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Claude Code on the web 完全技術ガイド:仕組み・制限・使い分け

Claude Code on the webとは:ローカル実行との本質的な違い
claude.ai/code で提供される claude code web は、Claude Codeのエージェント実行をAnthropicが管理するクラウドインフラ上に委譲する機能だ。2026年7月時点ではリサーチプレビューとして提供されており、Pro・Max・TeamプランのユーザーおよびEnterpriseのpremium席またはChat+Claude Code席が対象となる(Anthropic公式ドキュメント)。
ローカル実行との最も本質的な違いは「エージェントがどのマシンで動いているか」という一点だ。ローカル実行ではエンジニアのマシン上でエージェントが走り、ローカルのファイルシステム・ツール・設定にフルアクセスできる。対して claude code web では、Anthropic管理のサンドボックスVM上でリポジトリをcloneして作業し、完了後にブランチをGitHubへpushする。ブラウザを閉じてもセッションは継続し、Claudeモバイルアプリから進捗を監視することも可能だ。
公式ドキュメントが示す claude code web の適性シナリオは次のとおりだ。
- 並列タスク実行:独立した複数タスクをそれぞれ別セッション・別ブランチで同時進行させ、ローカルのworktree管理を不要にする
- ローカルにcheckoutしていないリポジトリへの作業:毎セッションfreshにcloneするため、開発機のディスク容量を消費しない
- 非同期処理に向いたタスク:明確に定義されたタスクを投げて別作業をこなし、完了後にPRをレビューする
- コードベースの調査・探索:ローカルcheckoutなしにコードの流れやフィーチャーの実装を追う
一方、ローカル設定・独自ツール・特殊な開発環境に依存するタスクはローカル実行またはRemote Controlの方が適している。どちらが正解かはタスクの性質次第であり、「web版の方が優れている」という単純な結論にはならない。
claude code web を使い始めるための基本的なセットアップ手順は Claude Code はじめ方ガイド にまとめている。料金体系と各プランの差異については Claude Code 料金の詳細解説 を参照してほしい。
クラウド環境の構成:GitHub認証・セットアップスクリプト・ネットワーク制御
claude code web の実運用で技術的に重要なのは、クラウド環境をどこまで自分たちで制御できるかという点だ。公式ドキュメントによれば、セットアップスクリプト・依存関係管理・ネットワークアクセスレベルをそれぞれ構成可能とされている(Anthropic公式ドキュメント)。
GitHub認証の2方式
クラウドセッションがリポジトリにアクセスするには、以下2方式のいずれかでGitHub認証を設定する必要がある。
| 認証方式 | 仕組み | 向いているケース |
|---|---|---|
| GitHub App | webオンボーディング時にClaude GitHub Appを認可 | ブラウザからのオンボーディング・Auto-fix PRを活用するチーム |
/web-setup |
ターミナルで /web-setup を実行し、ローカルの gh CLIトークンをClaudeアカウントに同期 |
すでに gh CLIを使っている個人開発者 |
GitHub Enterprise ServerへのアクセスはTeam・Enterpriseプランで対応している。一方、GitLabやBitbucketは現時点でローカルバンドルの送付のみで、クラウドセッションからのブランチpushには対応していない。プラットフォーム選定の段階でこの制約は必ず確認しておく必要がある。
セッション実行の順序と環境構成
タスクを投入したあと、クラウドVM内では次の順序で処理が進む。
- リポジトリのcloneとセットアップスクリプトの実行
- エージェントによるコード分析・変更・テスト実行
- ブランチのpush
ネットワークアクセスレベル(プロキシ・デフォルトallowlist・DNS監査証跡の3層)は手順の一部ではなく、セッション環境全体に常時適用される。
セッションはブランチpush後も閉じない。PR作成・追加編集・レビューコメントへの返答もすべて同一会話内で継続できる構造になっている。
ネットワークアクセスとDNS監査証跡
クラウドVM上のネットワークアクセスは、プロキシ・デフォルトのallowlist・DNSレベルの監査証跡という3層で管理される。要求されたホスト名はDNS監査証跡に記録されるため、エージェントが外部に対してどのような通信を試みたかを事後確認できる。セキュリティポリシーが厳格な組織では、このトレーサビリティが導入可否の判断材料になりうる。
セッションの受け渡し:--remote と --teleport の使い分け
claude code web の技術的に興味深い機能の一つが、ターミナルとクラウドをまたいだタスクの受け渡しだ。公式ドキュメントでは2つのフラグが定義されている(Anthropic公式ドキュメント)。
--remote:ターミナルから、現在のリポジトリを対象に新しいクラウドセッションを作成してタスクを投げる。タスクはクラウド側で走り、手元では別の作業を続けられる。なお引き継ぎは一方向で、進行中のローカルセッション自体をwebへ移すことはできない。--teleport:逆方向。クラウドで走っているセッションをローカルへ引き継ぐ。ローカルの設定やファイルシステムを活用した追加作業が必要になったタイミングで使う。
いずれも同一アカウント認証が必須条件だ。異なるアカウント間でのセッション移動は設計上サポートされていない。チーム開発でサービスアカウントを共有している場合、この制約が運用上のボトルネックになる可能性がある。事前に認証設計を整理しておく必要がある。
このセッション移動の詳細な仕様については Claude Code クロスサーフェス操作ガイド で掘り下げている。
Auto-fix PR:CIパイプラインとの自動連携
claude code web には Auto-fix PR という機能も実装されている。CI失敗やレビューコメントへの自動対応をClaudeが担う仕組みで、GitHub AppベースでPRとCI結果をClaudeに連携し、エラーに対するコード修正コミットを自動生成する。レビュー反復作業の削減を狙うチームにとって実装価値のある機能だが、現時点はリサーチプレビュー段階であり、本番クリティカルなパイプラインへの全面適用は慎重に判断すべきだ。
なお、スラッシュコマンドを活用した操作の詳細については Claude Code スラッシュコマンド解説 を参照してほしい。
claude code web の制限事項:導入前に確認すべき技術的トレードオフ
技術責任者として導入を判断する際には、公式ドキュメントが明記している制限を正確に把握しておく必要がある。以下はすべて公式に明記された制約事項だ(Anthropic公式ドキュメント)。
レート制限の共有消費
クラウドVM自体の追加課金は発生しないが、レート制限はアカウント内のすべてのClaude・Claude Code利用と共有される。並列セッションを複数走らせると、それに比例してレート制限が消費される。チームで複数人が同時に claude code web を使う構成では、レート枯渇のリスクを事前にシミュレーションしておくべきだ。プランごとの具体的なレート制限については Claude Code 料金・レート制限の詳細 を参照してほしい。
組織のIPアローリストとの競合
最も見落としがちな制約がIPアローリストとの競合だ。GitHubや社内サービスに対してIPアローリストを有効にしている場合、Anthropicのクラウドセッションからのアクセスは認証エラーで全滅する。Code ReviewやRoutinesも同様に影響を受ける。対処方法はAnthropicサポートへの除外申請であり、申請・承認サイクルが発生する点を導入計画に織り込む必要がある。
gitホスティングサービス別の対応状況
| プラットフォーム | clone | ブランチpush | 備考 |
|---|---|---|---|
| GitHub.com | 対応 | 対応 | 全プラン |
| GitHub Enterprise Server | 対応 | 対応 | Team・Enterpriseプランのみ |
| GitLab | ローカルバンドル送付のみ | 不可 | クラウドセッションからのpushは未対応 |
| Bitbucket | ローカルバンドル送付のみ | 不可 | クラウドセッションからのpushは未対応 |
実行方式別のトレードオフ比較
実装方式選択の判断軸を整理するため、実行形態ごとの比較を以下にまとめる。
| 判断軸 | claude code web | ローカル実行(CLI) | デスクトップアプリ |
|---|---|---|---|
| 実行場所 | Anthropicクラウド | ローカルマシン | 両方(切替可能) |
| ローカル環境・ツール依存 | 不可 | 可 | ローカル実行時のみ可 |
| 並列タスク管理 | 容易(VM単位で分離) | worktree管理が必要 | クラウドセッション時は容易 |
| セッション永続性 | ブラウザを閉じても継続 | プロセス終了で切断 | 方式による |
| GitHub以外のgitホスト | 制限あり(push不可) | 制限なし | ローカル実行時は制限なし |
| IPアローリストとの競合 | あり(要除外申請) | なし | クラウドセッション時はあり |
| VM追加課金 | なし | なし | なし |
セキュリティアーキテクチャの概要
セキュリティの観点では、公式ドキュメントはセッション分離・レート制御・コンテンツフィルタ・要求ホスト名のDNS監査証跡の4点を明示している(Anthropic公式ドキュメント)。各セッションはVM単位で分離されており、横断的なデータアクセスが設計上できない構造になっている。DNS監査証跡によってエージェントの通信履歴を事後確認できる点は、エンタープライズ環境でのコンプライアンス対応において実用的な根拠になりうる。セキュリティの詳細な技術検証については Claude Code 技術解説ピラー も参照してほしい。
claude code webの現在地と導入戦略の考え方
claude code web はリサーチプレビュー段階にある。本番運用への全面移行より、まず並列タスク消化や非同期レビューサイクルの改善といった限定的なユースケースで評価することが現実的な導入戦略だ。
技術責任者として押さえるべき判断ポイントを整理すると次のとおりになる。
- GitHubへの依存:GitLabやBitbucketをメインで使うチームは、現時点ではクラウドセッションからのpushができない。この制約が解消されるまでは、局所的な用途に限定するのが妥当だ。
- IPアローリストの事前確認:組織のアクセス制御ポリシーをあらかじめ調査し、クラウドIPの除外申請が必要かどうかを導入前に確定させる。申請から承認まで時間がかかる可能性がある。
- レート制限の消費設計:並列セッション数を増やすほどレート制限が早く枯渇する。チーム規模に応じた利用計画を立て、必要であれば上位プランへの移行を検討する。
- セッション受け渡しの認証設計:
--remote/--teleportは同一アカウント認証が必須。サービスアカウントや共有アカウントの運用設計を見直す必要がある場合がある。
claude code web とローカルCLIの詳細な技術比較については Claude Code vs Cursor 技術比較 および Claude Code vs Codex 比較 も参考になる。CLI側の初回セットアップの全体像は Claude Code インストールガイド に詳述している。APIを通じた利用コストの把握については Claude Code API料金解説 を参照してほしい。
参考文献
- Anthropic公式ドキュメント「Use Claude Code on the web」(2026年7月3日取得)
https://code.claude.com/docs/en/claude-code-on-the-web.md - Anthropic公式ドキュメント「Get started with Claude Code on the web」(2026年7月3日取得)
https://code.claude.com/docs/en/web-quickstart.md
監修
河合 継(クリスタルメソッド株式会社 代表取締役)
AI・ディープラーニングに関する特許16件の発明者。過去、国立がん研究センターとの共同研究や、テレビ番組でのAI解説実績を持つAI研究者として、AIの研究開発を主導している。
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