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Claude Code compact・clear 使い分けとコンテキスト管理の実践ガイド

Claude Code compact・clear 使い分けとコンテキスト管理の実践ガイド

Claude Codeのコンテキスト管理が重要な理由

Claude Codeを本番的なコーディングタスクに使い始めると、遅かれ早かれ「コンテキストウィンドウの上限」という壁に直面する。Claude Codeの公式ドキュメント(Explore the context window)によれば、セッション起動時点でシステムプロンプトに約4,200トークン、Auto memoryに最大680トークン、環境情報に約280トークンがすでに消費される。大規模リファクタリングや複数ファイルにまたがる実装を続けると、残りの有効コンテキストは想像以上に早く枯渇する。

コンテキストが飽和した状態で作業を続けると、モデルは会話の冒頭に書いたアーキテクチャ上の制約や変数命名規則を「忘れた」ように振る舞い始める。その結果、レビューコストが増大し、修正ループが長くなる。claude code compact clear 使い分け コンテキスト管理を正確に理解することは、AIエージェントの実用効率を左右する設計上の判断である。

なお、Claude Codeの基本的なインストール手順や料金体系については、Claude CodeインストールガイドおよびClaude Code料金・プランの解説を参照されたい。

Claude Codeコンテキストウィンドウの構成

コンテキストウィンドウ全体(例: 200,000 tokens)

System

Memory

CLAUDE.md

会話・ファイル読み込み

有効残余コンテキスト(ここを最大化する)

0 200K tokens
図1: Claude Codeセッション起動時のコンテキストウィンドウ構成。システムプロンプト・Auto memory・環境情報が起動直後から消費されるため、有効残余領域を意識した運用が不可欠。(公式ドキュメント数値を基に作成)

/clear・/compactの動作原理と使い分けの基本

Claude Codeには主に2つのコンテキスト操作コマンドがある。それぞれの動作を実装レベルで理解しておくことが、適切な使い分けの前提になる。

/clear — 完全リセット

/clear で別タスクへ切替。文脈は空に、CLAUDE.md記憶は保持
/clear で別タスクへ切替。文脈は空に、CLAUDE.md記憶は保持

/clearは会話履歴を全消去する。前の会話でやり取りしたファイルの内容、デバッグの文脈、変数名の議論など、セッションで蓄積されたすべての情報が破棄される。次のターンからコンテキストはゼロ(システムプロンプト+Auto memory+環境情報のみ)に戻る。

使いどきは「タスクの完全な切り替え」時だ。認証モジュールのリファクタリングが完了し、次は全く関係のない決済APIのインテグレーションに移るといった場面では、前の会話内容を引き継ぐ価値がない。それどころか、無関係な情報がコンテキストを圧迫し、モデルの判断を歪める可能性がある。

/compact — 要約圧縮

/compact で会話を要約し、同じ作業を続けたまま軽くする
/compact で会話を要約し、同じ作業を続けたまま軽くする

/compactは会話履歴を要約してコンテキストを圧縮する。作業の流れ・決定事項・直近の変更点などの「エッセンス」は残しつつ、詳細なやり取りのターン数を削減する仕組みだ。コンテキストウィンドウが上限に近づいたとき、Claude Codeは自動的にcompactを実行する(自動compact)ため、手動での実行と合わせて理解しておく必要がある。

なお、公式ドキュメントによれば、スキルの説明リスト(Skill descriptions)は/compact後に再注入されない。実際に呼び出したスキルのみが保持される仕様であるため、スキル機能を多用している環境では/compact後の挙動に注意が必要だ。

/compactに任意のメッセージを添えることで、要約に含めてほしい情報を明示できる。例えば:

/compact 認証フローの変更点とエラーハンドリングの決定事項を必ず保持してください

このように要約対象を指定することで、重要な設計判断が圧縮によって失われるリスクを下げられる。

使い分けの判断フロー

表1: /clear・/compact・継続の使い分け判断基準
状況 推奨コマンド 理由
別機能・別モジュールへの完全切り替え /clear 前の文脈が不要かつコンテキストを汚染する
同一タスクの継続中にコンテキストが逼迫 /compact 作業の文脈(決定事項・差分)を保持したまま容量を回復
バグ修正など短時間で完結するタスク 継続(操作不要) コンテキストに余裕がある場合は操作不要
長大なリファクタリングの途中(数十ターン経過) /compact + 指示付き 要約対象を明示して設計判断を保全
別の開発者・別ワークツリーへの引き継ぎ /clear + CLAUDE.md更新 永続化すべき情報はCLAUDE.mdへ移動してからリセット

スラッシュコマンド全般の一覧と動作については、Claude Codeスラッシュコマンド解説も参照されたい。

CLAUDE.mdとAuto memoryによる永続コンテキスト設計

公式ドキュメント(How Claude remembers your project)によれば、Claude Codeのメモリ機構は「CLAUDE.md」と「Auto memory(MEMORY.md)」の2系統に分かれる。どちらも毎セッション起動時に自動でコンテキストへ読み込まれる

CLAUDE.md — 人間が書く永続指示

CLAUDE.mdはマークダウン形式のファイルで、プロジェクト・ユーザー・組織の各スコープに配置できる。コーディング規約、アーキテクチャ上の制約、禁止事項などを記述しておくと、/clearでセッションをリセットしても指示が失われない。

CLAUDE.mdの記述で重要なのは「具体的かつ簡潔」であることだ。公式ドキュメントは「the more specific and concise your instructions, the more consistently Claude follows them」と明記している。長大な文章をそのまま書き込むと、起動時のコンテキスト消費量が増えるだけでなく、重要な指示がモデルに埋もれる。

また、.claude/rules/ディレクトリを使えば特定ファイル種別にルールをスコープできる。たとえば.claude/rules/tests.mdにはテストファイル用の規約のみを記載し、それ以外のファイル編集時は読み込まない、という構成が可能だ。これにより毎回読み込まれる不要なトークンを削減できる。

Auto memory — Claudeが自律的に書くメモ

Auto memoryはClaude自身が前のセッションの学習・パターンをメモとして書き込む仕組みで、リポジトリごとに保持される。公式ドキュメントによれば、最初の200行または25KBのどちらか先に達した方がコンテキストへ読み込まれる。ビルドコマンド、デバッグで発見したパターン、ユーザーの修正から学んだ好みなどが自動蓄積される。

CLAUDE.mdとAuto memoryを組み合わせることで、/clearの完全リセット後も「プロジェクト固有の知識」を維持できる。これが「コンテキストを捨てても知識は残す」という設計の核心だ。

表2: CLAUDE.mdとAuto memoryの役割分担
項目 CLAUDE.md Auto memory
書き手 エンジニア(人間) Claude(AI)
内容 コーディング規約・アーキテクチャ方針・禁止事項 ビルドコマンド・発見したパターン・修正履歴
スコープ プロジェクト / ユーザー / 組織 リポジトリ単位(ワークツリー間で共有)
読み込み上限 ファイルサイズ次第 最初の200行 または 25KB
/clear後の保持 保持される 保持される
/compact後の保持 保持される(再注入) 保持される(再注入)

コンテキスト管理の実践的なワークフローとトレードオフ

自動compactの挙動を把握する

コンテキストウィンドウが上限に近づくと、Claude Codeは自動的に/compactを実行する。これはエンジニアが手動で介入しなくても動作する安全網として機能するが、タイミングによっては作業の流れが意図せず途切れる原因にもなる。

自動compactが連続して発生する「スラッシング」は、特に大量のファイルを一度に読み込む操作(広範なgrepや全ファイルインポートなど)で起きやすい。公式のTroubleshootingドキュメントでもこのスラッシングが安定性問題として言及されている。対策としては、.claude/rules/でファイル種別を絞り込むか、ファイル読み込みを必要最小限にとどめるよう指示をCLAUDE.mdに記載しておくことが有効だ。

エージェントループとコンテキストの関係

公式ドキュメント(How the agent loop works)によれば、エージェントは「プロンプト受信 → ツール呼び出し → 結果取得 → 繰り返し」というループで動作する。ツール呼び出しの結果(ファイル読み込み内容、テスト実行結果など)はすべて会話履歴として蓄積される。

大規模タスクでは「数十回のツール呼び出し」が発生し得るため、コンテキストは急速に膨張する。自律エージェントに長大なタスクを任せる場合は、作業を小フェーズに分割し、フェーズ完了ごとに/compactまたは/clearを挟む設計が推奨される。

CLAUDE.mdの品質がコンテキスト効率を左右する

冗長なCLAUDE.mdは起動コストを無駄に増やす。実際の運用では以下の点を意識して記述を整理することが重要だ。弊社が開発するDeepAI(実在の人物の容姿・表情・声を再現するバーチャルヒューマン/AIアバター製品)の開発においても、コーディング規約やプロジェクト固有の制約をCLAUDE.mdに集約することで、セッションをまたいだ一貫性を維持できている。特に、形状が不定の対象物(ソファ等)の画像分類タスクに関する前提条件を記述しておくと、新規セッションでも背景知識の再説明が不要になる。

限界とデメリットを直視する

CLAUDE.mdとAuto memoryはあくまでコンテキストへの読み込みであり、動作を強制するわけではない。公式ドキュメントは「Claude treats them as context, not enforced configuration」と明示している。ツール呼び出しを強制的にブロックするにはPreToolUse hookを使う必要があり、CLAUDE.mdの指示だけでは制御しきれない場面がある。

/compactによる要約は情報の損失を伴う。特に細かいデバッグの経緯や「なぜこのアプローチを選んだか」という意思決定の背景は要約で消えやすい。重要な設計判断はcompactの前に手動でCLAUDE.mdへ転記するか、コミットメッセージや設計ドキュメントとして外部に残す習慣が必要だ。

Claude Code全体の使い方や実装パターンについては、Claude Codeの使い方ガイドも合わせて確認されたい。また、他のAIコーディングツールとの比較についてはClaude CodeとCursorの比較を参照されたい。

コンテキスト管理を組み込んだ推奨ワークフロー

以下は、中〜大規模の実装タスクで使える実践的なワークフローだ。claude code compact clear 使い分け コンテキスト管理の原則をそのまま手順に落とし込んでいる。

ステップ1: セッション開始前のCLAUDE.md確認

作業開始前にCLAUDE.mdを確認・更新する。前回のセッションで判明したアーキテクチャの制約や今回のタスクで守るべき規約を明記しておく。Auto memoryは自動で読み込まれるため意識する必要はないが、200行を超えていないか定期的に確認する。

ステップ2: フェーズ分割と中間compact

タスクを「調査」「設計」「実装」「テスト」などのフェーズに分割する。各フェーズの完了時に/compact 〈このフェーズの決定事項を保持してください〉を実行し、コンテキストを圧縮しながら次フェーズへ移る。

ステップ3: タスク完了後のclearと記録

タスク完了後は重要な設計判断をCLAUDE.mdまたは外部ドキュメントへ移動し、/clearで次のタスクへクリーンな状態で移行する。「コンテキストは消耗品、知識は資産」という分離が持続可能な運用の要点だ。

コンテキスト消費の目安

表3: 主要操作のトークン消費目安(公式ドキュメントの数値を基に算出)
操作・要素 おおよそのトークン数 備考
システムプロンプト(固定) 約4,200 毎セッション必ず消費
Auto memory読み込み 最大約680(例示値) 200行 or 25KB上限
環境情報 約280 OS・gitブランチ等
MCP toolリスト(deferred) 約120 スキーマは必要時にのみ展開
標準的なソースファイル1本 500〜3,000(ファイルサイズ依存) ファイル読み込みは積み上がる
/compact後の残存(目安) 圧縮前の10〜30%程度 要約品質はメッセージ付きで向上

APIコストとトークン消費の詳細についてはClaude Code APIの料金体系も参照されたい。

まとめ: 使い分けの原則と次の行動

Claude Codeの/clear/compactは、それぞれ「完全リセット」と「圧縮継続」という異なる役割を持つ。判断基準は単純で、「前の文脈が次のタスクに価値をもたらすか否か」だ。価値があれば/compactで保持、ないなら/clearで清潔にする。

一時的なセッションコンテキストと永続的な知識資産(CLAUDE.md・Auto memory)を意図的に分離することが、長期にわたる開発生産性を支える設計上の要点になる。特にチーム開発では、CLAUDE.mdをバージョン管理に含めることで、組織的なコンテキスト管理が実現できる。

Claude Codeの全体像・スラッシュコマンドの網羅的な一覧については、Claude Code総合解説およびClaude Code入門ガイドを参照されたい。


弊社が開発するDeepAIは、実在の人物の容姿・表情・声を再現するバーチャルヒューマン/AIアバター製品です。ソファなど形状が不定の対象物の画像分類(正常・異常判定)も実装しており、実際の開発においてClaude Codeとコンテキスト管理ベストプラクティスを積極的に活用しています。AIを活用した開発・画像解析の導入をご検討の際はお気軽にご相談ください。


参考文献

監修

河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)

AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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