Google公式ヘルプ「Gemini アプリで動画を生成する」の手順の一部。パソコンで gemini.google.com にアクセスし、サイドバーの[動画を作成]をクリック、テンプレートを選び、テキストボックスに動画のプロンプトを入力して送信する流れ。画像や動画から動画を作る場合は1本の動画と最大5枚の画像を追加できると記載
    Google公式ヘルプ「Gemini アプリで動画を生成する」の手順(出典:Gemini アプリ ヘルプ・2026年10月13日撮影)
  6. 編集で仕上げる:複数のクリップをつなぎ、字幕・ナレーション・BGMを編集ソフトで載せます。生成AIは素材づくり、仕上げは編集、と役割を分けると品質が安定します。

プロンプトの型(5要素)

【被写体】白いシャツを着た20代の女性が
【動き】カフェの窓際でノートPCを開き、ゆっくり顔を上げて微笑む
【カメラ】正面やや斜めから、ゆっくりズームイン
【雰囲気・画風】午後の自然光、実写風、落ち着いた色調
【時間・形式】5秒、16:9

うまくいかないときは、「動き」を1つに絞る、カメラの動きを減らす、画風を具体的な言葉(実写風・アニメ風・水彩風)で指定する、の順に直すと改善しやすくなります。文字(看板・字幕)や細かい手の動きは苦手なので、編集で後から載せる前提にしてください。

失敗しやすい点と、向く制作・向かない制作の見極め方

つまずきやすい点 何が起きるか 先に打てる手
手指・文字・液体や布の動き 細部が崩れやすい。看板や字幕の文字は特に苦手 文字は編集で後から載せる。「動き」を1つに絞る
長い動画での一貫性 秒数が延びるほど、人物や背景が途中で変わりやすい 短いカットに分けて作り、編集でつなぐ
同じ指示でも結果が毎回変わる 狙いどおりの1本を決め打ちで作れない 3〜4本生成して選ぶ前提で、本数や無料枠の量を見積もる
無料枠のまま公開してしまう 透かしが入る、商用利用が認められていない(比較表を参照) 公開前に「透かし・商用利用」の欄を確認し、必要なら有料プランへ
実在の人物・他社ブランドを入れる 肖像権・著作権の問題になり、生成を禁止するサービスもある 入れない。権利のある画像を起点にする
日本語の指示が通らない 仕様の記載がないツールがある(比較表で「記載なし」の項目) 無料枠で日本語の指示を試して確かめる

どのツールを選ぶかの前に、そもそも動画AIという手段が自分の制作に合うかを判断すると、遠回りを避けられます。現状の技術特性(生成のたびに絵が変わりうる、長尺での時間的一貫性が崩れやすい、実在物の厳密な再現が不得手)を踏まえると、向き・不向きは次のように整理できます。

向く場面(AIの強みが活きる)

  • 短尺のイメージ映像・案出し:数秒〜十数秒のコンセプト映像や、企画段階のたたき台を大量に試したいとき。撮影を組む前の発想の可視化に強い。
  • 実写では撮りにくい絵:宇宙・空想的な世界観・非現実的なカメラワークなど、ロケや大がかりなセットが要る表現をテキスト起点で得たいとき。
  • 台本ベースの説明・研修動画:アバター(バーチャルヒューマン)に原稿を読ませる形式など、映像そのものより「情報を届ける」ことが目的の動画。

向かない場面(別手段が無難)

  • 実在の人物・商品を正確に映す:自社製品の外観やパッケージ、実在するタレントの顔を寸分違わず再現したい用途。細部の忠実さは実写撮影に分があります。
  • 1カットを長く一貫させる長尺:数分続くワンシーンで人物・背景の整合を保ち続ける制作。フレームが進むほど破綻が出やすい。
  • 厳密な指示どおりの再現性が要る:確定した絵コンテを一字一句そのまま、修正のたびに同じ結果へ収束させたい制作。生成結果のばらつきが管理コストになりやすい。

迷ったときの一言判断:「絵の正確さ・長さ・再現性」を最優先するなら実写や従来のCG制作を軸に、「速さ・発想の量・撮れない絵」を優先するなら動画AIを軸に検討すると、手戻りが減ります。まず短い尺で試作し、想定した品質に届くかを確かめてから本番規模へ広げる進め方が現実的です。

公開前に確認することは?限界・商用利用・肖像権・表示義務

動画AIへの期待が高まる一方で、技術的な制約と社会的な課題についても正確に把握しておく必要があります。

現時点での主な技術的限界

第一に、テキストプロンプトへの忠実性のばらつきがあります。JSTのjxivに収録された研究「プロンプトへの忠実性の調査」(jxiv.jst.go.jp)は、モデルによってプロンプトの意図を映像化する精度に有意差があることを示しています。特に複数の属性や位置関係を指定した複雑なプロンプトでは、意図と異なる映像が生成されやすい点に注意が必要です。

第二に、細部の物理整合性の問題があります。液体の動き、布のなびき方、人物の手指の描写など、細かい物理現象の再現は多くのモデルで今も課題として残っています。第三に、テキスト・数字の正確な描写が苦手で、映像内に文字を配置する用途では後処理が必要になることが多いです。第四に、長い動画で一貫した物語を保つことは、現状の多くのモデルで実用上の限界があります。プロの仕上がりには、プロンプト設計・後処理・人による確認が引き続き欠かせません。

ディープフェイクと法規制の現状

実在の人物の映像を無断で学習・生成することは、肖像権の侵害や名誉毀損のリスクをはらみます。2026年2月、中国IT大手バイトダンスが実在人物の顔を使ったAI動画生成を停止したことが、科学技術振興機構(JST)のSciencePortal Chinaで報告されています(https://spap.jst.go.jp/china/news/kyodo/260203/ktopic_4_02.html)。実在の人物を用いた生成物への規制強化は各国で加速しており、日本でも政治的なディープフェイクへの対応が立法の論点になっています。見分け方と悪用の手口はディープフェイクとはで解説しています。

EU AI法(2024年施行・段階的に適用)はAIが生成したコンテンツへのウォーターマーク付与・開示義務を定めており、ニュース・広告・選挙関連のコンテンツではAI生成物であることの明示が求められる場面が増えています。動画AIを業務に組み込む際は、生成物の利用目的・公開範囲・表示義務について、法務部門と連携した運用設計が欠かせません。

著作権と生成物の権利帰属

学習データに含まれるコンテンツの著作権問題は、2026年現在も世界的に未解決の論点で、各国の司法・立法が対応を模索している段階です。生成した映像が既存の著作物に似ている場合の侵害リスクと、生成物そのものの著作権の帰属については、現時点で確定した解釈を示すことができません。利用規約の商用利用の条件・禁止コンテンツの条項は、その都度確認することが求められます。

国内での普及と支援環境

国内でも動画AIの実務活用は広がっており、福岡県よろず支援拠点が「動画AIで集客丸わかり!セミナー」(https://yorozu-fukuoka.go.jp/douga-ai/)を開くなど、中小企業向けの活用支援も始まっています。技術の理解と、倫理・法的なリテラシーの両輪での習熟が実務者には求められます。

仕組みと歴史を知りたい方へ

選ぶ判断には仕組みの理解は必須ではないため、ここでは要点だけにします。現在の動画生成AIの中核は、ノイズから映像を少しずつ復元する拡散モデルと、文章や時間的な整合性をとらえるTransformerの組み合わせです。モデルごとの違い(GAN・マルチモーダル学習の位置づけを含む)はAI動画の仕組みで詳しく解説しています。学習の原理はディープラーニングの仕組み、マルチモーダルAI、GANもご覧ください。

動画生成AIの進化の経緯と今後

2023年にRunway Gen-2やPikaの商用提供が始まって拡散モデルが主流になり、2024年のOpenAI Soraの発表を境に実用期へ進みました。そのSoraは2026年にウェブ・アプリ・APIとも提供を終了し、Googleは2026年10月時点でGeminiアプリの動画生成をGemini Omniに切り替えています(公式ページ記載)。今後は世界モデルやリアルタイム生成が注目されていますが、現在のツール選びに直接影響する段階ではありません。Soraの代わりはSora代替・後継の動画AIをご覧ください。

アバター動画(バーチャルヒューマン)は別の枠

デジタルの人物が原稿に沿って話す「アバター動画」は、文章や画像から映像を作る生成モデルとは別の使い分けです。研修・説明・接客の動画に向き、Synthesia・HeyGen・NoLangのように本数や分数で上限が決まります。選び方はAI動画とはに、アバター/AIアバターのサービスはクリスタルメソッドのDeepAIにまとめています。

よくある質問

Q. 動画生成AIと画像生成AIは何が違いますか?
A. 画像生成AIは1枚の絵を作りますが、動画生成AIは連続した多数のコマを作り、コマとコマの間で人物や背景が食い違わないようにする必要があります。この「時間の流れの中での一貫性」を保つ点が、いちばん大きな違いです。

Q. どんな技術で動画が作られていますか?
A. 現在の主流は、ノイズから少しずつ映像を復元していく「拡散モデル」と、文章の意味やコマ同士の関係をとらえる「Transformer」を組み合わせた方式です。以前主流だったGANは、解像度を上げる処理やコマの補間などで使われています。

Q. 代表的なツールにはどんなものがありますか?
A. 汎用的な映像生成ではRunway・Kling AI・Google(Veo/Geminiアプリの動画生成モデルGemini Omni)・Hailuo AI・Pika・Adobe Firefly、原稿を読み上げるアバター動画ではSynthesiaなどがあります。OpenAIのSoraは、2026年にウェブ版・アプリ版・APIの提供を終了しています。

Q. 利用にあたって注意すべき点は?
A. 指示どおりにならないことがある、手や文字など細部が崩れやすい、長い動画では人物や背景が途中で変わりやすい、といった技術的な限界があります。あわせて、実在の人物の映像を無断で作らない、生成物の商用利用の条件を規約で確認する、AIで作ったことの表示が求められる場面がある、という点に注意が必要です。

Q. 動画生成AIは無料で使えますか?
A. 多くのツールに無料枠がありますが、生成できる本数・長さ・解像度に制限があり、透かし(ウォーターマーク)が入ることもあります。公開用途や商用利用では有料プランが前提になるため、本文「料金は月いくら?無料枠・透かし・商用利用の早見表」と「主要サービスを同じ条件で比べると?」で条件を確認してください。

Q. 生成した動画は商用利用できますか?
A. ツールの利用規約によります。有料プランで商用利用を認めるものが多い一方、生成物の権利の扱い、実在の人物や他社ブランドを含む生成の禁止など条件があります。公開前に規約の「商用利用」「生成物の権利」「禁止事項」を確認してください。

Q. 自社の商品や人物をそのまま動画にできますか?
A. 画像を起点に動かす方式なら、商品や人物の見た目を保ったまま動きを付けやすくなります。実在の人物を使う場合は本人の同意が必要で、ディープフェイク規制や肖像権にも注意が必要です(本文「公開前に確認することは?限界・商用利用・肖像権・表示義務」参照)。

Q. OpenAIのSoraは今でも使えますか?
A. 使えません。OpenAIのヘルプセンターによると、ウェブ版とアプリ版は2026年4月26日に、APIは2026年9月24日に提供を終了しています。代わりを探す場合は、Runway・Kling AI・Google(Gemini Omni)などを本文の比較表で見比べてください。

Q. 最初の1本は、どのツールで試すのがよいですか?
A. 費用をかけずに試すなら、プラン契約なしで毎日無料で生成できるAdobe Fireflyか、125クレジットを一度だけ使えるRunwayが手軽です。Geminiアプリの動画生成は、個人アカウントではGoogle AIサブスクリプションが前提です。公開や商用に使う場合は、無料枠の透かしと商用利用の条件を先に確認してください。

Q. SNS向けの縦型動画は作れますか?
A. Adobe Fireflyの動画生成の画面では、画面比率として16:9と9:16を選べます(2026年10月30日に確認)。1本の秒数はモデルによって異なり、Fireflyの公式ページでは多くのモデルが最大8秒、一部が最大15秒と記載されています。

まとめ

動画生成AIは、文章・画像・映像から映像を自動で作る技術です。選ぶときは、作りたいもの(縦型・広告・社内説明など)→ 秒数・解像度・音声 → 無料枠の透かしと商用利用 → 月額の順に絞ります。公式に数値が出ているのはKling・Veo・Gemini Omni・Fireflyで、Runway・Pika・Hailuoは秒数などの記載を確認できませんでした。まず無料枠で1本作り、同じ指示で2ツールを見比べてから有料プランを決めてください。OpenAIのSoraは2026年にウェブ・アプリ・APIとも提供を終了しています。

公開前には、実在の人物・他社ブランドを含めない、商用利用の条件を規約で確認する、AI生成であることの表示が必要な場面を確認する、の3点を必ず確認してください。仕組みの詳細はAI動画の仕組み、AIの最新動向は最新AI情報を参照してください。


運営会社について:このサイトの運営会社はクリスタルメソッド株式会社で、バーチャルヒューマン/AIアバターのサービス「DeepAI」を提供しています。動画AIおよびバーチャルヒューマン技術の業務活用に関するお問い合わせは公式サイトよりご連絡ください。


参考文献

  • Adobe Firefly「動画生成AI」(対応モデル・秒数・解像度・画面比率・2026年10月30日確認)
    https://www.adobe.com/jp/products/firefly/features/ai-video-generator.html
  • Kling AI「Kling 4.0 vs 3.0」(秒数・解像度・音声・対応言語・2026年10月30日確認)
    https://kling.ai/blog/kling-4-vs-3
  • Google DeepMind「Veo 3.1」(秒数・解像度・音声・2026年10月30日確認)
    https://deepmind.google/models/veo/
  • Runway「Introducing Runway Gen-4.5」(2026年10月30日確認)
    https://runway.com/research/introducing-runway-gen-4.5
  • 科学技術振興機構(JST)jxiv「動画生成AIのテキストプロンプトへの忠実性の調査」
    https://jxiv.jst.go.jp/index.php/jxiv/preprint/view/1532
  • 科学技術振興機構 SciencePortal China「実在人物使用のAI動画生成停止 中国IT大手のバイトダンス」(2026年2月)
    https://spap.jst.go.jp/china/news/kyodo/260203/ktopic_4_02.html
  • 福岡県よろず支援拠点「動画生成AIで集客丸わかり!セミナー」
    https://yorozu-fukuoka.go.jp/douga-ai/
  • OpenAI ヘルプセンター「What to know about the Sora discontinuation」
    https://help.openai.com/en/articles/20001152-what-to-know-about-the-sora-discontinuation
  • Google「Gemini Omni – 動画生成」(Gemini アプリの動画生成モデル・2026年10月13日確認)
    https://gemini.google/overview/video-generation/?hl=ja
  • Google「Gemini アプリで動画を生成する」(Gemini アプリ ヘルプ・2026年10月13日確認)
    https://support.google.com/gemini/answer/16126339?hl=ja
  • Google DeepMind「Veo 3.1」(2026年10月13日確認)
    https://deepmind.google/models/veo/
  • Runway 公式サイト・料金ページ(Gen-4.5・2026年10月13日確認)
    https://runway.com//https://runway.com/pricing
  • Kling AI 公式サイト(Kling 4.0・2026年10月13日確認)
    https://klingai.com/global/
  • Hailuo AI 公式サイト(MiniMax H3・2026年10月13日確認)
    https://hailuoai.video/
  • Pika 公式サイト・料金ページ(Pika 2.5・2026年10月13日確認)
    https://pika.art//https://pika.art/pricing
  • Synthesia 公式サイト・料金ページ(2026年10月20日確認)
    https://www.synthesia.io/pricing
  • Kling AI 会員プラン・クレジットの案内(2026年10月20日確認)
    https://kling.ai/blog/kling-video-3-0-credit-cost-guide
  • HeyGen 料金ページ(2026年10月20日確認)
    https://www.heygen.com/pricing
  • NoLang 料金ページ(2026年10月20日確認)
    https://no-lang.com/en/pricing
  • Runway ヘルプセンター(プラン・ウォーターマーク・商用利用・2026年10月20日確認)
    https://help.runwayml.com/
  • Canva AI動画生成の案内(2026年10月20日確認)
    https://www.canva.com/ja_jp/
  • Adobe Firefly プラン比較ページ(2026年10月13日確認)
    https://www.adobe.com/jp/products/firefly/plans.html


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河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

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